兵庫医科大学の一般入試の数学の傾向と対策

兵庫医科大学

photo:The Hospital of Hyogo College of Medicine by KishujiRapid

医学部受験の傾向と対策として、大阪医科大学関西医科大学の入試問題の傾向と対策を紹介してきました。今回からは、引き続き関西の私立医科大学シリーズとして、兵庫県西宮市にある兵庫医科大学について取り上げていきます。

まずは、兵庫医科大学の一般入試の数学の傾向と具体的な対策法から見ていきましょう。

 

兵庫医科大学の数学の試験形式・配点は?

はじめに兵庫医科大学の入試制度について、確認しておきましょう。

 

実は兵庫医科大学の入試制度は、2019年度に大きな変更があります。具体的には、従来の数学、英語、理科2科目で第1次試験判定を行う一般入試である「一般入試A(4科目型)」に加えて、英語の技能を評価する資格・検定試験の成績を利用する「一般入試B(高大接続型)」が新たに導入されます。また、これに伴って従来のセンター利用入試(前期)及びセンター利用入試(後期)が廃止されます。

結果として兵庫医科大学の入試制度は、一般入試A(4科目型)(約85名)、一般入試B(高大接続型)(約10名)、一般公募制推薦入試(約12名)、地域指定制推薦入試(5名以内)の4種類が存在することになります(カッコ内の人数は募集人数)。

 

本記事では最も受験者数の多い、一般入試Aの試験内容について扱います。他の試験制度との併願等の可否については、下記の大学HPで確認してください。

兵庫医科大学のホームページ

 

一般入試Aでは、第1次試験と第2次試験の二段階で合格者が選抜されます。

第1次試験では数学、英語、理科2科目、小論文が課されますが、小論文は2次試験合否判定時に使用されます。そして第1次試験に合格した受験生は、およそ1週間後に第2次試験として面接が行われ、最終的に第1次試験、第2次試験の成績及び、調査書などを多面的・総合的に判定して合格者が決定されます。

 

各試験の詳細な点数配分は、

【一次】数学:150点 英語:150点 理科:100点×2 小論文:50点

【二次】面接:点数化なし

であり、点数化されるのは第1次試験の550点分です。

 

 では、兵庫医科大学の一般入試Aの数学について、詳細に見ていきましょう。

 

 大問は例年3つで構成され、制限時間は90分です。全問記述式である点で特徴的です。

 問題や記述の量に対する制限時間の設定は、一般的といえます。

 

 各大問の内容は、大問1が小問集合、大問2、3では小問3~5問による誘導形式となることがほとんどです。大問1の小問集合は、2016年度までは5つの設問が与えられていましたが、2017年度以降は設問が4つになっています。ただし小問集合とはいえ、こちらも記述式でそれぞれある程度手ごたえのある問題が並んでいます。配点も150点中70~80点を占めるため、ここでいかに点数を稼げるかがポイントになります。(※兵庫医科大学の数学では、各大問の配点が問題冊子に印刷されています。)

 

 大問2、3では標準からやや難しい問題まで出題されており、扱うテーマも幅広いことが特徴です。そのため、数学全般にわたって典型問題は確実に解き、そうでない問題は場合によっては思い切って捨てるといった戦略も必要です。ちなみに新しい教育課程に即した入試問題になって以降、複素数平面の出題も見られます。

兵庫医科大学の数学の問題の難易度と合格に必要な得点率は?

次に過去の合格最低点のデータおよび問題の難易度から、兵庫医科大学の一般入試の数学では何点を目標とすれば良いか考えてみます。

 

兵庫医科大学の合格最低点を見てみると、550点中で、

2018年度:351.8 2017年度:371.5 2016年度:337.3

となっています。

これらの平均を取ると353.5点となり、2017年度は特に合格最低点が高かったことも鑑みれば、合計で360点取れれば合格圏内といえます。

 

そこで難易度も考慮して、各科目で何点ずつ取るべきかを算出すると、

数学:95点 英語:90点 理科:140点 小論文:35点

とすれば、合格点に達することが可能です。

 

 数学では150点中95点ということで、小問集合が80点満点であることが、改めていかに大きなウェイトを占めるかがお分かりいただけたと思います。

 およそ63%が必要となりますが、大問1でミスによる失点は避け、残りの大問で典型的な設問は確実に解ききり、難問や時間のかかる問題では部分点を狙いに行くという戦略を徹底すれば、十分目標達成はできるでしょう。

兵庫医科大学の数学の出題傾向は?

続いて、兵庫医科大学の一般入試Aの数学の出題傾向を、【超頻出単元】、【頻出単元】、【要対策単元】に分類してまとめます。

 

【超頻出単元】

・微分法・積分法(数学Ⅲ)

 数学Ⅲの範囲の微分法・積分法は、必出です。オーソドックスなものは関数のグラフの概形や接線に着目して、直線と曲線に囲まれた部分の面積を積分により求積する問題です。その他にも、空間座標内の関数の式により与えられた立体の体積を、断面の面積を用いて計算する問題、y軸を中心とした曲線の回転体の体積を求める問題の出題歴もあります。体積を求める問題では立体の概形をイメージする能力も重要であるため、事前にトレーニングを積んでおきましょう。

 

・確率・場合の数

 確率や場合の数に関する問題が、毎年のように出題されています。確率と場合の数の解法には、相通ずる部分も多いため、セットで対策をしておくと効率が良いです。確率の問題が出される場合は、確率漸化式をテーマとするものが頻出です。場合の数に関しては、2016年度に集合に含まれる要素の数を考察問題が出されており、センター試験以外でこの種の問題に触れる機会は少ないため、ほとんどの受験生は手間取ったと予想されます。

 

【頻出単元】

・ベクトル

 平面ベクトル、空間ベクトルともに頻出度は高めです。ベクトルの基本的性質そのものではなく、ベクトルを図形に応用する問題が出題されます。その多くは小問集合での出題ですが、2015年度には大問2で空間ベクトルを用いて四面体の体積、その外接球の中心と半径等を求める問題が見られました。

 

・複素数平面

 2015年度から新教育課程での入学試験実施となってから、2016年度と2017年度に複素数平面をテーマとする問題が出されているため、頻出単元といえるでしょう。これまで極形式で与えられた複素数をド・モアブルの定理により処理して、それを図形に応用する問題、複素数平面上の点の軌跡の問題の出題歴がありますが、新課程導入から日が浅くデータの蓄積が少ないため、複素数平面については今後も出題を見越して様々なテーマに幅広く対応できるように準備しておいた方が良いです。

 

【要対策単元】

・整数

 大問1で整数問題が頻出です。全体に占める重要度はやや下がりますが、整数問題を苦手とする受験生は非常に多いです。この理由は、整数問題は解き方を知らないとどこから手を付けて良いかすら分からないためです。しかし問題のパターンはそこまで多様ではないため、一通り解法を身に付けておけばまったく歯が立たないといったことはなくなります。対策にかかる時間に対して効果は相対的に高い単元なので、是非練習しておきましょう。

お勧めの兵庫医科大学の数学の対策方法

最後に以上を踏まえて、具体的な勉強法をお伝えします。

 

 勉強をする際に意識していただきたいのが、「ステップアップをしていく」ことです。

兵庫医科大学の一般入試Aは、通常1月末に実施されます。ここから逆算してステップごとに勉強計画を立ててください。

 

実際に踏むべきステップは、

ステップ1.数学の基礎的問題の解法を身に付ける

ステップ2.私立医科大学の数学への対応力を養成する

ステップ3.兵庫医科大学の数学の実戦演習

の3つです。

 

 ステップ1に関しては、9月頃までには完了させておきましょう。予備校の講義でも基本的な内容を扱う時期なので、並行して標準的なレベルの問題集を典型問題についてはいかなる単元でも解答できるまで取り組みましょう。

 加えて、兵庫医科大学ではすべての問題で導出過程や計算途中の記述が求められるため、普段の勉強からしっかり手を動かして模範解答と照らし合わせて、簡潔かつ要点を押さえた解答づくりの練習も意識してください。

 もし使っていた問題集の内容が完璧に頭に入ったと感じたら、他の標準問題集で理解度を確認するのも良いでしょう。

 

より詳細な問題集の使い方は、過去記事「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」を参考にしてください。

 

 10月月以降はステップ2に移りましょう。

 この時期では私立医科大学の入試問題を意識した問題への対応力を付けることを目的としています。使用する問題集も少し難易度を上げましょう。

 お勧めの問題集は、網羅的な勉強に関しては『入試数学理系の核心』(Z会出版)、また数学Ⅲに関しては『医学部攻略の数Ⅲ』(河合出版)です。数学を得点源にする場合は、思考力・応用力を養成するために『やさしい理系数学』(河合出版)を使用すると良いでしょう。

 ここで苦手分野がある場合は、基礎的内容に立ち戻ることも欠かせません。12月半ばまでにこのステップを卒業できるよう、勉強を進めてください。

 

 12月中旬から試験本番までの約1カ月半は、最後の仕上げとしてステップ3の実戦演習を行いましょう。実戦演習とは赤本等の過去問に実際に挑戦し、自身の実力が十分か、あるいは足りない部分はどこかを確認する作業です。

 その際、必ず時間を計って、本番と同じ条件下で問題に臨んでください。もし時間が足りなくなるようであれば、問題に取り組む順番や解答の記述量について戦略を練り直さなければなりません。

 さらに、兵庫医科大学の数学の過去問にある程度取りくんだ後は、他の大学の過去問も使って実戦演習をしてください。記述式の私立医科大学の過去問が良い練習材料になります。

まとめ

兵庫医科大学の数学の傾向と対策法のポイントは、

①大問3つで構成され、制限時間は90分

②解答は前問記述式

③大問1は小問集合、大問2、3は小問3~5つによる誘導形式

④目標点は150点中95点

⑤頻出分野は、

【超頻出単元】微分法・積分法(数学Ⅲ)、確率・場合の数

【頻出単元】ベクトル、複素数平面

【要対策単元】整数

⑥勉強の計画は、

~9月:ステップ1.数学の基礎的問題の解法を身に付ける

10月~12月中旬:ステップ2.私立医科大学の数学への対応力を養成する

12月中旬~1月末:ステップ3.兵庫医科大学の数学の実戦演習

で進めていく

の6つです。

 

 兵庫医科大学の一般入試Aの数学で合格点を取るためには、基本だけでも表層的なテクニックだけでも通用しません。きちんと計画的に「ステップアップ」していくことを意識しましょう!!

 

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