大阪医科大学の一般入試(前期)の英語の傾向と対策
関西で最難関医学部と言われる大阪医科大学。最難関と言われるので、非常に高いレベルが必要だと思われる方も多いと思います。
実際、今まで数学・物理・化学の傾向と対策の記事でもご紹介しましたが、問題の難易度も高いです。ところが、英語に関しては出題形式が固定されており、対策方法すべき内容は明白です。しっかり対策を行えば得点源になります。
本日はその出題形式について分析し、具体的な勉強法を紹介します。
大阪医科大学の英語の試験形式・配点は?
大阪医科大学の入学試験は、前期一般入試(85名)、後期一般入試(15名)、センター試験利用入試(5名)、研究医枠入試(2名)、地域枠(2名)等の様々な制度があります。(カッコ内は各入試制度の定員)
本記事では、その中でも最も受験者の多い前期一般入試について取り上げます。
前期一般入試試験は、一次試験と二次試験により選抜されます。
一次試験では、数学、理科2科目、英語の筆記試験が課され、一次試験合格者はさらに二次試験で小論文と面接が課されます。
最終合格者の定員は85名に対して、倍率は例年11倍前後です。
各試験の配点については、一次試験は数学100点、理科100点×2科目、英語100点の合計400点満点で計算されます。
二次試験は、小論文・面接の得点については特に公表されていません。
それでは、前期一般入試の英語の試験形式についてまとめていきます。
大阪医科大学の英語の入試問題はここ数年間、出題傾向に変化はなく、例年、制限時間80分に対して大問3つが出題されます。
各大問では、大問1、2では英語の長文を、大問3では3~5文程度からなる和文をテーマとして扱います。
設問の内容は、大問1では下線部和訳が4つ、大問2でも同様に下線部和訳が3つ、大問3では下線部英訳が3つ出題されます。
また、大問2では40~50字程度で下線部の内容・理由を説明したり、代名詞が指す内容を具体的にしながら訳すような、文章の内容理解を問う問題が出されることもあります。
以上からわかるように、解答形式はすべて記述式となっており、記述のボリュームは大きいため、長文を読み込むのに多くの時間を割くわけにはいきません。
長文の中でも、設問に関係なければ文意を取る程度におさめる。下線が引かれていれば文構造を理解し精読をするといったように、メリハリをつけて英文を読み進める工夫が重要になります。
大阪医科大学の英語の問題の難易度と合格に必要な得点率は?
次に、大阪医科大学の過去の合格最低点や各科目の難易度を分析し、それぞれ科目で何点取ればよいか考えてみます。
大阪医科大学の一次試験の合格最低点は、400点満点中、
2017年度:233点 2016年度:277点 2015年度:256点
となっています。
つまり、280点(7割)得点できれば、余裕をもって合格圏内に入ることができます。
280点を取るのが難しい年度も確かにありますが、合格者の偏差値帯を見てもレベルの高い勝負になるため、「目標」としてはこの程度が妥当と言えます。
それでは、大阪医科大学合格のためには、英語では何点を取る必要があるでしょうか?
まず、大阪医科大学の長文について、難易度は標準的な国立大学レベルと言えます。
単語自体は難しいものも散見されますが、合格点に到達するという観点からすれば、すべての単語を知っている必要はないため、標準的な単語帳で十分対応可能です。
和文英訳に関しては、こなれた日本語ではなく、英文を教科書的に訳した日本語を扱うため、しっかりと例文集等で典型的な表現を身に付けられているかがカギになります。
裏を返せば、出題者の意図をくみ取れず、意訳のような形で英訳をしてしまうと、高得点は望めないでしょう。
これらを踏まえて、大阪医科大学の英語では、100点中70点を目指してください。(英語が得意な人は80点に設定しても十分狙えます。)
大問3の和文英訳では、細かな文法ミス等で小さな減点が積み重なり思いのほか点数が伸びない可能性があるため、大問1、2の下線部和訳を安定した得点源にするのが基本的な戦略となります。
大阪医科大学の英語の頻出分野は?
ここまで、大阪医科大学の英語の概要を紹介しましたが、さらに各大問の詳細な傾向をまとめていきます。
大問1、2で出題される英文の分量は、600~800語程度です。
制限時間が80分であることから、大問1、2にかけられる時間は、約25分ずつです。
言うまでもありませんが、和訳を求められる下線部の文構造の把握や知らない単語の推測に時間をかけるべきであり、文章全体を精読する必要はありません。
大問2で出題されるような、下線部に関して文章の内容やその理由を問う設問に対しては、改めて該当箇所に立ち戻って精読をするようにしましょう。
設問に関しては、無生物主語構文となっている部分に下線部が引かれやすい傾向があります。
無生物主語構文は、英文を直訳すると日本語的に不自然になってしまいます。
このような場合に、文意を外すことなく、かつ自然な和訳をできるようなテクニックが身に付いているかどうかで差が付きます。
長文で扱われるテーマは、評論文・説明文が中心ですが、医療系などの専門的内容に偏っていることはなく、人文的なものから科学的なものまで多岐にわたります。
大阪医科大学の英語の対策のために、特定の分野に関する背景知識をわざわざ勉強するのはナンセンスですが、まったく背景を知らないテーマが出題されたときに文意を取るのに苦労するのも事実です。
普段から、新聞やテレビから幅広い知識をあらかじめ得ておくことも、内容理解の一助となるでしょう。
大問3の英作文では、3~5文で構成される日本語の文章のうち3つに下線が引かれるため、ほぼ和文を全訳するような状態になります。
文章のテーマには特に偏りはなく、これまでに高齢化についての社会問題、気候変動についての環境問題等が出題されています。
繰り返しになりますが、与えられる和文は英文を基にして、それを教科書的に和訳したような文章です。
求められる英作文の能力は標準的なものなので、構文や表現において、特に工夫を要するといったことはありません。
地道に標準レベルの例文集や問題集の内容をマスターすることが、得点に直結します。
お勧めの大阪医科大学の英語の対策方法
最後に、大阪医科大学の英語の出題傾向を踏まえた、具体的な対策法をお伝えします。
これまでの内容を振り返ってみて分かることは、大阪医科大学の英語で求められているのは、「英語の確実な知識」を持っているかどうかです。
どういうことかというと、和訳・英訳を中心とする問題構成においては、使うべき表現を一対一できちんと結び付けなければならないということです。
例えば、他の私立で見られるように、筆者の主張の正誤を問うような問題であれば、一つ一つの文章を完全に把握できなくても、文意が取れれば解答を導くことはできます。
反対に、論述により与えられた文章の構造や表現についての理解度を問われる場合には、単語の意味や英語の構文・表現を確実に押さえておかなければ減点されます。
それでは、「英語の確実な知識」は、どのように身に付ければよいでしょうか?
具体的には、
・単語帳に掲載されている重要単語と和訳を一対一で対応させて覚える
・英語の頻出表現を文章として覚える
の2点が重要です。
これらは、12月までに完了させてください。
単語については、まずは標準レベルの単語帳をマスターしましょう。
このとき意識していただきたいのが、「何となく意味は分かる」という状況ではなく、一対一で対応する訳を当てられるレベルまで繰り返すことです。
記述問題では、一対一で訳が出てこないと、ごまかしたような和訳・英訳になり、採点者に良い印象は与えられません。
確実な知識を増やしておけば、それだけ本番で使える引き出しも増えることになります。
お勧めの単語帳は、『速読英単語 必修編』、『速読英熟語』(Z会出版)です。
大阪医科大学の英語で70点を取るには、これらを完璧にしておけば、問題ないでしょう。
ただし、稀に難易度の高い単語が含まれた文章に下線が引かれることもあるため、英語で高得点を狙うのであれば、『速読英単語 上級編』の単語帳も追加で使ってもよいです。
ここまでやると、長文を読んで、わからない単語がかなり少なくなることと、そこまでやって見たことがない単語が出れば、「この単語は普通知らない単語だから類推するんだな」と思えることができるので、英語で高得点を狙う人は『速読英単語 上級編』までやりましょう。いずれにしても、必ず標準レベルの単語帳は繰り返し取り組み、確実な知識にすることは欠かせません。
英語の頻出表現については、文章として覚えることが重要です。
そのためには、典型的な表現が掲載された例文集や、豊富な解答例が載っている英作文の問題集を使いましょう。おすすめの英作文の問題集は、「竹岡広信の英作文が面白いほど書ける本」(KADOKAWA)です。
特に大阪医科大学では、言い回しの難しい日本語は出されないため、確実な知識があれば、大問3は対応できるようになります。
ちなみに、問題集の使い方は、過去記事「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」で書いているので、参考にしてください。
確実な知識を身に付けたら、12月から入試本番の1月末までの約2カ月は、赤本を使って、ひたすら実戦演習を繰り返しましょう。
その際、時間を計って取り組み、本番でどのように問題を解き進めていけば制限時間内にすべての問題を解くことができるかの感覚を掴むことも忘れないでください。
さらに、大阪医科大学の出題傾向と類似した他の大学の過去問等も用いて、なるべく多くの問題にも取り組んでください。
とにかくこの時期は、インプットした知識をアウトプットする作業を繰り返すことです。
意識していただきたいのが、アウトプットとインプットはまったく異なる作業であるということです。
たくさん参考書を読んで、英語の知識が確実になったと思っても、いざ書いてみようとするとつづりが分からない、といった現象が起こります。
実際に手を動かしてアウトプットすることで、インプットした知識が実践的なものとなるのです。
まとめ
大阪医科大学の英語の傾向と対策法のポイントは、
①大問3つに対して制限時間80分
②大問1、2は英語の長文が与えられ、下線部の和訳および内容説明をする
③下線部和訳では、無生物主語構文が頻出
④大問3は3~5文の日本語が与えられ、下線部の英訳をする
⑤目標とすべき点数は、100点中70点(得意な人は80点)
⑥12月までに、英語の確実な知識(英単語・英語の頻出表現)をインプットする
⑦12月以降は、大学の過去問を使って、身に付けた知識をアウトプットする
の7点が重要なポイントです。
細かく対策法を書き並べましたが、最もお伝えしたいのは、大阪医科大学の英語の問題は、受験生がどれだけ丁寧に勉強をしたか問う内容であるということです。
そこには英語的なセンスと言ったようなものは、一切必要ありません。
教科書や参考書、辞書に書かれているような知識を、確実に試験本番でアウトプットできる状態になれば、必ず目標点を取ることができるので、地道に努力を続けましょう!!
(本記事内で登場した過去のオススメ記事)
「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」
(大阪医科大学の過去問題やその他の教科の傾向と対策)
こちらのページで過去問を無料で閲覧できます
また、その他の教科の傾向と対策についても見ることができますので、
ご参考にしてください。
大阪医科大学の過去問ページ
(本記事で登場したお勧めの問題集・参考書)
『速読英単語 必修編』
『速読英熟語』(Z会出版)
『速読英単語 上級編』
「竹岡広信の英作文が面白いほど書ける本」(KADOKAWA)
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