センター試験数学で役立つ5つの時短テクニック

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センター試験数学の得点は、解答スピードに左右されます。

今回は医学部受験生が知っておくべき、時短テクニックを紹介致します。

センター試験数学はスピードが命

センター試験の数学は、制限時間60分に対して、大問5つを解答します。

つまり、1題にかけられる時間は、わずか12分です。

問題のレベルとしては、二次試験と比較すると基本的と言えますが、時間内にすべて解ききるには、やはりそれなりの実力を求められます。

高得点を取るためには、必ずスピード感を意識しなければなりません。

 

あわせて正確性も不可欠です。

計算ミスをして、途中で空欄に当てはまらないような答えが出てしまう場合があります。

そうすると間違えている場所を探し出し、改めて解き直さなければなりません。

これを本番でやってしまうと、かなり致命的です。

 

医学部受験生は、数学では9割以上得点することが目標となります。

一つのミスが命とりになる勝負です。

もちろん二次試験に向けて、底力を付け、真っ向から勝負できるようにするのが先決です。

しかし、そのうえで、ほんの少しあなたの背中を押してくれるようなテクニックを身に付けておけば心強いはずです。

センター試験数学で使える5つのテクニックを紹介致します。

① 方べきの定理

まず、数学Ⅰ・Aの図形の性質の問題において威力を発揮する公式の一つが、方べきの定理です。

方べきの定理が使える状況は、図の3パターンです。

すなわち、

① 円の内部の点とその点から引いた2本の直線と円の交点

② 円の外部の点とその点から引いた2本の直線と円の交点

のいずれかの場合で適用できる公式です。

 

すべての場合でが成立します。

それでは、実際に方べきの定理を使うとすっきり解ける問題を紹介します。

 

【例題】

長さ6の線分がある。線分ABの3等分点をとり、Aに近いほうの点をCとする。Cを通りABに垂直な直線を引き、線分ABを直径とする円との交点をD、Eとする。このとき、

 

【解】

 

方べきの定理より

もしこの問題を解くのに方べきの定理を知らなければ、円周角の定理から∠ADC=∠EBCであることなどから、△ADC∽△EBCを示し、相似比を使って計算することになります。

 

方べきの定理はセンター試験において頻出度が高いため、是非とも押さえておきたいテクニックです。

② チェバの定理・メネラウスの定理

続いても数学Ⅰ・Aの図形の性質の問題で使える、チェバの定理・メネラウスの定理です。

 

チェバの定理は、

「三角形ABCと任意の点Pについて、直線APとBC、直線BPとCA、直線CPとABとの交点を、それぞれD、E、Fとすると、

が成り立つ。」

メネラウスの定理は、

「三角形ABCと任意の直線lについて、直線lとBC、CA、ABの交点をそれぞれD、E、Fとすると、

が成り立つ。」

 

定理を覚えるには、掛け算の順番を視覚化することがポイントです。

図に矢印を書き込んでいますが、三角形の周りを順番に1周していくイメージです。

これらは一見すると似ていますが、チェバの定理は三角形と点の関係、メネラウスの定理は三角形と直線の関係という点で異なります。

しっかり区別して覚えてください。

 

さて、今回はメネラウスの定理に関する問題を見てみましょう。

 

【例題】

AB:AC=2:3である△ABCがある。辺AB、BCの中点をそれぞれM、Nとし、∠BACの二等分線がMN、BCと交わる点をそれぞれP、Qとするとき、である。

 

【解】

AQが∠BACの二等分線であるから BQ:CQ=AB:AC=2:3

点Nは辺BCの中点であるから BN:CN=1:1

したがって BQ:NQ=4:1(←ここまでは本質ではないので簡略化しています。)

このとき△ABQと直線MNにおいてメネラウスの定理より

 

メネラウスの定理使わずに、ベクトル等を使って解くことも可能ですが、圧倒的に計算量に違いが出ることは想像に難くないでしょう。

加えて、チェバの定理・メネラウスの定理は、その逆も成り立ちます。

すなわち、を導ければ、チェバの定理の逆ではAD、BE、CFが一点で交わることを、メネラウスの定理の逆では3点D、E、Fが同一直線上にあることを示したことになるのです。

 

細かくいうと、点Pが三角形の内部にある必要や、直線lと三角形ABCが交点を持つ必要は必ずしもないのですが、センター試験レベルでは気にしなくてもよいでしょう。

 

③ 1/6公式

次は、数学Ⅱ・Bの微分・積分に関する公式です。

数学Ⅱ・Bでは大問2で微分・積分を扱いますが、100%といってよいほど求積問題が出題されます。

 

通常であれば、直線や放物線に囲まれた部分の面積は、それぞれの方程式同士の引き算をして、与えられた範囲について積分をします。

しかし、直線と放物線に囲まれた部分の面積は、以下の手順で簡単に求めることができます。

 

①放物線と直線の交点の座標を求める(これを

②放物線を表す方程式の二次の係数をとすると、求める面積S

 

これを1/6公式と呼びます。

特に係数のαを忘れがちなので注意が必要ですが、複雑な積分計算を省略できる点で大きなメリットがあります。

 

では、具体的に問題で確かめてみましょう。

【例題】

【解】

記述方法に工夫が必要ですが、1/6公式は二次試験でも活躍します。

使い勝手のよい公式なので、必ずマスターしておきましょう。

一方で、1/3公式、1/12公式といったものもありますが、使うタイミングを覚えるといった労力に見合った働きはしません。

したがって、1/3公式、1/12公式は、覚える必要はないでしょう。

 

 

 

④ ベクトルを用いた三角形の面積の求め方

数学Ⅱ・Bで身に付けたい時短テクニックの2つ目が、ベクトルを用いた三角形の面積の求め方です。

この三角形の面積の求め方は、平面ベクトル・空間ベクトルともに使うことができます。

 

【例題】

A(2,00),B(0,3,0),C(0,0,4)のとき、△ABCの面積を求めよ。

【解】

これを各辺の長さを求め、それから三角比を出して面積の計算をする…とした場合、2度手間、3度手間となってしまいます。

上の公式を使えば、2辺の長さとそれらの内積のみ計算すればよいため、計算量が激減します。

ベクトルの問題で三角形の面積を問われたら、即座に反応できるように訓練をしてください。

 

関連して、成分表示されたベクトルから三角形の面積を求める公式も覚えておきましょう。

⑤ 必要条件から答えを導く解法

最後に、センター試験ならではの解法を紹介します。

はじめにお断りしますが、これは二次試験では使用できない手なので気を付けてください。

 

センター試験では解答の流れがあらかじめ与えられていることを逆手に取り、必要条件から解を導くのです。

主に数学Ⅱ・Bの数列で活躍するテクニックです。

といってもピンとこないでしょうから、さっそく例題で解説に移ります。

 

【例題】

【解】

解法の概要はつかめたでしょうか?

要はあてはめて答えを出してしまうのです。

同様の考え方で、数列の第n項を求めた後にnに1、2を代入して確認したり、数列の和や場合の数について書き出して求めることにも応用できます。

 

もちろん、正攻法で解いた方が問題の流れに乗れるため、望ましいことは間違いありません。

上の例題では、階差数列を取り、足し合わせるのが通常の解法です。

また、繰り返しになりますが、記述型の試験では「あてはめ」では点数はもらえません。

しかし、解き進めていて鉛筆が止まった時、他の人にはない引き出しがあるかないかでは大きな違いが生まれることは間違いありません。

 

 

まとめ

今回の記事で覚えて帰っていただきたい内容は、

①数学のセンター試験はスピードと正確性が問われる。

②地力をつけた前提で時短テクニックを身に付けると役に立つ。

③医学部受験生にお勧めの時短テクニックは、

・数学Ⅰ・A→方べきの定理、チェバの定理・メネラウスの定理

・数学Ⅱ・B→1/6公式、ベクトルを用いた三角形の面積の求め方、あてはめて解を導く

となります。

 

しかしながら、時短テクニックとはいえ、使いどころが難しいものもあります。

センター数学で高得点を取るのに、テクニックだけでごまかすことは決してできません。

まずは真正面から問題に立ち向かうことを意識し、いざというときの懐刀として知識を蓄えましょう!

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