福島県立医科大学の物理の傾向と対策

2019年09月19日 志望する大学の特徴

福島物理

別記事、「福島県立医科大学の数学の傾向と対策」において、福島県立医科大学の数学は国公立医学部の中でも非常に難易度が高いことを強調しました。それに対して、他の科目は標準レベルの設問が多く、こうした問題でいかに得点を稼げるかがポイントになります。

本日は同大学で課される試験科目の中でも物理について、これまでの傾向と具体的な対策法を紹介します。

福島県立医科大学の物理の試験形式・配点は?

はじめに福島県立医科大学の入試制度について見ていきましょう。

 

 福島県立医科大学医学部の入試は一般入試、推薦入試に大きく分類されます。さらに一般入試は、一般枠(50名程度)、地域枠(30名程度)、推薦入試は、県内出身者向けのA枠(35名程度)、県外出身者向けのB枠(15名程度)に細かく分かれます(カッコ内は募集人員)。

 本記事では最も受験者数の多い、一般枠の一般入試について取り扱います。

 

 一般入試はオーソドックスな医学部受験の形式が採用されており、センター試験と大学が課す二次試験の合計得点で選抜が行われます。各試験の科目と配点は、

【センター】国語:150点 社会:50点 数学:75点×2 理科:75点×2 英語:150点

【二次】数学:200点 理科:100点×2 英語:200点 面接:60点

となっています。センター試験650点、二次試験660点の計1310点満点です。センター試験においては、社会の配点が他の科目よりも圧縮されている点は押さえておきましょう。

 

 ちなみに入学志願者が募集人員の4倍を超えた場合、センター試験の成績により第1段階選抜が行われることとなっており、実際に実施された年度もあります。また、第2段階選抜は、センター試験、個別学力検査(2次試験)、面接の結果、および出願書類を総合して行うため、合計得点が合格者最低得点を上回っていても、不合格となる場合があると明記されている点には気を付けなければなりません。

 

 そのうち理科に関しては、物理・化学・生物の中から2科目を選択することになります。制限時間は理科2科目に対して120分なので、1科目当たり約60分割くことができます。

 

 物理については、大問3つで構成されており、5~7つの小問の誘導に従っていく形式です。また、一部の大問の設問中には空欄が設けられており、適切な数式や語句で空欄補充をしてから設問に移るパターンも見られます。

 ちなみに平成29年度までは大問4つの出題であったため、現在は大問が1つ減った形になります。ところが、大問ごとの小問数は増えているため、全体として見れば時間的余裕ができたとはいえません。

 

 設問に対する答案のほとんどには、簡単な説明を付けることを求められます。「簡単な説明」とあるので数学のような長い論述は不要ですが、模範解答などを参考にして過不足なく説明ができるように練習しておきましょう。他にも頻度は高くありませんが、グラフの描画問題や法則の説明問題の出題歴もあるため、過去問で確認してみてください。

 

 難易度は基本から標準的なものが中心で、同大学の数学とは打って変わって解きやすい問題が並んでいます。しかし、気を付けなければならないのが設問の難しさではなく、時間との勝負になる点です。小問の数が多く1題当たりおよそ2、3分しかかけることができないうえに、簡単な説明を含む答案の作成にはどうしても時間を要します。攻略のために最も重要なのは、典型問題をてきぱきと処理していく能力であることを押さえておきましょう。

福島県立医科大学の物理の問題の難易度と合格に必要な得点率は?

続いて、福島県立医科大学の過去の合格最低点のデータや他の科目の難易度をもとに、物理では何点を取ればよいか考えてみます。

 

福島県立医科大学の合格最低点は、1310点満点中、

平成31年度:910.6点 平成30年度:861.7点 平成29年度:912.2点 平成28年度:886.7点 平成27年度:872.3点

となっています。したがって、920点(約70%)取れれば合格安全圏といえます。

 

 ここでセンター試験の得点が650点中570点(約88%)であったと仮定すると、二次試験では660点中350点(約53%)得点できれば合格点に達します。これを踏まえて各科目の難易度も考慮して、二次試験の各科目の目標点を設定すると、

数学:90点 理科:110点 英語:110点 面接:40点

とするのが良いでしょう。

 

 理科は2科目で200点中110点(55%)を目指すことになりますが、選択する2科目の間に特段の得手不得手がなければ、いずれも55点ずつを取れるように準備してください。標準的な問題が多いですが、対策が不十分だと時間的に厳しい試験内容といえます。裏を返すと物理が得意で十分な処理スピードを持ち合わせていれば、より高得点を取れる余地のある科目でもあります。安定して55点を取れることを第一目標とし、達成できたらもっと高得点を積極的に狙って、他の医学部受験生に差をつけていきましょう。

福島県立医科大学の物理の出題傾向は?

それでは、福島県立医科大学の物理では、どのような問題が出されるのでしょうか?

 

 そもそも同大学の物理では大問4つの頃から、力学・電磁気からは毎年1題ずつ大問が出され、残りが波動・熱力学・原子のいずれかの範囲からの出題でした。私立に比べて国公立では原子の単元の知識を問う大学は少ないですが、福島県立医科大学では数年に一度は出題されている点で特徴的です。

 

 これらを踏まえて、以下に単元ごとに頻出テーマをまとめていきます。

 

【力学】

 力のつり合いや単振動、剛体のつり合いといったように、幅広いテーマからの出題が見られます。そしてメインテーマに付属して、2つの物体の衝突後の運動を分析する設問が頻出です。基礎的な内容ではありますが短時間で答えにたどり着くべき問題なので、力学的エネルギー保存則、運動量保存則、跳ね返り係数といった事項を使いこなせるように、問題集等を通して練習しておきましょう。

 

【電磁気】

 電流と磁場の関係について、公式だけではなく現象が発生する機序を細かく理解しておくことが重要です。電磁誘導や磁場中の荷電粒子の運動では、公式を適用できるだけでは不十分で、こうした理解なしには解けない問題が多く出されています。

 加えて電磁気の単元では様々な定数や物理量が存在しますが、これらの国際単位系における単位を答えさせる問題が見られます。知識として持っておく方が良いのは当たり前ですが、細かいものまで覚えるようとするのは非効率的です。電磁気以外でも、よく使う国際単位系の基本単位(メートル、キログラム、秒、アンペア等)は意識的に頭に入れるようにして、あとは次元解析により物理量を計算する式から単位をその場で導出するのが現実的といえます。

 

【波動】

 ここ5年間で2回、波動をメインテーマとする大問が出題されています。そのテーマはドップラー効果とヤングの実験でした。毎年のように出されているわけではないので、頻出分野が見えづらいのが悩みどころです。とはいえ、過去問を見てみると典型問題ばかりであることが分かります。次にいつ出題されるか予測は難しいですが、波動に関しては偏りなく標準的な問題への対応力を強化しておくのがよいでしょう。

 

【熱力学】

 熱力学では熱サイクルや気体の混合といった、気体の状態変化を扱う問題の出題頻度が高くなっています。気体の状態変化を分析するには、状態方程式が欠かせません。試験本番ではボイル・シャルルの法則等を活用して、より答えに早くたどり着けることも大事ですが、根底にあるのは気体の状態方程式であることを意識しましょう。普段の勉強から、状態変化後の気体の状態方程式を立てるクセを付けてください。

 

【原子】

 原子物理は現役の医学部受験生が手薄になりがちな単元ですが、福島県立医科大学では波動と同程度の頻度で出題されています。ただし、出題されるとしても難易度は高くなく、標準レベルといえます。逆にいえば、きちんと対策ができていれば得点源となる分野ということにもなります。本大学を受験が決まったのであれば、難問に挑戦する必要はありませんが、典型問題の解法はきちんと身に付けて本番に臨むようにしましょう。

 

【その他】

 その他の特定の単元に限らず重要なこととして、教科書に載っていなかったりわずかな説明しかなされていなかったりする事項が、大問に関わってくることが多々ある点が挙げられます。例えば、平成31年度の電磁気の大問では誘導電界が、平成28年度の力学ではコリオリの力が登場しています。

見慣れない概念を扱う場合、必ず問題文の中で説明が与えられます。すなわち大学側はこうしたプラスアルファの知識を持つことを要求しているのではなく、説明の誘導に従って理解を深めていけるか否かを試しているのです。誘導に乗るためにはやはり基礎的知識の応用力が不可欠です。分からないことがあれば適宜、検定教科書で確認するといったように、丁寧な勉強を心掛けましょう。

お勧めの福島県立医科大学の物理の対策方法

最後にこれまでの内容から、福島県立医科大学の物理の対策に必要な具体的な勉強法をお伝えします。

 

 まずセンター試験までの時期は、分野の頻出度に関わらず、全範囲の典型問題を解けるようになることを目標としてください。センター試験対策になることに加えて、本大学では力学・電磁気以外にどの単元から大問が出されるか予測が難しいからです。対策が不十分な単元から出題された場合に致命傷となってしまうため、できるだけ穴を作らないようにするのが肝要です。

 

 全単元を網羅的に勉強するのにおススメの問題集は、『良問の風』(河合塾シリーズ)です。大学入試問題を出典とする単元ごとの典型問題が収載されており、この一冊を仕上げれば標準的な問題への対策ほぼ完璧といえます。分からない問題がなくなるまで、何度も反復して定着させましょう。

 もし教科書レベルの内容が終わっても、問題集の問題が解けないようであれば、知識の「使い方」が身についていない可能性があります。そうしたときには、『物理のエッセンス』(河合塾シリーズ)から演習をスタートすると良いでしょう。問題集と参考書の中間のような一冊で、知識の「使い方」を効率よく学ぶことができます。

 

なおこれらの問題集の特徴は「「良問の風」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方」「「物理のエッセンス」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方」に詳しいのでご参照ください。

さらに、より詳細な問題集の使い方についても、過去記事「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」で紹介しているので、ご一読ください。

 

 センター試験終了後は、二次力の強化に努めてください。具体的に行っていただきたいのが、

・過去問の分析

・過去問を用いた実戦演習

・問題集を用いた苦手分野の克服

の3つです。

 

 過去問分析では、頻出単元、出題形式、問題数といった観点から、過去5年分程度に目を通しましょう。本記事も参考にしていただきながら、過去にどの単元から大問が出されているかを自分なりにまとめておくと、あとから見返したときに分かりやすいかもしれません。

 

 過去問分析が済んだら、実際に問題にチャレンジしてみましょう。このとき徹底していただきたいのが、時間を計って取り組むことです。繰り返しになりますが、福島県立医科大学の物理は時間に追われるのが必至で、スピード感を持って止まることなく問題を解き続けることが求められます。時間間隔を養うことができる機会は実戦演習をおいて他にはないため、各年度とも本番さながらのつもりで挑戦してください。

 

 同時並行で、これまでの勉強で苦手分野が見えてくるはずなので、それらの克服にも時間を割きましょう。とはいえ不安な部分のすべてに手を出そうとすると時間がかかり、かえって効率が悪化します。残り約1カ月という時期なので過去問分析で明らかになる頻出単元と、自身の得意不得意とを照らし合わせて、優先順位をはっきりさせたうえで復習を始めるのが秘訣です。

まとめ

福島県立医科大学の物理の傾向と対策法のポイントは、

①理科2科目に対して制限時間は120分

②物理は大問3つで構成され、小問の誘導に従って解き進める

③答案のほとんどに簡単な説明を付けることが求められる

④難易度は高くないが、時間的余裕はない

⑤目標は100点中55点であるが、物理が得意であればさらに高得点が狙える

⑥出題傾向は、

【力学】幅広いテーマから出題される、2物体の衝突の処理は要練習

【電磁気】電流と磁場の関係の理解が重要、国際単位系を意識する

【波動】出題予測が難しい、標準的な問題への対応力を強化しておく

【熱力学】気体の状態変化を扱う問題が頻出、気体の状態方程式を意識する

【原子】現役の医学部受験生は手薄になりがち、典型問題の解法は身に付けておく

【その他】見慣れない概念を扱う問題への対策には、基礎的知識の応用力が不可欠

⑦センター試験までは、物理の全範囲の典型問題を解けるようになることを目標とする

⑧センター試験終了後は、

・過去問の分析

・過去問を用いた実戦演習

・問題集による苦手分野の強化

を行う

の8つです。

 

 福島県立医科大学の物理は処理スピードが不十分では、なかなか合格点に到達するのが難しい試験です。しかしながら標準的な問題が中心で、勉強した分だけ結果として表れやすい試験ともいえます。「ここまで努力したのだから悔いはない!」という気持ちで入試当日を迎えられるよう、一日一日を無駄にすることなく頑張りましょう!!

 

 

本記事内で登場した過去のオススメ記事

「福島県立医科大学の数学の傾向と対策」

 

「「良問の風」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方」

 

「「物理のエッセンス」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方」

 

「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」

 

福島県立医科大学の過去問題やその他の教科の傾向と対策

 こちらのページで過去問を無料で閲覧できます

 また、その他の教科の傾向と対策についても見ることができますので、

 ご参考にしてください。

 福島県立医科大学の過去問ページ

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本記事で登場したお勧めの問題集・参考書

『良問の風』(河合塾シリーズ)

 

『物理のエッセンス』(河合塾シリーズ)

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