福島県立医科大学の化学の傾向と対策

福島化学

先日、「福島県立医科大学の物理の傾向と対策」において、福島県立医科大学の物理は時間との勝負になるとお伝えしましたが、同大学の化学でも同様のことがいえます。

 本日はその福島県立医科大学の化学について、これまでの傾向と具体的な対策法を紹介します。

福島県立医科大学の化学の試験形式・配点は?

はじめに福島県立医科大学の入試制度について見ていきましょう。

 

 福島県立医科大学医学部の入試は一般入試、推薦入試に大きく分類されます。さらに一般入試は、一般枠(50名程度)、地域枠(30名程度)、推薦入試は、県内出身者向けのA枠(35名程度)、県外出身者向けのB枠(15名程度)に細かく分かれます(カッコ内は募集人員)。

 本記事では最も受験者数の多い、一般枠の一般入試について取り扱います。

 

 一般入試はオーソドックスな医学部受験の形式が採用されており、センター試験と大学が課す二次試験の合計得点で選抜が行われます。各試験の科目と配点は、

【センター】国語:150点 社会:50点 数学:75点×2 理科:75点×2 英語:150点

【二次】数学:200点 理科:100点×2 英語:200点 面接:60点

となっています。センター試験650点、二次試験660点の計1310点満点です。センター試験においては、社会の配点が他の科目よりも圧縮されている点は押さえておきましょう。

 

 ちなみに入学志願者が募集人員の4倍を超えた場合、センター試験の成績により第1段階選抜が行われることとなっており、実際に実施された年度もあります。また、第2段階選抜は、センター試験、個別学力検査(2次試験)、面接の結果、および出願書類を総合して行うため、合計得点が合格者最低得点を上回っていても、不合格となる場合があると明記されている点には気を付けなければなりません。

 

 そのうち理科に関しては、物理・化学・生物の中から2科目を選択することになります。制限時間は理科2科目に対して120分なので、1科目当たり約60分割くことができます。

 

 化学については例年大問3つで構成されており、5~8つ程度の小問に分かれています。平成28年度には大問4つとなっていましたが、それ以降は再び大問3つとなっている点は押さえておきましょう。

 

 解答は答えのみを記載する記述型が中心で、物理とは異なり簡単な説明を書くことは求められません。また毎年必ず1題は論述問題が出されており、他にも化学反応式や構造式、グラフの描図問題等も見られます。

 

 難易度は標準的なものが中心ですが、一部にはやや難易度の高い問題も出されます。特に福島県立医科大学の大問3では後述するように構造決定が頻出ですが、細かい知識を要する場合も多いため、できるだけ時間を割けるように時間配分も意識しましょう。計算問題が多いことも考えれば、練習を繰り返して計算スピードを上げることに加え、反射的に解答できる知識問題は手早く処理していくことを心掛けてください。

福島県立医科大学の化学の問題の難易度と合格に必要な得点率は?

続いて、福島県立医科大学の過去の合格最低点のデータや他の科目の難易度をもとに、化学では何点を取ればよいか考えてみます。

 

福島県立医科大学の合格最低点は、1310点満点中、

平成31年度:910.6点 平成30年度:861.7点 平成29年度:912.2点 平成28年度:886.7点 平成27年度:872.3点

となっています。したがって、920点(約70%)取れれば合格安全圏といえます。

 

 ここでセンター試験の得点が650点中570点(約88%)であったと仮定すると、二次試験では660点中350点(約53%)得点できれば合格点に達します。これを踏まえて各科目の難易度も考慮して、二次試験の各科目の目標点を設定すると、

数学:90点 理科:110点 英語:110点 面接:40点

とするのが良いでしょう。

 

 理科は2科目で200点中110点(55%)を目指すことになりますが、選択する2科目の間に特段の得手不得手がなければ、いずれも55点ずつを取れるように準備してください。難易度のみからすれば決して越えられないハードルではありませんが、対策が不十分では時間内にすべての問題を解ききることはできません。一方で化学が得意な方であれば、より高得点を狙うことのできる内容でもあります。医学部受験生としては理系科目を強化するデメリットはないため、安定して55点以上取れるようになったら、積極的に化学の点数を上げることも戦略の一つとなります。

福島県立医科大学の化学の出題傾向は?

それでは、福島県立医科大学の化学では、どのような問題が出されるのでしょうか?

 

 本大学で最も典型的な大問3つが出題されるパターンでは明確な傾向があるため、それに基づいて大問ごとに重要テーマをまとめていきます。

 

【大問1】

 大問1では無機化学の分野から、主に無機化合物に関する知識を試す問題が出されます。勉強の方法としては、元素ごとにその無機化合物の性質や製法が教科書に載っているで、体系的に暗記するのが効率的です。一度インプットをした後は、問題演習を通して定着していない知識を教科書等で再度確認するようにしてください。

 併せて関連する無機化合物の工業的製法の出題歴もあります。平成31年度には水酸化ナトリウム、平成30年度には硫酸の製法が問われています。注意しなければならないのが、問題中ではどの化合物の工業的製法か明治されていないことがある点です。こうした場合は、原料となる物質からその製法に結びつけることができるかどうかがカギとなります。工業的製法について勉強する際は、スタートとゴールをしっかりと覚えるようにしましょう。

 

【大問2】

 大問2では理論化学の分野から出題がありますが、重要度が高いのが化学平衡です。ただし福島県立医科大学では医学部受験で定番の内容の以外にも、分配平衡や酸解離平衡といった教科書に載っていないようなものも見られます。とはいえ基本的な考え方は電離平衡等の典型問題と非常に類似しているため、基本的事項が身に付いていればあとは問題の誘導に従っていけば解けるはずです。

 他にもここ5年でこれまでに電池や物質の三態を扱う問題の出題歴があることからも分かるように、様々なテーマから問題が出される可能性があることは押さえておかなければなりません。理論化学に関しては化学平衡の完成が最優先ですが、全体として穴を作らないような勉強を心掛けましょう。

 

【大問3】

 大問3では有機化合物の構造決定が頻出です。近年では平成28年度を除いてはいずれの年度でも構造決定が出されています。解きづらい問題が多く、細かい知識を要する場合も多々あります。有機化合物の性質や検出法といった基礎を定着させることはもちろんですが、構造決定で得点を伸ばすにはプラスアルファの知識もできるだけ覚えていきましょう。例えば合成で用いられる触媒の種類や、その有機化合物が実生活ではどのように活用されているかを知っていると、問題を解く上でヒントとなることもあります。さらに、平成30年度、平成31年度には元素分析の結果をもとに分子式を導く設問が続けて出されました。類題を通してスムーズに処理できるように必ず練習しておきましょう。

 

 ちなみに既にお伝えしているように、平成29年度には大問が1つ増加していましたが、このときには上述の3つに加えて有機化学からペプチドに関する大問が出されました。構造決定においてもPETの知識を問われたこともあるため、念のため高分子化合物への対策も怠らないようにしてください。

お勧めの福島県立医科大学の化学の対策方法

最後にこれまでの内容から、福島県立医科大学の化学の対策に必要な具体的な勉強法をお伝えします。

 

 まずセンター試験までの時期は、化学の全単元の典型問題の解法を身に付けることを目標としてください。化学はメインテーマではなくても、他のテーマの知識を試すような複合問題を出しやすい科目です。そのため初めのうちは頻出ではない分野であっても、一通りの問題への対応ができるようにしておくことが肝要です。

 

 この時期の勉強におススメの問題集は、『化学重要問題集―化学基礎・化学』(数研出版)です。福島県立医科大学の化学では超高難度の設問は出されないため、重要問題集の内容をすべて身に付けられれば対策は完璧といっても過言ではありません。問題数はやや多いため、間違えた問題をピックアップするなどして効率的に何度も取り組みましょう。

なお本書の特徴は、「「化学重要問題集」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方」に詳しいので、是非参考にしてください。さらに、より詳細な問題集の使い方についても、過去記事「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」で紹介しているので、ご一読ください。

 

 センター試験終了後は、二次試験に向けた準備に取り掛かってください。具体的に行っていただきたいのが、

・過去問の分析

・過去問を用いた実戦演習

・問題集を用いた苦手分野の克服

の3つです。

 

 本大学の化学は出題傾向が明確なので、過去問分析をすることでおのずと残り約1カ月で自身が取り組むべき内容が分かってくるはずです。出題内容やその形式、設問数といった観点から、5か年分程度の過去問に目を通してください。むやみに勉強を始めようとするのではなく、まずはここでいったん態勢を整えるのが直前期を有意義に過ごすコツです。

 

 過去問分析が終わったら、実際に過去問に挑戦してみましょう。このとき忘れないでいただきたいのが、時間を計って問題を解くことです。福島県立医科大学の化学は時間配分が勝負を分ける試験であり、こうした練習は過去問演習により行うしかありません。裏を返せば本番を意識した練習の回数には限りがあるので、各年度とも大切な実戦演習の機会として無駄にすることがないようにしてください。

 

 同時にここまでの勉強で手が回り切らなかった苦手分野の強化に努めましょう。気を付けなければならないのが、あまりすべてのことをこなそうとしないことです。残りの期間を考慮すると、なるべく本番で得点に直結することに時間を割くのが賢明です。過去問分析の結果から対策すべき分野の優先度をはっきりさせ、これまでに使ってきた問題集で復習を進めてください。

まとめ

福島県立医科大学の物理の化学と対策法のポイントは、

①理科2科目に対して制限時間は120分

②物理は大問3つで構成され、5~8つ程度の小問に分かれる

③解答は答えのみの記述型が中心で、一部に論述問題やグラフの描図問題等も見られる

④難易度は標準的であるが、時間配分も意識しなければならない

⑤目標は100点中55点であるが、医学部受験生としてはさらに高得点を狙うのも良い

⑥頻出テーマは、

【大問1】無機化学(無機化合物の性質・製法、工業的製法)

【大問2】理論化学(化学平衡の応用)

【大問3】有機化学(構造決定、元素分析)

⑦センター試験までは、化学の全単元の典型問題の解法を身に付けることを目標とする

⑧センター試験終了後は、

・過去問の分析

・過去問を用いた実戦演習

・問題集による苦手分野の強化

を行う

の8つです。

 

 福島県立医科大学の入試は数学の難易度が高く高得点を取ることが困難ですが、反対に理科では対策次第で得点源とすることができます。本記事では目標点は高くありませんが、あくまでもそれは最低ラインです。他の医学部受験生に差を付けられるように、戦略的にかつ必死に日々勉強しましょう!!

 

 

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「「化学重要問題集」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方」


 

「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」

 

福島県立医科大学の過去問題やその他の教科の傾向と対策

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本記事で登場したお勧めの問題集・参考書

『化学重要問題集―化学基礎・化学』(数研出版)

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