医学部受験で面接がない大学一覧と今後の動向(2018年度版)

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「2018年2月の入試から医学部での面接を復活致します」

東京大学の医学部にあたる理科Ⅲ類(通称「理三」)で、面接の復活が発表されました。実は、東京大学は、他の国公立大学と同じように1999年から理三(医学部)では面接を実施していました。ところが2007年に面接の中止を発表しました。それが、11年の沈黙を経て復活となりました。それでは、他の医学部では、どうなのでしょうか?また、今後医学部受験において面接の動向はどのようになるのでしょうか?

本日は、医学部受験において面接が課されていない大学の紹介と、今後の面接の動向についてお伝え致します。

面接がない大学は九州大学のみ

まず、結論から申し上げると、2018年度の入試(2019年2月実施の入試)で、面接がない医学部は、国公立大学、私立大学の全医学部で、九州大学のみです。九州大学のたった1校のみです。今までは、東大と九州大学の2校が面接を課していませんでしたが、東大の理三で面接が課されることで「面接なし」の医学部は九州大学だけとなりました。

今後ますます面接は重視される傾向に

全国の82大学(2018年6月時)ある医大の中で面接を実施していない大学が1校だけということは、面接はますます重視される傾向になると思います。実際、私が医学部受験生であった2008年と比較しても、私の頃には、まだ医学部入試で面接を課さない大学もあったので、面接重視の流れは間違いありません。

今後ますます、医学部受験で面接は重視されるとお伝え致しましたが、なぜそうなのでしょうか?色々な理由があると思いますが、私は、大きく分けて3つ理由があると考えています。

医学部受験で面接が重視される3つの理由

理由1)医師として適切な人を選別するため

これはよく言われていることですが、「人の命を預かる」という職務を持つ医師には、その重い責任を負うことができる人物にふさわしい人間性を有していることが求められます。医師として適格かを見るために面接を行うというのが1つ目の理由です。

 

ちなみに、医師国家試験でも、この人間性を見るための問題が出題されます。

ぜひ、試しにやってみてください!

 

 

(第102回 医師国家試験 問題H3)

医療面接を行う上での医師の心がけとして適切でないのはどれか。

a 丁寧語や敬語を用いる

b 患者と視線を合わせる

c 患者の表情や体の動きに注意する

d 質問することにできるだけ多くの時間を使う

e 患者の声の調子や抑揚、アクセントに注意する

 

 

どうでしょう??

正解はdです。まずは「相手の話を聞く」ことが大切なので、患者さんの話を聞くことが大切になります。実際、質問ばかりだと尋問されているみたいで嫌ですよね。

理由2)地域医療に貢献する意思があるかを確認するため

実は、医学部の定員は2008年から2018年の10年で大幅に増えています。

平成19年(2007年)の医学部医学科の定員は7,625名。これに対して、平成30年(2018年)の医学部医学科の定員は9,420名です。10年間で1,795名、割合に直せば23.5%増えています。

 

定員増加の背景は、地域医療の担い手を増やすことにあります。実際に、10年前にはなかった「地域枠」という枠が今や多くの大学であります。

 

では、なぜ地域医療が重視されるか?

 

地域医療が重視される背景には次の2つのキーワードがあります。

・超高齢化社会

・医師の偏在

 

日本は、世界でも類をみない高齢化社会です。WHO(世界保健機関)は、65歳以上を高齢者と定義しており、高齢者が全体の7%を超えると「高齢化社会」と定義しています。全体の14%を超えると「高齢社会」、21%を超えると「超高齢化社会」と定義しており、「超高齢化社会」であるのは、世界で日本のみです。

 

日本は2010年に超高齢化社会に突入しました。高齢者が増えるということなので、今後益々医療のニーズは高まります。したがって、医師数の確保のため、医学部の定員が大幅に増加になりました。

 

しかし、いざ定員を増やしても、医学部を卒業して地元に帰ってしまったら、地域を支える医師数を確保することができません(実際、卒業して地元に帰ったり、都会に出る人は結構多いです)。だからこそ、「地域枠」を設け、地域医療のニーズにこたえる医師数の確保をはかっています。

 

話を戻しましょう。なぜ医学部で面接が重視されているか?です。

 

先程、地域医療のニーズにこたえるために、定員を増やし、医師数を増やしたとお伝えしましたが、「地域枠」といえど、あくまで約束です。違約金を払うなどすれば、地域医療に貢献しないでいい道もあります。しかし、違約金を受け取っても、大学側は全く嬉しくありません。地域医療に貢献する人が少なくなればなるほど、1人の医師の負担が大きくなるからです。だからこそ、「この人は地域医療に興味があるか?」「本当に地域医療に興味があるか?」「地域医療について、どれくらいの知識があるか?」を知るために面接を行っていると私は思います。

理由3)コミュニケーション能力が高い学生を確保するため

今や、どんな業界でも「AI(人工知能)」という言葉を耳にします。医療の業界も例外ではありません。これからは、診断や治療はAIが担っていくとも言われています。

 

実際、医師3701人にとったアンケートで

「AIが診療に参画する時代はくる?」という問いに、90%の医師が「来る」と答えたそうです。(メドピアグループ調べ、2018年週刊ダイヤモンド5月19日号より)

 

AIによって、診断や治療が行われるのであれば、今まで重視されてきた「技術」というものの価値が減っていくのは間違いありません。もちろん、AIはプログラムなので、人の力を超えることはないため「神の手」と言われる一部のスペシャリストの価値は今まで以上に重要になることでしょう。しかし、多くの医師に求められることは診断や治療の「技術」以外になるはずです。

 

それは何かといえば、多くの医師がコミュニケーション能力を挙げています。「病は気から」という言葉があるように、治療する上で精神面でのフォローが大切であることは言うまでもありません。そして、精神面でのケアはAIでは絶対にできません。したがって、今後の医療では、今後ますます人と人との触れ合いが重視されるようになります。そのため、面接を行い、よりコミュニケーション能力が高い学生を取りたいという思いで面接を行う大学も今後増えてくると私は考えています。

面接は重視されるようになる!しかし、、、

今まで今後ますます医学部受験において面接が重視される理由をお伝えしました。ここまで読まれると、「なるほど、これからはコミュニケーション能力が大事なんだな。よし、これから、週に4回は友達と遊ぶようにしよう」と思ってしまってはいけません。

医学部の面接というのは、あくまで、学力が一定基準を超えた場合に問題になります。ですから、医学部受験で勝つには、まず英・数・理・国・社の学科試験で点を取れることが必要となります。そして、これはとても大切なことですが、医学部の中には、まだ「形式的に面接を行っている」ところもあります。

つまり、学科試験で点が取れれば医学部に合格できることはできるが、面接だけ強くても学科試験で点が取れなければ医学部に合格はできません。医学部の面接のために、医療情報をチェックしたり、興味関心がある分野について調べることも大切ですが、何よりもセンター試験・筆記試験が医学部合格の鍵となることを忘れないでください。

まとめ

医学部受験で面接は、今後ますます重視される傾向にあります。

2018年度入試で面接を課さない大学は九州大学のみです。

今後、面接を廃止する大学が出てくることは、「ない」としばらくは考えて良いでしょう。

 

医学部受験で面接が重視される理由は次の3つが挙げられます。

理由1)医師として適切な人を選別するため

理由2)地域医療に貢献する意思があるかを確認するため

理由3)コミュニケーション能力が高い学生を確保するため

 

この背景には、「超高齢化社会」「AIの到来」があります。

日本は今や世界で類をみない「超高齢化社会」のため、地域医療のニーズが高まっています。また、「AI」の到来により、今後「コミュニケーション」が医療においても重視されるようになってきます。

 

医学部受験で面接は今後ますます重視されていきますが、それは学科試験ができた上での話です。したがって、勉強もおろそかにならないよう気をつけましょう。

 

医療業界の趨勢(すうせい)を見極めながら、どんな医師になりたいか?と夢を膨らませながら本日も勉強を頑張っていきましょう!!

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