名古屋市立大学医学部の英語の傾向と対策

名古屋市立大学英語

※2019年4月30日に公開した記事ですが、2019年6月5日に修正いたしました。

 

先日、「名古屋市立大学医学部の化学の傾向と対策」の記事において、名古屋市立大学医学部の化学は問題数が多く、各設問を手早く解いていくことが求められるとお伝えしました。そして同大学の英語についても似たような傾向が見られます。
 本日はその名古屋市立大学医学部の英語について、傾向と具体的な対策法を紹介します。

名古屋市立大学医学部の英語の試験形式・配点は?

はじめに名古屋市立大学医学部の入試制度について見ていきましょう。

 

 名古屋市立大学医学部の入学試験には、一般入試(70名)、推薦入試(20名)、地域推薦(7名)の3つの精度が存在します(カッコ内は2019年度の募集人数)。本記事では最も受験者数の多い、一般入試について取り上げることにします。

 

 一般入試は国立の医学部受験と同様、センター試験と二次試験の得点の合計で合否が判定されます。詳細に各試験の科目ごとの配点を見てみると、

【センター試験】国語:100点 数学:62.5点×2 英語:100点 社会:50点 理科:62.5点×2

【二次試験】数学:150点 英語:150 理科:100点×2 面接:200点

となっており、センター試験が500点、二次試験が700点の合計1200点満点です。センター試験では数学・理科といった理系科目の得点比率が相対的に高く社会の得点比率が大きく圧縮されており、二次試験でも理科の配点の科目全体に占める割合が高くなっていること、そして面接も得点化されていることは注目ポイントです。

 

 またここ数年、名古屋市立大学医学部では入試制度の変更が続いており、平成30年度からは2段階選抜が実施されるようになりました。この制度下では、第2段階選抜の二次試験の受験資格が得られるのは、第1段階選抜のセンター試験で500点中375点以上を取った受験生のみです。他にも名古屋市立大学ではこれまで初日に数学と英語、2日目に理科と面接試験を行っていましたが、平成31年度からは初日に学科試験すべてを済ませ、2日目に面接試験のみとする国公立の医学部受験ではなじみのある日程となります。

 

 このうち英語は大問4つで構成され、制限時間は120分です。例年、大問3までが長文読解、大問4が自由英作文となっています。

 

 長文読解で扱われる文章は、自然科学系、社会系、文化・人文系といったように、テーマに偏りなく様々な英文が出されます。設問は空所補充、下線部和訳、内容説明、内容一致、語句整序、同意語選択といったものを中心に、非常に幅広い切り口で英文の理解度を試される一方で、文法的な知識や語彙力を問うものは少ないです。小問はいずれの大問においても6つ前後設定されており、問題文は日本語で与えられます。

 

 自由英作文は有名な言葉や社会問題等がお題として与えられ、自身の体験や意見について指示された語数の英文でまとめます。長文読解とは異なり、問題文はすべて英語で書かれている点には留意しましょう。

 

 名古屋市立大学医学部の英語は長文読解が3つ出され、どれも決して短い分量ではないため、国公立医学部受験の中では読解量はやや多めです。自由英作文も出題されることを考えると、制限時間120分は余裕があるとは言えないでしょう。とはいえ英語の長文で見られる英単語のレベルは標準的なものなので、読解スピードを意識して内容を把握していく訓練をすれば十分に対応可能です。設問自体は長文の概要が理解できていれば難しくはないので、あとは解答を素早く作成できる力も養っておきましょう。

名古屋市立大学医学部の英語の問題の難易度と合格に必要な得点率は?

続いて、名古屋市立大学医学部の過去の合格最低点のデータや他の科目の難易度をもとに、英語では何点を取ればよいか考えてみます。

 

名古屋市立大学医学部の合格最低点は、1200点満点中、

平成30年度: 946.30点 平成29年度: 953.28点 平成28年度: 983.33点

平成27年度: 979.83点 平成26年度: 966.10点 平成25年度: 933.28点

となっています。すなわち、990点(82.5%)あれば合格圏といえます。

 

 ここでセンター試験において500点中430点(86%)取ることができたと仮定すると、二次試験では700点中560点(80%)が必要となります。

 

以上のことから、各科目の難易度も考慮したうえでそれぞれ目標点を立てると、

数学:105点 英語:105点 理科:150点 面接:200点

とするのが良いでしょう。面接に関しては合格者の最低点が満点となっているため、200点として計算して構いません。

 

 英語は150点中105点(70%)と理科に比べると目標点が下がりますが、もちろん手を抜いてよいというわけではありません。英語は論述問題の割合が多く正解と言えるものも1通りではないため、細かな表現の違いやわずかな文法ミスにより小さな失点が積み重なりがちです。結果としていかに英語の得意な医学部受験生であったとしても、一定の点数に収束しやすい性質の科目なのです。できる限り高得点を目指して勉強するものの、高得点を狙いすぎると足元をすくわれる可能性があるため、上述の目標で合格できるように他の科目の得点を伸ばすことが重要です。

 

名古屋市立大学医学部の英語の出題傾向は?

それでは、名古屋市立大学医学部の英語では、どのような問題が出されるのでしょうか?

 長文読解、自由英作文のそれぞれに分けて、具体的な出題傾向を以下にまとめます。

 

【長文読解】

 大問1~3では長文読解が出題され、大問によって英文のテーマや出題内容に偏りはありません。特に設問は空所補充、下線部和訳、内容説明、内容一致といった長文読解ではおなじみのものが出され、内容の理解に重点が置かれています。しかしながら細かく分析すると、名古屋市立大学医学部の特徴が表れている問題もあるので見てみましょう。

 第一に下線部和訳や内容説明といった論述問題では、〇〇字以内といった字数制限がある問題が頻出です。普段の勉強から自らの手で解答を書く練習をしておかないと、字数の感覚はつかめません。なるべく一度で制限字数に適した答案を作成できるように、解答の分量と字数の関係を掴んでおきましょう。

 加えて下線部訳等では、設問に「具体的に」、「内容に即して」解答するように求められる場合があります。こういった際には英文の表面上の意味だけではなく、文章の内容を具体的に盛り込んだ論述が求められています。出題者の意図をくみ取って解答を作成する能力も不可欠といえます。

 他にも指示代名詞の内容や筆者の問いに対する答えといったものを、文中から直接抜き出して答える問題も見られます。抜き出し問題は国公立の医学部受験ではさほど頻出度は高くなく手薄になりがちですが、出題される可能性があることを念頭に置いて文章を読むようにしてください。先に設問に目を通して抜き出し問題があるかどうかを確認してから、英文を読むようにするのも一つの戦法です。

 

【自由英作文】

 大問4では毎年自由英作文が出題されます。与えられたテーマに対して、自身の考えや経験を論述していく形式です。語数は120~150語と指示されることが多いですが、年度によっては100~130語ということもあります。さらに問題文は数行の英語で書かれていることがほとんどですが、平成30年度のように長めの設問の出題歴もあります。大問3まで長文読解で、さらに大問4でも英文を読まなければならない可能性もあるため、とにかく英語を読むスピードには注意しましょう。

自由英作文のテーマについては、社会問題に対する意見やことわざに関する自分の体験といった内容もありますが、近年は大学に進学せずにダンサーを目指す学生へのアドバイスや学校での勉強と社会に出てからの勉強との違いといったような、受験生本人の大学入学以降の姿勢が垣間見られるようなテーマが増えてきています。作文内容そのものが採点に影響するとは考えづらいですが、普段何も意識していないことを論述するよりも以前から持っている意見を文章化する方が説得力が増すのは間違いありません。過去問をヒントに、出題されそうなテーマについて自分なりに考えをまとめておくのも良いでしょう。

お勧めの名古屋市立大学医学部の英語の対策方法

最後にこれまでの内容から、名古屋市立大学医学部の英語の対策に必要な具体的な勉強法をお伝えします。

 

 まずセンター試験までは、英語の総合的な基礎力を高めていってください。英語の基礎力とはすなわち、単語力、文法的知識、読解力、論述力を指します。名古屋市立大学医学部の英語では語彙や文法問題は少ないとお伝えしましたが、読解力や論述力だけを強化することはできません。これらの能力はどれか一つだけを伸ばすことはできず、それぞれ互いにリンクしながらだんだん高まっていくからです。そもそもセンター試験では語彙力・文法的知識も直接的に必要となるため、二次試験直前期まではバランスよく各能力を向上させることを心掛けてください。

 

 この時期の単語力の養成には何と言っても単語帳を使うのが一番効率的です。おススメの単語帳は『速読英単語 必修編』『速読英熟語』(Z会出版)です。名古屋市立大学医学部の長文ではそこまで高難度の単語は見られないため、たくさんの単語帳に手を出すのではなくこの2冊をマスターするのが良いでしょう。

 

 長文読解用の問題集としては、難易度や語数が似たものであれば自分に合ったものを使えば良いでしょう。あえておススメを挙げるとすれば、『やっておきたい英語長文700』(河合塾シリーズ)です。繰り返しになりますが読解スピードが肝要な試験なので、この問題集を通して素早く文意を掴む練習をしてください。このとき初めから丁寧に文構造を取って、1単語ずつ理解しようとしていては時間がいくらあっても足りません。答案を作る上でもう一度読み込むことを前提にして、はじめは英文を左から右に読み進めて、あくまで「概要」を掴むのがコツです。

 

より詳細な問題集の使い方については、過去記事「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」を参考にしてください。

 

 センター試験が終わったら、二次試験対策に移ってください。具体的に行っていただきたいのが、

・過去問の分析

・過去問を用いた実戦演習

・自由英作文の練習

の3つです。

 

 過去問分析は本番に焦らず臨めるようにする大切な作業です。予めどのような出題形式があるか、長文の分量はどれくらいか、といったことを確認しておきましょう。名古屋市立大学医学部の英語はここ数年、傾向に変化は見られないため、5年分程度をチェックしておけば十分でしょう。

 

 過去問分析が済んだら実際に問題に挑戦してみましょう。このとき時間を計って取り組むことを忘れないでください。長文読解3つと自由英作文で構成される大問セットに対して、だらだらと解いていては制限時間120分のうちに終わらないはずです。読解スピードや答案作成速度を意識しながら、本番さながらの環境で実戦的に演習をしてください。

 

 同時並行で自由英作文の対策にも着手しましょう。自由英作文はここまでの勉強ではほとんどの医学部受験生が手薄になっているはずです。通常の和文英訳などとは異なり、自由英作文で使える独特の言い回しや、文章の構成の仕方といったことについて専用の参考書で勉強しながら、手を動かして作文をどんどんしてください。また、細かい文法知識や文章の流れ、より良い表現といったことを独学で身に付けていくのは至難の業です。可能であれば作った英文は、予備校の講師や学校の先生に添削してもらうようにしましょう。

まとめ

名古屋市立大学医学部の英語の傾向と対策法のポイントは、

①大問4つに対して、制限時間は120分

②大問1、2、3は長文読解、大問4は自由英作文

③読解量は多いが、英文の単語レベルは標準的

④目標点は150点中105点(70%)

 

⑤大問ごとの出題形式は、

【長文読解】文章の内容理解が大事、字数制限・具体的な論述・抜き出し問題に注意

【自由英作文】120~150語程度、出題されそうなテーマについて考えをまとめておく

⑥センター試験までは、英語の総合的な基礎力を高めていく

⑦センター試験終了後は、

・過去問の分析

・過去問を用いた実戦演習

・自由英作文の練習

を行う

の7つです。

 

 名古屋市立大学医学部の英語では文章の読解がきちんとできているかを問われ、多様な切り口から英語力が試されます。しかし内容がしっかり把握できていれば、設問そのものの難易度は高くはありません。こういった読解力は受け身の授業で話を聞いていても少しも力は付かないので、自ら積極的にたくさんの英文に触れて演習を積むことを心掛けましょう!!

 

 

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「名古屋市立大学医学部の化学の傾向と対策」


 

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本記事で登場したお勧めの問題集・参考書

『速読英単語 必修編』


 

『速読英熟語』(Z会出版)


 

『やっておきたい英語長文700』(河合塾シリーズ)


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