医学部受験でセンター試験が大切と言われる3つの理由
あなたも一度は、「医学部入試ではセンター試験が大事だ!」と聞いたことがありませんか?
今回はその理由についてお伝えします。
そもそもセンター試験ってどんな試験?
センター試験は全科目マーク式で、大学進学を志す全国の約50万人が受験します。
例年、1月13日以降の最初の土曜日・日曜日の二日間で実施されます。
忘れてはならないのが、大学の二次試験へ出願する際に、センター試験を受験していることが条件となることが一般的であることです。
つまり、センター試験は、医学部受験を考えるのであれば、避けては通れない関門と言えるでしょう。
ただし、詳細は後述しますが、最終的な合否にセンター試験が及ぼす影響は、大学によって差があります。
医学部受験生の受験科目と配点
医学部を目指す受験生が受験する可能性の高い科目を以下にまとめます。
カッコ内は、制限時間と配点です。
・国語→近代以降の文章、古文、漢文(80分・200点)
・地理歴史・公民→世界史B、日本史B、地理B、現代社会、倫理、政治・経済、倫理・政
治・経済の7科目から1科目を選択(60分・100点)
・数学→①数学Ⅰ・A(60分・100点)②数学Ⅱ・B(60分・100点)
・理科→物理、化学、生物、地学の4科目から2科目を選択(130分(うち解答時間120
分)・200点)
・外国語→英語(【筆記】80分・200点、【リスニング】60分(うち解答時間30分)・50点)
これら以外にも、特定の条件下で簿記・会計を選択できたり、外国語の試験にドイツ語、中国語等もあったりしますが、実際に受験するのはまれなケースなのでここでは割愛します。
興味のある方は、大学入試センターや受験を考えている大学のホームページなどで確認してみてください。
さらに、あくまで上記科目は、国立大学の典型的なセットをもとに記載しています。
国立大学ではすべて受験する必要がありますが、私立大学等では一部だけでよい場合もある点に留意してください。
英語には50点満点のリスニング試験がありますが、筆記とリスニングを4:1の割合で合算して200点満点とする場合が多いです。
なぜセンター試験は大切なのか?
さて、本題に移ります。
医学部入試において、センター試験が重要とされるのには、大きく3つの理由があります。
その3つの理由とは、
1.受験大学の選択に、センター試験と二次試験の得点の配分が大きく影響する。
2.センター試験終了直後に、大手予備校が行っているセンターリサーチで、おおよその合
格判定が出される。
3.私立大学ではセンター試験利用入試(センター試験の点数だけ)で、合格できる可能性がある。
となります。
それぞれについて具体的内容を見ていきましょう。
センター試験と二次試験の配点の大学ごとの違いを知ろう
例えば、国公立医学部を受験するには、数学Ⅰ・A、数学Ⅱ・B、英語、国語、理科2科目、社会1科目が課されます。
つまり合計で900点満点となるのは共通です。
しかし、注目すべきは、大学ごとのセンター試験と二次試験の得点配分の違いです。
新潟大学を例にとると、センター試験は国語と社会の得点が1/2に圧縮され、750点満点になります。
二次試験は英語、数学、理科2科目を受験し、各150点の450点満点です。
つまり、新潟大学の特徴は、
・センター試験:二次試験=750:450であり、全体に占めるセンター試験の得点のウェイ
トが大きい(62.5%)。
・センター試験では文系科目の比重が軽減され、理系科目が得意な受験生に有利である。
と言えるでしょう。
これが東京大学理科Ⅲ類では、事情は全く異なります。
まず、センター試験900点分は110点分にまで圧縮されます。
二次試験は国語も課され、440点満点で合算されます。
すなわち、センター試験で仮に高得点を取ったとしても、二次試験で簡単にひっくり返るというわけです(センター試験が占める割合は20%)。
私立大学ではさらに受験科目や得点配分などが多様です。
加えて、同一大学に複数の入試制度を導入している場合もあるので、要チェックです。
中にはセンター試験のみ点数化される大学もあります
そして、後期試験においては、センター試験の重要性がさらに増すと心得てください。
後期試験の配点を見てみると、センター試験の点数:個別試験の点数は、名古屋大学では何と900:0(センター試験のみ)となっています。
また、広島大学、山形大学、鳥取大学では900:100(面接)、香川大学では1200:300(小論文・面接)です。
もちろん、この関門を突破するにはかなりの高得点を求められますが、受験生によっては大変魅力的な条件となるでしょう。
要するに、センター試験で高得点であれば、どこかの医学部に入れるが、二次試験で高得点が取れる実力があっても、絶対に合格できるとは言い切れないのです。
以上から、結論としては、入試情報を集め、自分の得点パターンに適した大学を探すことが、医学部合格への近道です。
得点パターンというのは、
・センター試験で高得点を取り逃げ切るのか、二次試験でも高得点を狙うのか。
・理系科目が得意か、文系科目が得意か
・問題の難易度によってどこまで対応できるか
などと言ったことです。
とはいえ、各大学の配点や問題の難易度を一人で調べて考えるのは大変だと思います。
したがって、入試情報集めや志望校決めは、できるだけ医学部受験のプロに相談しましょう。
センターリサーチを活用しよう
センターリサーチとは、その年のセンター試験の得点傾向から、大手予備校が受験生の志望校の合格判定を出すものです。
仕組みとしては、センター試験終了後に受験生が自己採点した点数を予備校に提出します。
予備校は集めたデータと過去の傾向から、合格判定を行います。
基本的に、自己採点結果を提出しなければ、判定を知ることはできないため、可能な限り参加してください。
正式な解答は、試験日の翌日の新聞に掲載されます。
当日でも、各予備校から解答速報が出されるので、早めに点数が知りたければ調べましょう。
予備校側としては受験生のデータ収集ができ、受験生としてはある程度の順位が分かるため、ウィンウィン(win-win)と言えます。
二次試験の点数配分が大きい大学では、センターリサーチの信頼性は低いですが、出願の際の重要な判断要素となります。
仮に近所に大手予備校がなくても、少々時期が遅くなるものの、大手予備校(河合塾・駿台予備校など)のサイトで同様の判定をしてくれるサービスもあるので、是非活用してください。
センター試験利用入試で医学部合格を掴み取ろう
私立医学部では、センター試験利用入試を取り入れている大学が増えてきています。
センター試験利用入試とは、文字通り、センター試験と面接・小論文のみで合格できる制度です。
二次試験の時期に突入する前に、一つでも合格した大学があれば、かなり心の持ちようが変わります。
例えば、愛知医科大学ではセンター試験利用入試を採用しています。
試験科目は、国語(近代以降の文章のみ、100点分)、数学Ⅰ・A、数学Ⅱ・B、理科2科目、英語の700点満点で、2016年度の合格者の最低得点率は87.5%でした。
国立大学医学部の合格者のセンター試験の得点率の平均が9割程度と言われていることを考えると、より少ない科目で9割弱を目指せばよいという意味では魅力的です。
センター試験を受験するうえでの注意事項
最後に、センター試験を受験するうえでの注意事項を紹介します。
あなたは決してこれらの点でつまずかないように、計画的に行動して、対策を取ってくださいね。
場合によっては、一つの失敗でこれまでの努力が水泡に帰してしまいますよ!
・出願を忘れない
当たり前のことですが、センター試験の受験をするには、事前に申し込みが必要です。
驚くべき話ですが、出願を忘れたために、一年間浪人する受験生もいます。
現役生や予備校生は周囲から自然と情報が入るので安心ですが、自宅浪人をしている受験生は自ら動かなければ情報は入ってきません。
ちなみに平成30年度の出願期間は、平成29年9月26日(火)から10月6日(金)(消印有効)でした。
こちらを参考に、必ず早めに受験案内等を取り寄せて準備しましょう。
・会場までの道のりを下見する
センター試験の受験会場は、運営側が振り分けますが、自宅から1時間以上かかる会場となることもあります。
当日、道に迷って遅刻したり、迷う心配をすることのないように、事前に会場までの道のりを下見しておくことをお勧めします。
また、季節的に降雪で交通機関が乱れることもあるので、当日は早めに到着するように計画を立てましょう。
・受験科目は正しく申請する
センター試験で受験する科目は、出願の際に同時に申請します。
しかし、間違えて申請をしてしまい、試験当日に気づいても変更はできません。
大学により必要となる科目が異なるため、あなたの志望大学が指定している科目をきちんと申請しているか、よく確認してから出願してください。
・間違えて他の科目の問題を解かない
これも実際にセンター試験を受験したことがない方にはピンとこないかもしれませんが、むしろこのミスが最も多いかもしれません。
なぜかと言うと、同じ時間に実施される科目は、すべて同じ冊子に印刷されているからです。
つまり、数学Ⅰ・Aを解かなければならない受験生が、誤って数学Ⅰを解いてしまうということが起こり得るのです。
試験に臨むにあたっては、まず、あなたの解いている問題は本当に正しい科目か。
そこからスタートしましょう。
まとめ
この記事でお伝えしたかった内容をまとめると、大きく分けて3つです。
①医学部受験でセンター試験が大切と言われる3つの理由は、
1.センター試験と二次試験の配点などの入試制度により、受験生と大学との相性が決まる
2.センターリサーチで二次試験直前期に合格判定を知ることができる
3.センター試験利用入試で医学部合格できる
②これらを踏まえて、
1.各大学の入試情報を集め、自分に合った大学を見つける
2.センター試験が終わったら、自己採点をし、センターリサーチに参加する
3.センター試験で高得点が狙える場合は、センター試験利用入試も選択肢に入れる
③志望校・出願校が決まればセンター試験に向けて、
試験の点数以外の失敗はしないように、早めに情報を集め、計画的に行動する
となります。
最後に、改めて、医学部受験生の方に繰り返して強調したいことがあります。
それは、後期試験の例で紹介したように、「センター試験で高得点であれば、医学部に合格できる」ということです。
センター試験利用入試でも同様のことが言えます。
簡単なようで、実はなかなか思うようにいかないのがセンター試験です。
複数科目の対策を計画的に行わなければ高得点はのぞめないからです。特に、医学部受験生の多くは、国語の対策が疎かになり、国語で失敗します。
裏を返せば、しっかり対策をすればそれだけ周囲と差をつけることができます。
この記事でセンター試験の重要性をきちんと認識し、1点でも高い点数を目指し、医学部合格を掴み取っていただければ幸いです。
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