数学の公式は証明まで覚えるべき?プロが公式の証明が必要か考えてみた

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突然ですが、あなたは、

「数学の公式だけ覚える派ですか?」それとも、「証明まで覚えている派」ですか?

 

 先日、「わかるとできるの違いの話」をしました。このテーマに関連して、本日は、よく聞かれるお題「数学の公式は証明まで覚える必要がありますか?」というご質問に医学部受験のプロ(毎度おなじみ石戸です)の見解を述べたいと思います。

結論から申し上げると、、、

 医学部受験の数学で合格点を取るに当たって、数学は公式だけ覚えればいいのか?それとも、証明まで覚える必要があるのか?この問いに対しての私なりの答えは「どっちでもいいです」(笑)

 

え?そんな、ばかな!?

結論出さないまま終わるんかーい!

 と激しいツッコミを頂きそうな予感がします(笑)

 

実は、「どっちでもいい」というのには、ワケがあるんです。そのワケを言う前に、、、

まず、実際の医学部生はどのようにしているのか?について見ていきましょう。

医学部生の実態はどう??

実は、以前、私の出身大学、岡山大学医学部で、岡山大学医学部生66名にアンケートを実施しました。アンケートの項目は、「あなたは覚える派ですか?証明派ですか?」です。

結果は、約80%の人が「証明派」と回答しました。「覚える派」と答えた人に後から聞いてみると、証明できる公式もあるけれど、公式の全ての証明ができるわけではないからという理由で「覚える派」と回答された方もいました。ということは、、、実に8割~9割の医学部受験生が証明まで意識して勉強していたことになります。

調査を進めてわかった意外な事実

 ところが、実際に「証明派」と答えた人が全ての公式を証明できたかというと、そうではありませんでした。例えば、( a+b)(c+d)=ac+ad+bc+bdという展開公式が成立する理由を答えることができた岡大医学部生は聞いた人の中にはいなかったのです。

 

つまり、「証明派」と答えた人でも全ての証明ができたわけではなかったのです。

 

ん?なぜ、全ての公式の証明ができるのではなく、中にはできない公式の証明があるのでしょうか?実際、彼らは、「その公式の証明は忘れた」とは言わずに、「その公式の証明はわからない」と答えました。公式の証明が試験に出題されるから、試験に出題される公式の証明だけをピックアップして覚えたのでしょうか?

数学の公式の証明は試験に出るのか?

 残念ながら、その答えは違います。なぜなら、数学の公式の証明問題の出題は近年減っている傾向にあるからです。なぜか?順を追って説明していきましょう。

 

そもそも、「数学の公式の証明を覚える必要があるか?」という質問が、なぜ生まれたのでしょうか?

 

 1つの大きな要因は、東大数学の影響だと考えられます。東大数学の影響を受けて、各大学でも公式の証明問題が出題されるようになりました。

 

具体的に説明しましょう。時を遡ること20年。1999年の東京大学の数学の問題で衝撃的な問題が出題されました。

 その問題は次の2問です。

 (1) sinθ、cosθの定義を述べよ

 (2) 加法定理を証明せよ

 

???

 

 となってしまうような問題ですよね。それでいて、見事に教科書の内容から出題されています。この問題が良問だと教育業界では言われ、この後、各大学で、数学の公式問題がチラホラ出題されるようになります。

 

例えば、

2002年の神戸大学では、「微分可能であることの定義は何か?」

2005年の熊本大学では、「3倍角の公式の証明」

2008年の佐賀大学では、「余弦定理の証明」

2009年の佐賀大学では、「等比数列の和の公式の証明」

2013年の大阪大学では、「点と直線の距離公式の証明」

などなど、「定義」や「証明」に関する問題が出題されるようになります。

 

このような時代の流れから、公式の証明問題が出題されるようになってきました。したがって、「数学の公式の証明まで覚える必要がありますか?」と聞く人は、「数学の公式の証明まで覚えた方が入試数学で点数が取れますか?」という意味で聞かれているのだと思います。

 

 しかし、残念ながら、公式の証明を覚えることが直接数学の点数に結びつくかというと、答えはNOです。というのも、1999年の東大数学の問題から約20年が経過し、目新しさを失ったため、入試問題でも、公式の証明が出題されることは減っているからです。(ちなみに、東京大学では、この年以降数学の公式の証明問題は出題されていません。)

 では、今後出題される可能性が少ないのであれば、公式の証明は覚える必要がないのでしょうか?

義務感で覚えようとしても意味がない

 私は、医学部受験において、数学の公式の証明を意識する勉強を行うのがベストだと考えています。ここでポイントは、数学の公式の証明を「覚える」とは記載していないところです。

 

 「覚える」か、「覚えない」かはどっちでもいいとして、公式が「なぜ成立するんだろう?」と気にする習慣を持つ勉強に変わることが成績アップに必要だと考えています。言い換えれば、公式の証明を「義務感で覚える」のではなく、「気になるから調べる」といった感じになる勉強法になれば、成績アップに繋がると考えています。

 

 先ほど、余談として1999年に、東京大学が加法定理という公式の証明問題を出題した後に、公式の証明問題は以降出題していない旨を申し上げました。その理由はシンプルで、これ以降は、きっと「東京大学数学対策」として、各予備校が対策をしているからです。覚えているからできる人ではなく、普段の学習で、「あれ?これって何で成立するんだろう?」という人を求めているというメッセージではないでしょうか?

岡大医学部生も義務感で覚えたわけではない

 岡山大学医学部生の回答もそうです。岡山大学で公式の証明問題が出題される可能性は限りなくゼロに近いです。したがって、証明できるようにしているのは、岡山大学医学部対策としてやったことではないはずです。もし、受験対策として、公式の証明を義務感で覚えていたのであれば、全ての公式の証明ができる人が大半ですよね。しかし、そうではありません。「証明派」と答えた人でも、証明できる公式と証明できない公式がありました。

 

 これは、勉強する過程で、「あれ?この公式って何で成立するんだったっけ??」と気になったから調べた。その結果、証明までできるようになった。からだと考えられます。

 

 そして、このように、勉強できる子というのは、例外なく理解が深い勉強ができる子です。先日の「カップ麺の話」ではありませんが、「できる」ことでも、「わかっていない」と気づくことができて、理解を深める勉強ができる子なのです。

数学を勉強する上で意識しておいて頂きたいこと

 以上の内容を踏まえると、私が冒頭で、「数学の公式の証明を覚える必要があるのか?」という問いに対して、「どっちでもいい」と答えた理由をご理解頂けると思います。

 

数学の公式の証明を覚えることよりも、「数学の公式がなぜ成立するのだろう?」と気になることが大切なのだと思います

 

同じ公式の証明ができる人でも、「入試に出題される可能性があるから頑張って覚えました。」と答える人と「あ、その公式はなんで成立するかと気になって調べたことがあるんです。そのとき、なるほど、そういうことか!!と強く印象に残って覚えているんですよ」と言う人では、成績の伸びに大きな違いがあるのは明白ではないでしょうか?

 

極端なことを言えば、「公式の証明を覚える必要があるから覚えている人」と「気になって調べたけど忘れてしまった人」であれば、後者の方が理解が深い勉強ができている分、数学の得点力がついていくと思います。

 

だからこそ、自分自身に次のように問いかけてみて頂きたいです。

「自分は、公式の証明が気になったことがあるかどうか?」

考える価値は大いにあります。

まとめ

 本日は、数学の公式の証明を覚える必要があるのか?という問いに対して私(石戸)の考えをご紹介致しました。

 

 試験に出るかも知れないから、公式を「覚える」という選択肢はおすすめできません。そうではなく、「なぜ、成立するのか?」と疑問に思う習慣を持ちましょう。

 「なぜ、成立するのか?」という視点を持つことを、東大も勧めており、岡山大学医学部生も実践しています。

 なぜ?という視点を持つことで、普段何気なく使っている公式の本質が理解でき、色々なことがつながってきて、理解を深めることができるからです。ぜひ、あなたも普段の勉強の中で、「なぜ?」と疑問に思う習慣を持つようにしてみてください。半年もすれば、大きな変化を感じて頂けることと思います。

 

追伸

 ちなみに、数学以外にも、気になったことがあったとしても、全て調べて理解する必要はありません。詳しくは、過去記事「カップ麺をつくるときにやらかして、わかるとできるの違いを知った話」をご覧ください。

 

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