実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方

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 実力をつけるために問題集に取り組んでいる人は多いと思います。きっとあなたも何らかの問題集に自主的に取り組まれていることでしょう。

 しかし、塾の現場で生徒さんたちを見ていると、問題集の使い方がまずい人が多いです。

 本日は、「問題集のトリセツ」と題し、効果的な問題集の使い方を11個ご紹介致します。本取扱説明書をよくご覧の上、問題集をご使用ください。

トリセツ1)目的を見失わないこと

 問題集をやる上で最も大切なことは、問題集をやる目的を忘れないことです。「問題集は何周すればいいですか?」というご質問をよく受けますが、その人たちは、目的を見失っています。問題集をやる目的は、「できるようになる問題を増やすこと」です。

 決して、「何度も繰り返すこと」でも、「きれいにまとめること」でも、「ボロボロになるまで使うこと」でもありません。逆に言えば、これらをしなければならないと思っていたり、これらをすることに満足感を得ていたら、目的を見失ってくる可能性があるため、注意してください。

 ちなみに、問題集を何周やるかについては、過去記事「問題集・参考書は何周すればいい?医学部受験のプロがRPGから答えを導いた」で詳しくご紹介していますので、そちらも合わせてご覧ください。

「問題集・参考書は何周すればいい?医学部受験のプロがRPGから答えを導いた」

トリセツ2)あなたの実力にあった問題集を選ぶこと

 「どのように問題集を使うか?」よりも、実は「どの問題集を使うか?」の方がはるかに重要です。あなたにベストな問題集はあなたの今の実力によって違うからです。その点を見失い、誰もが成績が上がる魔法のような問題集があると信じている方が多いです。

 では具体的にどんな問題集を選べばいいか?ですが、次の2つの基準で問題集を選ぶことをお勧めしています。

 ・独学でやる場合は、6~7割解ける問題集

 ・授業で講師と一緒にやる場合は、4~5割解ける問題集

 です。「6~7割できる問題集だと効果が薄いのでは?」と思われる方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。毎回復習する量が多いと、問題集をやるたびに、新しいことが増えるので、定着率が悪くなります。逆に言えば、授業で扱ってもらう場合は、何がポイントかも教えてくれるので、4~5割解ける問題集が最適です。「教えてもらうのだから、ほとんど解けない問題集でもいいのでは?」と思われる方もいるかもしれませんが、その場合は、授業で教える内容が多すぎて、進むスピードが遅くなるので、4~5割がベストです。

トリセツ3)続けられる問題集を選ぶこと

 さきほどご紹介した問題集の選び方について、独学なら6~7割できる問題集を選ぶことをお勧めしました。お勧めした理由として、復習の量を理由に上げましたが、実はもう1つ大事な要素があります。それは、モチベーションです。

「できない」が続くと、だんだんモチベーションが下がっていきます。その点、6~7割できる問題集であれば、できる問題の方が多いので、モチベーションは下がりません。むしろ、できないことに対してマイナスイメージを持たず、「あれ?この問題できなかった。おかしいな」と思いながら進めることができます。

どんなに優れた問題集でも、継続的に進めることができなければ意味がありません。こなすことができる問題集を選びましょう。

ちなみに、問題集を継続的に使う上で、問題集のレイアウトも意外に大切です。テンションが上がるデザインや、納得のできる説明、自分にあった本文の書き方の方が継続できるので、あなたの好みにあった問題集を選びましょう。

トリセツ4)どれだけの時間が必要か考えること

 問題集が決まったら、次はどのように進めるかです。進める上で大切なのは、どれくらいの時間がかかるか?もしくは、どのくらいの時間をその問題集にかけることができるか?です。

 全てをやったら完璧になるとしても、受験当日までに間に合わせることができなければ意味がありません。自分に残された時間から逆算して、何をどれくらいの時間でやることができるか?いつまでに、何ができるようになりたいか?を考えた上で問題集に取り組みましょう。

トリセツ5)全てやらなければいけないという呪縛から開放されること

 「問題集を何周やった」という言葉に代表されるように、問題集は全てやらなければいけないと考えている人が多いです。

 しかし、そんなことはありません。目的が達成されたらいいわけですから、全てをやる必要はありません。むしろ、できることがわかっているのに、時間をかけて問題を解くのは、貴重な時間を失うので無駄ですらあります。

実際、私(石戸)は、5年の浪人の間に、数百冊は問題集・参考書をやりましたが、全てやったものは10冊もないと思います(数百冊と言っても驚かないでください。ほとんど、数問しか手をつけていないので 笑)。きっと、あなたもそうではないでしょうか?自信を持って全て取り組んだ問題集って数えるほどしかないのではないでしょうか?

 問題集は全てやる必要はありません。あなたが目指す医学部で多く出題される問題、医学部受験で頻出な有名問題から取り組んでいき、できるようになる問題を増やせばそれでいいのです。

トリセツ6)解いた日の日付を問題集に書くこと

 問題集をやる目的は「できるようになる問題を増やすこと」です。この目的から考えると、できない問題については、できるようになるまで繰り返しやる必要があります。

とはいえ、毎日、毎日やると、覚えているからできるとなる可能性があるので、解いた問題については、日付を記入し、時間をおいてもう一度解き直しましょう。もちろん、解き直したときの日付も記載しておき、まだできていないようであれば「again」などの日付をつけておくとよいでしょう。

トリセツ7)問題集には解いた日付以外の情報は書き込まないこと

 問題集に計算式や答えなどを書き込む人がいますが、それは効果を半減させるのでやめたほうがいいです。なぜならば、できない問題に再度取り組んだときに、自分が書いた文字を見て、「あーこの問題だった」と思い出すことや、計算式を見て、この計算式を立てる問題だと思い出す可能性があるからです。

 もちろん、書き込み型の問題集など中には、問題集自身に書き込んだほうが効率が良い問題集もあるでしょう。その場合は、同じ問題集をもう1冊買って、取り組んだ日付を書き、できなかった問題にチェックをつける復習専用の問題集として使いましょう。

トリセツ8)1問あたり最大何分までかけるか制限時間を設けること

 よく、思考力を養うためにじっくり1つの問題を考えるというものがありますが、それは、かなり高度な問題のみ有効です。例えば、国際数学オリンピックでは、4時間30分の制限時間で3問です(4時間30分数学って想像しただけで恐ろしいですね 笑)。1問当たりの時間は1時間30分。逆に言えば、どの問題も数十分では解けない問題なのでしょう。このレベルの問題になれば、じっくり考えることで思考力が養われることでしょう。

 しかし、じっくり考えることで思考力が養われるのは、全ての基礎事項が身についている人が、典型的でない難しい問題に取り組むときのみです。残念ながら、医学部受験では、標準問題がほとんどなので、思考力が問われる問題に取り組むべきではありません。したがって、じっくり時間をかけて考える問題には取り組むべきではありません。数学・物理・化学に関して言えば、最大でも考える時間は20分です。20分かけてもわからなければ、解くためのツールが不足しているので、答えを見るべきです。

 ちなみに、標準問題については、医学部受験と東大受験を比較しながら、説明している過去記事があるので、よければご覧ください。

 過去記事:医学部は東大より難しい!?医学部数学と東大数学の違いから考察してみた

トリセツ9)必ず書いて考えること

 考える上で大切なことは「書く」ことです。問題集の解答を見ると、わかった気になりますが、本当にわかっているかを書いてチェックしましょう。

最善の方法は、類題を探して、できるかどうか何も見ないで解いてみることです。

とはいえ、なかなか類題を探すことが難しいでしょう。その場合は、何も見ないで、もう一度、同じ問題でいいので答案を作成しましょう。「同じ問題?」と思われるかも知れませんが、案外同じ問題でもできない人は多いです。ぜひ、何も見ないで手を使って解いてください。

トリセツ10)できなかった原因を考えること

 これは、かなりレベルが高いことですが、習慣化すると絶大な効果を発揮します。それは、できなかった理由を言語化すること。「わからない」となって「答えをみた」わけですが、なぜ「わからない」となったのでしょうか?それを言語化して、答えのところに書いておきましょう。

 公式を忘れていた。公式が使える形だと気づかなかった。公式の意味を勘違いしていた。計算間違いをしていた。問題文の条件を見落としていた。など

 できなかった理由は様々です。その原因をかいておき、メモをしておけば、再び解き直したときに、以前できなかったことができるようになっているかチェックできます。解き直したときに、つまづいたポイントをクリアできていたら、成長している実感が湧くのでお勧めです。

トリセツ11)関連する問題・情報をチェックすること

 ここまでいくと、もはや問題集マスターです。問題集を使う目的は「できるようになる問題を増やすこと」でした。解きながら、関連する項目までチェックできたら、一石二鳥の問題集の使い方ができますよね。

 例えば、例えば、化学で「塩化ナトリウムに濃硫酸を加えると、塩化水素と硫酸水素ナトリウムができる」という反応式を扱ったとしましょう。この問題を解いて、

「他にはどんな反応によって塩化水素ができるか?」

「ここでの濃硫酸の働きは何であるか?他にどんな性質があったか?」

「塩化水素の性質はどんなものがあったか?」

なども合わせてチェックできれば、この化学反応式だけでなく、濃硫酸や塩化水素に関する知識が固まって、取り組む前と後で成長を実感でき、大きな自信を持つことができます。

 このように、問題集に取り組むことで、ある分野を見つめ直す契機にすれば問題集をもっと活用できるのでお勧めです。

(注)契機(けいき):きっかけ

   辞書的な意味は、「変化・発展を起こす要素・原因・きっかけ」

まとめ

 問題集を効果的に使い、実力をつけるための11個の方法をご紹介致しました。

方法をまとめると、次の11個です。

 

トリセツ1)目的を見失わないこと

 問題集をやる目的は、「できるようになる問題を増やすこと」です。

必ず目的を忘れないようにしましょう。

 

トリセツ2)あなたの実力にあった問題集を選ぶこと

 ・独学でやる場合は、6~7割解ける問題集

 ・授業で講師と一緒にやる場合は、4~5割解ける問題集

 を選びましょう

 

トリセツ3)続けられる問題集を選ぶこと

 どんなに優れた問題集でも、継続的に進めることができなければ意味がないです

問題集のレイアウトも意外に大切です

 

トリセツ4)どれだけの時間が必要か考えること

・何をどれくらいの時間でやることができるか?

・いつまでに、何ができるようになりたいか?

を考えた上で問題集に取り組みましょう

 

トリセツ5)全てやらなければいけないという呪縛から開放されること

 あなたが目指す医学部で多く出題される問題、医学部受験で頻出な有名問題から取り組んでいきましょう

 

トリセツ6)解いた日の日付を問題集に書くこと

解いた問題については、日付を記入し、時間をおいてもう一度解き直しましょう

 

トリセツ7)問題集には解いた日付以外の情報は書き込まないこと

 復習の効果が半減するので、問題集には解いた日付以外基本的には書き込まないでおきましょう

 

トリセツ8)1問あたり最大何分までかけるか制限時間を設けること

 1問当たり解く時間を決めておきましょう

数学・物理・化学に関して言えば、最大でも20分をお勧めします

 

トリセツ9)必ず書いて考えること

 何も見ないで、もう一度、同じ問題でいいので答案を作成しましょう。

 

トリセツ10)できなかった原因を考えること

 なぜ「わからない」となったのでしょうか?それを言語化して、答えのところに書いておきましょう。

 

トリセツ11)関連する問題・情報をチェックすること

問題集に取り組んだ時は、関連する問題・情報をチェックして、その分野を見つめ直す契機にしましょう。

 

 上記の取扱説明書に従いながら問題集を使いましょう。そうすれば、今よりも、もっと効果的に問題集を使うことができ、あなたの成績は上がっていくでしょう。なお、本取扱説明書には、保証書が付いております。万が一、上記の取扱説明書にしたがっても効果が出ない場合は、ご相談ください。

 

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