「やさしい理系数学」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方
医学部受験で勝ち抜くには、わかりやすい授業を受けることに加えて、いかに自主学習時間を効果的なものにするかが鍵となります。
自習の時間を効果的なものにするためには、2つのポイントがあります。それは、
- 「自分にあった教材を選ぶこと」と
- 「効果的に教材を使うこと」です。
ここでは、「やさしい理系数学」(河合出版)について、どんな人が使うと効果的か?また、どのように使えば効果的か?の2つについて紹介していきます。
※ このサイトでは、医学部受験を勝ち抜いた成功者の人の意見をもとに参考書・問題集を勝手に評価する通称「医シュラン」をつくっています。ぜひ、自主学習の参考書・問題集に役立ててください。
「やさしい理系数学」は実は易しくない!
「やさしい理系数学」は、河合出版から出ている問題集で、「ハイレベル理系数学」と2つのシリーズからなる問題集です。タイトルを見ると「やさしい」と書かれているので、医学部受験を考えている現役生・高校生の方であれば、『自分は、医学部を目指しているんだから「やさしい理系数学」ではなく、「ハイレベル理系数学」だな。うん。』と思い、「ハイレベル理系数学」を選ぶ人もいると思います(実際、私もそうでした)。
ところが、「ハイレベル理系数学」は死ぬほど難しいです。ただの難しいではありません。死ぬほど難しいです(笑)ですから、「ハイレベル理系数学」は、かなり数学が得意な人以外は手を出さないようにしましょう。普通の人が手を出すと、心が折られます。
では、「やさしい理系数学」はどうなのでしょうか??「ハイレベル理系数学」が死ぬほど難しいことからわかるとおり、、、タイトルとは違って、この「やさしい理系数学」も全然易しくないです。「やさしい理系数学」は実際の入試問題で出題される差がつく問題が数学ⅠAⅡBⅢの分野ごとに掲載されています。問題数は、例題50問、演習問題150問の計200問からなります。
(追記)2020年9月
旧版では演習問題の数が130問でしたが、
新版では150問となっていました。上記訂正させて頂きます。
「やさしい理系数学」の3つの特徴
「やさしい理系数学」は適切な時期に適切なレベルの人が使うと思考力が身につく素晴らしい問題集です。逆に言えば、使用時期や自分のレベルを間違えると効果がかなり薄い問題集とも言えます。なぜ、そういえるのか?
それは、この問題集が次の3つの特徴を持っているからです。
- 特徴1 分野を横断した問題が豊富に掲載されている
- 特徴2 別解が豊富に掲載されている
- 特徴3 典型的でない形で頻出問題が掲載されている
この3つの特徴のため、市販の問題集の中で、最も効果的に思考力がつく問題集といっても過言ではないといえる良質な問題集となっています。それでは、具体的にそれぞれの特徴がどんなもので、どのような使い方が良いかをお伝えします。
「やさしい理系数学」はどんな人にオススメ??
結論から言うと、上記の3つの特徴ゆえに、「やさしい理系数学」は次の2つの条件を満たした方が使うと思考力がつく優れた問題集です。
- 条件1 数学の全分野を学習していること
- 条件2 典型的な数学の問題が解けること
逆に言えば、上の2つの条件を満たしていない方が使うと効果が薄いため、使用をおすすめしません。それでは、なぜこの2つの条件を満たしていると効果的なのかの理由を本問題集の特徴を上げながら説明していきましょう。
「やさしい理系数学」の特徴1:分野を横断した問題が豊富
「特徴1 分野を横断した問題が豊富に掲載されている」について
通常、数学の問題集の目的は、習った分野の知識を正しく使えるようにすることです。理論を習って「わかった」としても、それが「使える」かどうかは別ですよね。例えば、スポーツで正しいフォームを習っても、すぐに正しいフォームができるようにはなりませんよね。だからこそ、何度も何度も素振りをやって「わかった」ことを「使える」ようにしているのです。これは、勉強における問題集の使い方でも同じです。
学校で習い、「わかった」内容について、それを正しく使えるようにするために、問題集があります。したがって、その目的から多くの問題集は、一つの分野だけからなる問題で構成されていることがほとんどです。例えば、「図形と式」の章では、「図形と式」の問題のみから構成されている問題集がほとんどです。
ところが、この「やさしい理系数学」では、一つの章で一つの分野で問題が構成されていません。例えば、「図形と式」(第4章)の章では、「図形と式」に加えて、「三角関数」(第5章)の内容や「ベクトル」(第9章)の内容も入っている問題が掲載されています。「やさしい理系数学」は、このように、一つの章に掲載されている内容は、その分野のみからなる問題ではなく、様々な分野にまたがった問題が掲載されています。だからこそ、数学の全分野を学習した上で取り組むことをおすすめしています。逆に言えば、この問題集では、様々な分野をからめた出題がされているので、各分野の整理ができるとともに、柔軟な思考力が身につきます。
「やさしい理系数学」の特徴2:別解が豊富
「特徴2 別解が豊富に掲載されている」について
私は現役生から5浪して合格するまで、実に100冊以上の数学の問題集に取り組みました(もちろん全ての問題に取り組んだわけではありません。途中辞めになったものも多々あります 笑)。その経験から申し上げると、本書ほど、別解が掲載されている問題集を見たことがありません。それくらい別解の量が豊富です。
別解の量が多いということは、思考力の養成に役立ちます。というのも、問題に取り組むとき、多くの人は、その問題が「解ける」か「解けないか」という基準で問題に取り組んでいます。だからきっとあなたも
- 少し考えて解けなければ解答を見る
- 解いてみて答えが求まったら解答を見る
のどちらかの方法で問題集を利用していることと思います。問題を読んで、いくつか解法が頭に浮かび、1つの問題に対して2つも3つも解答を書くことなんて普通はないと思います。
そう考えたときに、本書では、仮に問題が解けたとしても、別解が豊富に掲載されているので、あなたが解いた方法以外の解き方を見ることで、思考力を養うことができます。具体的には、別解を見て「なるほど!そういう考え方もあるのか!!」「この部分に着目するとこういう解き方もできるな」という考え方や発見ができます。ただし、このような思考力が養成できる段階というのは、条件2で記載したように、数学の力がある程度必要となります。典型的な問題の解き方が頭に入っていなければ、解答を理解するのがかなり大変で時間がかかるからです。また、別解は、様々な分野の方法を使った解き方が紹介されているため、別解を理解するためにも、全ての分野を学習している方が利用することが望ましいです。
「やさしい理系数学」の特徴3:非典型の頻出問題が豊富
「特徴3 典型的でない形で頻出問題が掲載されている」について
ところで、「やさしい理系数学」では、なぜ、これほど別解が多いのでしょうか?それは、もちろん筆者の数学力もあると思います。しかし、一番は、典型的でない問題を掲載しているからだと思います。見たことがない問題だから、答えに至るまでに、いろいろな考えの道筋が生まれるのではないでしょうか?だからこそ、思考力を養成するのにうってつけの問題集といえます。
中には、典型的でないなら、やっても意味がないのでは?と思われるかもしれません。そう思われた方は典型的でないの意味を、出題頻度が低い問題と捉えられているのだと思います。しかし、「やさしい理系数学」の問題は、そうではありません。「やさしい理系数学」では、「頻出問題」をコーティングして、見たことがない形にしているのです。
例えば、いくつかの文字条件が与えられて、ac+bdの範囲を求める問題があります。これは、解き方として3つの解法が紹介されています。1つ目は、「文字を消去する考え方」、2つ目は「関数としてみる考え方」、3つ目は、「内積として捉える考え方」です。3つとも考え方としては、よく利用する考え方であり、どれも頻出問題です。それを様々な条件が加わっていることで、何に着目するかを見えにくくしており、着目できる要素が豊富にあるため、解答の選択肢を広げています。
このように、見たことがない問題として、出題されていますが、重要な項目が詰まっている頻出問題を掲載していることが本書の3つ目の特徴です。逆にいえば、典型的な問題を一通り解くことができない人は本書を使う前に典型的な問題の解き方からまずマスターした方がいいです。
まとめ
「やさしい理系数学」は、全然やさしくありません。
・全分野を学習した人
で、なおかつ
・典型的な問題が解ける人
でなければ手をだすべき問題集ではありません。しかし、上記の2つの条件を満たした人、具体的には、模試でいつも最後の問題だけが解けないというような人や見たことがない問題になると解けないという高3生・高卒生には、思考力が身につくのでおすすめです。別解を見ながら、何に着目すればその解法が生まれるのか?その解法に気づくことはできなかったか?を考えながら本書を進めていけば、数学の問題に対する見方が変わり、見たことがない問題でも自信をもってアプローチできるようになります。その頃には、数学の問題が「やさしい」と感じて頂けていると思います。今よりも高い数学力が身につくこと心よりお祈りしています!!
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