「化学重要問題集」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方
化学重要問題集:数研出版編集部
医学部受験で勝ち抜くには、わかりやすい授業を受けることに加えて、いかに自主学習時間を効果的なものにするかが鍵となります。
自習の時間を効果的なものにするためには、2つのポイントがあります。それは、
- 「自分にあった教材を選ぶこと」と
- 「効果的に教材を使うこと」です。
ここでは、化学の重要問題集(数研出版)について、どんな人が使うと効果的か?また、どのように使えば効果的か?の2つについて紹介していきます。
※ このサイトでは、医学部受験を勝ち抜いた成功者の人の意見をもとに参考書・問題集を勝手に評価する通称「医シュラン」をつくっています。ぜひ、自主学習の参考書・問題集に役立ててください。
※ 本文中の問題番号は、2018年度版の「化学重要問題集」の問題番号です。
医シュランガイドとは
化学重要問題集
受験化学の定番問題集!
化学の重要問題集は、「チャート式」で有名な、数研出版から出ている問題集です。分野別に問題を掲載していますが、この問題集の最大の特徴は、実際の入試問題を掲載している点です。分野ごとに入試問題を掲載しており、難易度別にA問題とB問題に分けています。ただし、最後には、総合問題が掲載されていますが、こちらは、A問題・B問題には分かれていません。
さらに、問題ごとに「必」がついている問題と、「準」がついている問題、「十」がついている問題に分類してくれています。各記号の内容は下記のようになっています。
「必」は、まず1回目に解いて欲しい問題
「準」は、2回目に解いて欲しい問題
「十」は、教科書で扱っていない内容の問題や難問
化学の重要問題集(重問)の問題数は?
次に、化学の重要問題集(重問)の問題数について見ていきましょう。化学の重要問題集(重問)の問題数は、全部で272問です。総合問題が14問掲載されているので、分野別の問題であれば、258問となります。
272問中、1回目に解いて欲しい問題の「必」マークは、108問、2回目に解いて欲しい問題の「準」マークは、80問、難問の「十」マークは、22問となっています。
「化学の重要問題集(重問)」の3つの特徴
「化学の重要問題集(重問)」は、入試化学の問題が一通り網羅されている秀逸な問題集です。この問題集が大きな効果を発揮するのは、有機化学の脂肪族化合物まで習った方となります。逆にいえば、化学を習い始めの段階で使用すると効果が半減してしまうので注意が必要です。なぜ、そう言えるのか?
それは、この問題集が次の3つの特徴を持っているからです。
・特徴1 実際の入試問題を元にして問題が構成されている
・特徴2 1問1テーマのコンセプトで構成されている
・特徴3 最新の入試問題のトレンドも反映している
この3つの特徴のため、市販の問題集の中で、最も効果的に入試レベルの化学の力をつけることができる問題集といっても過言ではないといえる良質な問題集となっています。それでは、具体的にそれぞれの特徴がどんなもので、どのような使い方が良いかをお伝えします。
「化学の重要問題集(重問)」はどんな人にオススメ??
結論から言うと、上記の3つの特徴ゆえに、「化学の重要問題集(重問)」は次の条件を満たした方が使うと学習効果が高い優れた問題集です。
条件 有機化学の脂肪族化合物まで習った方
条件 理論化学の教科書レベルの問題は解ける方
具体的には、「高3生が夏休みから使う」もしくは「浪人生が使う」という形がオススメの使い方になると思います。塾で、塾の先生と一緒に本書を使うのであれば、高校1年生、高校2年生の時に使ってもいいでしょう(今の段階で、できなくていい問題を先生が選んでくれるから)。
逆に言えば、化学を習い始めの方や、化学の教科書レベルの問題が解けない化学が苦手な方にはオススメ致しません。それでは、なぜこの条件を満たしていると効果的なのかの理由を「化学の重要問題集(重問)」の特徴を上げながら説明していきましょう。
「化学の重要問題集(重問)」の特徴1:
入試問題に触れることで実践力が身につきます
それでは、1つずつの特徴についてみていきましょう。最初は、
特徴1:実際の入試問題を元にして問題が構成されている
について。
実は、実際の化学の入試問題は、「アクセス」や「セミナー化学」のような教科書傍用問題集に掲載される問題とは違います。教科書傍用問題集は、1問あたり、短く、1つの事項が1つの問題で習う形で収録されています。一方、化学の入試問題は、1問当たりが長く、融合された形で出題されます。ここでいう、融合された形というのは、決して、融合問題という意味ではありません。融合された形というのは、「理論化学」「無機化学」「有機化学」が1問の中に混ざっているという意味です。
例えば、塩素を題材とした問題があれば、ベンゼンと塩素の反応が問われ(有機化学)、塩素から塩酸をつくる製法を問い(無機化学)、その塩酸を使った中和滴定の問題(理論化学)が出題される。このような形で、1問の中で、色々な分野の問題が出題されるのが入試問題です。
このように、入試問題では様々な分野が登場します。したがって、化学の重要問題集(重問)では、実際の入試問題に触れることができるため、入試での問われ方がわかる上に、問題集を進めながら様々な分野の復習になります。
逆に言えば、まだ習っていない分野があれば、とっつきにくいです。ピンとこない方もいると思うので、例を上げましょう。例えば、「物質量と化学反応式」の章では、23番で、石灰石に塩酸を加えたときの反応式が問われています。この反応を自分の手でかけるようになるのは、「酸・塩基」の分野を習った後なので、習いはじめの高1生には解けるはずがありません。また、42番の問題では、融点・沸点の判別をするにあたって、「マレイン酸」「フマル酸」などの「有機化学」で習う物質名が登場します。同じように81番の会合度を求める問題でも、「化学結合」や「有機化学の官能基」を習っていなければ、解けないので、早い段階からこの問題集を使用するのはオススメできません。ただし、冒頭でもお伝えしたように、やるべき問題を先生がピックアップしてくれる状況であるならば、使用してもいいでしょう。
「化学の重要問題集(重問)」の特徴2:
漏れなく入試問題の典型問題が掲載されている
続いて、特徴2について。
特徴2:1問1テーマのコンセプトで構成されている
教科書傍用問題集が1問1項目であったのに対し、重要問題集では、1問1テーマで問題が収録されています。
例えば、教科書傍用問題集では、「電池」の分野であれば、「電池の反応式」「電池の負極・正極」「電池の起電力」「電池の種類」「電流と電子の関係」など、1つの項目について、1問~3問収録されています。一方、重要問題集では、これらの基礎項目はできることを前提に、入試問題でどのようなテーマで出題されるか?そして、そのテーマが出題されたときに、どのようなことが聞かれるか?を分析し、該当する入試問題が掲載されます。
したがって、重要問題集を一通りやれば、入試問題でどんな問題が出題されるかが一通りわかるようになっています。
入試問題を組み合わせて編集することも!
化学の重要問題集の素晴らしいところは、漏れがないように、入試問題を改題したり、組み合わせているところです。例えば、164番の問題では、「炭素の同素体」がテーマとなっています。このテーマで、同志社大・長崎県大・早稲田大・東工大と4つの入試問題集をあわせてつくっています。こうして、そのテーマで何が聞かれるかを漏れなく教えてくれるようになっています。
「化学の重要問題集(重問)」の特徴3:
最新の情報やトレンドも反映
最後の特徴3について。
特徴3:最新の入試問題のトレンドも反映している
化学の重要問題集では、最新の入試問題を掲載しています。例えば、2018度版の問題集では、2017年の入試問題も収録されています。
また、入試で最近聞かれるようになった「ニホニウム」についても、13番「新元素の発見」の問題で収録されています。このように、最新の入試問題のトレンドまで反映してくれているので、「化学重要問題集(重問)」は入試実践力がつく問題集となっています。
化学重要問題集(重問)のデメリット
今まで特徴と、その特徴がもたらすメリットについて記載しました。メリットが多い問題集ですが、デメリットもあります。化学重要問題集(重問)のデメリットは次の3つです。
1つ目)基礎項目ができることを前提としている
2つ目)高分子化合物の問題の収録数が少ない
3つ目)難問も含まれる
・「基礎項目ができることを前提としている」について
先ほども申し上げた通り、化学の重要問題集は、1問1テーマで構成されているため、基礎的なことはできることを前提として問題が構成されています。例えば、酸化還元の分野では、化学反応式をつくるために、半反応式を覚えますが、重要問題集では、覚えていることは前提としているので、半反応式の問題は収録されていません。したがって、基礎の項目に不安がある人は使用をお控えください。問題をやりながら、塾の先生が足りない基礎項目を教えてくれるのであれば、大丈夫ですが、基礎項目に自信がない中で、独学で使用することは控えましょう。
・「高分子化合物の問題の収録数が少ない」について
入試問題では必ずといっていいほど、高分子化合物の問題が出題されます。しかし、この単元は学習するのが遅いという理由で、苦手としている人が多いです。必ず出題される分野であるから、できるだけ色々な出題パターンに触れて定着させた方がいいのですが、重要問題集では、この分野の問題が少ないです。例えば「糖」の問題は3問のみです。元々得意な分野であれば問題ないですが、通常、高分子化合物は、手が回っていない方が多いので、高分子化合物だけは、プラスαで問題演習を行うことをオススメします。
・「難問も含まれる」について
重要問題集は、ほぼ全ての化学の入試問題が網羅されているといってもいい良質な問題集です。しかし、全ての入試問題を網羅しているということは、難問も含まれています。志望校や化学でどれだけ得点するかを考えたときに、オーバーワークになってしまう可能性もあります。したがって、使用する際には、自分の志望校と実力に合わせて、どこまでやるかを考えて使用しましょう。ちなみに、個人的には、総合問題は、取り組む必要はないと考えています。
取り組まなくてもよい問題番号
参考までに、すぐには取り組まなくてよい問題と、直前期に志望校を考えて取り組むべきかどうかを考える問題にわけました。良ければご活用ください。
・すぐには取り組まなくてよい問題
54番・55番・61番・78番・79番・106番・107番・110番・134番
137番・146番・163番・164番・206番・209番・210番・241番
242番・258番
・直前期に志望校を考えて取り組むべきかどうかを考える問題
45番・47番・80番・93番・145番・176番・177番・178番
211番・212番・231番・234番・236番・246番・247番・257番
まとめ
「化学重要問題集(重問)」は、入試化学の問題が網羅されている素晴らしい問題集です。
しかし、
・有機化学の脂肪族化合物まで習った方
かつ、
・理論化学の教科書レベルの問題は解ける方
でなければ、手をだすべき問題集ではありません。ただし、解くべき問題を選んでくれて抜けている基礎事項を解説してくれる先生と一緒に解き進めるなら上記条件を満たしていなくても使用しても大丈夫です。
重要な入試問題が網羅されているので、基礎事項の確認と、入試問題がどのような問題であるかをつかむのに最適です。ただし、難しすぎる問題もあるので、使用する際には、自分の志望校と自分の化学の目標点を加味して取り組むようにしましょう。そうすれば、無駄なく合格点に届く実力がつくことを保証致します。
具体的な問題集の取り組み方については、他の記事で紹介していますので、ぜひ、参考にしてください。
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