川崎医科大学の一般入試の数学の傾向と対策
川崎医科大学の数学は独特なマークシート形式が特徴的です。今回は、具体的な特徴を紹介し、対策法についてまとめます。
川崎医科大学の数学の試験形式・配点は?
川崎医科大学には、センター試験を利用した入試制度はありません。
川崎医科大学が個別に行う入試制度のみとなっており、次の3つにわかれています。
その3つは、推薦入試・一般入試・内部進学入試(附属高校生のみが受験資格を持つ入試)です。(各定員の目安は推薦入試20名、一般入試76名、内部進学生20~25名)その中でも、多くの方が受験される一般入試について特徴と対策をまとめていきます。
まず、一般入試は、第一次試験と第二次試験の合計により合否が決まります。
各試験の内容は、第一次試験では数学、英語、理科2科目、小論文を受験します。第二次試験では面接を受けます。このうち、第一次試験の合格判定は、数学、英語、理科の点数が使用されます。小論文は第二次試験の合格判定に使用されます。
続いて配点について見ていきましょう。
配点は、数学:100点、英語:100点、理科2科目:150点です。一方、小論文・面接は点数化されません。
理科は1科目に直すと75点満点となるため、点数比率としては、数学:英語:理科①:理科②=4:4:3:3となります。
この点で、私立大学の多くが数学:英語:理科①:理科②=4:4:4:4であることを鑑みると、川崎医科大学の理科の配点は低いといえます。
そのため、川崎医科大学は私立大学の中では、英語・数学が得意な人が有利な配点であることに注意してください。
数学の試験形式は、大問3つに対して制限時間は80分です。
各大問は2~5問の小問に分かれ、さらに各小問が2~5問の枝問に分かれている場合もあります。
小問集合のような一問一答ではなく、小問や枝問による誘導に従って、問題を解き進めていきます。
解答はすべてマークシート形式ですが、ここで一つお伝えしたいことがあります。
それは、マークシートの記入方法が特徴的であり、受験生に混乱を生じさせるような解答となることがあることです。
本記事では、これを「フェイクシート」形式と呼ぶこととします。
「フェイクシート」形式の具体的内容は、
・解答枠が分数の形になっていても、整数の答えとなるとなるときは分母を1として解答する(例えば、2が答えであるとき分数の解答欄で が解答となることがありえます)
・解答枠より少ない桁数で解答する場合は、右詰めにしてその前の桁を0で埋めなければならない(例えば、2が答えであるとき3桁の解答欄で002が解答となることがありえます)
というものであり、「解答上の注意」に記載されています。
センター試験のように、解答枠から正答を予測するような解き方は不可能なので、注意してください。
川崎医科大学の数学の問題の難易度と合格に必要な得点率は?
それでは、川崎医科大学の過去の合格最低点および各科目の難易度から、それぞれ何点を目指せばよいか考えてみましょう。
川崎医科大学の第一次試験の合格最低点は、350点満点中、
2017年度:222.5点 2016年度:241.3点 2015年度:245点 2014年度:234.8点
であるため、平均を取ると235.9点となります。
つまり、約67%がボーダーラインとなるため、合計で245点(70%)が目標点となります。
科目別では、数学が苦手な場合は、
数学:60点 英語:75点 理科2科目:110点
数学が得意な場合は、
数学:75点 英語:65点 理科2科目:105点
を目指して準備してください。
川崎医科大学の数学の難易度は?
数学は制限時間に対して計算量が多く、途中経過が見られないため部分点もありません。
さらに、レベルも基礎~標準的な問題が中心ですが、一部には難問も紛れています。
以上のことから、数学が苦手な受験生にとっては、高得点を狙うには厳しい問題構成となっています。
したがって、数学が得意な場合は数学で点を稼ぎ、数学が苦手な場合は英語で高得点を狙うのが基本的な戦略となるのです。
数学・英語のいずれも苦手な受験生は、川崎医科大学以外の大学を受験することも選択肢に入れた方がよいでしょう。
川崎医科大学の数学の頻出分野は?
川崎医科大学は多くの他の私立医学部とは異なり、小問集合は出題されません。
その代わりに複合問題が多いという特徴があります。
ここで、頻出テーマを【超頻出単元】、【頻出単元】、【要対策単元】に分けて紹介しましょう。
【超頻出単元】微分法・積分法
曲線と直線の交点の数、曲線や直線で囲まれた部分の面積、回転体の体積のいずれかは、ほぼ毎年出されています。
計算量が多いため、問題を解く際は必ず自身で最後まで計算を行い、計算練習を繰り返すことが重要です。
【頻出単元】図形を扱う問題
図形を扱う問題とは、具体的には、複素数平面、図形と方程式、三角比、ベクトル等を用いた、求積や角度計算の問題です。
図形を扱う問題とはいうものの、予め図が与えられないことがほとんどです。
そのため、問題文の内容を読んで図を描いて考える癖を日ごろからつけておくことも、この単元の対策となります。
特に、新課程対応の入試問題が導入された2015年度以降は、複素数平面が頻出であり、しっかりと準備をしておきましょう。
【要対策単元】三角関数、確率
この2つは、大問のテーマとして扱われるか、複合問題の一部として、近年複数回出題されています。
グラフや図形を扱う大問の出題割合が大きいことに伴い、相性の良い三角関数の出題頻度も高くなっていると考えられます。
お勧めの川崎医科大学の数学の対策方法
出典:『全国大学入試問題正解 数学(私大編)』(旺文社)
最後に、上記内容を踏まえたお勧めの対策法をお伝えします。
川崎医科大学の数学では複合問題が出題される可能性が高いため、12月中旬までは穴を作らない勉強を心掛けてください。
12月中旬以降は、
・過去問の分析
・問題集を使った頻出単元・苦手単元の対策
・過去問を使った演習
の3本柱で勉強を進めましょう。
出題傾向はすでに紹介した通りですが、その他の単元の出題歴や複合問題について、必ず過去問を見て自身の目で確認をしてください。
過去問の分析が終わった後は、その結果を基に、頻出単元や苦手な単元について問題集を使って対策をします。
個別試験直前期に全範囲を網羅的に勉強するのは非効率であるため、対策する単元はある程度絞ってください。
ただし、【超頻出単元】、【頻出単元】については必ず練習をしておきましょう。
【超頻出単元】の積分法についてはほぼ間違いなく、面積や体積の求積が出題されるため、計算スピードが本番の出来を左右するカギとなります。
模範解答を見て解き方を確認するだけではなく、自身の手で最後まで計算をやり切ることで初めて実力が付くことを忘れないでください。
もし特段苦手な単元がある場合は、【要対策単元】に優先して対策するのもよいです。
ここで気を付けていただきたいのが、川崎医科大学は私立ですが、入試問題は小問集合を集めたものではなく、センター試験の形式に近いという点です。すなわち、1つのテーマにそって、小問が続いていく形式で大問が構成されています。
よって対策するにあたっては、私立型の小問集合のような問題ではなく、センター試験の形式の私大の問題をなるべく使って練習してください。(センター試験の問題は数学Ⅲが入っていないため、私大の問題の方をおすすめします。)
12月中旬以降のお勧めの問題集は『全国大学入試問題正解 数学(私大編)』(旺文社)です。マーク形式の私大で計算量が比較的多い大学の問題で演習を行いましょう。
なお、中には、国公立と併願して川崎医科大学を目指す受験生もいると思います。
その場合は、センター試験終了から川崎医科大学の入試までの期間が一週間ほどと短いため、数Ⅲの勉強配分を考えて勉強の方法を工夫を行いましょう。
例えば、センター試験対策でマークシート形式をし、数学Ⅲは1日1題で良いので、私立大学のマークシート形式の数学Ⅲの問題を解くようにして、センター試験対策をやりながら、数Ⅲも忘れないようにすると良いでしょう。
とても大事な過去問演習
お勧めの対策法の3つ目に、過去問演習を挙げましたが、川崎医科大学の数学の対策においては非常に大きな意味を持ちます。
なぜなら、川崎医科大学の数学の試験形式は特徴的であり、過去問演習によってしかその特徴を掴むことができないからです。
できるだけ多くの過去問を用いて演習を行うことが、合格への一番の近道です。
過去問演習で意識すべき点は、
・時間配分の練習をする
・「フェイクシート」形式に慣れる
の2つです。
川崎医科大学の数学は計算力も問われており、制限時間に余裕があるとは言えません。
さらに計算力の向上に加えて、少し考えて分からなければ一度飛ばす等のテクニックも身に付けておきたいところです。
どのように解き進めれば、制限時間内により多くの問題を解答できるかを考えながら過去問に取り組んでください。
「フェイクシート」形式に関しては、過去に「フェイク」に対応しながら解答しなければならない問題も実際にありました。
独特なマークシートの形式に惑わされないように、問題用紙冒頭の「解答上の注意」もよく読み、「フェイクシート」形式に慣れておきましょう。
加えて、手に入る年度が全て終わってしまった場合は、『全国大学入試問題正解 数学(私大編)』(旺文社)で、 マーク形式の私大で計算量が比較的多い大学の問題で演習を続けてください。
まとめ
川崎医科大学の数学の傾向と対策法についてまとめると、
①制限時間80分、大問は3つ
②各大問2~5個の小問に分かれ、さらに2~5個の枝問に分かれる問題もある
③私立型の小問集合ではなく、大問ごとに小問の誘導に沿って解き進める形式
④数学の苦手な受験生は60/100点、得意な受験生は75/100点を目指す
⑤解答は独特な「フェイクシート」形式
⑥頻出単元は、
・超頻出単元…微分法、積分法
・頻出単元…図形を扱う問題
・要対策単元…三角関数、確率
⑦お勧めの対策法では、過去問演習が特に重要
の7点が重要なポイントです。
川崎医科大学の試験日程は、センター試験終了後1週間以内であることが多いです。
国立大学との併願等でセンター試験の受験予定がある場合は、志望度に合わせて勉強時間を割り振ってください。
また、事前に試験形式を把握できていないと、本番で焦ってしまうことが予想されます。
手に入る限り過去問を集め、どんどん解いて「フェイクシート」形式に惑わされないように練習を繰り返しましょう!
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