熊本大学医学部の英語の傾向と対策

2019年02月22日 志望する大学の特徴

熊本大学英語

先日、「熊本大学医学部の化学の傾向と対策」の記事において、化学ではパターン問題を手早く処理していく能力が求められるとお伝えしましたが、同大学の英語は長文読解に比重が置かれており、一題一題しっかりと内容を深めていきながら解き進めることになります。

 本日はその熊本大学医学部の英語について、傾向と具体的な対策法を紹介します。

熊本大学医学部の英語の試験形式・配点は?

はじめに熊本大学医学部の入試制度について見ていきましょう。

 

熊本大学医学部の入試制度には前期一般入試(95名)、推薦入試(20名)の2つがあります(カッコ内は募集人数)。

本記事では最も受験者数の多い、前期一般入試について扱うこととします。

 

 前期一般入試はセンター試験と二次試験、および面接試験が課され、その合計得点で合格者を選抜します。国公立医学部受験における最もオーソドックスな制度といえます。

 

各試験の科目ごとの配点は、

【センター試験】国語:100点 社会:50点 数学:25点×2 理科:50点×2 英語:100点

【二次試験】数学:200点 理科:100点×2 英語:200点 面接:200点

となっており、センター試験が400点、二次試験が800点の合計1200点満点の試験となります。

 点数配分を見ると、全体に占める二次試験の比重が大きいことがお分かりいただけると思います。すなわち、センター試験で良い点を取れたとしても、二次試験で簡単に逆転を許してしまう可能性もあるので、最後まで油断しないように注意しなければなりません。

 他にもセンター試験の数学の点数にも要注目です。数学Ⅰ・A、Ⅱ・Bの合計で50点満点であるため、1科目あたりわずか25点しかありません。じっくり考える論述型の試験は得意でもマーク式の手早く処理していくことが求められる試験が苦手な受験生であれば、熊本大学医学部の試験制度と相性が良いといえます。

 

 さらに押さえておきたい点として、平成30年度入試からセンター試験の理科の選択において生物が必須ではなくなったことが挙げられます。つまり物理・化学・生物3科目から2科目を選ぶという医学部受験では主流となる形式に変わりました。

 これにより受験者層の幅が広がるため、倍率や合格最低点にも変化があるかもしれません。熊本大学医学部を志望する場合は、今後の動向にも気を配っておく必要があるでしょう。

 

 その中で英語は大問4つで構成され、制限時間は120分が与えられます。一題につき30分掛けることができる計算ですが、そのうち大問1、2、4は英語の長文の内容を把握しなければならないため、英文の読解スピードが十分でなければ時間的余裕はありません。

 

 大問ごとの大まかな傾向としては、大問1では下線部和訳や内容説明といったいわゆる長文読解の問題で典型的に見られる問題が並んでおり、解答は日本語で論述するものがメインになります。大問2も引き続いて長文読解ですが、こちらは記号あるいは英語で解答するよう指示があります。大問3については短めの英文が与えられ、それに関する質問に対する自由英作文を求められます。最後に大問4ですが、例年、インタビュー形式の会話文中に設けられた空所に当てはまる単語を記述する問題が出されています。

 

 ちなみに平成28年度以降は、大問2、3、4については、問題文も全て英語で記載されるようになっています。試験全体を通して多くの英語を読まなければならないため、普段からスピードを意識して英語を読むトレーニングを積んでおきましょう。他にも平成28年度以前は、大問3、4の内容も少々異なっていますが、詳細については後述の出題傾向の項で併せてまとめたいと思います。

 

 長文で扱う単語は医学部受験としては標準的な難易度で、説明文や評論文に関してはきちんと対策できていればさほど困ることはありません。ただし過去には物語文の一部が出題されたこともあり、登場人物の会話の抽象度が高かったり、前後の展開を知らない中で状況把握をするのが難しかったりするものも見られます。物語文では場面の移り変わりにきちんとついていかなければなりません。情景描写や発言者は誰かといったことを手掛かりにしながら、じっくりと場面を想像しながら内容を深めていきましょう。

熊本大学医学部の英語の問題の難易度と合格に必要な得点率は?

続いて、熊本大学医学部の過去の合格最低点のデータや他の科目の難易度をもとに、英語では何点を取ればよいか考えてみます。

 

熊本大学医学部の合格最低点は、1200点満点中、

平成30年度: 864.38点 平成29年度: 901.51点 平成28年度: 904.87点

平成27年度:896.92点

となっています。すなわち、910点(約76%)あれば合格安全圏といえます。

 

 ここでセンター試験において400点中350点(約88%)取ることができたと仮定すると、二次試験では800点中560点(70%)が必要となります。

 そこで、各科目の難易度も考慮したうえでそれぞれ目標点を立てると、

英語:140点 数学:130点 理科:150点 面接:140点

とするとバランスが取れます。

 

 英語は国立型の論述問題がメインの試験では、ある程度の点数に収束して差がつきづらい傾向があると言われています。しかしながら熊本大学医学部の英語は、単語の空所補充や記号問題が比較的多く出されており、知識がしっかりと身についているか否かが得点を直接左右することもあります。200点中140点(70%)取れればひとまず安心ですが、勉強時間を割いた分、得点に結びつくといった側面もあるので、是非積極的により高い点数を狙っていくと良いでしょう。

 

 これに加えて、センター試験で仮に320点(80%)しか取れなかったとしても、この時点での差は実質30点分しかありません。つまり二次試験でこの目標点に各科目8点ずつ上乗せするだけで巻き返すことが可能であるということです。とにかく二次試験が勝負を決める配点なので、センター試験が終わった後も少しでも二次試験の点数が上がるように、最後の最後まで努力を続けてください。

熊本大学医学部の英語の出題傾向は?

それでは、熊本大学医学部の英語では、どのような問題が出されるのでしょうか?

 大まかな概要は既にお伝えしたとおりですが、さらに大問ごとに細かく分析していきましょう。

 

 初めに大問1では自然科学系を中心とする英文の長文読解が出題されます。その他にも物語文や社会系の文章も一部で見られます。設問としては下線部和訳および内容や理由説明といった、日本語での論述能力が試される問題が出されています。大問1の設問はここ数年変化がないため、この傾向は続く可能性は高いでしょう。

 

 大問2も同じく長文読解ですが英文は社会、文科系の内容が多くなっています。またこちらでも物語文が過去に出題されているため、扱われる可能性のある長文のテーマは幅広いといえるでしょう。問題文は全て英語で記載されており、空所補充やタイトル設定、文章の要旨に選択といった記号問題が中心に構成されますが、例年2題前後、英語による内容説明等の論述問題が出題されています。

 

 大問3は平成28年度を境に問題が変更されており、平成28年度以降は短めの英文で示された状況に関連する質問に対して、35~80語程度の英文で解答する自由英作文となっています。それ以前は英文中の日本語になっている部分を英語に直す、和文英訳の問題でした。おそらくしばらくは自由英作文が出されることが予想されますが、念のため過去問で確認しておきましょう。

 

 大問4についても大問3と同様に、平成28年度以降に新たな出題形式となりました。大問1、2に加えて大問4でも長文が出されますが、インタビュー形式の会話文が文章として与えられ、設問はその空所に当てはまる単語を答えるものです。各空欄には頭文字が示されているので、それをヒントに解答をするようになります。単文における空所補充とは異なり、単純な単語力だけではなく前後の文脈に沿った適切な単語を挿入しなければならないため、読解力も欠かせません。ちなみに平成28年度以前は、会話文をテーマとする長文読解であることには変わりありませんが、文章の内容に一致する選択肢や、下線部の同意表現を選ぶ記号問題が出されていました。

お勧めの熊本大学医学部の英語の対策方法

最後にこれまでの内容から、熊本大学医学部の英語の対策に必要な具体的な勉強法をお伝えします。

 

 まずセンター試験までは、英語の基礎力を総合的に底上げしていきましょう。英語の基礎力とはすなわち、単語力、文法的知識、読解力、論述力を指します。

 

 単語力の養成にはやはり単語帳を暗記していくのが最も効率が良い方法ですが、おススメの単語帳は『速読英単語 必修編』『速読英熟語』(Z会出版)です。これらは例文を通して単語の実際の使い方を意識しながら覚えることができ、さらに派生語や類義語といった周辺知識の情報も豊富です。熊本大学医学部で要求される単語力は、医学部受験としては標準レベルなので、速読英単語・熟語をマスターすれば十分でしょう。

 

 長文読解に関しては優れた問題集が多数あるため、いずれを使っても構いませんが、英文のレベルと単語数に大きな隔たりがないかどうかだけは注意しましょう。あえておススメを上げるとすれば、『やっておきたい英語長文700』(河合塾シリーズ)です。特に熊本大学医学部の英語は、試験中に読まなければならない英文の量が多いため、内容を正確に把握できるようになるだけではなく、読解スピードも大切な要素です。初めは慣れないかもしれませんが、できる限り文章を「左から右に」読んで文意を把握できるようになりましょう。

 さらに物語文が出される場合は、難易度が高い傾向があるため、問題集に物語文が掲載されていれば重点的に取り組みましょう。物語文においては試験では前後関係の分からない状態で場面の一部が出題されるため、会話の発言者や出来事の前後関係を掴むことが難しくなります。誰の発言なのか、どこで起こった出来事なのか、現在の話なのか過去の話なのか、といったことを確実に押さえながら読み進めていくクセを付けてください。

 

より詳細な問題集の使い方については、過去記事「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」を参考にしてください。

 

 さて、センター試験が終了したら、いよいよ二次試験に向けた本格的な対策を始めましょう。具体的に行っていただきたいのが、

・過去問の分析

・過去問を用いた実戦演習

・自由英作文対策

の3つです。

 

 過去問分析では平成28年度前後で出題形式が変わっていることに注意してください。あとは長文読解の英文の長さはどの程度か、問題数や論述問題と記号問題の割合はどうなっているかといったことについて5年分程度確認すればよいでしょう。

 

 過去問分析が済んだら実際に問題をどんどん解いてください。このとき時間を必ず計って取り組むことを忘れないでください。読解スピードの重要性を繰り返し強調していますが、本当に自身の英文を読む速度が十分かどうかは、過去問演習を通して以外に知る方法はありません。

 ここで一つ注意ですが、長文読解の練習として、これまでに使ってきた問題集に再度目を通すことはあまり効果が高くありません。問題の性質上、初見の文章を用いて練習しなければ読解力は向上しないからです。この点で過去問演習は最後の仕上げとしても欠かせません。もし熊本大学医学部の過去問を解いて演習材料がなくなったら、難易度や試験形式の類似した岡山大学医学部等の他大学の過去問にも挑戦してみましょう。

 

 同時並行で自由英作文の対策にも時間を割きましょう。多くの医学部受験生は、センター試験まではあまり自由英作文の練習ができていないはずです。和文英訳が得意であっても自由英作文ならではの表現や、文章の構成の仕方といったテクニックはまた別の要素です。専用の参考書や問題集で使える英語表現を増やし、自分の手で英作文をしてみましょう。また自己学習では、文法的に正しい文章が書けているか、説得力のある文章の流れになっているか、といったことを判断するには限界があります。そのため、できる限り自由英作文の練習においては、学校や予備校の先生に添削をしてもらう方が良いでしょう。

まとめ

熊本大学医学部の英語の傾向と対策法のポイントは、

①大問4つに対して、制限時間は120分

②大問1、2、4は長文読解、大問3は自由英作文であり、読解スピードが求められる

③平成28年度から出題形式が変更されている

④必要となる単語力は標準的であるが、物語文が出題された場合に難易度が高い

⑤目標点は200点中140点(70%)

⑥大問ごとの出題形式は、

【大問1】長文読解、日本語の論述が中心

【大問2】長文読解、記号問題及び英作文、英語で指示が与えられる

【大問3】短い英文に関連する内容の自由英作文(35~80語)

【大問4】長文読解、インタビュー形式の会話文、空所に当てはまる単語を答える

⑦センター試験までは、英語の基礎力を総合的に底上げする

⑧センター試験終了後は、

・過去問の分析

・過去問を用いた実戦演習

・自由英作文対策

を行う

の8つです。

 

 熊本大学医学部の英語は一部に論述力が必要となる問題もありますが、長文の内容を正確に把握でき、標準以上の単語レベルがあれば解ける問題が大部分を占めます。裏を返せば練習量に応じて点数も伸びやすい試験内容といえます。英語が苦手であっても逆転のチャンスはあるので、自己分析をしてやらなければならないことを明確にし、一つずつ課題をクリアしていきましょう!!

 

 

本記事内で登場した過去のオススメ記事

「熊本大学医学部の化学の傾向と対策」


 

「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」


 

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本記事で登場したお勧めの問題集・参考書

『速読英単語 必修編』(Z会出版)


 

『速読英熟語』(Z会出版)


 

『やっておきたい英語長文700』(河合塾シリーズ)


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