医学部再受験生専用勉強マニュアル ~地理編~

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国公立医学部受験では、ほとんどの場合、センター試験で社会が必須となります。

その中で、過去に地理で受験した経験のある再受験生のための地理の勉強法をお伝え致します。

考えれば分かるって本当?

まず地理の勉強内容は、系統地理と地誌に大別されることをおさえておきましょう。

 

・系統地理の概要

系統地理はさらに、自然地理と人文地理に分類されます。

自然地理は「地形」「気候」などを、人文地理は「産業」「民族」を系統立てて学びます。

 

・地誌の概要

地誌は地域ごとの地理を、自然・人文の観点から研究する分野です。

地域は教科書的には、「ヨーロッパ」「アジア」のように区切られます。

その中でメジャーについては、詳細な地理的特徴を暗記する必要もあります。

まず初めにこれをやってください

地理の勉強内容について紹介しましたが、まずは、最新のセンター地理の過去問を解いてみましょう。

 

おそらく、再受験生であれば、5~6割くらいは得点できると思います。

事実、私も仕事を辞めてすぐにセンター試験の過去問を解きましたが、6割程度でした。

 

なぜ、勉強していないのに5~6割取れるのかというと、おそらく大学での勉強や社会に出た経験から、一般常識がついているからであると考えられます。

 

すなわち、常識で解ける問題が6割程度はあるということです。

このように書くと少し勉強すれば、すぐに高得点が取れそうですよね?

 

確かに地理は日本史や世界史に比べると、暗記量が少なく理系学生に人気な科目です。

ところが、裏を返せば、知識だけでは対応できない問題が多いとも言えます。

例えば、初見の統計が与えられ、そこから読み取れる事実を選ばせる問題などがあります。

このような問題は知識だけでなく自分の持っている知識を運用して解かなければなりません。

 

このように、地理は歴史と比較して応用力が求められていることになります。

 

この特徴のため、大きく失敗をすることは少ないものの、高得点は取りづらいことを覚えておいてください。

この前提のもとに、センター試験の戦略を立てることをお勧めします。

 

それでは、以下で独学を想定した再受験生のための具体的な勉強マニュアルを紹介します。

手順は次の4つです。

手順1.系統地理の参考書を読む(9月~10月)

再受験生で既に5~6割地理の得点があるのであれば、社会の勉強をするのは、9月以降で十分間に合います。入試は総合点で合否が決まるので、まずは、点数で大きな割合を占める数学・理科・英語の勉強をしっかり行いましょう。

 

ほとんどの再受験生は、地理の知識を思い出すところからスタートになるはずです。

まずは、のちに勉強する地誌のベースとなる系統地理の参考書を読みましょう。

テキストを1周して思い出すだけで十分です。

すべての知識を完璧に暗記する必要はありません。

 

ただし、世界地図(国名とその位置)が頭に入っていないと、理解が深まりません。

 

自信がない再受験生は、同時並行あるいは系統地理の勉強に先立って、白地図で世界地図を頭に叩き込んでください。

ないがしろにされがちですが、勉強効率を高めるためには、必ずやらなければなりません。

 

系統地理の暗記法のポイントは、言葉だけで覚えるのではなく、全体をイメージ化(視覚化)することです。イメージ化しないと、かなり大変です。

 

たとえばケッペンの気候区分を例にとると、

日本は温暖湿潤気候で、ブラジルは熱帯雨林気候で…

と言葉で暗記していくのではなく、頭の中の世界地図に恒常風や海流の分布などを重ねていくのです。

そうすることで、大陸の西側では西岸海洋性気候が多いことや、アフリカ大陸では緯度に沿ってきれいに気候区が分布していることが分かります。

旧ユーゴスラビアの分裂後の各国の民族・言語・宗教の分布のように、国境線と分布域が一致しないようなものにも、イメージ化は効果を発揮します。

 

地理の勉強から長期間離れた再受験生が、いきなり問題演習に手を付けるのは困難です。

演習を通して暗記をするよりも、最初にセンター試験対策用の参考書を読破しましょう。

市販の参考書のほとんどは、系統地理と地誌のセット、あるいは一冊にまとめられて売られているので、それらを活用してください。

念のための注意ですが、統計は年度によって変動があるので、古本ではなく新品の参考書を買わなければなりません。

手順2.地誌の参考書を読む(10月~11月)

系統地理の参考書を読破したら、次は地誌の参考書に取り掛かりましょう。

地誌では地域ごとの地勢や産業を学びますが、他の地域とのつながりを意識することが重要です。

地誌が縦糸であるとすれば、系統地理が横糸です。

ばらばらに暗記するのではなく、縦糸を横糸で編み込んでいく感覚をつかみましょう。

 

例えば地中海沿岸のヨーロッパ諸国で、柑橘類の栽培が盛んなのはご存知かと思います。

同様にアメリカの西海岸でも生産量が多いのですが、別個の知識として覚えるのは得策ではありません。

ここで横糸として、系統地理で学んだケッペンの気候区分が登場します。

地中海沿岸と北米大陸西岸は気候が似ており、いずれも地中海性気候です。

すなわち、気候が同じなので栽培に適した農作物も一致するのです。

 

これはあまりにも簡単なたとえですが、他の項目でも常に意識してください。

横糸がしっかりしていなければ、せっかくの縦糸もばらばらになってしまいます。

 

以上を踏まえて、参考書を一周してください。

手順3.問題演習&参考書2周目の同時進行をする(11月~12月)

一通り参考書を読み終わったらいよいよ問題演習です。

過去問は直前まで大事に取っておいてください。

この時期はまだセンター試験対策用の選択肢型の問題集で演習を行いましょう。

 

演習の目的は2つあります。

1つ目は一度頭に入れた知識の確認です。

ここは少し時間をかけて、間違えた問題は再度参考書に立ち戻って覚え直しましょう。

2つ目は新たな知識の修得です。

参考書に載っていない知識はネット等で調べておきましょう。

 

これと同時にできる限り、1周した参考書をもう一度読み直しましょう。

地理は暗記事項が少ないといっても、やはり社会は知識が固まっていないことには話になりません。

2周目なのでざっと目を通して、忘れていたところを拾っていく形で良いです。

寝る前の15分、電車での移動時間といった隙間時間を有効に活用してください。

手順4.2回目の問題演習で仕上げる(12月~センター試験)

最後に仕上げにかかります。

問題集を1周したらセンター試験の過去問を使って、何点くらい取れるか確認しましょう。

もしここで思ったような点数が出なければ、それは参考書の情報量が足りていなかった可能性があります。

その場合は、他の問題集を解いて早急に知識を補充しましょう。

逆に、既に必要な点数が取れるようになっていれば、同じ問題集で2周目に取り掛かりさらに知識を確実なものにしてください。

 

これらが済んだら、過去問・予想問題集を時間を計って本番さながらに解きましょう。

5~6セット回せば時間配分の目安が分かるはずです。

統計問題で点を取るために

さて、再受験生が地理で少しでも得点を伸ばせるために、統計問題の解き方を補足します。

統計の問題は、再受験生にとってネックになりがちです。

暗記だけであれば何とかなりますが、初見の統計を考察する問題への対策は時間的に厳しいです。練習材料となる問題もそもそも多くはありません。

そのため、個別的に問題にあたり経験を積むことよりも、以下の基本方針に沿って必ず解くように徹底してください。

 

統計問題対策の基本方針は、メジャーな国の数字に注目することです。

 

メジャーな国とは、アメリカや中国といった主に地誌に個別に取り上げられている国です。

次に、その他の国をそれぞれの特徴(発展度・人口など)を基に判断します。

このとき、すべての情報にきちんと注目してください。

意外と見落としている情報があるものです。

国ごとの量的な数字だけでなく、合計値や年代などもすべて判断材料です。

 

それでは練習です。

固定電話/携帯電話の国別の時代ごとの数の推移から、何が読み取れるでしょうか?

アメリカの数字を見れば、固定電話が減少しており、携帯電話が増加しています。

中国も同様の傾向はみられるものの、その時期はより遅くなっています。

また総台数にも国によって大きな違いがあるようです。

 

固定電話/携帯電話の国別の時代ごとの数の推移から読み取れることは、その国の人口推移と発展し始めた年代/度合いです。

こういった問題は、ただ単に世界のGDPランキングを頭に入れているだけでは、対応することはできません。

 

メジャーの国の数字がどのように表れているかを分析すれば、問題の意図もおのずと見えてきます。

したがって、統計問題では、地誌で各国の特徴をしっかりと覚えることが重要です。

どうしても地理が苦手な再受験生へ

補足ですが、中には、

・現役の頃に地理を選択したが、苦手だった再受験生

・改めて勉強し始めたものの、間に合いそうもない再受験生

そういった方もいるかもしれません。

 

そのような方には、最終手段として、現代社会の検討をおすすめします。

現代社会は、わたし自身勉強をしたことがないので、責任を持った内容は書けません。

しかし、私が現役の頃に何も勉強せずに受験しましたが、7割以上は得点できました。

特に現代社会は、大学を卒業し、社会に出て一般常識がある程度身に付いた再受験生であれば、対応できる可能性があります。

 

ただし、大学によって現代社会選択者は出願できない場合もあるので、必ず確認をしてください。

わたしとしては、地理を一度履修した再受験生は、なるべく地理で受験すべきと考えます。

奥の手としての選択肢の一つ程度と受け止めていただければ幸いです。

まとめ

センター地理の対策のポイントは、次の通りです。

  • 勉強法

手順1.系統地理を思い出す(横糸)

手順2.地誌を思い出す(縦糸)

手順3.問題演習&参考書2周目

手順4.問題演習2回目&実戦演習

  • 統計問題はメジャーな国に注目→その他の国の特徴から判断
  • 地理が苦手な人は、現代社会での受験も視野に入れる

 

医学部入試で社会は、センターでしか必要となりません。

それでも足を引っ張ると、高得点が求められるセンター試験では影響が大きいです。

ぜひとも社会でもライバルに差をつけてください!!

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