数学の応用問題が解けない医学部受験生にお勧めする3つの着眼点

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突然ですが、
「定期テストでは点が取れるけど、実力テストや模試では点が取れない」
「(1)(2)は解けても(3)の最後の問題が解けない」
「見たことがある問題は解けても初見の問題は歯が立たない」
こんな、お悩みってないでしょうか?

いわゆる応用問題や発展問題ができないという状態です。数学はまず、基本となる解法を習得することが必要ですが、習得したからといって、すぐにスラスラ問題が解けるようになるわけではありません。冒頭で例をあげたように、習得した解法で解ける問題はできるけど、最後まで解ききることができないという問題を抱える人って結構多いです。

今回は、数学の応用問題・発展問題が解けるようになるための3つの着眼点をご紹介致します。私自身、この視点を持つことによって、数学の応用問題・発展問題が解けるようになったので、ぜひ参考にしてみてください。

応用問題が解けるようになる3つの着眼点とは?

結論から申し上げると、数学の応用問題・発展問題が解けるようになるために持っておいてもらいたい3つの着眼点は次の3つです。

(1)前問の利用

(2)具体化・抽象化

(3)数式化・ビジュアル化

です。

それぞれについて具体的に説明していきましょう。

1つ目の着眼点)前問は何らかのヒント

 よく考えたら、当たり前なのですが、なかなか気づきにくい視点がこの「前問」を利用するという視点です。私は、細野先生の参考書をやっているときに、「前問の利用」は大切という言葉を見て、この視点を持つことができるようになりました。

 数学の問題を作る人の立場になって考えてみてください。入試問題というのは、ずっと残るものであり、大学の「顔」ともなるものですから、適当に作ることはできません。我が校にふさわしい問題を出題しようと気合を入れて作成しているはずですよね。

 色々考えた末に、「よし、今年はこのテーマでいこう」と問題のアウトラインを決めるはずです。ここで大切なのは、問題をつくるときには、(1)・(2)が先にないことです。最後の問題が決まって、その後で(1)・(2)の小問で問うことを決めていっているはずです。

具体例をあげましょう。例えば、今年の入試問題は「空間図形の体積をベクトルを使って求める問題」と決めたとしましょう。その後に、『いきなり、各辺の長さだけ与えて、体積を求めてくださいって言われても皆できないだろうから、小問で部分点を稼げるようにしてあげよう。』と考えて(1)(2)で何を問うかを決めているはずです。先ほどの問題でいえば、

・体積を求めるには、底面積と高さが必要になる。

・底面積を求めるには、内積が必要になる。

・高さを求めるには、高さに相当するベクトルを求める必要がある。

だから、(1)では内積を求めてもらおう (2)では底面積を求めてもらおう (3)では高さをベクトルで表してもらおう (4)で最後に求めてもらいたかった体積を求めてもらおう

 

このような感じで、問題は作られています。だからこそ、解き方でつまずいた時には、

「前問の利用ができないか?」

をぜひ考えてみてください。つまずいた時に、意識することで、最後まで解けるということが、よくあるので、お勧めです。

 

 ちなみに、この着眼点を持つことができるようになったのは、先ほどもご紹介した細野先生の参考書でした。特に、「確率」はお勧めの内容ですので、確率が苦手な人はぜひやってみてください。

2つ目の着眼点)具体化する・抽象化してみる

 続いて、2つ目の着眼点です。それは具体化・抽象化という視点です。

 つまり、

・抽象的なものについては、具体的な数字で考えて

・具体的なものについては、抽象的に考えてみる

 という視点です。特に、具体化を利用することの方が、数学を解く上で大切です。典型的な問題は、nを含む問題です。nが出てくるだけで嫌悪感を抱く人もいるのではないでしょうか?実際に、「りんご5個を3人に分ける分け方」と、「りんごn個を3人に分ける分け方」では、後半の方が難しく感じますよね。

 実際に、数学が良くできる人でも、nが出てくる問題では、すぐに解き方がわからないということがあります。そんな時には、nではなく、簡単な数字の場合で実験してみます。簡単な数字で、求め方がわかったら、もっと大きな数字でもできないか考えて、解き方を見つけて、解けたということがあります。

 実際の入試問題でも、nで問題が与えられて最初の小問では、n=6の場合でどうなるかと具体的な数字で問われることがありますよね。これは、前問の利用×具体化のコラボで作られた問題となっています。

逆に、具体的な問題については、抽象的に考えると解きやすくなる問題があります。年度が入った問題というのが典型的です。例えば、「 のどちらが大きいか」という問題は、2018である必要はないはずです。どんな数字でもいいから、今2018年だから、2018を使っているだけです。このような具体的な数字の問題が出てきたら、抽象的に考えると解けることがあります(ちなみに先ほどの問題は数学Ⅲの微分法を習えば解けます)。ただし、抽象化は、かなり高度な内容になるので、抽象化するものは、典型的な問題を覚えておくだけで十分です。

nを含む問題でわからなければ、具体化して考える

具体的な問題を抽象化して考えて解く問題は覚えておく

 こうすることで、さらにあなたの数学力は飛躍します。

3つ目の着眼点)数式化・ビジュアル化してみる

 最後の着眼点は、数式化・ビジュアル化です。

 数学というのは、やっていることを簡単に述べれば、

 問題を読んで、数式で処理をして考えるか?図で処理をして考えるか?のいずれかになります。これ以外の方法で解くことはありません。ということは、数式で攻めていて行き詰まったら図で考えてみる(ビジュアル化してみる)。図で考えていて行き詰まったら式で考えてみる(数式化してみる)。こうすることで、解く上で良いアイデアが浮かんだりします。例えば、解の個数を求める問題は数式化からビジュアル化の典型です。

の解の個数を求めよ」という問題では、とのグラフの交点の数で求めます。今まで解の個数は二次関数で判別式で式で処理していたものを、この問題では、グラフの交点という形で図で処理しています。このように、数式化・ビジュアル化の観点から問題を捉えて、

数式化で攻めていて行き詰まったらビジュアル化してみる

ビジュアル化で攻めていて行き詰まったら数式化してみる

 意外に、途中で図で考えたらうまくできるということがありますので、実践してみてください。

それでも解けなかったら??

基本的な解法はマスターしている。そして、3つの着眼点でも考えた。だけど、解けない問題というのも中にはあります。そのような問題はどうすればいいか?とっておきの方法を最後に紹介したいと思います。それは、

諦めることです

大切なことなので、もう一度言います。3つの着眼点でも解けない場合は、

諦めることが一番大切です

 医学部受験と言えど、基本的な解法をマスターしていて、なお上記の3つの着眼点で考えても解けない問題は、解けなくていい問題です。あなたの目的は数学の試験で満点を取ることや1番の点数を取ることではなく、医学部受験で合格することです。つまり、他の人より点数が取れていればいいのですから、解けなくていい問題に時間をかけることはやめましょう。それよりも、残った試験時間を解けるかどうかわからない問題に時間をかけるより、今まで解いた問題の答えがあっているかの見直しをしたほうがはるかに良いです。計算間違いがないかをチェックしたり、場合の数や確率では、具体的に書き出して答えがあっているかをチェックすること。こうやって、点数を確実に取っていくことが大切です。

 基本的な解法をストックした上で、上記の3つの視点で問題を解けば、大阪大学医学部のレベルまでは確実に到達します。それは私自身の経験や私の塾生の指導成績から断言できます。ですから、上記方法でも解けない場合は安心して諦め、見直しに時間を使いましょう。医学部受験で勝つためには、「捨てる」ということも大切な戦略です。

まとめ

 数学の応用問題・発展問題が解けない場合、3つの視点を持って問題に挑むことをお勧めします。それは、

 1)前問の利用を考える

 2)具体化・抽象化してみる

 3)数式化・ビジュアル化してみる

 です。上記3つの視点は、2つ目、3つ目と進むに連れてレベルが高い考え方になっていきます。上記の3つの視点を初めて知ったという方は、まず1つ目にご紹介した「前問の利用を考える」という視点を取り入れてみてください。最後まで解ききることができたとなる経験を味わって頂けることと思います。

 

 そして、それでもダメなら思い切って諦めましょう。それは、その問題でコアとなる解法がストックできていないか、飛躍した考え方が必要な問題だからです。医学部受験で勝つために、数学の出来は非常に重要なものになります。確実に周りの人と差をつけられる上記の3つの視点で問題に取り組んでみて下さい。

 追伸

 「前問は何らかのヒントになる」という視点は、私は、細野先生の参考書で強く意識するようになりました。基本的な解法のストックもできる良い参考書なので、「場合の数・確率」が苦手で「前問の利用」がピンときていない方は、ぜひ細野先生の参考書を使ってみてください。

 細野真宏の確率が本当によくわかる本 (数学が本当によくわかるシリーズ)

コメント..

  
  
  • 高2の母です!
    数学の応用問題が苦手な息子にとても役立つ内容でした❗️
    そして、nなどの記号が出るととても嫌がる所や、確率の問題が苦手な所まで全てが息子に当てはまり、ありがたい内容でした❗️早速、細野先生の本を買ってみようと思います❗️
    本当に的確なアドバイス、ありがとうございました❗️

    • コメントをくださりありがとうございます。
      医学部受験の教科書の石戸です。

      記事がお役に立てて良かったです。
      細野先生の本は見た目分厚くて、ウッっとなるんですが、
      やってみたら、わかりやすくて、ドンドン進めるので、
      お勧めです。
      合わせて3つの着眼点もぜひご活用くださいませ。
      ご丁寧にコメントをくださりありがとうございました。

  •   
  

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