医学部再受験生専用勉強マニュアル ~国語編~
理系出身の再受験生には、国語を苦手とする人も多いかもしれません。
しかし効率的な勉強をし、正しい戦略を立てれば、恐れるに足りません。
今回は具体的な勉強法と再受験生の取るべき戦略についてご紹介します。
国語ってどんな科目?
すでにご存知かもしれませんが、国語、特に現代文は勉強時間とテストの点数が比例しにくい科目です。
反対に、現役の頃に現代文が得意であれば、久しぶりに問題を解いてもある程度の点数を取ることができます。
中には参考書や予備校で、現代文の問題を解くテクニック等を覚えることに時間を割く受験生もいます。
しかし少なくとも再受験生にとっては、無駄な努力と言わざるをえません。
短期間で医学部合格を目指すのであれば、戦略でこの弱点をカバーすべきです。
また、旧帝大程度の大学出身者であれば、直前期の問題演習だけで問題ありません。
同様に語彙力や漢字力も一朝一夕では身に付きません。
不安がある場合は開き直って、「点が取れたらラッキー」くらいに考えておきましょう。
配点(漢字は200点中10点、語彙は200点中9点)を考えても、合否に大きな影響はないので安心してください。よほどのことがない限り、漢字も語彙もいつもほぼ0点ということはないと思うので、大丈夫です。
一方で古文・漢文はルールが明確で、演習量と点数が直結しやすい科目です。
過去に勉強をした経験のある再受験生は、まずは参考書等で思い出す作業を行いましょう。
問題を解くための「土台」が固まったら、ひたすら練習あるのみです。
手順1.古文・漢文の「土台」を固める(10月下旬~12月上旬)
それでは古文・漢文の「土台」とは何でしょうか?
まず、古文であれば具体的には、
・活用、助動詞、助詞、文法的意味の説明
・和歌の修辞法、その他の文法事項(「~を~み」、係り結び等)
・重要単語
を指します。
文法的意味の説明とは、文章に引かれた傍線部に含まれる単語を、品詞に分け意味・活用等を説明するものです。
単語以外の事項は、網羅系の参考書で一通り勉強しましょう。
ここで注意してほしいのは、学校の教科書のように重箱の隅をつつくような知識まで掲載されているものを使わないことです。
2か月弱でざっと触れるには、講義形式の口語調で書かれた参考書をおススメします。
使いやすいのが、語学春秋社出版の『古典文法講義の実況中継』です。
確かに情報量が少ないですが、助動詞の分別の練習にも触れており、一冊で「土台」を完成させることができます。
特に「土台」を固める時期に重点的に覚えこむべき事項が、敬語です。
古文では会話文で誰が話しているか省略されていることが頻繁にあります。
このときに、話し手がどのような敬語を使っているか(使っていないか)により、判断します。
古文が苦手な受験生は、敬語が弱い場合がほとんどなので、ここで差をつけられます。
単語に関しては、学研出版の『マドンナ古文単語230』が再受験生には使いやすいです。
230語で「土台」としては、十分な単語力が身に付きます。
次に漢文ですが、
・再読文字、返り点、置き字等の基本ルール
・漢詩の修辞法(五言絶句、七言律詩等)
が「土台」となります。
文法参考書は、古文と同じ理由で、講義形式のものが良いでしょう。
単語帳は改めて購入する必要はありません。
古文とは異なり、漢字で書かれているため、意味は取りやすいからです。
以上の土台固めで足りない細かい知識は後に続く問題演習で補います。
あくまでも「思い出す」ことを念頭に置き、なるべく早く参考書を一読してください。
もちろん文章の書かれたころの文化的背景の勉強は不要です。
手順2.現代文・古文・漢文の問題演習を繰り返す(12月中旬~センター試験)
古文・漢文の土台ができたら、すぐに問題演習です。
ここからは現代文も一緒に進めましょう。
問題演習をする目的は、
・覚えた知識をアウトプットして定着させる
・解説を読み新たな情報をインプットする
ことの2点です。
ここで現代文が苦手な再受験生に、一つアドバイスです。
国語は「パズル」であるという感覚を持ってください。
古文・漢文は何となくご理解いただけるかと思いますが、現代文も同じです。
現代文の点数が伸びない受験生を見ていると、主観的に文章を捉えてしまい、選択肢を選ぶ際にもそのバイアス(偏見)に引っ張られています。
文章は筆者の主観や意見が含まれたものではありますが、問題に対する選択肢の適否はパズル的に解くことを意識してください。
どういうことかというと、正解の選択肢の文章は本文の言いかえである場合が多いということです。
つまり、選択肢を細切れにし、それぞれ対応する内容が本文に書かれているか確認していけばよいのです。
まさにピースを一つずつ探し出して組み合わせていくパズルといえます。
加えて、語彙・漢字は特別に対策するだけ無駄ということも書きましたが、演習問題に出てきたもの程度は確認しておいてもよいでしょう。
古文・漢文についても同じです。
細かい知識を頭に詰め込む最初で最後の機会です。
間違えた問題や正解しても不安のあった問題は、しっかりと解答・解説で確認しましょう。
使う問題はセンター試験の過去問やセンター試験型の問題集です。
後程触れますが、国語は時間配分が非常に重要です。
現文・古文・漢文のセットを制限時間内に解き、感覚を体に覚えこませてください。
ひと月の間に6~8セットが目安です。
手順3.本番に向けた戦略を考える(センター試験直前期)
最後にセンター試験でどのように点数を取るか、戦略を考えましょう。
医学部受験において、国語にかけられる時間はわずかです。
その中で現代文が苦手な再受験生が、高得点を狙えるレベルに達するのは不可能です。
逆に古文・漢文は知識が得点に結びつきやすいということはすでに述べたとおりです。
したがって再受験生の基本的な戦略としては、古文・漢文で満点を狙い、現文での失点は最小限にするという形になります。
現文が得意で8割取れれば、古文・漢文と合わせて合計9割(180/200)を目指せます。
もし現文が苦手で4割しか取れなくても、古漢が満点であれば、7割(140/200)得点できることになります。
いかに古文・漢文が重要か実感していただけたでしょうか?
しかし、古漢で満点を取ることは決して簡単ではないことは否定できません。
どうしても不安が残る再受験生は、受験大学の選択も戦略的に行うことで解消できます。
例えば、理数系が強く2次試験で挽回が見込めれば、2次試験の配点の高い大学、センター試験のボーダーが低い大学を選ぶのも一つの手です。
大学によっては、科目の点数に傾斜がかかるところもあるので、国語の得点が圧縮される大学を受験するのもよいでしょう。
要するに、安定して点が取れるか分からない国語に時間をかけるのではなく、全体を見て点を取れる科目に時間を使うという視点もあるということです。
これらを踏まえて、あなたに適した戦略を編み出し、センター試験を乗り切ってください。
もちろん戦略が立てれない・時間がないという場合は、プロに相談するのもおすすめです。
時間配分は計画的に
さて、国語の試験では時間配分が大事であると紹介しました。
もちろん他の科目でも時間配分を考えることは不可欠です。
ところが国語は理数科目に比べると、どうしても選択肢を一つに絞れない場合も多いです。
ここで明らかに間違いとはいえない選択肢で悩み始めると、時間はいくらあっても足りません。
結果的に得点源となるべき古文・漢文に時間を掛けられなくなるのは致命的です。
そこで、先に古文・漢文から解き始めるのが良いでしょう。
ただし、それぞれの分野に〇分と決めて臨むのは避けてください。
なぜなら、試験全体では制限時間内に終わるように作られていても、年によっては古文の難易度が高く、漢文の難易度が低いといった状況もあり得ます。
上の場合、漢文に十分な時間を確保できていないことになります。
演習時には常に時間配分を意識し、解答までのスピードを上げることが欠かせません。
まとめ
今回の内容をまとめると、
①国語の勉強法
手順1.古文・漢文の「土台」を固める
手順2.現文・古文・漢文の演習を繰り返す
手順3.センター試験本番・受験大学の選択についての戦略を立てる
②時間配分に注意する
となります。
やはり医学部を目指す再受験生は、国語を苦手とする人の割合は高いです。
しかし、紹介した勉強法・戦略を駆使すれば、弱点は克服できます。
諦めなければ必ず道は開けるので、最後まで努力を続けてください!!
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