岐阜大学医学部の化学の傾向と対策

岐阜大学化学

先日、「岐阜大学医学部の物理」の記事で、岐阜大学医学部の物理では見慣れない問題設定が多いとお伝えしました。一方で岐阜大学医学部の化学は、比較的素直な問題が中心となっています。  本日は他の受験生も高得点を取ると予想される医学部受験で、合格を掴み取れるよう、岐阜大学医学部の化学の傾向を分析し具体的な勉強法を紹介します。

岐阜大学医学部の化学の試験形式・配点は?

岐阜大学医学部の入学試験の点数配分は、センター試験:800点、二次試験:1200点の計2000点満点です。国立大学医学部の中では、比較的二次試験の比重が大きいといえます。

 

各試験の科目とその配点は、

【センター試験】

国語:100 社会:100 数学2科目:200 理科2科目:200 外国語:200

【個別試験】

数学:400 理科2科目:400 外国語:400

であり、センター試験の国語が1/2に圧縮されていることが分かります。

 

 二次試験では面接も課されますが、点数化はされず、アドミッション・ポリシーに適合しない場合は、総得点に関わらず不合格になります。

 

 岐阜大学医学部で最も特徴的なのが、特に前期試験の募集人数が32人と少ない点です。対して志望者は例年300人を超え、国公立医学部の中では最高の倍率となっています。

 さらに二次試験の比重の高さとも相まって、センター試験で失敗した高偏差値帯の受験生が志望校を変え、流入してくることも考えられます。

岐阜大学医学部を志望する場合には、受験年度のセンター試験の難易度等も考慮したうえで、慎重に出願した方がよいでしょう。

 

さて、岐阜大学の理科ですが、二次試験では物理・化学・生物の中から2科目を選択することになります。試験時間は2科目に対して120分なので、理科1科目にはおよそ60分かけることができます。

 

化学に関しては、工学部・応用生物科学部と共通の問題冊子となっており、例年、大問5つのうち、医学部受験生は大問1~4を解答するよう指示があります。間違えてすべての大問に解答しないよう、しっかりと表紙の注意事項を読んでから問題に取り掛かりましょう。

 大問は理論化学、無機化学またはその融合問題が2題あるいは3題出され、残りの1題あるいは2題が有機化学からの出題となります。

 

 各大問はテーマに沿った設問が並んでおり、化学式や構造式を答える問題、計算問題、論述問題等、出題形式は様々です。

 計算問題では導出過程を書かせる問題は見られず設問も典型的な問題が多いため、物理と比較すると対策のしやすい内容といえます。

岐阜大学医学部の化学の問題の難易度と合格に必要な得点率は?

では、岐阜大学医学部に合格するには、化学では何点を目指せばよいでしょうか?結論を出すために、過去のデータや難易度を分析します。

まず合格最低点について。平成30年度:1507.60点、平成29年度:1582.70点、平成28年度:1553.00点であり、以上より1600点あれば合格安全圏といえます。

ここでセンター試験において800点中680点(85%)を取れたと仮定すると、個別試験では1200点中920点以上取ることが必要となります。

これを踏まえて各教科の難易度から、それぞれ何点ずつを目標点とすべきかを考えると、

数学:320点 理科:320点 外国語:280点

を取ることで、二次試験の合計で920点となり、合格点に達することができます。

 

 理科は2科目で320点であるため、理科2科目で自分が特別に得手不得手の差がなければ、いずれも200点中160点(8割)を目指してください。

 

 化学で8割を取るためには、典型的な問題を手早く処理していき、ミスをしないことがカギとなります。反対に、難しい問題に足を取られ時間をかけてしまうと点を取るべき問題に時間を回せなくなるため、全体を見渡して手を付ける順番を考えて解き進めましょう。

岐阜大学医学部の化学の出題傾向は?

次に、岐阜大学医学部の化学の出題傾向を見ていきます。

上述のように、大問4つのうち、大問2つあるいは3つが理論化学・無機化学からの出題、残りが有機化学からの出題となり、年度により異なります。

各分野の頻出テーマは、以下のとおりです。

 

【理論化学】

 気体の分圧や溶解度、熱化学方程式を扱う問題が頻出です。岐阜大学医学部の化学で押さえるべきなのが、化学の基本法則が問われることが多い点です。例えば、ヘスの法則やヘンリーの法則について、内容の穴埋めや法則の原理を論述させるような問いの出題歴があります。二次試験直前期に、一度、化学の基本法則についてその内容や関連事項を総復習しておくのがよいでしょう。加えて、化学平衡・電離平衡や酸化・還元反応もよく見られるため、典型的な問題を重点的に練習してください。

 

【無機化学】

 遷移元素やその他の元素の性質や化合物に関する問題が頻出です。中でも、気体や化学物質の工業的製法を扱う問題が多いのが、岐阜大学医学部の化学の特徴です。工業的製法は化学反応の流れを、ストーリー立てて暗記するのがポイントです。また、金属元素をテーマとする場合にはイオン化傾向や電気分解・電池との絡めやすいため、理論化学との複合問題となるパターンがしばしば見られます。無機化学の知識を単体で覚えるのではなく、他の分野とも関連付けて理解するのが効率的です。

 

【有機化学】

 有機化学は1題あるいは2題出題されるとお伝えしましたが、近年は有機化学2題で構造決定と高分子化合物をそれぞれ扱う問題のセットで固定されつつあります。有機化合物の構造決定が出題される際には、ほぼ間違いなく元素分析が必要となります。ベンゼン環を含むのが定番なので、ベンゼンの誘導体の知識は欠かせません。さらに構造式を書かせる問題では不斉炭素原子に印をつけるものが多いため、ベンゼン環を含む物質の不斉炭素原子の見分け方も身に付けましょう。

 高分子化合物は天然・合成高分子化合物のいずれも扱う問題が多く、多様な知識を問う設問が盛り込まれているものがよく見られます。合成高分子化合物の生成法といった暗記事項から、生成に必要な物質の量の計算問題やアミノ酸の等電点の計算に至るまで、幅広い問題への対応が求められます。

お勧めの岐阜大学医学部の化学の対策方法

最後に以上を踏まえた、具体的な勉強法をお伝えします。

 

はじめに、センター試験までは必ず全範囲を網羅的に勉強しなければなりません。化学は一つの分野で完結することは少なく、ある分野が他の分野とつながりを持つことが非常にたくさんあるからです。

岐阜大学医学部の化学は典型問題の解法が瞬時に浮かぶかどうかが、合否を分けると言っても過言ではありません。とにかくこの時期は基本を固めることを意識してください。

典型問題の練習にお勧めの問題集は、『化学重要問題集―化学基礎・化学』(数研出版)です。基本的に典型問題の習得は1冊の問題集で、間違えた問題を何度も繰り返すことが肝要です。ある程度基礎が固まってきたら、苦手な分野に絞り、別の問題集等も使って、効率的に勉強を進めましょう。

より詳細な問題集の使い方は、過去記事「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」を参考にしてください。

 

次いでセンター試験終了後は、

・過去問の分析

・大学入試の過去問を用いた実戦演習

・問題集を活用した最終確認

の3本立てで対策をしましょう。

 

過去問の分析はセンター試験終了後から二次試験までの約1カ月の勉強内容を決めるのに不可欠な作業です。過去問分析により、問題の傾向が分かるだけでなく、自身の重点的に取り組むべき分野が分かるからです。

 

分析が終わった後は、いよいよ実際に問題に取り組んでいきます。

過去問分析で意識すべきなのは、ペース配分です。岐阜大学医学部の化学の問題は素直で解きやすいものの、大問4つに対して制限時間は60分と決して余裕をもって1題1題に向き合うことはできません。時間を計って過去問を解いてみることで、合格点を取るためのスピード感を感じ取ることができるでしょう。

さらに過去問は岐阜大学医学部のものだけでなく、他の大学のものも参考になります。問題構成や難易度からすると、岡山大学三重大学の過去問も演習に役立つので、余裕があればこれらにも挑戦しましょう。

 

これらに並行して、問題集を活用した最後の総復習をしてください。

とはいえ、残り1カ月で全範囲を総復習することは不可能です。過去問分析で明らかになる自身の弱点分野等、内容を絞って問題を解きましょう。暗記事項については、直前期に復習するものをあらかじめ決めておいてください。岐阜大学医学部では理論化学で問われる化学法則、有機化学の知識が重要なので、これらの内容をまとめておいたり学校・塾・予備校で配られるまとめプリントを別に保管しておくなどすると、直前期に慌てずに済みます。

まとめ

岐阜大学医学部の化学の傾向と対策法のポイントは、

①理科2科目に対して制限時間が120分なので、化学には約60分かけることができる

②問題冊子には5題印刷されているが、医学部受験生は4つを解答する

③目標点は160/200

④理論化学、無機化学またはその複合問題が2題、有機化学が2題のセットが近年の傾向

⑤各分野の特徴は、

【理論化学】化学の基本法則を扱う問題が頻出

【無機化学】金属元素をテーマとする場合、理論化学の分野との複合問題となることが多い

【有機化学】ベンゼン環を含む有機化合物を元素分析を用いて構造決定するのが定番

      高分子化合物では天然・合成化合物いずれの知識も問われる可能性が高い

⑥センター試験までは、典型問題を網羅的に勉強する

⑦センター試験終了後は、

・過去問の分析

・大学入試の過去問を用いた実戦演習

・問題集を活用した最終確認

の3本立てで対策する

の7つが重要なポイントです。

 

 岐阜大学医学部の化学は、典型的な問題が多く、準備をして臨めば高得点を期待できるはずです。化学の基本法則や化学物質の工業的製法、有機化学の暗記事項といった知識問題で点数を落とすのはもったいないので、細やかに戦略を立てて試験本番に最大の力が出せるように勉強計画を考えましょう!!

 

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