2020年度川崎医科大学入学試験の講評と今後の対策法

2020年川崎医科大学入

今年も医学部入試のシーズンが到来しました。令和初となる川崎医科大学医学部の2020年度入学試験は、1月26日に実施されました。本日は同大学の一般入試について、各科目の今年度の講評と今後の対策法を紹介します。なお、昨年度の分析・講評は「2019年度川崎医科大学入学試験の講評と今後の対策」をご参照ください。

数学の出題内容および難易度

2020年度の数学は、大問3つで構成され、解答は全てマークシート方式でした。問題の空欄に当てはまる数字を答えていく、センター試験型の例年通りの出題形式です。

 

 出題内容は、大問1が複素数平面の図形への応用、大問2が数列、極限、大問3が数学Ⅲの微分法・積分法となっています。特定の単元に偏っていたり、マニアックな内容が出されていたりといったことはなく、オーソドックスなセットといえます。

 

 各大問を詳しく見てみると、大問1は図をしっかり描いて状況整理ができれば、標準的な難易度といえます。大問2は数列{an}がn≧7で一般項の式が変わることに気づくことができれば、(3)までは問題なく進めるはずです。(4)以降の極限に関しても、見かけは複雑な式ですが、整理するとシンプルな形に落ち着くものでした。大問3もやはり典型的な内容であり、(3)の軌跡の知識を用いる部分に慣れていれば、十分に完答を狙えます。また、いずれの大問も昨年度と比較すると作業量は少なく難問も見られないため、全体としては易化したといえるでしょう。

 

 来年度以降、川崎医科大学の受験を考えている方は、複素数平面の重要度が高いことを意識してください。複素数平面は2016年度新たに範囲に組み込まれた単元ですが、頻繁に出題されています。その他にも、数学Ⅲの微分法・積分法や、三角関数の式変形は引き続き重要です。さらに細かな分析等は「川崎医科大学の数学の傾向と対策」の記事内で行っているので、併せてご覧ください。

物理の出題内容及び難易度

2020年度の物理は、大問4つでマーク数は26個でした。昨年度は27個であったため、分量はほぼ変わりません。昨年度に大幅な出題形式の変更があったため、今年度の動向が注目されていましたが、そのまま踏襲する形となりました。

 

出題されたテーマは、大問1が運動量保存則、大問2が磁場中の導体棒の運動、単振動、大問3が放射線、磁場中の荷電粒子の運動、大問4が放射性崩壊、半減期です。大問4つのうち、半分が原子分野からの出題でした。

 

 難易度は2019年度に大きく易化したこともあり、2020年度は難化しています。とはいえ、川崎医科大学の物理としてはむしろ今年度の問題の方が標準的な難易度であることは覚えておきましょう。そして問題の難易度以上に受験生を苦しめたと予想されるのが、大問ごとのボリュームのアンバランスさです。前半2つは小問の誘導に従って1つの実験を考察していくのに対して、後半2つの原子分野は単発の知識で解くことのできる基本問題が2、3題並んでいるだけでした。焦って時間配分がうまくいかなかったということを防ぐためには、解答を始める前にまずは全体をざっと見渡すことをおススメします。予め試験の全体像がイメージできていれば、時間配分のミスをなくすことができます。

 

 今後の勉強方法としては、典型問題をバランスよく対応できるようにすることが重要です。力学以外はどの単元から出題されるか予想できません。たまたま今年度の原子物理は非常に易しい問題が出されましたが、毎年の傾向ではないため、やはり典型問題は押さえておかなければなりません。具体的な対策法は、「川崎医科大学の物理の傾向と対策」をぜひ参考にしてください。

化学の出題内容及び難易度

続いて2020年度の化学は、小問集合形式の大問3つで構成される例年通りのセットでした。川崎医科大学で頻出の長文の説明をヒントに答えを導く設問は、今年度も大問3で出されています。

 

 小問集合ということで出題分野は多岐にわたっています。最も出題数が多いのは理論化学ですが、昨年度に比べると有機化学からの出題がやや増えているので注意してください。川崎医科大学の有機化学では、合成高分子化合物と天然高分子化合物の両方が問われる点も押さえておきましょう。知識問題を中心として計算問題が織り交ぜられており、制限時間を考えると手早く各小問を処理していくスピード感が求められていると考えられます。

 

 難易度は全体としてやや易化しました。知識問題では基本~標準的な内容を問うものがほとんどですが、大問3の長文問題では受験者間で差がついた可能性があります。裏を返せばケアレスミスをした場合、大きな痛手となったことでしょう。

 

 川崎医科大学の化学の対策でキーワードとなるのが、上でもお伝えしたようにスピード感です。知識問題では基本問題を反射的に答えられるように、暗記事項の整理をしておくことが欠かせません。問題集等を用いて単発で暗記を繰り返すのではなく、教科書や参考書で関連事項をまとめるといった工夫をしましょう。計算問題では典型問題の解法は全て頭に入れるのはもちろんのこと、計算力の強化にも努めましょう。自分で計算をしないことには力は絶対に付かないので、必ず自分の手を動かしながら問題を解いてください。別記事「川崎医科大学の化学の傾向と対策」ではおススメの問題集等の紹介もしているので、こちらもご一読ください。

 

英語の出題内容及び難易度

最後に2020年度の英語は昨年度に引き続き、大問4つのうち前半2題が文法・語句に関するもの、後半2題が長文を扱うものでした。設問数は36題となり、2019年度から1題増えたのみです。

 

 各大問の内容は、大問1が短文中の空所補充、大問2が語句整序、大問3は長文中の空所補充、大問4は長文の内容に一致する選択肢を選ぶ問題でした。内容も昨年度と同様なので、過去問演習をして本番に臨んでいれば取り組みやすかったはずです。

 

 難易度としてはやや易化、あるいは昨年並みといえます。特に大問1の空所補充では昨年度よりも易しい文章が多くなっており、大問4の長文のテーマも読みやすいものになっていました。大問3、4は時間をかけて長文を読むことができれば、正答を導くことはそれほど困難ではありません。したがって、大問1、2の文法・語彙問題をなるべく早く解き、長文読解にどれだけ時間を残せたかがカギとなります。

 

 今後の勉強法としては、試験形式に著変がないため、これまで通り基礎が固まったら過去問演習で試験に慣れることが大切になります。また基礎固めは、例えば単語で専門的な単語帳を使う必要はなく、標準的なレベルの内容をできる限り完璧にすることに重点を置いてください。入試で出題される形式は決まっているため、早いうちから入試を意識した勉強を始めるのも効果的です。詳しくは別記事「川崎医科大学の英語の傾向と対策」にまとめているのでご覧ください。

まとめ

2020年度川崎医科大学入学試験について科目ごとにポイントをまとめると、
【数学】出題形式に変更なし、昨年度より易化、複素数平面を意識的に対策
【物理】出題形式に変更なし、昨年度より難化、時間配分に注意
【化学】出題形式に変更なし、昨年度よりやや易化、スピード感が重要
【英語】出題形式に変更なし、昨年度並み~やや易化、試験形式になれておくことが肝要
となります。

 以上のことから、2020年度の川崎医科大学の入試結果は、合格者平均や合格者最低点は昨年度よりやや低いか昨年度並みとなることが予想されます。しかし、難化して合格者最低点が低くなるからと言って、自分の可能性が高まるわけでは決してありません。大学の傾向を分析し、他の受験生より努力を積み重ねることだけが合格への近道です。この記事が来年度以降、川崎医科大学を受験される方にとって少しでもお役に立てれば幸いです。

本記事内で登場した過去のオススメ記事

「2019年度川崎医科大学入学試験の講評と今後の対策」

「川崎医科大学の数学の傾向と対策」

「川崎医科大学の物理の傾向と対策」

「川崎医科大学の化学の傾向と対策」

「川崎医科大学の英語の傾向と対策」

 

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