三重大学医学部の化学の傾向と対策

三重大学医学部化学

先日、「三重大学医学部の物理」の記事で、三重大学医学部の物理では高得点を狙えるとお伝えしました。一方で化学は物理に比べると、難易度が上がり目標点に達するには適切な準備が必要となります。

 本日はその三重大学医学部の化学の傾向とそれを踏まえた具体的な対策法を紹介します。

三重大学医学部の物理の試験形式・配点は?

はじめに三重大学医学部の入試制度について見ていきましょう。

 

 三重大学医学部の入試制度には、前期一般入試(75名)、後期一般入試(10名)、推薦入試(40名)があります(カッコ内は募集人員)。全国的に医学部の後期試験が廃止される流れにある中で、本医学部では引き続き実施している点は要注目です。

 この記事では、受験者数が最も多い前期一般入試について取り扱うこととします。

 

 センター試験と二次試験の各科目の配点は、

【センター】国語:100点 社会:100点 数学:50点×2 理科:100点×2 英語:100点

【二次試験】数学:200点 理科:100点×2 英語:100点 面接:100点

であり、センター試験が600点、二次試験が700点の計1300点満点で計算されます。ちなみに、「面接の評価によっては、総合点の順位にかかわらず不合格とする」と募集要項に明記されているため注意しましょう。

 

上記の配点から分かるように、理科の点数が1300点中400点、すなわち約3分の1を占めるため重要度が高いです。一方で、理系学部としては珍しくセンター試験の数学の配点が低いため、医学部受験を考えておりセンター数学に不安を抱える方は選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか?

 

 理科については、物理・化学・生物の中から2科目を選択して解答します。制限時間はその2科目に対して150分であり、1科目当たりおよそ75分かけることができます。

 

 そのうち化学に関しては大問5つで構成され、小問に従って解き進めていく形式です。問題によっては2つ程度の中問に分かれている場合もあります。

 

 設問の内容は、計算問題や論述問題の比率が高く、計算問題では導出過程を求められることもあります。また、論述問題では化学現象や実験手順についての化学的知識を問われます。

 

 出題テーマとしては理論化学および有機化学分野が重要視されており、問題全体に占める割合が大きくなっています。ただし無機化学も大問で扱われることもあり、さらに理論化学と有機化学にまたがる融合問題となっていることも多いです。

 年度によってばらつきはありますが、おおむね理論化学から2題、有機化学から2題、無機化学から1題あるいはそれらの融合問題というセットが、三重大学医学部の化学では平均的と言えるでしょう。

 

 難易度については標準的なものがほとんどですが、難しい問題も散見されます。問題数も制限時間に対してやや多く、計算問題や論述問題が中心であることも鑑みると、決して余裕があるとは言えません。

 普段の勉強から簡潔に化学的知識を論述する練習や、計算過程をコンパクトにまとめることを意識しましょう。

三重大学医学部の化学の問題の難易度と合格に必要な得点率は?

続いて、三重大学医学部の過去の合格最低点のデータや他の科目の難易度をもとに、化学では何点を取ればよいか考えてみます。

 

三重大学医学部の合格最低点は、

平成30年度:1075.40点 平成29年度:1056.70点 平成28年度:1045.90点

平成27年度:1057.60点 平成26年度:1062.30点

となっています。

 これらのことから、1300点中1100点(約85%)取れば合格圏といえます。医学部受験の中でも、特に高得点帯の勝負となっています。

 

 このとき、センター試験で600点中520点(約87%)取れたと仮定すると、二次試験では700点中580点(約83%)得点しなければなりません。

 他の科目の難易度も考慮すると、それぞれ、

数学:170点 理科2科目:170点 英語:160点 面接:80点

とするのがオーソドックスな戦略となるでしょう。

 

 理科では200点中170点(85%)という高得点を設定しています。いかに計算を正確にし、ミスが許せない試験であるかお分かりいただけると思います。

 

 化学でも医学部受験生としては、100点中85点を取れるように対策をしておくべきです。ただし物理の方が点数が伸びやすい問題であるため、場合によっては物理で90点、化学では80点を目標とするのも可です。

 とはいえ、いくら物理が得意でもコンスタントに9割を取ることは簡単ではないため、リスクが高いと言わざるを得ません。自身の実力をしっかりと見極めて、どういった戦略が自分には最適か考えてみてください。

三重大学医学部の化学の出題傾向は?

さて、三重大学医学部の化学では、どのような問題が出されるのでしょうか?

 理論化学、無機化学、有機化学の各分野について、頻出単元をまとめたいと思います。

 

【理論化学】

 酸化還元反応や熱化学と化学平衡を扱う問題が頻出ですが、全体としてみれば幅広い単元の化学的知識が問われます。その中でも特徴的なのが、化学現象に関する、根本的理解を問う問題が見られる点です。過去には電気陰性度に注目した溶解の仕組みや、理想気体と実在気体の違いをテーマとする問題の出題歴もあります。こういった問題は小手先の解法を覚えるだけでは対応できず、どうしてそうなるのか?といった根本的理解が欠かせません。検定教科書の内容も疎かにせず、化学の根本から理解していく姿勢を大事にしてください。

 

【無機化学】

 物質の工業的製法に関する問題が頻出です。工業的製法は、その名前と何を作るのかを対応させて覚えたうえで、途中の化学反応式を覚えていかなければなりません。鉄の製錬やテルミット法といった細かい知識も問われることがあるので、過去問に出てきたことのない工業的製法も問題集で練習を積んでおきましょう。その他にも、周期表と絡めて様々な元素や化合物の性質を問う問題が良く出されます。沈殿を生成するペアと沈殿の色や、錯イオンの化学式や構造について、きちんと整理して覚えてください。

 

【有機化学】

 タンパク質とアミノ酸や医薬品として用いられるサリチル酸の誘導体についての問題が頻出です。三重大学の化学は、医学部と生物資源学部に共通の問題であるため、生体の化学が重要視されているように感じられます。ただし生体の化学とはいっても、核酸はこれまでに出題歴はありません。他にもベンゼンやアルコール等の有機化合物の誘導体やその性質、特定の化学式で与えられる異性体を考える問題も重要です。異性体の数え方ではレベルの高いものも散見されるので、問題集でしっかりと理解を深めておきましょう。

お勧めの三重大学医学部の化学の対策方法

最後に以上を踏まえた、三重大学医学部の化学の具体的な対策法をお伝えします。

 

 まずセンター試験までは、化学の標準レベルの問題への対応力を強化しましょう。三重大学医学部の化学は、問題数が多いため幅広いテーマの問題を解かなければなりません。医学部受験生は高得点を取ることが予想されるので、穴があるとライバルに差を付けられてしまうので要注意です。

 この時期におススメの問題集が、『化学重要問題集―化学基礎・化学』(数研出版)です。本書を分からない問題がなくなるまで、繰り返し取り組んでください。

 重要問題集の特徴は、「「化学重要問題集」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方」に詳しいので、是非参考にしてください。

他にも問題集の効率的な使い方についても、過去記事「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」で紹介しているので、ご一読いただければ幸いです。

 

また典型問題の解法を覚えることも大事ですが、三重大学医学部では化学の根本的理解も求められています。過去問を見て、どのような部分が論点となりやすいかを分析し、検定教科書もうまく使いながら、化学現象の理論も確実に押さえなければなりません。

 

続いてセンター試験終了後は、二次試験を意識した対策に移ります。

具体的に行っていただきたいのが、

・過去問の分析

・過去問を用いた実戦演習

・問題集を用いた苦手分野の克服

の3つです。

 

 化学は押さえなければならない論点が膨大で、残り約2カ月ですべてを復習しようとすると非効率的です。そこで過去5年分程度にわたって過去問を細かく分析し、自分がどの分野を強化しなければならないか優先順位をつけ、併せて押さえるべき暗記事項を洗い出しましょう。

 

 過去問分析で方向性が定まったら、いよいよ過去問に挑戦するときです。問題を解くにあたっては、問題の難易度を肌で感じ、これまで勉強してきたことを吐き出すイメージで臨んでください。加えて時間を計ることも忘れないでください。実戦的な時間配分のトレーニングができるのは、過去問に取り組む以外他にはありません。三重大学医学部の化学は制限時間に余裕があるとは言えないため、スピード感や簡潔な論述問題の解答作成法を身に付けることも欠かせません。

 もし三重大学の過去問だけでは足りなくなった場合は、岐阜大学や岡山大学の過去問で演習をするのも効果的です。難易度や問題形式が類似しているため、良い練習台になります。

 

 同時並行で、問題集を用いて、苦手分野の克服にも力を注ぎましょう。穴を作らないよう勉強を進めてきているはずですが、それでも100%自信のある分野ばかりではないはずです。これまでに使ってきた問題集で構わないので、最後の総仕上げとして問題を解き進めてください。

 もちろん知識に不安がある場合は、検定教科書に立ち戻ったり、再度暗記の時間を確保したりといった作業も大切です。意外なところにステップアップのヒントが隠されているので、時間が許す限り隅から隅まで目を通しましょう。

まとめ

三重大学医学部の化学の傾向と対策法のポイントは、

①理科2科目に対して制限時間は150分

②化学は小問からなる大問5つで構成され、2つ程度の中問に分かれることもある

③計算問題や論述問題の比率が高い

④理論化学と有機化学が重要視されている

⑤難易度は標準的なものがほとんどだが、難問も散見される

⑥目標は100点中80~85点

⑦頻出分野は、

【理論化学】酸化還元反応、熱化学と化学平衡、化学の根本的理解を問う問題

【無機化学】工業的製法、周期表と元素およびその化合物の性質、沈殿、錯イオン

【有機化学】生体の化学、有機化合物の誘導体、異性体

⑧センター試験までは、標準レベルの問題への対応力を強化する

⑨センター試験終了後は、

・過去問の分析

・過去問を用いた実戦演習

・問題集を用いた苦手分野の克服

の9つです。

 

 三重大学医学部の化学は必ずしも優しくはありませんが、根本的な理解ができていれば、つまり適切な勉強がしっかりとできていれば誰でも目標点に達することのできる試験です。基本をないがしろにすることなく、日々コツコツと実力をつけていってください。努力は裏切りません!!

 

 

本記事内で登場した過去のオススメ記事

「三重大学医学部の物理の傾向と対策

 

「「化学重要問題集」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方」


 

「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」


 

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本記事で登場したお勧めの問題集・参考書

『化学重要問題集―化学基礎・化学』(数研出版)


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