信州大学医学部の英語の傾向と対策

信州大学英語

信州大学医学部入試では、平成25年度までは数学のみという特殊な試験制度を採用していましたが、それ以降、大きく変容しています。詳細については、信州大学医学部の化学の記事をご参照ください。
 その中で、本日は平成26年度入試より導入された英語について、傾向と具体的な対策法について紹介します。

信州大学医学部の英語の試験形式・配点は?

信州大学医学部の入学試験の点数配分は、センター試験:450点、個別試験:600点の合計1050点満点です。センター試験と個別試験の比重では、個別試験の点数が高くなっています。とはいえ、個別試験で挽回できるほど、センター試験と個別試験の点数差があるわけではないため、センター試験で失敗した場合に個別試験で挽回できるほどではありません。また、後述しますが、個別試験の中で学科(英数理)が占める割合は450点であるため、実質センター試験:個別試験の割合は1:1と考えると良さそうです。このことからも、センター試験で高得点が取れれば個別試験に大きなアドバンテージを持って臨むことができるといえます。

 

 詳細な各試験の科目とその配点は、

【センター試験】

国語:100 社会:50 数学2科目:100 理科2科目:100 外国語:100

【個別試験】

数学:150 理科2科目:150 外国語:150 面接:150

となっています。

面接も点数化され、著しく低い場合は総合点に関わらず不合格となる場合もあります。

 

英語に関しては、大問4つで構成され、制限時間は90分です。各大問には5問程度の小問が与えられます。

出題内容はすべて長文読解です。長文のテーマは、以前は自然科学系が頻出でしたが、ここ2、3年は文化・人文系にシフトしています。とはいうものの、決まったテーマはなく、比較的幅広い題材が扱われているため、偏りなく様々な知識を日頃から吸収するようにしましょう。出典は一般の書籍に加えて、Scienceのような専門的な科学誌もよく使われます。

 

 解答形式は単語や英文、あるいは日本語での記述型がメインです。文章の内容に一致するものを選択する設問は、例年1題のみの出題です。

 大問1、2、4の設問は日本語で与えられ、論述の解答も日本語で答える形式です。一方で、大問3は設問の指示は英語で与えられ、論述の解答も英語で書かなければなりません。

 

 長文の単語レベルは標準ですが、稀にやや難解なものも含まれます。ただし、文章の内容自体は極端に専門的なものや高度に抽象的なものは見られません。これは英語の試験問題が経法学部と共通であり、医学部専門の問題ではないことも影響していると推測されます。

 

 信州大学医学部を志望するのであれば、和文英訳や自由英作文は出されない点も、必ず押さえておいてください。二次試験直前期は、長文読解に特化するのが効率的といえます。

信州大学医学部の英語の問題の難易度と合格に必要な得点率は?

次に、信州大学医学部の過去の合格最低点のデータや試験の難易度から、英語では何点を目指せばよいか考えてみましょう。

 

まず合格最低点についてですが、平成30年度:818.2点、平成29年度:861.4点、平成28年度:807.2点より、平均を求めると828.9点となります。したがって、850点を超えると合格安全圏といってよいでしょう。

ここでセンター試験で450点中390点(約87%)を取れたと仮定すると、個別試験では600点中460点以上取ることが必要となります。

 

これを踏まえて各教科の難易度から、それぞれ何点ずつを目標点とすべきかを考えると、

数学:120点 理科:130点 外国語:110点 面接:100点

とすれば、460点となり合格点に到達できます。

 

 英語で110点を取るということは、割合に換算すると約73%の得点率となります。他の科目と比べて低めに目標が設定されているのは、決して難易度が高いからというわけではありません。上述のように扱われる長文は、現役生にも理解できるような一般的な内容です。設問も下線部訳や空所補充、内容説明といったオーソドックスなものがほとんどです。

 それではなぜ英語では73%を目標とするかというと、他の国立の英語でも同様ですが、国立型の試験形式では高得点が取りづらく、一定の点数に収束しやすいという特徴があるからです。

実際のところ、長文中で解答に関わる部分を見つけ出すこと自体は難しくありません。しかし、論述の解答には得点が与えられるキーワードが小分けに設定されており、それらすべてが完璧に盛り込まれた満点の解答を作るのは至難の業です。結果として、小さな失点が積み重なり、どの受験生も似たような点数に落ち着くのです。

 

したがって特に国立型試験の場合、英語では高望みせず他の科目で点数を稼ぐ戦略を立てるのが、合格基準を安定的に超えるためのコツになります。

 

信州大学医学部の英語の出題傾向は?

続いて信州大学医学部の英語の各大問の特徴をまとめていきます。

すでにお伝えしたように、信州大学医学部の英語の大問はすべて長文読解であり、出題形式や各大問の設問の内容は、平成26年度に英語が導入されて以降、ほぼ変化はありません。

具体的な大問ごとの出題傾向は、以下のとおりです。

 

【大問1、2】

 英文の読解力や語彙力を見る、総合的な読解問題です。英文和訳や下線部に関する内容説明・理由説明は必出です。また文意にあった単語を空所へ補充させる問題も毎年出されており、選択肢から選ぶものや語形を変化させなければならないもの、文章中から適当な語を抜き出すものといったように、いくつかのバリエーションがあります。これに加えて、ばらばらになった語を正しい順序に並び替えて文章を作る、語句整序も頻出です。苦手な人は、センター試験用の問題集を使って、重点的に取り組みましょう。

 

【大問3】

 英文の文章について英語の質問に英語で答える問題です。信州大学医学部の英語において、最も自由度の高い英文を書く問題です。他の大問とは異なり、下線部が長文中に一切引かれておらず、筆者の考えや文中の表現の説明をさせる問題が頻出です。該当箇所を抜き出すだけでは高得点は狙えないので、簡潔にかつポイントを押さえた解答を英語で書けるようにしておく必要があります。また、文章の内容と合致する選択肢を選ばせる問題が出されることもあります。いずれの問題についても、英文から該当箇所を素早く見つけ出す能力、そして文章の大意を掴む能力が求められているといえます。

 

【大問4】

 英語の長文を用いて、主に語彙力や文法力を試す問題です。空所に当てはまる前置詞を答える問題は、毎年のように出題されています。併せて、空所に当てはまる単語を答え、同義語を文中から探し出すといった単語力も必要となります。しかし、空所に当てはまる語を答える際には、ただ単語の意味を知っているだけでは解答を導くことはできません。しっかりと文章の展開に沿って、論理的に内容を読み進めていく読解力も不可欠です。さらに、語句整序や抜けている文章をどこに戻すのが適当か問う脱文挿入の問題の出題歴もあります。

お勧めの信州大学医学部の英語の対策方法

それでは、上記内容を踏まえ、信州大学医学部の英語の対策は、具体的にどのように行えばよいでしょうか?

 

まずセンター試験までは、英語の総合力の底上げを目指してください。文法・語句・英作文・長文読解を、バランスよく勉強しましょう。

確かに信州大学医学部では、和文英訳や自由英作文の出題はありませんが、大問3では長文に従ってはいるものの、英作文の能力が必要となります。センター試験後の期間だけで対策することは不可能であるのみならず、この時期にある程度のレベルにまで到達しておくと、二次試験直前期には読解の練習に存分に時間を割けることにもつながります。

 

語彙力の強化にもポイントがあります。長文中の単語は基本的には標準レベルですが、見慣れないような単語も出てくることがあります。そのような場合に欠かせないのが、「類推」する力です。

類推には大きく分けて二つあります。一つは文脈や前後関係から言葉の意味を考える方法です。少なくともプラスなのかマイナスなのか、程度を強める表現かそうではないか、といったことを類推できるようになりましょう。さもなければ、筆者の主張とは正反対の読み取りをしてしまうことにもなりかねません。二つ目は単語そのものの構造に着目する方法です。例えば、ex-という接頭語が付く単語は、「外へ」という意味が付加されるパターンが多いです。他にも語尾を見れば品詞の判別ができたり、自分の知っている単語の組み合わせで別の単語となっているようなこともあるかもしれません。

 

この単語を「類推」する力をつけるのに効率的な方法は、単語帳に取り組む際に派生語と元の単語との関係を意識することです。単語帳を読み進めていけば、派生語と元の単語は「何となくつづりが似てるな」、「このつづりが出てくるとこんな意味になることが多いな」という気付きが増えてきます。

この繰り返しにより単語へのセンスは磨かれていくため、単語帳の勉強では隅々まで目を通すようにしましょう。

なおお勧めの単語帳は、『速読英単語 必修編』『速読英熟語』(Z会出版)です。

 

読解の勉強では、様々な問題集が出版されており、特にこれがお勧めというものはありません。基本的には、語数が適当(700~1000語程度)であればどのような問題集を選んでもよいです。

あえて挙げるとすれば、『やっておきたい英語長文700』(河合塾シリーズ)が質が高いです。とにかく、多くの文章に触れ、手を動かすことが重要です。

 

より詳細な問題集の使い方は、過去記事「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」を参考にしてください。

 

センター試験終了後は、

①過去問の分析

②信州大学医学部や他の大学の過去問を使った実戦演習

を行ってください。

 

 信州大学医学部の英語の出題傾向は、本記事でもお伝えしている通りですが、自身の目でも確認してください。平成26年度以降の過去問だけなので、さほど時間はかからないはずです。

 

 過去問の分析をした後は、過去問を使った演習に取り組みましょう。信州大学の過去問は数が少ないため、出題傾向の似た他の大学の過去問も活用してください。

 過去問に取り組む際には、必ず時間を計り、時間配分や問題を解くスピードに問題がないかといったことの最終確認もすることを忘れないでください。

 

ここで注意していただきたいのが、一度取り組んだ読解の問題集は使わないようにするということです。他の分野とは異なり、読解問題は一度読んだ文章にもう一度挑戦しても効果は非常に薄くなってしまいます。もし、過去問が足りなくなってしまった場合は、新しい問題集を購入するべきです。

まとめ

信州大学医学部の英語の傾向と対策法のポイントは、

①英語は平成26年度に入試科目として導入された

②大問4つの長文読解で構成され、各大問は5つ程度の小問に分かれる

③制限時間は90分

④目標点は110/150

⑤大問1、2、4は日本語の設問に日本語で解答し、大問3は英語の設問に英語で解答する

⑥センター試験まではバランスよく勉強し、単語を類推する力をつける

⑦センター試験終了後は大学の赤本で実戦演習をする

の7つが重要なポイントです。

 

信州大学医学部の英語は、問題構成からも明らかなように、読解力が大変重要視されています。センター試験まではバランスの良い勉強が必要ですが、その後はひたすら読解の練習に時間を掛けましょう。

長文読解は一朝一夕には上達しません。時間はかかりますが、解説を見て解けるようになった気になるのではなく、きちんと自分の手で答案を書き解答と照らし合わせる地道な作業を積み上げて、合格への道を進んでいってください!!

 

 

本記事内で登場した過去のオススメ記事

「信州大学医学部の化学の傾向と対策」

 

「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」

 

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