古文で文法を勉強する3つの理由とお勧め古文の文法勉強法!

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先日「土用の丑の日の鰻」についての記事をご紹介しました。そのときに、和歌を紹介し、尊敬語・謙譲語をご紹介しました。
 それと関連して、本日は、よく塾でご質問を受ける「古文の勉強法」についてご紹介したいと思います。

予備校で受けた衝撃

 古文の勉強をする際に、絶対にまずやって欲しいことは、古典文法を一通りさらっと把握することです。無理に覚えようとしなくてもいいので、さらっと、どんな文法事項が古文にあるのかを確認しましょう。

 

 正直、私は、高校生の頃、古文の勉強を甘く考えていました。「まぁ、助動詞を把握しておけば、日本人なんだし単語覚えたら古文は何とかなるっしょ!」くらいに考えていました。

 

 しかし、それは全くの間違いであったことを予備校に行って思い知りました。

たった1文字で意味が全然違う!

 今でもありありと覚えていますが、授業で、「次の文を訳してみてください」と言われ、2つのフレーズがかかれました。

 (1) 行かなむ

 (2) 行きなむ

 

 『ん?先生どうしたんだい!?2つを見比べたら平仮名1文字しか違いはありませんが、そんなに大きく意味は変わるのかい!?』

 

 と思いながら、適当に訳を書きました(先生すいませんでした)。

 

 あなたは、この2つの意味の違いがわかりますか?

 

 実は、この2つのフレーズ、平仮名1文字しか違いがありませんが、意味は全く違います

 

 このポイントは、「なむ」の識別になります。

 (1)の「行かなむ」の「なむ」は願望の終助詞。

 願望の終助詞の「なむ」は上が未然形の接続となるので、「行く」の未然形と接続されている「なむ」は願望の終助詞となります。

 願望の終助詞の「なむ」は、「~して欲しい」という訳になります。

 したがって、「行かなむ」は、「行って欲しい」という訳になります。

 

 一方、(2)の「なむ」は、「な」が強意、「む」が推量です。

 「な」は、「完了・強意」を表す助動詞「ぬ」の未然形です。また、「む」は、「意志・推量」を表す助動詞「む」の終止形です。

 (ちなみに「ぬ」の活用は「な」・「に」・「ぬ」・「ぬる」・「ねれ」・「ね」です。「む」の活用は、「○」・「○」・「む」・「む」・「め」・「○」です)

 助動詞「ぬ」は、連用形接続となるため、「行く」の連用形「行き」と接続されている「なむ」は「な」が強意、「む」が推量となります。

 この「なむ」は、「きっと~だろう」という訳になります。

 したがって、「行きなむ」は、「きっと行くだろう」という訳になります。

 

 たった、1文字で意味が全然違います。このとき、石戸少年は、「やべー、文法すげぇ!やらなきゃいかんわ」と痛切に思いました。

 

 古文単語も、もちろん大切ですが、効率を考えたときに、まず初めに文法をやることをお勧めします。ちなみに、効率については、過去記事『「質」とか「効率」って何よ?勉強の「質」と「効率」を言語化してみた』をご参考にして頂ければ幸いです。

 

 では、なぜ、文法を初めにやるのが、効率が良いと言えるのか?

 

 古文で文法をまず勉強することをお勧めするのは3つの理由があります。

古文の勉強でまず文法を勉強することをお勧めする3つの理由

理由1)センター試験で得点に確実に結びつくから

 私たちは、医学部受験という戦場で、より点数を取る人が勝ちというルールで戦っています。ですから、勉強をするときに考える時は、常に自分が行っている勉強が何点に結びつくのかを考えて勉強することが勝利に繋がります。

 我々、医学部受験生が古文が必要になるのは、一部の例外を除き、センター試験だけです。センター試験古文で何点が取れるかを考えることが大切です。

 では、文法の勉強をすることが果たして点に繋がるのでしょうか?

 実は、センター試験の古文では、必ず問2で文法問題が必ず出題されます。その配点は5点です。つまり、文法の勉強をすることは、本文を読む上で有利になるだけでなく、センター試験古文で5点を取る対策につながります。

 ちなみに、古文の配点は、

 問1 語句の意味を問う問題 (5点×3)

 問2 文法問題(5点)

 問3~問6 読解問題(30点)

 となっています。もちろん、読解問題でも、文法は選択肢を吟味するときに絞るための材料となるため、5点以上の対策につながります。

理由2)試験本番で必ず使えるから

 例えば、古文単語を1000語覚えても、当日試験に登場する単語の数は限られています。しかし、助動詞や助詞が出てこない文章はありません。確実に文章の中で登場します。仮に問題として問われなかったとしても、読む上で力を発揮することは間違いありません。

 試験本番で必ず使えるので、まず文法の勉強から始めることをおすすめします。

理由3)意味を大きく取り間違える可能性がなくなるから

 先ほどの例で紹介したように、古文では平仮名1文字が違っただけで、意味が全く違います。先ほどの例では、「行って欲しい」と「きっと行くだろう」となりましたが、「行って欲しい」というときは、相手に対して使っています。つまり、「行かなむ」が出てきたときは、話者が登場した相手に対して「行って欲しい」のだな。と考えながら読むことができます。読みながら、誰が誰にを追うことができるようになります。

 また、文法の敬語まで勉強すれば、話者が誰で、誰に対して言っているのかがわかるようになります。よく古文で言われる悩みが「古文は主語がわかりづらい」と言いますが、それは、言わなくてもわかるから明記していません。文法の勉強をすれば、誰が誰に対して言っているかが、状況を把握しながら読めるようになってきます。こうなっていけば、大きく本文の内容からはずれる解釈になることがなくなります。

 例えば、単語を覚えていないからといって、大きく意味を取り違えることはありません。もちろん、知らない単語が多ければ何を言っているかわからなくなりますが、少し単語がわからなくても、読むことはできます。

例えば、私たちが新聞や本を読む時でも、全ての単語を知っているかというとそんなことないですよね。それでも、辞書を引かずに、読みすすめます。電車の中や喫茶店で新聞を読んでいる人を見かけますが、辞書を引きながら新聞を読んでいる人なんて今まで見たことがありません(笑)それは、前後の内容から概要を把握できているからです。ある単語の意味がわからなくても、前後の内容から単語の意味を把握しているのです。逆に言えば、知らない単語が少々あっても、内容を把握する上では問題ないということです。

古文も同じです。読みながら、状況把握ができていれば、ある程度単語の意味がわからなくても内容を把握することはできます。この状況把握をするには、古文の文法が大きな意味を持つのです。

で、何をやればいいの?

 古文の勉強において、文法を勉強することが何よりも大切であることについては、ご理解頂けたと思います。

 次の疑問は、

 

じゃあ具体的に何をやればいいの?

 

 となると思います。

 

 結論から申し上げると、まず入試で必要となる文法事項を知っておくことです。きっと、助動詞は勉強されていても、なかなか助詞まで手がまわっていない方がほとんどだと思います。しかし、助詞も含めて勉強しておかなければ、文法問題で頻出の識別問題が解けません。もちろん、読んでいるときにも識別ができません。

 だからこそ、まず、大学入試で必要となる文法事項を知っておくことです。すぐに、スラスラ言える必要はありませんが、「願望の終助詞」と言われたら、そんなものがあったなというレベルにしましょう。

超絶お勧めの参考書を紹介します

 そのときに、超絶お勧めの参考書があります。それは………

 

 

 

 

 

 

語学春秋社から出ている「望月古典文法の実況中継」という本です。これは、上・下と2冊に分かれているのですが、講義形式で進むので読みやすいんです。

 

 文法の勉強って絶対面白くないと思います。少なくとも私は文法の勉強は嫌いでした。ドリル形式のものや説明を読むものもいくつかやりましたが、すぐに飽きたり、急に難しくなったりしてわからなくなり、続きませんでした。

しかし、この本は、会話形式で書かれていて、初学者にもわかりやすくステップアップ形式で説明してくれているので、すごくわかりやすいんです。

そして、最初は動詞の活用などの超基礎から始まるのに、最後には、識別問題まで網羅しています。敬語も収録されているので、この2冊で大学入試で必要な古文の文法が把握できます。本当にお勧めですので、ぜひ取り組んでみてください。

ちなみに、医シュランでも紹介する予定ですので、楽しみにしていてくださいね。

参考書を読んだ後は?

 それでは、一通り文法を把握できたら次は何をすればいいのでしょう?ここで、また参考書を読むことはお勧めしません。詳しくは過去記事「問題集・参考書は何周すればいい?」をご覧頂けたらと思いますが、二周、三周とするのは間違っていると私は思います。

 

 文法に取り組んだ目的は何かと考えたときに、、、それは、古文で点を取るため、すなわち、古文の読解ができるようになるためでしたよね。

 

 ということであれば、一通り文法を把握したのであれば、早速、問題に取り組んでいましょう。問題を読みながら、解く上で、身につけた文法知識がどのように使えるかを考えていけば、使える文法知識がどんどん蓄積されていきます。

 文法の次は、単語を覚えてからと考える人もいますが、それはお勧めしません。先ほども申し上げたように、単語を覚えても試験に登場するとは限らないので、単語を覚えてから古文の読解にチャレンジするのではなく、古文の読解をしながら、単語帳で単語を覚える作業もやっていきましょう。

 やっていくうちに、どんどん古文が読めるようになっていっている自分に気づくはずです。ぜひ、やってみてください!

まとめ

 本日は、古文の文法を勉強することの重要性と、具体的な勉強の手順について紹介致しました。

古文の勉強を行う際に、文法の勉強から行うことをお勧めする理由は次の3つです。

理由1)センター試験で得点に確実に結びつくから

理由2)試験本番で必ず使えるから

理由3)意味を大きく取り間違える可能性がなくなるから

 

実際に古文の文法の勉強を行う際には、全体像をまずつかみましょう。すなわち、どんな文法事項があり、どんな言葉の識別が文法問題として問われるのか?ということを把握しましょう。その時にお勧めなのは、語学春秋社から出ている「望月古典文法の実況中継」という本です。上下巻と2冊に分かれていますが、授業形式で書かれており、読みやすいのでお勧めです。

 

一通り文法を把握したら、実践演習に取り組みましょう。問題に取り組みながら、把握した文法事項をどんどん固めていきましょう。文章を読んで、文法事項を確認しながら、同時に単語も覚えていくと、古文の力がみるみるついていきます。ぜひ騙されたと思って実践してみてください。私(毎度おなじみ石戸です)自身の成績も塾生の成績もどんどん上がっていったので自信を持ってお勧め致します。

 

追伸

 ちなみに、今回お勧めした本は、書店においていないところもあるので、ネット注文をお勧めします。アマゾンのリンクを貼っておくので、やってみようと思われた方は、使ってみてください。

 

本記事内で登場したオススメ参考書

望月古典文法の実況中継(語学春秋社)

 望月古典文法の実況中継(上)

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 望月古典文法の実況中継(下)

望月光 古典文法講義の実況中継(2) (実況中継シリーズ) | 望月 光 |本 | 通販 | Am...
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