入りやすい医学部ってどんな医学部?

2019年03月26日 志望する大学の特徴

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将来、医師として働くことを志す人にとっては、医学部受験は必ず超えなければならないハードルです。そのため他学部の受験生に比べると、医学部受験生は大学へのこだわりはあまりなく、むしろ「医学部に入る」こと自体を最優先とする傾向があります。すると志望校選びにおいて重要になってくるのが、どの大学の医学部が入りやすいか、ということです。

 本日は多くの医学部受験生の持つ「入りやすい医学部ってどんな医学部?」という疑問に対して、様々な観点から考察を加えて回答を提示したいと思います。

志望校選びの基準となる軸

第一に考えなければならないのが、そもそも大学への入りやすさ、すなわち合格しやすさの基準は何か?ということです。この志望校選びの基準となる軸に焦点を当てたとき、おそらくほとんどの医学部受験生の頭に最初に思い浮かぶのが偏差値でしょう。

 実際に大手予備校が実施している模試では、受験者の成績をもとに偏差値を算出し、大学の合格判定に使用されています。ただし、志望校選びという観点からすると偏差値は役不足と言わざるを得ません。

河合塾の公開している各大学の医学部の偏差値を参考にすると、確かに東京大学の医学部に相当する理科Ⅲ類や一部の国公立大学医学部の後期試験といった、飛び抜けて偏差値が高い大学も見られます。ところが、それ以外の地方の国公立大学等の医学部の偏差値は軒並み65~67.5程度に集中しており、それらの差異を判定するには偏差値だけでは足りないのです。そして、私立大学医学部でも状況は変わりません。

 

 それでは倍率を基準の軸とすれば良いじゃないか、とおっしゃる方もいるかもしれません。しかし、こちらも絶対的な判断材料とはなりません。もちろん倍率が数十倍、数百倍となる人気大学は簡単に合格することができないことは明らかですが、一方で倍率が低いからといって入りやすい医学部とは断言できないからです。

 大阪大学医学部を例にとると倍率は2倍前後であり、他の国公立大学医学部では基本的に倍率は3~5倍程度です。それでは大阪大学医学部は入りやすい医学部といえるかというと、おそらく医学部受験生の大半がそうは考えないはずです。偏差値も70を超える難関医学部であることは有名な事実です。

 

 以上のことから、偏差値や倍率は志望校選びの基準として参考にはなるけれども、これらだけでは決定的な違いは分かりません。どうやら他にも判断基準の軸が必要そうです。

知れば得する入試情報

判断基準の軸として偏差値や倍率以外に知っておきたいのが、大学ごとの入試制度です。国公立・私立を問わず、医学部によって採用している入試制度は大きく異なります。

 

 まず、医学部受験においてはセンター試験と二次試験の得点の合計により合否の決定がなされるのが普通ですが、その配点が基準軸の一つとなります。例えば、2019年度のセンター・二次の合計に対するセンター試験の配点を調べてみると、東京大学理科三類では110/550(20%)、京都大学医学部では250/1250(20%)と二次試験の得点が大半を占める大学がある一方、徳島大学医学部では900/1300(約69%)とセンター試験の重要度が非常に高い大学もあります。

 

 同様に、大学ごとに課される試験科目の違いも判断材料として有用です。国公立の医学部ではセンター試験で5教科7科目の受験が必須となる場合が多いですが、その中でも理科2科目の選択で化学が必須であったり、社会の選択科目として現代社会が選べない大学があったりします。配点も医学部によってばらつきがあり、バランスよく素点がそのまま得点となる大学もあれば、理系科目の得点を高めに設定し文系科目の得点を圧縮する傾斜配点を用いる大学もあります。

 

 二次試験で課される科目はさらに大学ごとにバリエーションがあり、数学・理科2科目・英語というセットが多数派である中で、島根大学医学部のように数学・英語だけを対策すればよい場合もあります。配点もセンター試験と同じように医学部によって様々で、広島大学医学部ではバランスよく得点している受験生と理系科目が得意な受験生の両方を合格させるために、複数の配点を一つの試験で適用しています。

 

 ここで紹介しただけでも医学部受験にはかなりの数の制度が存在することがお分かりいただけたかと思います。出願した後にもっと自分に合った医学部があったと知って後悔することがないように、入試情報はできる限り事前に集めておきましょう。

多様化する出願方法

受験大学の選択をさらに悩ましいものとする要因として、出願方法の多様化も挙げられます。特に地域枠の推薦入試制度の登場により、一部の医学部の合格へのハードルは大幅に下がりました。場合によってはセンター試験で7割5分の点数でも合格できる可能性もあります。地域枠は基本的に医療資源の不足している地元に卒業後、医師として働くことを条件として入学する制度ですが、地域医療に関心があるのであればとても魅力的な選択肢といえるでしょう。

 

 他にも、高校によっては医学部への指定校推薦があることもあります。一般入試と比べると、学内での推薦さえ手にできれば合格率の高い出願方法であり、勉強以外でも委員会活動や部活での活躍が評価の対象となる点も特徴的です。

 この点で、高校入学前の早い時期から将来的に医学部を目指すことを決めている場合は、どの高校に進学するかも慎重に考えなければなりません。現在は医学部の間口は広がってきていることを、中学生の方やその親御さんには意識していただきたいと思います。

彼を知り己を知れば百戦殆うからず

孫氏の有名な言葉の中に「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」というものがあります。最後にこの名言になぞらえて、志望校を決めていくプロセスについてお伝えします。

 

 「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」とは、「相手の情報を手に入れ、自分自身のことをよく分析できていれば、どんな戦いでも負けることはない」といったような意味です。これは医学部受験にも通ずるところがあります。大学の偏差値や倍率、入試制度等を調べるのが「彼を知る」、自身の得意・不得意教科、科目バランス、将来の医師としての展望(地域医療への関心)等を分析するのが「己を知る」といった具合です。

 

 大学の入試情報を知るには、大学のホームページや予備校のサイトを訪れるのが確実です。また、医学部人気の高まりに伴って、個人で医学部入試関連情報をまとめたサイトを作っていたり、ブログで受験生に役立つ記事が書かれていたりするので、こちらも参考にすることができます。

 ちなみに当ブログの別記事「医師国家試験の結果から見る留年しやすい医学部ランキング」といった、志望大学選びの軸の1つとなり得る判断基準も紹介しています。併せてご参照ください。

 

とはいえ、個人で情報を1つずつ集める方法では、ピンポイントに特定の大学のことを調べるのには不便はありませんが、網羅的な情報の中から自身に合った大学を選択するとなると膨大な分量のデータを処理する必要が出てきます。さらに一人で決断しても、それが果たして最善かどうかの確証を持つことも難しいはずです。こういった場合には、学校の進路指導の先生や医学部受験のプロに相談するのが良いでしょう。これまでの経験から大学ごとの情報を比較検討して提案をしてくれるはずで、もしかすると過去にあなたと似たような境遇の生徒の相談に乗ったことがあるかもしれません。

 

 こうして「彼を知り己を知」ることができれば、「百戦」安心とまではいかないかもしれませんが、心の余裕は大違いです。あとは敵を倒す戦略を練って実行に移すことができれば、合格への道を突き進むことができるでしょう。

まとめ

さて、これまでの内容から冒頭の「入りやすい医学部ってどんな医学部?」という質問に対しては、「自分の特性にマッチした入試制度を持つ医学部」が答えになります。そして、そのような大学を探し出すためのポイントは、

①偏差値や倍率だけでは判断基準の軸とはならない

②医学部により入試制度が異なるので、できる限り多くの入試情報を集めておく

③出願方法が多様化しており医学部入学の間口は広がっている

④一人で判断するのではなく、進路指導の先生や医学部受験のプロに相談する

の4つです。

 

 読者の方からすると記事のタイトルに対する回答がクリティカルではなく、ご期待に沿えなかった部分もあるかもしれません。しかしながら、これはひとえに医学部受験の世界はどの視点から見るかによって千差万別で、受験生の皆さんひとりひとりが答えを出さなければならないことだからです。少なくとも最善の解を見つけ出すのにヒントになる内容を本記事にはふんだんに盛り込んだつもりなので、是非参考にしていただければ幸いです。

 

 

本記事内で登場した過去のオススメ記事

「医師国家試験の結果から見る留年しやすい医学部ランキング」


 

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