金沢医科大学医学部の一般入試の物理の傾向と対策

2019年02月21日 志望する大学の特徴

金沢医科大学物理

先日、「金沢医科大学の数学」についての記事で、金沢医科大学の数学は基本~標準的な難易度の問題が中心であるとお伝えしました。それに対して物理では標準レベルを超えた難問も出題されており、容易に高得点は取れない内容となっています。

 本日はその金沢医科大学医学部の物理について、傾向を分析し合格点を取るために必要な対策法を紹介します。

金沢医科大学医学部の物理の試験形式・配点は?

はじめに金沢医科大学医学部の入試制度について見ていきましょう。

 

 金沢医科大学大学医学部の入試制度には、前期一般入学試験(65名)、後期一般入学試験(10名)、特別推薦入学試験(AO入試)(27名)、指定校・指定地域推薦入学試験(5名)、の4つが存在します(カッコ内は募集人数)。

 本記事では最も受験者数の多い、前期一般入学試験について扱うこととします。

 

 前期一般入学試験では一次試験と二次試験の2段階制で合格者が選抜されます。一次試験では学科試験により、定員の8倍程度にまで人数が絞られ、二次試験では一次試験合格者を対象に小論文およびグループ面接を課し、調査書等を総合的に勘案したうえで最終的な合格者が決まります。

 

 詳細な各科目の配点は、

【一次試験】英語:100点 数学:100点 理科:100点×2

【二次試験】小論文:60点 グループ面接:点数化なし

となっており、一次試験は400点満点の中で競われます。グループ面接は点数化されませんが、「重視」すると募集要項に明記されている点には注意しましょう。

 

 また金沢の本校だけではなく、東京、大阪、名古屋、福岡といった各地方の主要都市でも入学試験の会場が設けられています。様々な都道府県の大学に併願をするのが当たり前の私立医学部受験生にとっては、非常にありがたい配慮がなされています。

一方で、受験することへのハードルが下がるため志望者数は増え、3000人を超える状況となっています。よほどの理由がない限り、金沢医科大学専願で臨むのは避けた方が無難でしょう。

 

 さて、金沢医科大学医学部の理科は、物理が必須で残り1科目を化学あるいは生物から選択するようになっています。医学部受験においては、物理、化学、生物の3科目から2科目を選ぶ大学が多いため、この点で他の医学部と一線を画しているといえます。制限時間は理科2科目に対して120分が与えられるため、物理にはおよそ60分かけられることになります。

 

 このうち物理は平成27年度までは大問3つで構成されていましたが、平成28年度以降は大問4つとなりました。各大問はさらに小問に分かれ、誘導に従って解き進めていくようになります。

 

 解答形式はすべてマークシート形式で、小問中に設けられた空欄に当てはまる数値を一桁ずつマークするようなセンター試験の数学のようなものと、適切な選択肢を選ぶものとがあります。数値を一桁ずつ解答する設問では、解答に用いられる文字等があらかじめ与えられるため、うまくヒントにして答えを導くといったテクニックが使える場合もありますが、一方で計算ミスやマークミスによる失点には要注意です。

 

 問題の難易度については、冒頭で述べた通り、難しい問題も含まれています。基本的には大問の後半に進むにつれて難問が出てきやすくなるので、前半部分はどの大問でも確実に得点したいところです。時間的余裕もないため、解けないと他の受験生と差を付けられてしまうような問題を優先的に片付け、残った時間で難問に取り組むのがよいでしょう。

金沢医科大学医学部の物理の問題の難易度と合格に必要な得点率は?

続いて、金沢医科大学医学部の過去の合格最低点のデータや他の科目の難易度をもとに、物理では何点を取ればよいか考えてみます。

 

金沢医科大学医学部の一次試験の合格最低点は、

平成30年度:271点 平成29年度:273点 平成28年度:268点

となっています。すなわち、400点中280点(70%)あれば合格圏といえます。

 

 各科目の難易度からすると、

英語:65点 数学:75点 理科:140点

を目標とするのがオーソドックスな戦略となります。

 

 理科は2科目で140点(7割)となればよいので、物理と他の科目に得手不得手の大きな差がなければ、いずれも100点中70点を目指してください。

 物理は必須科目にもかかわらず、医学部受験としても難易度は決して低くはありません。とはいえ物理が苦手な受験生であっても、きちんと対策をすれば70点に到達することはできます。反対に物理が得意な受験生であれば、ライバルと大きく差をつけることができる可能性もあることも忘れてはなりません。

 

物理で攻めに出るか、それとも最少失点で乗り切るか、あなたの自信次第で戦略を考えてみてください。

金沢医科大学医学部の物理の出題傾向は?

それでは、金沢医科大学医学部の物理では、どのような問題が出されるのでしょうか?

 

 大問が4つとなった平成28年度以降は、大問1が様々な分野の設問が並ぶ小問集合、残りの3つが大問ごとに1単元を扱う形式が続いています。

 物理の分野は大きく力学、電磁気、波動、熱力学、原子に分類されますが、大問2では力学を題材にした問題が出され、大問3、4では電磁気、波動、熱力学、原子のいずれからかの出題となりますが、これらの間に大きな頻出度の偏りは見られません。以下では各分野の頻出テーマをまとめていきます。

 

【力学】

 力学では2物体が相互に力を及ぼしあう状況下で、物体の運動の様子を考察する問題が頻出です。例えば、可動台上で摩擦を受ける物体の運動等が当てはまります。物体の運動を考えるときには、運動方程式といった基本原理に従って式を立てればよいですが、相互運動においては、保存する物理量は何かといったことが分かりづらくなります。

 ここで欠かせないのが系の見方です。一見すると2つの物体が相互に力を及ぼしあってばらばらに運動しているように思えるものでも、その2物体全体の系について考えれば外力は加わっていないような場合には、合計の力学的エネルギーは保存されています。加えて、外力がはたらかない系では、2つの物体の重心は移動しません。この知識は問題を解く上で役立つので、是非とも押さえておきましょう。

 

【電磁気】

 電磁気については、年度ごとに様々なテーマから出題されており、直近では磁場中の荷電粒子の運動や交流回路等が出されています。基本的にはどのテーマから問題が出されても、全て対応できるようにしておく必要があります。ただし過去問を分析すると、一度扱われたテーマはその後の2、3年の間は再び出されることはなさそうです。ヤマを張ることはお勧めできませんが、時間的余裕がない場合はこの事実を基にテーマごとにメリハリを付けて勉強すれば効率が上がるでしょう。

 

【波動】

 反射・屈折の法則に関する問題が比較的多く見られます。過去には虹の発生する原理についてのやや難しい大問も出されているため、反射・屈折の法則や光の干渉と関連する身の回りの物理現象(シャボン玉が色づく理由、夜に遠くの音が聞こえやすい理由等)の機序については、試験前に今一度確認しておいてください。

 また音波の中ではうなりを扱う設問が、小問集合において多く出されています。うなりは2つの音の振動数がわずかに異なることで発生するため、ドップラー効果との相性のよい論点です。うなりの基本的な考え方だけでなく、ドップラー効果による音の振動数の変化の導出法も確実に理解しておく必要があります。

 

【熱力学】

 熱サイクルやばね付きピストンといった理想気体と熱の関係性を扱う問題は定番ですが、金沢医科大学医学部では重要度が高いです。この手の問題は、各状態変化における気体の状態方程式を丁寧に立てていくことができれば、あとは熱効率や内部エネルギーといった細かな知識さえあれば得点源とできる分野です。ばね付きピストン内に封入された気体についても気体の状態方程式は重要ですが、気体がピストンにする仕事やばねの弾性エネルギーも含めたエネルギー保存則といった観点も欠かせません。問題集を通してこれらの問題が出たら、即座に気体の状態方程式を書くクセを付け、一つ一つ丁寧に状況を分析していく訓練を重ねてください。

 

【原子】

 原子物理は大問が4つとなった平成28年度以降に出されるようになりました。まだ出題されるようになってから日が浅いため、傾向を具体的に示すことは難しいです。そのため、原子物理では典型問題については全て対応できるようにしておく必要があります。さらに私立医学部受験ではよくあることですが、原子物理においては人名や法則名、物質名といった細かい部分まで問われる可能性もあるため、普段の勉強から意識的に暗記をしていってください。

お勧めの金沢医科大学医学部の物理の対策方法

最後にこれまでの内容から、金沢医科大学医学部の物理対策に必要な具体的な勉強法をお伝えします。

 

 例年、一次試験の日程は1月末です。試験日から逆算して勉強スケジュールを立ててください。物理の基礎力を固める11月中旬までと、基礎力をもとに実践力を養う直前期に分けると、対策の進め方にメリハリがつくでしょう。

 

 まず11月中旬までは物理の全範囲について、典型問題であれば確実に解答できるように、解法をすべて身に付けることを目標として勉強しましょう。また金沢医科大学医学部の物理では数式や定性的な理解から、さまざまな物理量同士の関係を表すグラフを選ばせる問題が必ず1題は出されています。数学的な処理方法や物理現象を定性的に考えることは、日頃の勉強から意識して取り組んでください。

 

この時期におススメの問題集は、『良問の風』(河合塾シリーズ)です。本書は典型問題が網羅されているので、分からない問題がなくなるまで繰り返すことで、かなり実力をつけることができます。

 なお、「良問の風」の特徴は、「「良問の風」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方」に詳しいので、是非参考にしてください。

さらに問題集一般の効果的な使い方も過去記事「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」でまとめているので、問題集を始める前に一読していただければ幸いです。

 

 パターン問題の解法が身についた11月中旬以降は、金沢医科大学医学部の個別試験を意識した対策に移りましょう。具体的に行っていただきたいのが、

・過去問の分析

・過去問を用いた実戦演習

・問題集による苦手分野の強化

の3つです。

 

 過去問分析では大問の構成や単元、出題・解答形式に注意して、全体的な特徴を掴んでください。残り約2カ月の勉強内容を決定する重要な作業なので、疎かにしてはなりません。

 

 過去問分析が済んだら実際に過去問に挑戦しましょう。可能であればマークシートを手に入れて、解答の形式にも慣れておくと安心です。このとき必ず時間を計って取り組むことを忘れないでください。金沢医科大学医学部の物理は難易度が高く、時間内に解けなければならない問題を見極める能力も欠かせません。こういった実践力を磨けるのは過去問演習しかないため、1年度1年度大切にして取り組んでください。

 

 同時並行でこれまでの勉強で克服できなかったり手薄になってしまったりした単元について、改めて重点的に復習をしましょう。残り期間もわずかなので、過去問分析で明らかになった傾向をもとに、優先順位をつけて実力の底上げを図ってください。

まとめ

金沢医科大学医学部の物理の傾向と対策法のポイントは、

①理科は物理は必須で、残り1科目を化学、生物から選択する

②制限時間は理科2科目に対して120分

③大問4つで構成され、解答は全てマークシート形式

④設問の中には難しいものも含まれる

⑤目標点は100点中70点

⑥頻出テーマは、

力学:相互運動 電磁気:- 波動:反射・屈折の法則、うなり

熱力学:気体の状態方程式 原子:-

⑦11月中旬までは、典型問題の解法をすべて身に付けることを目標とする

⑧11月中旬以降に行うべきことは、

・過去問の分析

・過去問を用いた実戦演習

・問題集による苦手分野の強化

の8つです。

 

 金沢医科大学医学部の合格のためには、物理は必ず突破しなければならない関門です。難易度は低くなくきちんとした対策が求められますが、一方で全受験生が受けるため差がつきやすい科目でもあります。物理はわずかな原則を基に多彩な現象を理解していく学問です。つまり覚えること自体は少なく、短期間で点数アップも見込めます。あなたもライバルに差をつける側を目指してはいかがですか?

 

 

本記事内で登場した過去のオススメ記事

「金沢医科大学医学部の一般入試の数学の傾向と対策」


 

「「良問の風」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方」


 

「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」


 

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本記事で登場したお勧めの問題集・参考書

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