大阪医科大学の一般入試(前期)の化学の傾向と対策
関西最難関の私立医学部である大阪医科大学。先日、大阪医科大学の物理について傾向と対策をお伝え致しました。
物理と同様、化学の入試問題でも、非常に高いレベルが要求されています。
本日は、大阪医科大学の化学の傾向を分析し、具体的な対策を紹介します。
大阪医科大学の物理の傾向と対策については、こちらをご覧ください。
大阪医科大学の化学の試験形式・配点は?
大阪医科大学の入学試験は、前期一般入試(85名)、後期一般入試(15名)、センター試験利用入試(5名)、研究医枠入試(2名)、地域枠(2名)等の様々な制度があります。(カッコ内は各入試制度の定員)
本記事では、その中でも最も受験者の多い前期一般入試について取り上げます。
前期一般入試試験は、一次試験と二次試験により選抜されます。
一次試験では、数学、理科2科目、英語の筆記試験が課され、一次試験合格者はさらに二次試験で小論文と面接が課されます。
最終合格者の定員は85名に対して、倍率は例年11倍前後です。
各試験の配点については、一次試験は数学100点、理科100点×2科目、英語100点の合計400点満点で計算されます。
二次試験は、小論文・面接の得点については特に公表されていません。
それでは、前期一般入試の化学の試験形式についてまとめていきます。
そもそも大阪医科大学の理科は、物理・化学・生物の3科目から2科目を選択するようになっており、理科2科目に対して120分が与えられます。
したがって、理科1科目にかけられる時間は、およそ60分となります。
化学については、例年、大問が4つ出題されます。
さらに、それぞれの大問には、2~6つの小問が設定されています。
設問は文章中の空所に当てはまる単語の穴埋めや、化学式・構造式を問う問題、計算問題等、バリエーションは豊富です。
解答形式は、計算問題も含めて答えのみを記載するものがメインですが、有効数字の指示がある問題もあるので注意してください。
また、2016年度までは毎年のように論述問題が出題されていた点にも要注目です。
制限時間については、大問4つのセットに対して60分であり、一見すると短いようにも思えます。
しかし、知識を問うだけの問題、検定教科書レベルの問題も出題されるので、問題を見極めて時間配分を間違えなければ、難易度の高い問題に十分な時間をかけることが可能です。
大阪医科大学の化学の問題の難易度と合格に必要な得点率は?
次に、大阪医科大学の過去の合格最低点や各科目の難易度を分析し、それぞれ科目で何点取ればよいか考えてみます。
大阪医科大学の一次試験の合格最低点は、400点満点中、
2017年度:233点 2016年度:277点 2015年度:256点
となっています。
つまり、280点(7割)得点できれば、余裕をもって合格圏内に入ることができます。
280点を取るのが難しい年度も確かにありますが、合格者の偏差値帯を見てもレベルの高い勝負になるため、「目標」としてはこの程度が妥当と言えます。
以下では、大阪医科大学の化学について、詳細に分析していきます。
大阪医科大学の化学の特徴は、実験に関する問題が多いことです。
扱われる実験は検定教科書や標準レベルの問題集で、一度は目にしたことのあるような内容がほとんどです。
ただし、過去には現行課程から外れているATPの計算を誘導をあたえて解き進めたり、生体化学をテーマとして化学の本質的理解を問う問題の出題歴もあります。
加えて、計算問題にはやや難易度の高い問題も紛れており、あまり一つの問題にこだわり時間をかけてしまうと、他の問題に手を付ける時間が無くなってしまうこともあり得ます。
結論としては、点を取るべき問題には必ず解答し、全体としては100点中70点を取ることを目指してください。
典型問題をマスターし、本番で時間配分に失敗しなければ、達成可能な目標です。
大阪医科大学の化学の頻出分野は?
大阪医科大学の化学の頻出単元は、理論化学および有機化学です。
一方で、無機化学単独で大問1つ分として出題されることは稀ですが、理論化学との融合問題として知識を問われることもあるので、必ず対策をしておかなければなりません。
【理論化学】
実験操作を題材として、化学的知識を試すものが多くなっています。
酸化還元滴定や反応速度、化学平衡といった、オーソドックスな問題が頻出です。
また、イオン化エネルギーの大小について電子軌道を用いて説明するといったような、やや細かい知識を問われる場合もあります。
多くの受験生は、周期表と重ね合わせてイオン化エネルギーの大小の暗記は完ぺきにしていても、「なぜ?」という点については疎かにしがちです。
この「なぜ?」を大切にし、一つずつ丁寧に理解していくことが、大阪医科大学の理論化学を突破するカギです。
この姿勢は、論述問題の対策にもつながります。
【有機化学】
例年、有機化学に関する問題が4問中1、2問はセットに入っています。
構造決定やアニリンの誘導体といった、典型的な問題がよく見られ、近年はアミノ酸に関する問題の出題が多くなっています。
他の大学と比較すると、あまり見慣れない有機化合物や専門的な生体化学を題材とした問題も出題頻度が高くなっています。
とはいえ、これらの問題は受験生にマニアックな知識を求めているわけではありません。
誘導に乗って解かせることで、化学的事項をどの程度理解しているかを試しているにすぎません。
既に身についている知識をうまく応用すれば、解答を導くことは可能です。
そのためにも、理論化学と同じく、「なぜ?」という姿勢は欠かせません。
知識を応用する能力は、「なぜ?」を解決した先にある化学の本質的理解なしにはあり得ないからです。
【無機化学】
陽イオン分析や気体の性質に関する問題の出題歴があります。
しかし大阪医科大学で無機化学の知識が求められるのは、理論化学・有機化学をメインテーマとした問題の中で、融合問題として問われる場合が最も多くなります。
そのため、全体に対する無機化学の配点は低くなるものの、裏を返せばどこが問われるか予想しづらいという側面も持ち合わせています。
目標点到達のためには、遷移元素の特徴、気体の製法と言った基本的知識は完ぺきに身に付けておかなければなりません。
大阪医科大学の化学は理論化学・有機化学の比重が大きいものの、特定の単元のみを勉強したり、典型問題だけをパターンに当てはめて解けるようになるだけでは対応できません。
いかに苦手を少なくし、丁寧に「なぜ?」を追求して、化学の本質的理解を深めていけるかが勝負の分かれ目です。
各分野で良く問われるテーマは次の通りです。
お勧めの大阪医科大学の化学の対策方法
以上を踏まえて、最後に具体的な大阪医科大学の化学の対策法をまとめます。
大阪医科大学の前期一般入試は、例年であれば1月末が試験日なので、それに向けて計画的に勉強を進めましょう。
12月までは、何よりもまず全範囲を網羅的に、少なくとも問題集に載っているような典型問題であれば、どの分野でも対応できるようになることを目指してください。
そのためには、標準レベルの問題集に繰り返し取り組み、苦手な範囲があればさらに重点的に復習をしましょう。
また、問題を解いている間に知識が抜けている部分も明らかになるので、そのような場合には検定教科書に立ち戻って、「なぜ?」も含めて知識を補完することも欠かせません。
12月までに使う問題集として効果的な問題集は次の3冊です。
です。どれを選択するかは、あなたの実力に合わせて選んでください。
化学の標準問題が一通り自信を持って解けると言えない人は『重要問題集』を使いましょう。現役生の方ならば問題数をこなして演習はまだされていないと思うので、この『重要問題集』をお勧めします。
何となく問題は解けるけど、なぜ?そうなるかはわかっていないという人は、『実力をつける化学』がお勧めです。論述問題や、なぜ?そうなるかの解説が高校化学の範囲でまとまっているからです。
化学の標準問題が一通り解けるが、目新しい問題や、融合問題になると手が出ないという人は、『化学の新演習』を扱いましょう。
どちらの問題集も問題数が多いものの、全単元の典型問題が網羅されており、4月から手を付ければ十分時間はあります。また、問題の中には計算が複雑になるものもあるため、解答方針だけ立てて次の問題に移るのではなく、最後まで手を動かして計算結果を出すように心がけましょう。
問題集の使い方は、過去記事「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」を参考にしてください。
12月に入ってから残りの約2カ月は、それまでに身に付けた化学の基礎を応用する力を磨いていきましょう。
具体的にすべき勉強内容は、
・過去問の分析
・過去問を使った実戦演習
・単元を絞った問題集を使った練習
の3つです。
過去問の分析は、本番で焦らないためにも欠かせません。
勝負相手のことを知らないことには対策のしようもありません。
もし、これまでも見たこともないような問題が出されていれば、それは他の受験生にとっても同じだな、と落ち着くことができるわけです。
その後、実際に赤本等を用いて、なるべく多くの大阪医科大学の化学の過去問に挑戦しましょう。
冒頭でもお伝えしましたが、時間のかからない問題、そうでない問題の見極めが非常に重要です。
したがって、自身で過去問を使った実戦演習をする際にも、必ず時間を計って取り組み、時間配分の練習もしておきましょう。
もちろんのことですが、間違えた問題はしっかりと復習をし、最後の総仕上げもしてください。
これらと並行して行っていただきたいのが、単元を絞ったうえで、問題集を使って応用的な問題を解ける力を養うことです。
12月に入った段階で、化学が苦手で、『化学重要問題集』に掲載されているような典型問題にも不安がある場合は、再度同じ問題集で復習をすることをお勧めします。
しかし、化学の基礎力が固まってきたと感じるのであれば、『化学入試問題集』(数研出版)のような、実際の入試問題を取り組ましょう。
全て取り組むことはできないので、ページをめくって、融合問題や目にしたことがないような問題を選んで時間を意識して取り組むことで、応用的な問題を解く力が付きます。
また、大阪医科大学の化学の特徴としては、実験問題が出題されることです。したがって、直前期には、理論と有機の実験問題にも意識して取り組んでおけば準備としては万全です。
ここで、注意していただきたいのが、残り2カ月で全範囲の復習をするというのは現実的ではないということです。出題可能性の高い分野、自身が苦手な分野、といったように自分なりに単元を絞って重点的に対策をしましょう。
特に、有機化学では、マニアックな化合物を主題にしたり、生体化学と言った医学部特有の専門的な内容がテーマとなることが多いため、問題集や大学入試問題で様々な問題に触れておいた方がよいでしょう。
とてもむずかしい問題が並んでいますが、7割取ればいいと考えれば、時間内に取ることができる問題が並んでいます。今は難しそうな道でもコツコツとやれば道は開けますので頑張っていきましょう。
まとめ
大阪医科大学の化学の傾向と対策法のポイントは、
①理科2科目に対して制限時間120分
②大問は全部で4つで、2~6の小問に分かれる
③解答は結果のみを書くものがほとんどであるが、論述問題も頻出
④目標とすべき点数は、100点中70点
⑤理論化学・有機化学の実験を題材とする問題が頻出であるが、融合問題として無機化学の知識を問う設問もある
⑥12月までは標準問題集を用いて、「なぜ?」を大切にしながら基礎を固める
⑦12月以降は、過去問、応用問題集を用いて実戦的な応用力を付ける
の7点が重要なポイントです。
大阪医科大学の化学の難易度は標準~やや難しいといえますが、決してすべてが難問という構成ではありません。
中には医学部受験生であれば、100%解答できなければならないような問題も紛れているため、それらを見極めたうえで素早く答えを導き、その他の計算問題等になるべく多くの時間を割くことができれば合格点を取ることができます。
また、応用的な問題も出題されますが、普段の勉強から知識の詰め込みに終始するのではなく、「なぜ?」を意識することでこれらの問題への対応力もつけることができます。
検定教科書レベルの内容も侮ることなく、きっちりと頭に入れておきましょう。
楽な道ではありませんが、地道に少しずつステップアップしていってください!!応援しています。
(本記事内で登場した過去のオススメ記事)
実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方
(大阪医科大学の過去問題やその他の教科の傾向と対策)
こちらのページで過去問を無料で閲覧できます
また、その他の教科の傾向と対策についても見ることができますので、
ご参考にしてください。
大阪医科大学の過去問ページ
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