岐阜大学医学部の英語の傾向と対策

岐阜大学英語

今までの「岐阜大学医学部の傾向と対策」シリーズの記事でお伝えしてきた通り、岐阜大学医学部は最も倍率の高い医学部の一つです。言い換えれば、一つのミスが合否に直結することになります。一方で岐阜大学医学部の英語は安定して高得点を狙える問題構成となっています。  本日は、岐阜大学医学部の英語で安定して得点できる理由に触れ、傾向を分析したうえで、具体的な対策法を紹介します。

岐阜大学医学部の英語の試験形式・配点は?

岐阜大学医学部の入学試験の点数配分は、センター試験:800点、二次試験:1200点の計2000点満点です。国立大学医学部の中では、比較的二次試験の比重が大きいといえます。

 

各試験の科目とその配点は、

【センター試験】

国語:100 社会:100 数学2科目:200 理科2科目:200 外国語:200

【個別試験】

数学:400 理科2科目:400 外国語:400

であり、センター試験の国語が1/2に圧縮されていることが分かります。

 

 二次試験では面接も課されますが、点数化はされず、アドミッション・ポリシーに適合しない場合は、総得点に関わらず不合格になります。

 

 岐阜大学医学部で最も特徴的なのが、特に前期試験の募集人数が32人と少ない点です。対して志望者は例年300人を超え、国公立医学部の中では最高の倍率となっています。

 さらに二次試験の比重の高さとも相まって、センター試験で失敗した高偏差値帯の受験生が志望校を変え、流入してくることも考えられます。

岐阜大学医学部を志望する場合には、受験年度のセンター試験の難易度等も考慮したうえで、慎重に出願した方がよいでしょう。

 

 その中で岐阜大学医学部の英語は、平成27年度以降、応用生物科学部共同獣医学科と共通の問題となっています。注意しなければならないのが、近年、出題傾向が激しく変化している点です。

 平成27年度までは、

大問1で文法・語法問題及び中程度の分量の英文を扱う読解問題

大問2で長文読解

大問3で指示内容に沿った和文英訳

が出題されていました。

しかし、平成28年度には大問が二つになり文法・語法問題と読解問題に分かれ、

それ以降は

大問1が文法・語法問題

大問2、3が長文読解というセットになりました。

 

 制限時間は90分ですが、平成29年度から長文読解の英文の長さが激増しています(1題当たり1000語以上)。平成28年度からは、設問の指示も英語で記載されるようになっていることも併せて考えると、英語を読むスピードが遅いと答案作成に充てられる時間が十分に取れない問題量です。英文を逐語的に訳していくのではなく、左から右に読み進めて概要を掴む能力が不可欠です。

 

 出題内容は単文中あるいは長文中の空所補充や同義語の選択問題、長文の内容正誤等であり、選択肢で解答する問題の割合が他の国公立大学と比較すると多くなっています。

 特に下線部和訳や読解問題で定番の理由・内容説明といった論述問題及び自由英作文の出題歴がない点は、岐阜大学医学部を志望するのであれば必ず押さえておきましょう。

 

 変化が激しいので不安になられている方もいらっしゃっるかもしれません。もちろん、今後も出題内容が変化する可能性はあります。しかし、必要以上に不安になる必要はありません。なぜならば、長文読解の問題自体には大きな変化が見られないからです。文法・語法問題及びこれまでの岐阜大学医学部の英語の長文問題への対応力を強化していけば、安定した高得点が可能です。したがって、文法・語法問題および長文読解問題に対する対策がメインの勉強になります。

岐阜大学医学部の英語の問題の難易度と合格に必要な得点率は?

次に過去の合格最低点や科目ごとの難易度から、岐阜大学医学部の英語では何点を目指せばよいかを考えてみます。

まず合格最低点について。平成30年度:1507.60点、平成29年度:1582.70点、平成28年度:1553.00点です。したがって、1600点あれば合格安全圏といえます。

ここでセンター試験において800点中680点(85%)を取れたと仮定すると、個別試験では1200点中920点以上取ることが必要となります。

これを踏まえて各教科の難易度から、それぞれ何点ずつを目標点とすべきかを考えると、

数学:320点 理科:320点 外国語:280点

を取ることで、二次試験の合計で920点となり、合格点に達することができます。

 

 英語は400点満点なので7割を得点すればよいことになります。一般的に国立大学医学部の英語では、極端な高得点を取ることは難しく一定の点数に収束する傾向があります。ただし、岐阜大学医学部ではすでに述べた通り、安定して高得点を目指すことが可能です。

 その理由は問題構成にあります。国公立医学部の多くは、英語で論述問題や自由英作文、要約といった記述量の多い問題が中心の問題構成となります。反対に、岐阜大学医学部は文法・語法問題が大問として出されるのに加えて、長文読解においても空所補充や選択式の設問がほとんどを占めます。すなわち、自身の知識を一対一で対応させることで解答を導くことができるのです。

 

 文法・語法の知識をきちんと固め、適切な英文の読み方ができれば、上記目標は難なく達成できるでしょう。

 なお、選択肢の記号は大問によって、アルファベット、数字、ひらがなと異なっている場合もあるので、解答に際しては細心の注意を払ってください。こういったミスは悔やんでも悔やみきれません。

岐阜大学医学部の英語の出題傾向は?

続いて、岐阜大学医学部の英語の出題傾向を見ていきます。

 

【文法・語法問題】

 例年、大問1で文法・語法問題が出題されます。単文中の空所に当てはまる単語を語形変化させて(受動態、進行形、助動詞の付加等)答えるもの、イディオムを選択するもの、会話文中の空所に入れるのに適した語句を選択するものが頻出です。加えて、誤った語法を含む文章を選ぶ問題も出されるのが特徴的です。知っている単語やイディオムの量を増やし、進行形や完了形の使い方や助動詞の持つ意味は、問題演習をとおして細部まで網羅しておきましょう。

 

【長文読解】

 長文読解でも空所補充が頻出ですが、文法・語法問題とは異なり、文章の流れをくみ取る必要があります。その他にも、文中の単語・イディオムの同意表現や定義の選択、脱文挿入、語句整序、内容正誤の問題が見られます。内容正誤問題は、T(True)、F(False)だけでなくN(not given)も答えさせるようになっているため、やや難易度が高くなります。

 長文で扱われる文章は、自然科学に関する内容が多いです。とはいえ、専門性の高い文章は見られないため、特別に背景知識を勉強する必要はありません。

 

【和文英訳】

 ここ数年は出題されていないため、今後も出題可能性は低いと予想されます。しかし、2015年度までは出題されていたため、まったくノータッチで本番に臨むことは避けるべきです。岐阜大学医学部の英語の和文英訳は、自由度がかなり低く、設問の指示に従って書かせるパターンがほとんどです。これまで、設問に指示のあるワードを使って書かせるもの、語句整序の形になっているものの出題歴があります。二次試験直前期に和文英訳の対策に多くの時間は割けませんが、それまでは問題集を使って練習をしておいた方がよいでしょう。

長い英文が出題された場合の対応

さて、岐阜大学医学部の英語の読解問題では、平成29年度から非常に長い英文が出されるようになったことは、既にお伝えしたとおりです。

 こういった文章に出くわした時に、対応法を間違えると、解答にかけられる時間が足りなくなり、大変なことになります。それでは、どのような対応をするのが正解でしょうか?

 

そもそも一つ一つの文を訳して読み進めていくと、とてもではありませんが時間内に問題を解ききることはできません。

また、あまりに文章が長いと読み終わった後に問題に取り掛かっても、「あれ?どこに書いてあったっけ?」といったこともしばしばです。

 

そこで、岐阜大学医学部の英語の対応で重要なのが、

①左から右に文章を読める能力

②初めに設問にざっと目を通す

の2つです。

①の「左から右に」というのは、「英単語の並び順に読み進めて」いくということです。精読する際には修飾関係や節や句の分別等、文を行ったり来たりして分析しますが、すべての文章にそれをするのはナンセンスです。設問の解答に必要な部分だけにしましょう。

その時に重要なのが、②事前に設問をチェックすることです。あらかじめ設問内容が分かっていれば、文章を読みながら「ここは精読が必要だ!」といった具合にメリハリを付けながら長い文章を読むことができるのです。

 

慣れないうちは、左から右に英文を読むだけでは、文の意味を取ることは難しいかもしれません。しかし、練習を繰り返せば必ずできるようになります。普段の勉強の時から左から右への流れを意識するか否かで、最後には大きな差がついているということを忘れないでください。

お勧めの岐阜大学医学部の英語の対策方法

最後に以上を踏まえた、岐阜大学医学部の英語の勉強法をまとめます。

 

第一にセンター試験前までは、英語の全体的な基礎力を付けることを目的として勉強します。具体的にすべきことは、単語、文法、和文英訳、読解に分かれます。

 

単語は単語帳に繰り返し取り組みましょう。岐阜大学医学部の英語では、単語の知識のみで解くことのできる設問も多いため、単語力は重要な要素です。漫然と単語とその意味を読むのではなく、例文をとおして覚えるのが暗記のコツです。

この点でお勧めの単語帳は、『速読英単語 必修編』『速読英熟語』(Z会出版)です。各章に文章が掲載されており、単語の説明欄にも派生語や類義語といった情報があるため、効率的に暗記ができます。これらを完璧にすれば、岐阜大学医学部の英語には十分対応可能です。

 

文法、和文英訳、読解については問題集を用いて練習を行います。特に岐阜大学医学部の英語では、文法事項が非常に大切です。覚えることが多いため、「参考書等で暗記する」→「問題集で確認をする」、のサイクルで、記憶を定着させましょう。とはいえ、文法事項の習得に時間をかけすぎると全体的な時間が足りなくなるため、「毎年出る!頻出 センター試験英文法・語法」などの薄い問題集を扱うことをお勧めします。また、長文読解問題については、語数が多い問題集「やっておきたい英語長文1000」などに取り組みましょう。ただし、速く読むことができない場合は、まず、短い語数(300~500語)を速く読むトレーニングから始めることが必要です。あなたに、どのレベルの問題集が適切かは、学校や塾・予備校の先生に相談して決めるのがベストだと思います。

より詳細な問題集の使い方は、過去記事「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」を参考にしてください。

 

次いで、センター試験終了後からは、

・過去問の分析

・過去問を使った実戦演習

・問題集を用いた文法・語法事項の総復習

を行いましょう。

 

 入試問題の傾向は本記事でもお伝えしていますが、今一度ご自身の目で確認をしてください。どのような問題が出題されているかを意識することで、残り1カ月ですべきことが明確になります。

 

 その後、過去問により実戦的な演習をします。この際、必ず時間を計り問題に臨みましょう。岐阜大学医学部の英文の分量は多いため、これまでに培った左から右に読んでいく技術の重要性を実感してください。

 もし、過去問が足りなくなった場合は、他の大学の過去問に挑戦するのもよいでしょう。できるだけ岐阜大学医学部の問題形式や難易度に類似したものがよいですが、国公立大学の多くは記述型の問題が多いため、私立医学部の過去問から探すのが早いと考えられます。

 

 これらと同時並行で、これまでに使ってきた文法・語法の問題集を用いて、最後の総復習をしましょう。ただ、残り1カ月で丸々1冊をこなすのはかえって効率が悪いため、センター試験までの勉強で、センター試験の英文法・語法の勉強をすることで岐阜大学の英文法の勉強も行うイメージで、センター試験前に問題集に取り組みましょう。その際に、苦手な分野を洗い出しておくと、センター試験後から二次試験までの1ヶ月で効率よく文法・語法の復習ができるのでおすすめです。

 さらに語句整序は国立型の試験対策をしていると、手薄になりがちなので、点数が伸びない場合はセンター試験用の問題集等を活用して対策しておきましょう。

 

 和文英訳や自由英作文の出題の可能性は低いので、よほど余裕がない限りはこの時期に対策を行う必要はありません。

 

 全体を通して言えば、センター試験前までに、英文法・語法・語句整序の対策をセンター試験と岐阜大学合わせて行い、二次試験では、長い英語長文にバリバリ取り組むのが岐阜大学の対策として効果的です。他の教科とのバランスを考えて余裕があれば、英文法・語法や和文英訳や自由英作文にも取り組むというイメージで対策を行いましょう。

まとめ

岐阜大学医学部の英語の傾向と対策法のポイントは、

①出題形式は近年変化が激しい

②直近の傾向からすると、大問3つに対して制限時間90分となる可能性が高い

③大問1で文法・語法問題、大問2、3で読解問題が出題される

④目標点は280/400

⑤長文読解の文章が長いため、左から右に読んで概要を把握する練習が重要

⑥センター試験までは、単語、文法、和文英訳、読解の基礎力をつける

⑦センター試験終了後は、

・過去問の分析

・過去問を使った実戦演習

・問題集を用いた文法・語法事項の総復習

を行う

の7つが重要なポイントです。

 

 岐阜大学医学部の英語の試験問題からすると、記述力ではなく、確実な文法・語法の知識を重要視していることは明らかです。設問自体も選択式が多く、勉強した分だけ点数に反映される内容とも言えます。

 英語が得意な受験生であれば、280点以上を目標としても十分狙うことができます。焦らずに、基礎を疎かにせず、時間をかけて文法・語法の力をつけていってください!!

 

本記事内で登場した過去のオススメ記事

「岐阜大学医学部の数学」

 

「岐阜大学医学部の物理」

 

「岐阜大学医学部の化学」

 

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