関西医科大学の前期一般入試の生物の傾向と対策

関西医科大学生物

先日、「関西医科大学の前期一般入試の化学の傾向と対策」の記事の中で、関西医科大学の化学の問題は計算問題のような定量的な作業を扱う問題の比重がやや多くなっているとお伝えしました。生物はというと、動物、特に人体に関連した幅広い知識が問われる医学部受験らしい問題になっています。入学後に人体について深く勉強することを考えると、関西医科大学の生物の問題はその準備に最適なのではないでしょうか。

 

 本日は関西医科大学の化学について、傾向を分析し、合格を掴み取るのに必要な具体的な勉強法について紹介いたします。

関西医科大学の生物の試験形式・配点は?

関西医科大学の入学試験には、一般入学試験(前期・後期)(約86名・6名)に加えて、様々な得意分野を持つ受験生向けの特色入学試験(若干名)やセンター試験利用入学試験(10名)等の、複数の制度が存在します。(カッコ内は各入試制度の定員)

 

今回はその中でも、最も受験者数や合格者数の多い、前期一般入試について取り上げます。

 

前期一般入試では、第一次試験と第二次試験の二段階で合格者が選抜されます。

第一次試験では、数学、理科2科目、英語および小論文が課されます。

そして、第一次試験を突破すると面接試験があり、最終合格者が決定されます。

 

各試験の詳細な点数配分は、

【一次】数学:100点 理科:100点×2 英語:100点 小論文:段階評価

【二次】面接:段階評価

とされており、点数化されるのは筆記試験の400点分です。

 

 また、小論文の評価は第一次試験では考慮されず、第二次試験の合否判定に使用されます。

その中で理科は、物理、化学、生物の3科目から2科目を選択して受験します。

 制限時間は理科2科目に対して120分が与えられるため、1科目にかけられる時間はおよそ60分です。

 

 生物に関しては、大問5つで構成され、各大問には4~10題程度の小問が与えられます。大問1は小問集合となっており幅広く知識が問われ、大問2〜5は1つのテーマについて関連した知識を問われます。

 

 出題内容としては、医学部受験の入試問題らしく動物、特に人体に関連した知識が出題されることが多いですが、植物についても2年に1回は出題されていることも理解しておきましょう。

 

 解答形式は空所に当てはまる語句を選択する問題、空所に当てはまる語句を記載する問題、設問に対して適切な記号を選択する問題、記述問題があります。ほとんどは記号、語句記述問題であり、実験結果を考察して長文で解答するような問題はありません。

そのため長文記述問題の対策をする必要はありません。しかしそのぶん記号問題が特徴的で適切な選択肢を「すべて選べ」という形式になっています。おそらくすべて合っていて点をもらえる形式になっていると思われるので、高得点を狙うためには幅広い知識を完璧に覚えて理解しておく必要があります。

関西医科大学の生物の問題の難易度と合格に必要な得点率は?

それでは、関西医科大学の生物では何点を目指せばよいでしょうか?それを考えるためにまず、過去の合格最低点のデータや難易度を分析してみます。

 

 

関西医科大学の前期一般入試の合格最低点は、400点中で、

2018年度:234点 2017年度:203点 2016年度:230点 2015年度:251点

となっています。

 したがって、260点(65%)得点できれば、合格安全圏といえます。

 

 このことから、各科目で何点ずつ取ればよいか考えると、

数学:60点 理科:135点 英語:65点

とすれば、合計260点に達することができます。

 

 理科では2科目で135点を取ればよいため、1科目あたり65~70点が目安となります。

 生物は知識を問う問題が多く、考察力を求められる問題は見られないため対策を適切に行えば70点、もしくは80点を狙うことは十分に可能です。また関西医科大学の生物の対策のために勉強する内容は医学部に入学したあとも使える知識ばかりですので、医学部受験だけのものではなく、医師になるために必要なものと考えてしっかり勉強していきましょう。

 

 生物の難易度ですが、「難しい」です。その理由は以下の2点、①関西医科大学の生物の問題は医学を意識した問題である、②幅広く深い知識が必要であるからです。

医学を意識した問題としては2017年度大問5では人体の断面図が出題されています。通常の受験勉強をしていて人体を輪切りにしたら各臓器がどのように見えるか意識して勉強している人はいないでしょう。しかしこの画像はCT検査で見られる画像であり、医学部に入学して4,5年生になるととてもよく見る画像です。慣れているとなんともない画像ですが、初見でこの問題を解くためには人体のなかで各臓器がどのようになっているかを三次元で正しく理解していることが必要です。

幅広く深い知識ですが、前述のように適切な選択肢を「すべて」選べという出題形式になっています。大問1の小問集合ではある切り口で1つの単元ではなく、複数の単元の知識を同時に問われます。そのため「幅広い」知識が必要です。また一方で、設問はあまり見られない切り口で問題が作られています。2017年大問5問1:各物質の恒常性に関係する臓器がその例と言えるでしょう。このような問題ではその場で持っている知識から考え直す必要があります。そのため「深い」理解も必要です。このような記号選択問題で得点を稼ぐためには「幅広く」、「深い」知識が必要です。

関西医科大学の生物の頻出分野は?

次に関西医科大学の生物の頻出分野を過去5年の入試問題から分析していきます。

 

【頻出単元】

5年連続で出題されているのが自律神経に関係した問題です。自律神経は心拍の調節など全身の各器官や組織の働きの調節やホルモンと関連して恒常性の維持に関与しています。自律神経に関連した単元についてはしっかりと理解を深めておきましょう。ヒトの臓器についても出題が多く、特に肝臓の働きが頻出です。肝臓にはさまざまな機能があると思いますが、各機能をしっかり理解しましょう。もちろん肝臓以外の臓器も頻出です。自律神経・ホルモン(特に交感神経、副交感神経による全身の調節、血糖、体温調節)、筋・目・耳、全身の臓器については十分に理解を深めておきましょう。

また植物も植物ホルモンや光合成の出題が多いです。こちらは上記の動物に関連した問題と比較して難易度が低いため、得点源になります。ここで失点するともったいないので一通りは典型問題をとけるようにしておきましょう。

 

 

【あまり出題されない単元】

関西医科大学ではあまり出題されない分野というのはありません。2015年までは生態や進化は出題されていませんでしたが、近年出題されているため生態や進化についても対策が必要です。

お勧めの関西医科大学生物の対策方法

最後に上記内容を踏まえた具体的な対策法を紹介します。関西医科大学の問題は人体について難問が出題されることが今後も予想されます。またその特徴として考察力ではなく知識を広く深く問うているということがあげられます。そのため国立大学医学部のような他学部との共通問題を解く必要がある医学部受験とは対策が異なります。関西医科大学の場合は長文の考察問題があるわけではないのでハイレベルな問題集で考察力を鍛える必要はありませんが、解説書についてはハイレベルな一冊を完璧に仕上げる必要があります。

 

お勧めの解説書は『大森徹の最強講義117講 生物』(文英堂)です。関西医科大学で高得点をとるためには上記解説書の動物に関係するところはすべて読み込み、ただ語句を暗記するだけではなく、その細胞、器官、臓器などがどのような働きをしているのか、理解し、使いこなせるようになる必要があります。一方で植物に関係する分野については難問はあまり出ないので動物範囲とメリハリをつけて、植物は標準的な問題を解けるようになれば十分です。

お勧めの問題集は、標準的な典型問題が多く掲載されている『生物基礎問題精講』(旺文社)『大森徹の最強問題集159問 生物』(文英堂)です。生物基礎問題精講は夏までには終わらせて全範囲の標準的レベルの問題を解けるようにしましょう。その後は大森徹の最強問題159問を取り組みます。難しい考察、記述問題を自分で解答を完璧に作れる必要はありませんが、解説を読み、考察のポイントを理解することは関西医科大学の対策に役にたちます。

より詳細な問題集の使い方は、過去記事「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」を参考にしてください。

まとめ

関西医科大学の生物の傾向と対策法のポイントは、

  • 大問5つで選択問題なし。制限時間は理科2科目で120分
  • 問題は長文記述問題はなく、選択肢、語句、短い記述がある
  • 選択肢の問題は適切な選択肢を「すべて」選べという形式であり、点がとりづらい。
  • 目標点は生物が70%。(対策を十分に行えば、80%も到達可能)
  • 動物に関係する範囲が頻出であり、かつレベルも高い。植物に関係する範囲からの出題も多いが、こちらは典型的問題であり得点源になる。
  • 解説書はハイレベルなものを1冊完璧に読み込む。単純な知識の暗記だけでなく、「理解」を意識する。

 

の6点です。前述のとおり医学部受験のためだけでなく、その先でも必要な知識が多く問われている良い問題と思います。しっかり対策を行い合格を勝ち取りましょう。

 

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本記事で登場したお勧めの問題集・参考書

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