岡山大学医学部の生物の傾向と対策
大好評の傾向と対策シリーズ。先日、読者の方から「岡山大学医学部の生物の傾向と対策」も作成してもらいたい!という嬉しいリクエストを頂きました。私(石戸)は、生物選択ではないので、私ではなく、プロの講師に依頼し、岡山大学の生物の傾向と対策について執筆頂くこととなりました。今後、各医学部について、生物についても傾向と対策シリーズを作成していきたいと思います。
それでは、早速岡山大学医学部の生物についてみていきましょう。
岡山大学医学部の生物の試験形式・配点は?
岡山大学の二次試験は、理科2科目に対して、制限時間が120分与えられます。理科1科目にどの程度の時間を割くかは、受験者の自由です。
生物は大問4つで構成され、それぞれに小問が設定されています。回答形式は、記号と論述であり、二次試験の回答形式としては標準的なものになります
岡山大学医学部の入試の配点は、センター試験900点満点、二次試験1200点満点の計2100点満点です。
詳細な内訳は、以下のようになっています。
【センター試験】
英語200点、数学200点、国語200点、理科1科目目100点、理科2科目目100点、社会100点
【二次試験】
英語400点、数学400点、理科1科目目200点、理科2科目目200点
つまり、二次試験の生物は、全体の約10%(200/2100)を占めています。
岡山大学医学部の生物の問題の難易度と合格に必要な得点率は?
岡山大学医学部の過去4年分の2100点満点中の合格最低点を見てみると、
2018年度:1663.0点
2017年度:1701.2点
2016年度:1621.6点
2015年度:1712.6点となっています。
平均を取ると1674.6点。つまり、全体として8割得点(1680点)できれば合格圏内と考えられます。ここでセンター試験で900点中765点(約85%)を取れたと仮定すると、二次試験では1200点中909.6点(約76%)必要となります。
それでは、上の点数を取るためには、生物では何点取る必要があるでしょうか。
岡山大学の二次試験の難易度や平均点を考慮すると数学320/400、英語280/400、理科2科目320/400を目指すのが、岡山大学医学部合格の戦略となります。
理科に関しては、2科目の合格者平均に大幅な差はありません。
難易度については、岡山大学の生物は全学部共通問題ということもあり、難問、奇問といった問題は出ません。必要な知識量は教科書レベルで、出題される実験も教科書等で見たことがあるものが大半です。他の理科、物理、化学については2016年度より難易度が上がりましたが、生物はそのようなこともありませんでした。今後もこれまで通り標準的な難易度の問題が出題されると予想されます。以上のことから、生物の得点は200点中160点を目指して対策していきましょう。
岡山大学医学部の生物の頻出分野は?
次に岡山大学医学部の生物の頻出分野を、【超頻出単元】、【頻出単元】、【要対策単元】に分けてまとめます。
【超頻出単元】
- 蛋白質合成と遺伝子発現の仕組み
ここ3年ほどはこの分野からの出題が続いています。セントラルドグマの流れ、転写、翻訳について、また真核生物、原核生物における遺伝子発現の仕組みについても十分な知識の暗記と理解が必要です。特に遺伝子発現の仕組みについては真核生物と原核生物を混同して覚えている学生が多いと思いますので、しっかりと区別して理解しましょう。また考察問題として塩基配列と遺伝暗号表からアミノ酸配列を予想する問題、延期の欠失、置換、挿入による影響を問う問題も出題されています。前から単純に3つずつアミノ酸にしていくのではなく、どの3つが組になるのかを考える問題を事前に十分に練習しておくことが重要です。
- 刺激と反応
2014年、2015年と続けて出てから2016年は出題がなく、2017年、2018年には再度出題されています。この分野で出題が多いのはニューロンと膜電位、興奮の伝導と伝達、自律神経、受容器(眼と耳)、効果器(筋)です。覚える事項が多い分野ではありますが、まずは左で上げたものはきっちり覚えていきましょう。
【頻出単元】
- 代謝
過去5年間で3回出題されています。特に酵素の特性、酵素反応の調節と阻害についてはしっかり覚え、また反応速度のグラフについての問題も演習を十分にしておきましょう
- 生物の体内環境
生物の体内に関する問題が2年続いて出題されています。ここと決まった分野の出題はないですが、体内がどうなっているのか、各臓器がどのような働きをしているのか、内分泌系では各ホルモンがどのように調節しているのか(特に血糖と体温調節)、免疫とはなにか、など幅広くしっかりと理解しておく必要があります。
【要対策単元】
- 遺伝
遺伝だけでの大問はここ5年では2017年だけですが、進化と系統の問題に遺伝の分野からの出題もあり、勉強せずにいてもし本番で出てしまうとどうしようもなくなるため、一通りの問題演習はしておきましょう。
- 生態、進化と系統
選択できた時代はどちらかだけを集中的に対策することも可能でしたが、ここ3年は大問4つ必答になってしまったため、どちらも対策が必要です。生態は異種個体間の関係、食物連鎖、またウナギなど身近でも話題になる種の多様性の低下などはまず優先的に取り組みましょう。進化と系統では進化論、ハーディ・ワインベルグの法則、五界説、3ドメイン説を優先的に取り組みましょう。
お勧めの岡山大学医学部の生物の対策方法
最後に上記内容を踏まえた具体的な対策法を紹介します。
第一に、センター試験が終わるまでは、生物の全ての範囲の標準問題・典型問題に関しては、即座に解答が頭に浮かぶまで練習を繰り返しましょう。岡山大学医学部の生物の特徴として、出ない分野(植物の反応と調節)からは全く出題がない代わりに過去に出題があった分野からは幅広く出題されていることです。上記のような頻出分野ももちろんありますが、160点を目指すためには頻出分野の対策をしたあとにその他の分野についても穴を埋める作業をすることが大切です。
お勧めの解説書は『大森徹の最強講義117講 生物』(文英堂)です。お勧めの問題集は、『基礎問題精講』(旺文社)と『生物の良問問題集』(旺文社)です。このときに注意することとしては、上で挙げた2つの標準レベルの問題集では出てこないようなことも解説書には多く掲載されています。そのようなことは岡山大学の医学部入試ではまず出ないし、出たとしてもその他の分野で点がとれれば160点は十分に可能です。逆に標準レベルの問題集に出てくる分野については問題で聞かれていることの周辺も含めて解説書を読み込み理解を深めてください。
より詳細な問題集の使い方は、過去記事「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」を参考にしてください。
次いでセンター試験終了後は、
・過去問の分析
・実戦問題集を使った苦手分野や出題可能性の高い分野の練習
・過去問にチャレンジ
の3本柱で勉強を進めてください。
個別試験まで残り1カ月という時期です。全範囲を最初から最後まで復習するというのは、不可能あるいは非効率と言わざるを得ません。
そこでまずは、過去問を分析し自身の数学の実力と照らし合わせ、苦手な分野や自身の受験年度に出題されそうなテーマを洗い出してください。それをもとにして、ある程度生物の実力がついてきているはずなので、より実践的な問題集に移ってください。
『全国大学入試問題正解』(旺文社)は実際の大学入試で出題された最新の問題が収載されています。そのため、「複数のテーマが盛り込まれた複合問題」や「典型問題には見られないような切り口の目新しい問題」に取り組むことができます。総仕上げとして利用しても良いと思います。
ただし、1点注意があります。繰り返し強調しますが、岡山大学医学部生物の問題は標準的な難易度です。難問に手を出すのではなく標準レベルの問題を繰り返し解き、知識に穴がないようにしてください。難問はおそらく多くの人が解けないので、そこで差をつけようとするのではなく、標準レベルの完成度でまわりと差をつけ160点を取れるように勉強していくことが大切です。
直前期にお勧めの岡山大学医学部対策方法とは?
当塾では、20年間の過去問研究に基づき、今年の出題傾向を予想した岡山大学医学部に向けての対策講座を開講しています。
ご興味がある方は、ぜひこちらのご案内をご覧頂き、受講頂ければと思います。
まとめ
岡山大学医学部の数学の傾向と対策法のポイントは、
①大は問4つで選択問題はなし。制限時間は理科2科目で120分
②問題は記号と論述の標準的な形式
③基本~標準的な難易度の問題が多い。
④目標点は160/200
⑤【超頻出単元】蛋白質合成と遺伝子発現の仕組み、刺激と反応
⑥【頻出単元】代謝、生物の体内環境
⑦【要対策単元】遺伝、生態、進化と系統
⑧センター試験までは、標準的な問題集で苦手分野をなくす
⑨センター試験後は、
・過去問の分析
・実戦問題集を使った苦手分野や出題可能性の高い分野の練習
・過去問にチャレンジ
をする
の8点が重要なポイントです。
高得点帯の勝負となる医学部入試です。じっくりと問題と向き合って考えつくし、1点でも高い点数を目指してください!!
本記事内で登場した過去のオススメ記事
「岡山大医学部の物理の傾向と対策」
「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」
岡山大学の過去問題やその他の教科の傾向と対策
こちらのページで過去問を無料で閲覧できます
また、その他の教科の傾向と対策についても見ることができますので、
ご参考にしてください。
岡山大学の過去問ページ
本記事で登場したお勧めの問題集・参考書
『大森徹の最強講義117講 生物』(文英堂)
『基礎問題精講』(旺文社)
『生物の良問問題集』(旺文社)
『全国大学入試問題正解』(旺文社)
コメント..
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ご丁寧にコメントをくださり、ありがとうございます!
お役立てて頂ければ、大変うれしいです。
現役で合格されること、心より祈っております!!!
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岡大生物の傾向と対策を作って欲しいと依頼した者です。プロの講師の方に頼んでまで作成して頂いて本当にありがとうございます。
絶対に現役合格に役立てます!