神戸大学医学部の英語の傾向と対策

神戸大学英語

先日、神戸大学医学部の化学の記事の中で、理系科目では二次試験では医学部受験生としては8割が目標となるとお伝えしましたが、英語に関しても一定の点数が求められます。
 本日は、その神戸大学医学部の英語について傾向を分析し、それを踏まえた具体的な対策法を紹介します。

神戸大学医学部の英語の試験形式・配点は?

はじめに神戸大学医学部の入試制度について見ていきましょう。

 

神戸大学医学部は最近まで、センター試験における文系科目の配点が理系学部としては圧倒的に高く、医学部受験の業界でも異色を放つ存在として有名でした。そのため、理系科目が苦手でも医学部に合格したい受験生に非常に人気の大学でした。

ところが、平成29年度から大きく配点が変わっており、求める生徒像も変化したといってもよいでしょう。もし少し古い情報をもとに神戸大学医学部の受験を考えていた方がいらっしゃれば、以下をお読みいただき情報のアップデートをしてください。

 

神戸大学医学部の入試制度には前期日程のみの一般入試(92名)、AO入試(10名)、推薦入試(10名)等が存在します(カッコ内は2019年度の募集人員)。本記事では最も受験人数の多い一般入試について扱います。

 

センター試験と二次試験の各科目の配点は、

【センター】国語:80点 社会:40点 数学:40点×2 理科:40点×2 英語:80点

【二次試験】数学:150点 理科:75点×2 英語:150点

であり、センター試験が360点、二次試験が450点の計810点満点の中で合否が決まります。面接についても2016年度までは点数化されていましたが、2017年度以降は点数化されず、「医師及び医学研究者になる適正に大きく欠けると判断された場合は、筆記試験の得点にかかわらず不合格と」するとされています。

 

 ご覧いただいたとおり、文系重視からバランス型の点数配分に変わっている点は、必ず押さえておいてください。

 

 英語に関しては大問4つで構成され、制限時間は80分です。大問のセットはここしばらく変化が見られません。大問1~3は長文読解、大問4は自由英作文で固定されていると考えて差し支えないでしょう。

 

 長文読解は内容説明や下線部和訳などの論述問題がメインですが、空所補充や内容真偽といった選択式の問題もあります。設問数は3~5題で、問題の指示は平成26年度ではすべて英語であったものの、近年は日本語で書かれています。長文の語数は1題当たり、500~600語前後のものがほとんどです。

 反対に大問4の自由英作文の問題は、基本的に英語で指示されます。内容としては、グラフの読み取りを絡めたり和文英訳も併せて出題されたりするといったように、バラエティーが豊富です。

 

 出される英文の抽象度や単語レベルからすると、長文読解の難易度は標準的といえます。また自由英作文で求められる字数としてはさほど多くないため、制限時間は80分と大問数に対してやや短く思えるものの、きちんと練習できていれば時間内に十分解答可能です。

 

 神戸大学医学部の英語は、全体に占める長文読解の比重が高いことが特徴です。難易度は医学部受験としては標準的ですが、英文を読むスピードが遅かったり論述問題が苦手であったりすると、かなり致命的と言わざるを得ません。普段の勉強から長文読解で問われる能力を伸ばすことを意識しましょう。

神戸大学医学部の英語の問題の難易度と合格に必要な得点率は?

続いて、神戸大学医学部の過去の合格最低点のデータや他の科目の難易度をもとに、英語では何点を取ればよいか考えてみます。

 

神戸大学医学部の合格最低点は、配点比率の変わった2017年度以降は、

2018年度:634.080点 2017年度:616.640点

となっています。そこで、810点満点で650点(約80%)取れれば合格圏内といえます。

 

 ちなみに2017年度以前の合格最低点は、850点満点で、

2016年度:678.308点 2015年度:678.358点

となっており、こちらでも8割得点できていれば合格することができます。

 

 このとき、センター試験で360点中315点(87.5%)取れたと仮定すると、二次試験では450点中335点(約74%)得点しなければなりません。

 他の科目の難易度も考慮すると、それぞれ、

数学:120点 理科2科目:120点 英語:115点

とするのがオーソドックスな戦略となるでしょう。

 

 英語では150点中115点(約77%)が必要であり、理系の医学部受験生としてはやや高めの目標設定にしています。これは、神戸大学医学部の英語の出題傾向が明確であり対策がしやすいこと、単語や難解な文法事項のような知識問題はなく練習の成果が点数に結びつきやすいこと、が理由です。

 

 もし英語が非常に苦手で115点は厳しい場合は、他の科目でカバーできるように戦略を立てるのも良いです。しかしながら、適切な対策をして本番に望めれば決して不可能な目標ではないということは強調しておきたいと思います。

神戸大学医学部の英語の出題傾向は?

さて、神戸大学医学部の英語では、どのような問題が出されるのでしょうか?大問ごとに出題傾向を見ていきましょう。

 

【大問1~3:長文読解】

 長文読解は大問1、2と大問3で英文の様子が異なります。大問1、2では論説文・説明文といった論理的思考が問われる固めの文章が出されるのに対して、大問3では会話文が多く見られる物語文が出されることに留意してください。さらに大問1、2では自然科学系、社会系のテーマを扱うことが多いですが、その他のテーマからも幅広く出題されているので、ニュースや新聞などで話題になっているトピックに日々アンテナを張っておくと、役に立つことがあるかもしれません。

 設問の内容は下線部和訳、内容・理由説明のような論述問題や、内容真偽や空所補充のような選択式の問題が中心に構成され、まれに脱文挿入や同義語選択の問題も見られます。論述問題では15~70字の字数制限がつくことが多いのも特徴です。長文読解では総合的な英語力が求められるため、単語力・読解力・記述力をバランスよく勉強する必要があります。

 大問3に関しても設問の傾向は他の2問と同様ですが、大きく異なるのが長文中で用いられる表現です。どういうことかというと、扱う文章が物語文であるため登場人物の会話がおのずと増え、結果として口語的な慣用表現が使われているのです。慣用表現は単語帳では網羅的に勉強することは難しいため、日々の勉強の中で出てきたものを一つずつ地道に拾っていく作業が求められます。英作文等で慣用表現を書けるようになる必要はまったくありませんが、読んで分かる程度には知識を付けておきましょう。

 

【大問4:自由英作文】

 神戸大学医学部の英語の自由英作文は、多くても80語程度の字数指定となっており、他の大学の自由英作文と比較すると、やや短めです。しかしながら、状況設定が特徴的であり、会話文の空所に流れに沿った発言を10~20語で埋めたり、描かれた地図をもとに道順を説明したりといった問題が過去に出されています。もちろん特定のテーマに関する自身の意見を述べるオーソドックスな問題も見られるため、多様なシチュエーションに対応できる英作文能力が欠かせません。

 加えて、大問4ではやや長めのディレクションが与えられ、その中の下線部が引かれた和文を英訳する問題も同時に出されることがあります。日本語をそのまま逐語的に英語に直すのは難しいため、適切な言いかえをして自分が正しく使える英語表現に持ち込まなければなりません。重要度は高くありませんが、時間のあるうちに和文英訳についても対策を進めておきましょう。

お勧めの神戸大学医学部の英語の対策方法

最後に以上を踏まえた、神戸大学医学部の英語の具体的な対策法をお伝えします。

 

 まずセンター試験までは、英語の総合力、すなわち単語力、読解力、論述力、文法知識の底上げを図ってください。

すでにお伝えしているとおり、神戸大学医学部の英語では長文読解の比重が高く、長文読解の設問は多種多様で総合的な英語力が問われています。その中でも特に、内容説明と下線部和訳の練習には力を注ぎましょう。これらは読解力のみならず単語力、論述力といった複合的な能力をもとに解き進めなければならないからです。内容説明や下線部和訳の論述の力がつけば、本番でも他の医学部受験生と差をつけることができます。

 

単語帳でお勧めなのが、『速読英単語 必修編』『速読英熟語』(Z会出版)です。この単語帳は実際に文章で使われている例も掲載されているため、辞書的な意味だけでなく細かなニュアンスを掴むのにも適しています。神戸大学医学部の英語の単語レベルは標準的なので、速読英単語・熟語をマスターすれば十分に対応可能です。

 

長文読解の問題集は、内容の充実したものが多く、難易度や語数に大きな隔たりがなければどれを使っても構いませんが、あえて挙げるとすると『やっておきたい英語長文700』(河合塾シリーズ)を使うのが良いでしょう。上述の下線部和訳や内容説明といった問題は、しっかりと手を動かして答えを作成し、模範解答と照らし合わせて研鑽を積みましょう。

 

 より詳細な問題集の使い方については、過去記事「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」を参考にしてください。

 

 センター終了後はいよいよ二次試験を意識した勉強にシフトします。

 具体的に行っていただきたいのが、

・過去問の分析

・過去問を用いた実戦演習

・自由英作文対策

の3つです。

 

 過去問の分析は本記事でも行っていますが、ご自身の目でも確認しておいてください。問題の形式はどのようになっているか、長文の分量はどれくらいか、といったことをざっと確認していただければ結構です。

 

 それが済んだらいよいよ過去問にチャレンジです。このとき必ず時間を計り、制限時間内にどれだけ解けるかチェックしてください。せっかく過去問を使っているのに、だらだらと時間をかけて解いている受験生を見かけますが、これは非常にもったいないことです。自由英作文では、いかに短い時間でクオリティの高い文章を書けるかが大切ですが、時間を計らずに練習しても効果は薄いことはご理解いただけると思います。

 

 これらと並行して、自由英作文対策も始めてください。もし余裕があれば12月に入ってすぐに手を付け始めてもよいですが、いずれにしても自由英作文専用の参考書を用いて、使える表現や論理的な文章の書き方を習得しましょう。

 自由英作文は問題の性質上、自己学習だけではどこが間違っているのか、より良い表現はないかといったことを理解することはほぼ不可能です。そこでできる限り予備校や学校の先生に添削を依頼することをお勧めします。

 

ここでワンポイントアドバイスですが、自由英作文では文頭の副詞句を使いこなせると、表現の幅が広がります。例えば結論を導く副詞句としては、”in conclusion”、いくつかの具体例を順番に挙げていくときの副詞(句)としては、”first of all”、”secondly”、”finally”といったものが便利です。副詞句を使うと文章や段落の切り替えがスムーズになり、また文章もこなれた雰囲気が出ることで採点者の印象が良くなる効果を狙うことができます。

 この点を意識して参考書に取り組んでみてください。

まとめ

神戸大学医学部の英語の傾向と対策法のポイントは、

①大問4つに対して、制限時間は80分

②大問1~3は長文読解、大問4は自由英作文であり、長文読解の重要度が高い

③問題の難易度としては標準的

④目標点は150点中115点(約77%)

⑤長文読解では総合的な英語力が問われ、大問3では慣用的な表現も見られる

⑥自由英作文はバリエーションが豊富で、和文英訳も併せて出されることもある

⑦センター試験までは、英語の総合力の底上げを図る

⑧センター試験終了後は、

・過去問の分析

・過去問を用いた実戦演習

・自由英作文対策

を行う

の8つです。

 

神戸大学医学部の英語は標準的な難易度で素直な問題が多く、比較的点数が取りやすい試験内容です。とはいえ、読解問題がメインで自由英作文も出されるように、差がつきやすい側面もあります。差をつける側になるか、差をつけられる側になるか。それはあなたの努力次第です!!

 

 

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「神戸大学医学部の化学の傾向と対策」


 

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本記事で登場したお勧めの問題集・参考書

『速読英単語 必修編』


 

『速読英熟語』(Z会出版)


 

『やっておきたい英語長文700』(河合塾シリーズ)


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