福井大学医学部の英語の傾向と対策
福井大学医学部の化学の記事において、暗記の重要性をお伝えしましたが、同大学の英語でも暗記事項が得点に直結する場面が多くみられます。
本日は、その福井大学医学部の英語に関して、出題傾向や合格のために必要な対策法を紹介します。
福井大学医学部の英語の試験形式・配点は?
最初に、福井大学医学部の試験形式をまとめます。
医学部受験は大学によって特色が様々なので、福井大学医学部の受験を考えている方は、是非参考にしてください。
福井大学医学部の入試形式には、前期一般入試(55名)、後期一般入試(25名)および推薦入試(30名)に分かれています(カッコ内は募集人員)。本記事では最も受験人数の多い前期一般入試について扱います。
他の国立医学部と同様に、福井大学医学部においても前期一般入試はセンター試験と二次試験を受けて、その総合点で合否が決まります。各試験の科目ごとの点数配分は、
【センター】国語:200点 社会:100点 数学:100点×2 理科:100点×2 英語:200点
【二次試験】数学:200点 理科:100点×2 英語:200点 面接:100点
であり、センター試験の点数の圧縮等の調整はありません。
つまり、センター試験が900点、二次試験が700点の合計1600点満点で計算が行われます。このセンター試験と二次試験の配点は大学ごとに異なっており、医学部受験の志望校選びにおいて非常に大きな意味を持つものです。
他の大学と比較すると、全体に占めるセンター試験の比率がやや高いため、センター試験の苦手な受験生には不利に働きますが、二次試験の配点からすると逆転も十分な可能な配点です。センター試験で高得点を取り、そのまま逃げ切るのが基本的な戦略ですが、仮にセンター試験で多少失敗しても二次試験で高得点が狙える場合は、一発逆転にかけて出願するのもよいでしょう。
英語については、大問4つで構成され、制限時間は110分です。
国立大学では他の学部との共通問題であることが多々ある一方で、福井大学医学部の英語は医学部専用の問題となっています。
各大問の出題内容を見てみると、大問1では長文中の空所補充で、適切な単語を選ぶ形で空欄の数は15個です。大問2、3は長文読解であり、設問は下線部訳、内容・理由説明、語句整序といったように、バラエティーに富んでいます。設問数は5~7題程度です。大問4は自由英作文であり、日本語で題材が設定され、それに対して自身の考えを英語で解答する形式です。分量は例年、100語程度という指示が与えられます。
上記のような大問構成や出題内容は、ここ数年変化はありません。単語力、文法知識、読解力、記述力や英作文の力と、バランスよく英語力を付ける必要がある試験内容です。
とはいえ、必要とされる知識や扱う長文のレベルは医学部受験としては標準的なので、勉強した結果がきちんと得点に反映されやすいといえます。
あえて特徴をあげるとすれば、単語力がやや重要視されています。大問1で単語を問う空所補充が出されているだけでなく、長文読解でも文章中の高難度の単語や慣用表現等と同意の表現を答えさせる問題が見られます。
単語と教科書に載っている意味を一対一対応で暗記するだけではなく、単語の原義や文脈から意味を類推するといった、「総合的な単語力」を意識しましょう。
福井大学医学部の英語の問題の難易度と合格に必要な得点率は?
次に福井大学医学部に合格するには、英語では何点を取ればよいか考えてみます。
そのためには、過去の合格最低点や科目ごとの難易度を知らなければなりません。
福井大学医学部の合格最低点は、センター試験と二次試験の合計の1600点満点で、
2018年度:1162点 2017年度:1197点 2016年度:1177点 2015:1182点
となっています。このことから、1200点以上得点できていれば、合格圏といえます。
ここでセンター試験において780点(約87%)取れたと仮定すると、二次試験では700点中420点(60%)が必要です。
科目ごとの難易度も踏まえて計算すると、
数学:130点 理科2科目:120点 英語:110点 面接:60点
を目標とするのが良いでしょう。
英語は他の理系科目に比べると目標点が少し低めに設定していますが、医学部専用の問題とは言え、決して難易度が高いというわけではありません。
福井大学医学部の英語では、長文読解で論述問題が出されますが、この種の問題は大学側が設定している解答のポイント全てを押さえた答案を作るのは困難と言わざるを得ません。
さらに大問4では自由英作文が出題されますが、自分にとって背景知識の乏しいテーマが与えられる可能性があり、また自由度が高い分、細かな文法ミスで失点が重なりがちです。
以上のことから、英語では高得点を目標とするのではなく、一定点数は必ず取れるようにし、それ以上の点数を取れたらラッキー、くらいの心構えで臨みましょう。その一定点数が110点と理解してください。
福井大学医学部の英語の出題傾向は?
各大問の出題内容については、既に紹介しましたが、以下ではそれぞれより詳細に出題傾向をまとめていきます。
【大問1:空所補充】
長文中に15個の空欄が作られており、それに当てはまる単語を選択肢の中から選択する形式です。文章のテーマは社会、文化に関するものが多いです。大問1で得点を稼ぐためには、「総合的な単語力」が欠かせません。単語そのものの意味を知っていることはもとより、文章の前後関係を素早く把握する能力や、知らない単語であっても接頭語・接尾語や文脈から意味を類推する力も重要です。
【大問2、3:長文読解】
医学部受験としては分量、単語レベルともに標準的な長文が出題され、設問はすべて日本語で与えられます。ただし、問題が医学部専用ということもあり、一般的な自然科学のみならず医学に関するテーマも頻出です。もちろん医療の知識がなくても設問に対応できるようになっていますが、背景知識を持っていると読解の助けになる可能性があります。加えて、医学部受験では珍しい小説・物語の出題歴もあります。説明文に比べると、登場人物の心理描写や行動の理由といった抽象度の高い読解が求められるので、本番の前に小説や物語文の長文読解の練習をしておきましょう。
設問は下線部和訳や内容・理由説明を中心に、空所補充や語句整序といったように多様な切り口から受験生の英語力を計ります。また、同意表現を答える問題も出されることがあり、見慣れない語句の意味を類推しなければならないことがあるため、大問1と同様に長文読解においても「総合的な単語力」が重要といえます。
【大問4:自由英作文】
日本語で設定された題材への自身の考えを、100字前後の英語で自由に論述する形式です。語数は年度により若干増減しますが、大幅な変化は見られません。与えられる題材は、社会問題、医療・福祉、哲学等、多岐にわたっています。抽象度の高い哲学のような自由英作文を書く機会は少ないので、福井大学医学部を受験するのであれば、重点的に練習しておくべきでしょう。題材が医療・福祉に関連する場合、長文読解と同じく背景知識があるとより説得力のある文章が書くことができます。医学部受験生のほとんどは面接練習をするはずですが、その中で長文読解や自由英作文への対策も兼ねて、医療・福祉についての知識や時事問題を覚えるのが効率的です。
お勧めの福井大学医学部の英語の対策方法
最後にこれまでの内容を踏まえた、具体的な対策法をお伝えします。
まず初めに、センター試験までは英語の基礎力を高めることに努めてください。英語の基礎力とはすなわち、単語力、英文法の知識、読解力、記述力の4つです。
単語力については、『速読英単語 必修編』、『速読英熟語』(Z会出版)をお勧めします。福井大学医学部では「総合的な単語力」が大事であることを強調しましたが、この単語帳は最初に例文が掲載されており、実際にどのような文脈でその単語が使われるかを意識しながら勉強できます。また、類義語や派生語等もまとめられているため、福井大学医学部を志望する場合は隅から隅まで読み込んでください。
また、英語が得意で余裕があるのであれば、『医歯薬系の英単語』(赤本メディカルシリーズ)で医療系の単語を強化しておくと、さらに得点アップにつながります。長文読解や自由英作文で専門的な単語を知っていると、対応できる幅が広がるはずです。
ただし、あくまでも速単・速熟の内容が完璧でない場合は、そちらが最優先です。医療系の単語はプラスアルファと考えてください。
長文読解については良い問題集が多いですが、英文の語数や単語数、設問が福井大学医学部と似ているものを使いましょう。あえて挙げるとすれば『やっておきたい英語長文700』(河合塾シリーズ)で勉強すると良いでしょう。読解力だけではなく、しっかり自分で記述を行い模範解答と見比べることで、ポイントを押さえた答案の書き方も修得してください。
英文法の知識についても、長文読解の語句整序や自由英作文で必要となるだけでなく、センター試験でも直接的に問われる内容なので、しっかりと問題集を解き進めましょう。
なおこれらの勉強で用いる問題集のより詳細な使い方は、過去記事「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」を参考にしてください。
11月頃からは基礎力の養成に加えて、自由英作文の対策も始めてください。
自由英作文専用の参考書は多くあるので、残りの勉強期間も含めて自身にあうものを選んで勉強しましょう。参考書により自身で使うことのできる表現を増やし、それを実際に書くことで力がついていきます。
このとき可能であれば、予備校や学校の先生に添削をしてもらいましょう。問題の性質上、模範解答を1つに絞ることは不可能であり、微妙なニュアンスの違いや文法のミスはプロでなければ見抜くことができないからです。
さて、センター試験が終わったら、福井大学医学部に特化した対策法に移ります。
具体的には、
・過去問の分析
・過去問を使った実戦演習
・単語力および自由英作文の強化
の3本柱で勉強をしてください。
過去問の分析は、どのような問題が出題されるか、長文で頻出の分野は何かといったことを確認してください。
過去問分析が終わったら、いよいよ過去問による問題演習をスタートします。必ず時間を計り、本番を意識して問題を解くのがポイントです。また、過去問にも自由英作文の大問があるため、これまでに引き続き可能な限り添削をしてもらうことも忘れないでください。
同時並行で、単語帳の総復習および問題集・参考書による自由英作文の練習をしてください。自由英作文は普段の勉強ではなかなか手が回らない分野ですが、センター試験が終わればかなり時間的余裕ができるはずです。最初で最後の自由英作文強化のチャンスなので、時間を大切にして取り組みましょう。
まとめ
福井大学医学部の英語の傾向と対策法のポイントは、
①大問4つに対して制限時間は110分
②大問1は空所補充、大問2、3は長文読解、大問4は自由英作文が出題される
③目標点は200点中110点
④空所補充では「総合的な単語力」が重要
⑤長文読解、自由英作文では医療・福祉の背景や単語の知識が得点アップにつながる
⑥センター試験までは、単語力、英文法の知識、読解力、記述力の養成に努める
⑦自由英作文の対策は11月頃から始める
⑧センター試験終了後は、
・過去問の分析
・過去問を使った実戦演習
・単語力および自由英作文の強化
を行う
の8つです。
福井大学医学部の英語は医学部専用であることから、扱われるテーマにやや偏りがありますが、出題傾向に大きな変化はないので対策は立てやすいはずです。相手の特徴をしっかりと掴み、それに一つ一つ対応して是非とも合格を勝ち取ってください!!
本記事内で登場した過去のオススメ記事
「福井大学医学部化学の傾向と対策」
「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」
福井大学の過去問題やその他の教科の傾向と対策
こちらのページで過去問を無料で閲覧できます
また、その他の教科の傾向と対策についても見ることができますので、
ご参考にしてください。
福井大学の過去問ページ
本記事で登場したお勧めの問題集・参考書
『速読英単語 必修編』
『速読英熟語』(Z会出版)
『医歯薬系の英単語』(赤本メディカルシリーズ)
『やっておきたい英語長文700』(河合塾シリーズ)
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