「1対1対応の演習」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方
医学部受験で勝ち抜くには、わかりやすい授業を受けることに加えて、いかに自主学習時間を効果的なものにするかが鍵となります。
自習の時間を効果的なものにするためには、2つのポイントがあります。それは、
「自分にあった教材を選ぶこと」と
「効果的に教材を使うこと」です。
ここでは、「1対1対応の演習」(東京出版)について、どんな人が使うと効果的か?また、どのように使えば効果的か?の2つについて紹介していきます。
※ このサイトでは、医学部受験を勝ち抜いた成功者の人の意見をもとに参考書・問題集を勝手に評価する通称「医シュラン」をつくっています。ぜひ、自主学習の参考書・問題集に役立ててください。
数学オタク御用達!?
皆さんは「大学への数学」という月刊誌をご存知でしょうか?恐らく医学部受験を考えている人であれば、一度は耳にしたことがある雑誌だと思います。「大学への数学」は創刊から50年以上という歴史のある雑誌で、非常にレベルの高い内容を扱っていることで有名です。同誌の人気コーナーである学力コンテストでは、東大や京大といった難関大学を目指す受験生の中でも、さらに数学を愛してやまない数学オタクたちが自慢の解法を披露しあっています。
さて、実は今回ご紹介させて頂く「1対1対応の演習」も出版元は同じです(東京出版)。同じ出版元ということもあって、やはり編集者の数学への愛情を感じられる内容となっています(笑)このように聞くと読者さんの中には、「数学オタクじゃないし手を出すのをやめておこう…」と考える方もいらっしゃることでしょう。
しかしご安心ください。「1対1対応の演習」は確かに取り組むには骨が折れますが、医学部受験生にとっても大いに役立つ問題集です。
ここでは「1対1対応の演習」について特徴をまとめ、どんな人におススメか?をお伝えしたいと思います。
1対1対応の演習の問題数は?
「1対1対応の演習」は、数学Ⅰ・数学A・数学Ⅱ・数学B・数学Ⅲ(微積分編)・数学Ⅲ(曲線・複素数編)の6冊に分かれています。
それぞれに収録されている問題数は、
数学Ⅰ…53問 数学A…54問 数学Ⅱ…83問 数学B…59問
数学Ⅲ(微積分編)…75問 数学Ⅲ(曲線・複素数編)…36問
であり、他の網羅型の問題集と比較すると分量は決して多くはありません。
ただし、掲載されている問題の1題1題は機械的に解答できるものはほとんど見られず、一筋縄ではなかなかいきません。したがって、問題数だけで、「1冊50問なら余裕。すぐ終わらせることができるわ」などと判断して安易に手を出すと失敗します。これから、本問題集がどんな方に適しているかを説明させて頂きますので、本記事を参考にして自分に合うかどうか考えてみてください。
1対1対応の演習の構成は?
続いて「1対1対応の演習」の構成を見てみましょう。
構成は各分野ごとに、大きく分けて次の3つの項目からなります。
PART1:基礎事項・基礎公式のまとめ
「1対1対応の演習」は分野ごとに章が分かれており、章の初めに基礎的事項や基本的公式がまとめられています。しかし記載はとても簡素で、初学者がこれらを読んで勉強するには物足りません。基本的には、見なくても良いですが、一通り数学の勉強をした後で、ざっと確認するために利用しても良いでしょう。
PART2:重要例題+練習問題
以降は重要問題の例題が掲載されており、基本的に1ページに例題とその解説+練習問題が1題ずつという構成になっています。例題の解説にはポイントとなる事項に言及されているので、練習問題でその解法を使えるか確認していく形で進めていきましょう。
章の末尾には練習問題の解答・解説が載っています。もし練習問題で解けないものがあれば、ここで見直した後、少し期間を空けて再度解き直すようにしてください。
PART3:ミニ講義
他にも章と章の間には、ミニ講義と題してコラム形式でより理解を深めることのできるような解法や知識が紹介されています。一部の数学オタクしか使わないような内容も見られますので、見なくても問題ないです。しかし、数学が好きな方であれば、好奇心をくすぐること間違いなしなので、ぜひ活用してください。さらに解答の引き出しが増えることでしょう。
「1対1対応の演習」の3つの特徴
ここまで中身の難しさばかりを強調してしまいましたが、いよいよ医学部受験生にとってどんなメリットがあるかをまとめていきます。
医学部受験生にとってもメリットがあるのは、「1対1対応の演習」が、次の3つの特徴を持っているからです。
・特徴1:問題の難易度や目標時間が記載されている
・特徴2:大学の過去問を扱っている
・特徴3:問題ごとにタイトルが設定されている
「1対1対応の演習」はどんな人におススメ?
3つの特徴があるとはいえ、医学部受験を目指している全員におススメの参考書かと聞かれれば、答えは「ノー」と言わざるを得ません。すでにお伝えしているとおり、扱う問題は大学の実際の過去問やその改題であり、難易度も高いです。東大や京大等の難関大学が出典元の問題もあります。また、解答が非常に簡素な点も要注意です。計算の途中も省略されていることがあるため、初学者や数学が苦手な方がこの問題集に取り組んでも、時間ばかり浪費して身につく知識は少ないでしょう。
以上のことから、「1対1対応の演習」を使うべきなのは、
・一度その分野を習っており、かつ数学が得意で、さらなるステップアップを目指す現役生
・基礎が完成していて計算力も高い医学部受験生
のいずれかです。
それでは「1対1対応の演習」の各特徴をもとに、効果的な活用法を見ていきましょう。
特徴1:問題の難易度や目標時間が記載されている
まず第1に問題ごとに難易度や解答の目標時間が記載されている点が挙げられます。難易度はA(基本)~D(難問)にランク付けされており、目標時間は独自の記号により5分単位で分類されています。細かい使い方は本書のはしがきにまとめられているので、しっかりと把握してから問題に取り掛かってください。
難易度はA(基本)といえども、やはりそれなりの思考を要する問題です。D(難問)ともなると、本番で多くの大学で「捨て問」に属する問題と考えてよいでしょう。あなたの志望大学の問題レベルと照らし合わせて、どこまで取り組むべきかを考え、メリハリをつければ効率よく勉強を進めることができます。
また、目標時間も参考にしながら、解答スピードは適切かといった実際の入試を意識した練習にも使うことができます。あまりにも時間がかかるのであれば、計算力は十分か?、もっと早く解くことはできなかったか?といったことを分析してください。
特徴2:大学の過去問を扱っている
次に、過去に実際に出された大学の入試問題を使っているのも注目ポイントです。そのため、学校で使われる傍用問題集などとは異なり、課程的にはまだ勉強していない分野の事項も、融合問題として含まれる場合もあります。ドリル形式で公式の使い方や基本的な解法を学ぶのには適していませんが、一方で基礎ができている受験生にとっては、実戦的な練習をどんどん進められる問題集といえます。
もし数学が得意であれば、高校1年生・高校2年生の早い段階で「1対1対応の演習」を解き始め、大学入試の問題の雰囲気に慣れておくのも良いでしょう。
特徴3:問題ごとにタイトルが設定されている
問題にタイトルが設定されていることがメリットになるのか?と感じた方も多いかもしれません。確かに数学の重要問題がどのように呼ばれているか覚えても点数は上がりません。ところが、一通り数学を勉強した受験生にとっては、大きな意味を持つのです。
例えば、漸化式にはいくつかの基本パターンに分かれますが、初めて勉強した時に「ん?さっきの問題とこの問題は似てるけどどこが違うの?」といった風に感じたことはないでしょうか?それが漸化式の勉強を終え、重要問題の解法が身についた後で見直してみると、「ああ、漸化式の基本パターンは〇個あって、これとこれは××が違うよね」となっているはずです。
つまり、分野の全体像が分かった後であれば、押さえるべきポイントや問題ごとの違いが分かるのです。問題にタイトルがついていることで、より違いが明確になり知識を整理しやすいのは、これでお分かりいただけたかと思います。
必ずしも記載されているタイトルで覚えなくても良いですが、解いている解法に1つずつ名前をつけていくと、解法の整理ができるので効果的です。
まとめ
「1対1対応の演習」は数学オタクでなくとも、正しく使えば医学部受験対策としても優れた問題集です。もし「1対1対応の演習」を使おうか迷っているのであれば、
・一度その分野を習っており、かつ数学が得意で、さらなるステップアップを目指す現役生
・基礎が完成していて計算力も高い医学部受験生
のいずれかを満たすか必ず考えてください。
使えるかどうかが今いちわからないときは、書店で1つ問題と解答を見て理解ができるかどうかを具体的な判断基準とすると良いでしょう。上述のように、「1対1対応の演習」の解答・解説は非常に簡素で行間に様々な数学的知識が求められています。簡素な解説を読んで「なるほど!」となれば、この問題集を使う資格があるのです。
裏を返せば、「1対1対応の演習」を使って演習をするレベルになっていれば、医学部合格まではもう一息です。応援しています!
最後に、具体的な問題集の取り組み方については、他の記事で紹介していますので、ぜひ、参考にしてください。
「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」
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