「良問の風」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方
医学部受験で勝ち抜くには、わかりやすい授業を受けることに加えて、いかに自主学習時間を効果的なものにするかが鍵となります。
自習の時間を効果的なものにするためには、2つのポイントがあります。それは、
「自分にあった教材を選ぶこと」と
「効果的に教材を使うこと」です。
ここでは、「良問の風」(河合塾シリーズ)について、どんな人が使うと効果的か?また、どのように使えば効果的か?の2つについて紹介していきます。
※ このサイトでは、医学部受験を勝ち抜いた成功者の人の意見をもとに参考書・問題集を勝手に評価する通称「医シュラン」をつくっています。ぜひ、自主学習の参考書・問題集に役立ててください。
物理の標準問題集の定番!
「良問の風」は医学部受験生に限らず、大学合格を目指す多くの受験生が愛用している物理の問題集です。本書のコンセプトは「解けたときに爽やかな「風」を感じられるような問題を」であり、実際に収載されている問題も「良問」ぞろいです。
とはいえ内容を知らない方にとっては、「物理の良問ってどんな問題なの?」、「医学部と他の学部では偏差値が全然違うのに大丈夫?」といった疑問が渦巻いていることと思います。
本日は、物理における「良問」とは何かを明らかにしつつ、なぜ医学部受験生にも他の学部を志望する受験生にも「良問の風」が人気なのかを説明していきます。どの物理の問題集を購入すべきか悩んでいる方は、記事の中で本書の特徴やどのような人におススメかについても触れているので、是非とも参考にしてみてください。
良問の風の構成は?
まず「良問の風」の構成について見ていきましょう。
「良問の風」は単元により章分けされており、さらに各単元のテーマごとに問題がまとめられています。また簡単にではありますが、各テーマの始まりには、基礎的事項や公式が掲載されています。解答・解説は別冊になっているのも特徴です。
単元は、力学・熱・波動・電磁気・原子・論述問題があり、それぞれの問題数は、
力学…51問 熱…16問 波動…27問 電磁気…42問 原子…12問 論述問題…45問
となっています。問題集の分量としては、やや少なめといえます。
それではなぜ、問題数の少ない本書がそこまで多くの受験生に使われているのでしょうか?実は本書が「良問」に絞って問題を掲載していることに秘密があります。
物理の「良問」ってどんな問題?
さて、ここまで「良問」という単語をたくさん使ってきましたが、物理における「良問」とはどんなものかについて考えてみましょう。
結論から申し上げると「良問」とは「頻出でオーソドックスな問題」のことです。「そんなの当たり前じゃないか!!」とお叱りを受けそうですが、上述のとおりここに「良問の風」の人気の秘密を紐解くカギが隠されているのです。
そもそも物理という科目は、化学や生物といった理科の他の科目と比較すると、圧倒的に暗記すべき基本法則は少ないです。言い換えると、わずかな基本法則で多くの現象を理解していくのが物理という科目なのです。入試では、それらの基本法則に関する受験生の理解度を、巧妙に見かけの状況設定を変えることで、多様な切り口から試しているわけです。
ここで先ほどの問題数が少ないというポイントに立ち戻ってみると、物理の問題を解くうえで基本となる事項はわずかなわけですから、本質を押さえるべきいわゆる「頻出でオーソドックスな問題」自体も少なくてよいことがお分かりいただけると思います。テーマごとの「良問」を通して解法を身に付けておくことで、あとは見かけの異なる問題であっても本質を理解できていれば、応用がきくことが容易に想像できるでしょう。
以上のことから、「良問の風」は「良問」が厳選されているため、この1冊を仕上げれば物理の問題の本質を効率的かつ網羅的に理解することができるということで、医学部受験生のみならず様々な大学を目指す受験生には魅力的なのです。
良問の風」の3つの特徴
さらに、「良問」ぞろいで問題数の少ないことの他に、次のような特徴があることも、本書を愛用する受験生の多い理由です。その特徴とは、
・特徴1:解説が丁寧である
・特徴2:問題を解くことに重点が置かれている
・特徴3:積極的に改題されている
の3つです。
「良問の風」はどんな人におススメ?
続いて「良問の風」はどのような受験生が使うべきか考えてみましょう。当たり前のことですが、公式や基本法則の知識なしにいきなり問題を解くことはできません。一方で、本書には状況設定が複雑であったり、計算量が膨大であったりする問題はあまり見られず、高難度の実戦的な演習としては力不足の感があります。
したがって、「良問の風」をおススメするのは、
・教科書レベルの基本事項は身についているが、問題演習はこれからという方
です。
大学入試問題を解く前の橋渡し的な存在として本書を捉えて頂けたらと思います。したがって、学校で習った範囲を並行して解くのも、一通り学習している浪人生でも使用して効果のある問題集と言えます。
それでは「良問の風」の各特徴をもとに、効果的な活用法を見ていきましょう。
特徴1:解説が丁寧である
「良問の風」は問題と解答・解説編が別々になっていますが、横に並べて厚さを比べてみるとほとんど同じであることが分かります。他の問題集では解答・解説の方が薄かったり、末尾に簡素なものが付けられているに過ぎなかったりする場合も多いことを考えると、本書の解答・解説の充実度が見て取れます。
なぜこんなに内容が充実しているのでしょうか?理由の一つとして、別解が豊富に掲載されていることが挙げられます。解けた問題であっても解説を読むことで学べる知識もあるので、是非一度解説を確認することをお勧めします。
特徴2:問題を解くことに重点が置かれている
解答・解説編が充実しているとお伝えしましたが、ただ単に答えを導くだけではなく、2つの点から実際に問題を解くことに重点が置かれているといえることも特徴的です。
1つ目は解答・解説編の各テーマの冒頭に、”KEY POINT”と題して頻出の問題や代表的な解法の概要といったものがまとめられている点です。公式や基本的性質について要点を掲載している問題集は一般的ですが、そこからさらに一歩踏み込んで問題の解き方にまで触れている問題集は少数です。
2つ目は解説で説明に用いられる図が、試験の現場を意識したものになっている点です。どういうことかというと、載っている図は教科書や参考書の写実的なものではなく、試験会場で受験生が手書きで書けるようなものになっているのです。問題を解くうえで、どんな図を描けばよいか分からない人でも、こちらを参考にすれば図の書き方が身につきます。
漫然と問題を解いて答えがあっているか確認するだけでなく、他に別解はないか?入試本番でどのように解答を書いていくか?といったことを想像しながら解説もしっかり読んでください。初学者の方で、問題の解法に不安がある場合は、まず解答・解説編の”KEY POINT”に目を通してから問題に取り組むのもよいでしょう。また、試験前に”KEY POINT”だけを読んで、ざっと復習をするといった使い方もできます。
特徴3:積極的に改題されている
「良問の風」に収載されている問題は、いずれも大学入試やセンター試験がもととなっていますが、より「頻出でオーソドックスな問題」に近づけるために、著者が問題文に手を加えたり、複数の問題を融合させたりしています。こうすることで受験生にとって最大の学習効果が望めるものになっているのです。
実際に、手にとって出典部分を手にとって頂ければ(◯◯大学+△△大学)という表記が多いことに気づいて頂けるはずです。
本書を使わないほうが良い人とは?
今まで本書の特徴とお勧めの対象者について触れましたが、逆に本書の使用が推奨されない方はどのような方でしょうか?結論から申し上げると次の2つのいずれかに当てはまる場合は本書の使用をお勧め致しません。
1)公式の暗記と本質の理解が不十分な方
2)標準的な問題の解法は身についている方
です。
これだけであれば、わかりにくいと思いますので、具体的に説明致します。
物理というのは前述の通り、使用する式というのは他の科目と比べ圧倒的に少ないです。実際、物理の公式が覚えられなくて困っている受験生はいません。つまり、大切なのは、「公式を知っていること」ではなく、「公式をいつ使うかがわかるようになること」となります。本書はいつ使うかを的確に指南してくれう良書ではありますが、その式を知らない人。その式の意味がわかっていない人には効果は薄いでしょう。例えば、力を聞かれた時に、速度の単位を表記したり、時間を聞かれた時に「エネルギー保存?」と考えているようでは本書を使うには早いです。まずは、「物理のエッセンス」や教科書傍用問題集等を使って物理法則の理解に努めましょう。
また、大学入試問題の中でも、難易度が高い問題が出題される大学を目指されている方で、模試でどの分野でも、大問の最初の方の問題は解けるけど、最後の1、2問は解けないという方は、本書を使用するのではなく、「名問の森」を使用されることをお勧めします。
使用をお勧めしない方についてあげましたが、物理の標準的な問題の解法の修得を目指す多くの受験生にとっては最小の努力で最大の成果を上げられる1冊といっても過言ではありません。本書を使って、解けたときの「爽やかな「風」」を感じながら解き進めていってください。
まとめ
まとめ
「良問の風」は物理の「良問」が取りそろえられており、中身をマスターすればほぼすべての問題に応用していくことができます。この点で、最も本書を使って効果の上がる受験生は、
・教科書レベルの基本事項は身についているが、問題演習はこれからという方
といえます。
医学部受験といえど、すべての大学で難問が出題されるわけではなく、標準的な問題が解ければ合格できる大学も多々あります。ただし、どうしても高得点は求められるので、その場合は「良問の風」に繰り返し取り組み、分からない問題はないレベルにまでして本番に臨んでください。
難しい問題にばかり気を取られ、小手先のテクニックを頭に入れても、問題の見かけが変わると解けなくなってしまいます。物理の魅力である「わずかな基本法則で多くの物理現象を理解できる」ことを常に意識して、本質を大切にしてください。
これから物理の勉強に本腰を入れようとしている読者の方は、まずこの1冊から始めてみてはいかがでしょうか?
具体的な問題集の取り組み方については、他の記事で紹介していますので、ぜひ、参考にしてください。
「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」
本記事内で登場した過去のオススメ記事
「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」
本記事で登場したお勧めの問題集・参考書
「良問の風」(河合塾シリーズ)
「物理のエッセンス」(河合塾シリーズ)
「名問の森」(河合塾シリーズ)
コメント..