医学部は東大より難しい!?医学部数学と東大数学の違いから考察してみた

医学部VS東大

「最近は、医学部は、東大よりも難しいんでしょ?」「医学部に入るのと東大に入るのはどっちが難しいんですか?」「医学部で東大よりも難しいところはどこですか?」医学部受験指導を行っていると、上記のような質問をよく受けます。医学部バブルの中で、年々難しくなっていく医学部。「その難しさが東大を超えているのであれば、東大に行く」という考えや、「医学部の方が難しいと知ることで、気を引き締めたい」という考えからか、「医学部と東大どっちが難しい?」というご質問はよく受けます。ところが、この質問は、結論から言えば、ナンセンスな質問です。今回は、医学部と東大の違いを知ることで、難しさを比べることはできないということをお伝え致します。

医学部と東大のどちらが入りやすいか?

もっと、具体的に難しさを比べることができないという理由を説明しましょう。

実は、医学部と東大のどちらに入りやすいかは、人によって異なります。

 

つまり、医学部の方が合格しやすい人もいれば、東大の方が合格しやすい人もいます。

 

注目したいのは、この問題が、なぜ、人によって違い、結論が出ない問いであるのかです。

 

それは、医学部受験と東大受験では、求められるものが全く違うからです。

 

この違いを見ていきながら、医学部受験と東大受験の特徴を見ていきましょう。

合格するために必要な点数は??

医学部受験と東大受験で求められているものが違うというのは、合格最低点を知ることで浮き彫りになります。

 

まず、東大ですが、東大では、「6割取れたら合格する」と言われています。

 

実際に、東大の理科一類(理一)では、平成27年度入試での合格最低点は550点満点中の323点です。得点率に直すと58.7%です。

 

一方、医学部の場合、例えば岡山大学医学部では、平成27年度入試での合格最低点は2100点満点中の1712.6点です。得点率に直すと81.6%です。

 

合格するのに必要な点数が、東大は58.7%、医学部は81.6%と得点率の開きは、22.9%もあります。では、より高い得点率が求められるから、岡山大学医学部の方が、難しいのかというとそうではありません。

 

問題が違うので、必要な得点率だけでは、難易度は決められないからです。

 

(ちなみに、最も難しいとされる東大の医学部(理三)は、合格最低点が68.5%です)

医学部と東大では、求められているものが違う

岡山大学医学部の合格最低点の得点率が、81.6%と高いのは、東大と比べて、問題が「易しい」からです。

 

例えば、数学の問題では、地方の医学部や私立の中堅医学部の問題では、標準的な問題が出題されます。

 

標準的な問題というのは、決して簡単な問題という意味ではありません。

 

標準的な問題というのは、

・どの問題集にも載っている問題

・何を使って解けばいいかわかる問題

です。

 

一方、東大の数学の問題では、

・見たことがない問題

・何を使って解けば良いのかすぐにわからない問題

が出題されます。

 

例えば、有名な東大数学の問題で次のような問題があります。

「円周率が3.05より大きいことを証明せよ」(2003年 第6問)

 

数学によほどの愛がない限り、問題を読んだだけで、怒りがこみあげてくる問題ですよね(笑)

 

冗談はさておき、この問題。何を使って解けばいいかすぐにわからないですよね。何を使って解けばいいかから考える必要があります。

 

もちろん、東大といえど、上の問題のように、何を使って解けばいいかわからない問題ばかりではないですが、見慣れない問題が出題されることは多いです。

 

一方、地方の医学部や私立の医学部の問題では、「あ、ベクトルの問題だ」「微積が出た!」というように、何の問題であるかが、すぐわかり、解いたことがある問題が多いです。

東大はスペシャリスト、医学部はジェネラリスト

つまり、東大で求められているのは、ある分野のスペシャリストです。

 

極端な話、数学・理科がものすごくよくできる人がいれば、英語が全然できなくても合格できます。

 

例えば、数学8割、理科8割、英語2割でも、平均6割になるので合格できます。(実際は、国語も入試科目に含まれるのでここまで単純ではありません。高得点が取れる教科があれば、大きなアドバンテージになるという例とご理解ください)

 

一方、医学部で求められているのは、ミスなく、当たり前のことができるジェネラリストです。

 

東大受験と違って、医学部受験では、苦手だからといって、放っておくことはできません。

 

合格最低点の得点率が80%という試験で、一教科でも、苦手で6割しか取れないとなれば、合格は難しいでしょう。

 

医学部受験では、全ての教科に対して、標準的な問題が解ける力を身につける必要があります。

 

ですから、苦手だからという理由で、放置していたら、医学部受験では大変危険です。

 

好き、嫌いで勉強するのではなく、受験で必要だからと割り切って淡々と日々やるべきことをやる「大人の勉強」が医学部受験には必要となります。

 

求められているものが違うので、求められたものに合わせた両者を比較するのは、困難です。

 

もちろん、東大に上位で合格される方や、京大の医学部、阪大の医学部、慶應の医学部に合格される方は、全科目満遍なく勉強されていて、各科目がスペシャリスト級にできるのだと思います。しかし、東大にギリギリで合格する方と地方の医学部にギリギリで合格する方を比較する場合、一概に両者を比較することはできません。

 

きっと、センター試験であれば、医学部合格者の方が取れていると思いますが、医学部合格者の人が、東大に合格した人と同じだけ、東大の問題が解けるかと言えば難しいでしょう。それは、能力の違いではなく、両者ともに、大学が求めている勉強をしたからです。

まとめ

医学部受験と東大受験では求められているものが違います。

 

東大は専門特化したスペシャリストを、医学部は総合的にできるジェネラリストを求めています。

 

したがって、医学部受験では、標準的な問題をミス無く、全教科で、得点できる力が求められています。

 

例えば、医学部受験の数学では、

・どの問題集にも載っている問題

・何を使って解けばいいかわかる問題

を高いレベル(7~8割)で、

得点できる力をつける必要があります。

 

他の科目でも、同様であり、標準的な問題をどれだけ高得点取れるかが勝敗を決めます。

 

だからこそ、苦手だからといって、放置せずに、やるべきことは何かを考えながら、苦手なところを潰していってください。一つ一つ苦手な問題を潰すことが、一歩一歩確実な合格の道へとつながっています。

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