信州大学医学部の数学の傾向と対策

信州大学数学

大好評の「傾向と対策シリーズ」。本日から、読者の方のリクエストを受けて、信州大学医学部の傾向と対策についてご紹介致します。

信州大学医学部は、2013年以前は、二次試験で数学のみという独特な入試制度でした。しかし、今では、英数理科2科目と全科目受験となっています。また、信州大学医学部は、再受験生や多浪生にも寛大な医学部として有名な大学の1つです。本日は、そんな信州大学医学部の数学の傾向と対策についてご紹介します。

信州大学医学部の数学の試験形式・配点は?

信州大学医学部の入学試験の点数配分は、センター試験:450点、個別試験:600点の合計1050点満点です。センター試験と個別試験の比重では、個別試験の点数が高くなっています。とはいえ、個別試験で挽回できるほど、センター試験と個別試験の点数差があるわけではないため、センター試験で失敗した場合に個別試験で挽回できるほどではありません。また、後述しますが、個別試験の中で学科(英数理)が占める割合は450点であるため、実質センター試験:個別試験の割合は1:1と考えると良さそうです。このことからも、センター試験で高得点が取れれば個別試験に大きなアドバンテージを持って臨むことができるといえます。

 

 詳細な各試験の科目とその配点は、

【センター試験】

国語:100 社会:50 数学2科目:100 理科2科目:100 外国語:100

【個別試験】

数学:150 理科2科目:150 外国語:150 面接:150

となっています。

面接も点数化され、著しく低い場合は総合点に関わらず不合格となる場合もあります。

 

 続いて個別試験の数学について見ていきましょう。

 

 信州大学医学部の数学は、大問5つで構成され制限時間は120分です。問題冊子は他学部と共通であり、学部によって解答する問題が異なるため、解き始める前にしっかりと指示を読むようにしてください。例年通りであれば、医学部医学科は大問3~7(平成28年度は大問4~8)の5題を解くことになります。

 大問のほとんどは2~3つの小問に分かれています。小問といえば出題者の意図を伝える誘導の役割を果たすイメージがありますが、信州大学医学部の数学では小問と小問の関係性が読み取りづらいことも多いという特徴があります。中には小問に分かれていない大問すら見られます。誘導がなくても解法の糸口を見つけなければならないため、受験生間ではこの種類の問題で差がつくと考えられます。

 

 解答は記述形式で、導出過程も含めて採点対象となります。信州大学医学部の数学では、証明問題や計算の複雑な数学Ⅲの積分の問題が頻出なので、普段から見やすい回答作りを意識しながら勉強をしましょう。

信州大学医学部の数学の問題の難易度と合格に必要な得点率は?

それでは過去の合格最低点や難易度をもとに、信州大学医学部に合格するために必要な数学の点数を考えてみましょう。

 

まず合格最低点についてですが、平成30年度:818.2点、平成29年度:861.4点、平成28年度:807.2点より、平均を求めると828.9点となります。したがって、850点を超えると合格安全圏といってよいでしょう。

ここでセンター試験で450点中390点(約87%)を取れたと仮定すると、個別試験では600点中460点以上取ることが必要となります。

 

これを踏まえて各教科の難易度から、それぞれ何点ずつを目標点とすべきかを考えると、

数学:120点 理科:130点 外国語:110点 面接:100点

とすれば、460点となり合格点に到達できます。

 

 個別試験は全教科150点満点なので、数学で求められるのは80%の得点率です。

 信州大学医学部の数学の難易度は全体としては標準的ですが、基本~標準レベルの大問の中に数問のやや難しい大問が混ざっているような構成になっています。基本レベルの大問の中には教科書+α程度のものも見られるので、このような問題は正確にかつスピーディに片付けられなければなりません。そのうえで、他の問題にどれだけ時間を残せるかどうかが目標を達成できるか否かのカギを握っています。

 上述のような丁寧な誘導のない問題を解くには時間がかかります。やみくもに問題を解き始めるのではなく、ざっと全体を見渡してから解答の順番を考えるのも重要です。

 

信州大学医学部の数学の頻出分野は?

次に信州大学医学部の数学の頻出分野を、【超頻出単元】、【頻出単元】、【要対策単元】に分けてまとめます。

 

【超頻出単元】

①式と証明

 与えられた等式や不等式が成り立つことの証明問題が超頻出です。しかしながら、その内容は多種多様であり、テーマを限定することは困難です。積分漸化式や二項定理を用いた等式の証明といった、やり方を知らないと手も足も出ないような問題の出題歴もあります。加えて、等式・不等式に限らず証明問題はほぼ毎年出題されているので、直前期に証明方法全般に関して、一通り復習をしてください。

②数列

 数列の中でも漸化式の出題頻度が高いです。二項間漸化式や三項間漸化式の特性方程式といった基礎知識は、完璧にして本番に臨みましょう。また、数学的帰納法を用いた証明法や一般項の極限値といった関連テーマも併せて押さえておけば効率的です。過去には二次試験では珍しい群数列も扱われています。他の国立大学の傾向に惑わされることなく、数列に関しては、どんなパターンが問われても対応できるよう準備してください。

③面積(数学Ⅲ)

 数学Ⅲの微積分は毎年出題されています。中でも、関数が与えられ、接線や2つ交点を持つ条件等を調べた後、直線と曲線で囲まれた部分の面積を求める、といった典型的な問題がよく見られます。ただし文字を使って求めた面積の最大・最小を考えたり極限値を求めさせる等、通常さらにもう1ステップが求められます。微分により関数の概形を描いたり、定積分の計算方法といった作業さえできれば得点源にすることができます。

 

 

【頻出単元】

①加法定理

 信州大学医学部の数学では、三角比の加法定理を用いる場面が非常に多いのが特徴的です。三角関数そのものを扱う問題は少ないものの、不等式の証明に三角比を絡めたり2辺の長さとその間の角度の関係から面積の最大を求めるといった具合に、加法定理が不可欠な状況がよく見られます。三角比が絡む問題では、加法定理をどこかで使うタイミングがないか注意しながら解き進めてください。

②平面ベクトルの内積

 ベクトルの内積を用いて、ベクトルのなす角や図形の面積を考察する問題が頻出です。難易度としては、基本レベルのものがほとんどです。三角比との融合問題となる場合が多いので、前述のような加法定理や正弦から余弦への三角関数の変換といった手順には慣れておきましょう。

 

【要対策単元】

①確率

 ここ数年は出題されていませんが、過去には確率もよく出題されていました。独立試行の確率の問題は、状況整理に手間取ることが多いので、大学の過去問等を使って実戦的な問題になるべく多く触れて練習してください。数列的な要素もある確率漸化式も狙われる可能性が高いので、こちらも解法を身に付けておきましょう。

お勧めの信州大学医学部の数学の対策方法

最後に上記内容を踏まえた具体的な対策法を紹介します。

 

第一に、センター試験が終わるまでは、数学の全ての範囲の標準問題・典型問題に関しては、即座に解法が頭に浮かぶまで練習を繰り返しましょう。信州大学医学部の数学の特徴として、幅広いテーマからの出題があるということが挙げられます。そのため苦手な分野から出題される可能性があり、もしそうなると大きな痛手となります。何よりも、この時期は苦手をなくしすべてのパターン問題を網羅する勉強を心掛けてください。

お勧めの問題集は、『入試数学理系の核心』(Z会出版)です。網羅的な勉強に際しては、複数の問題集に手を出す必要はありません。一冊を完璧に仕上げることを目標にしてください。

より詳細な問題集の使い方は、過去記事「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」を参考にしてください。

 

次いでセンター試験終了後は、

・過去問の分析

・実戦問題集を使った苦手分野や出題可能性の高い分野の練習

・過去問にチャレンジ

の3本柱で勉強を進めてください。

 

 個別試験まで残り1カ月という時期です。全範囲を最初から最後まで復習するというのは、不可能あるいは非効率と言わざるを得ません。

 そこでまずは、過去問を分析し自身の数学の実力と照らし合わせ、苦手な分野や自身の受験年度に出題されそうなテーマを洗い出してください。それをもとにして、ある程度数学の実力がついてきているはずなので、より実践的な問題集に移ってください。

 『入試問題集』(数研出版)は実際の大学入試で出題された問題が収載されているため、複数のテーマが盛り込まれた複合問題や典型問題には見られないような切り口の問題に取り組むことができます。

 

 繰り返し強調しますが、信州大学医学部の数学は基本~標準的な問題に加えて1、2題は解法の糸口がすぐには分からないようなやや難しい大問に必ずぶつかります。さらに証明問題も標準的な問題集だけでは練習不足の感は否めませんが、『入試問題集』では応用力を試されるような証明問題もたくさん載っているので、直前期の実力アップには最適です。

 信州大学医学部の数学で83%を目指すには、標準問題が解けるだけでは足りません。残りの難問でいかに得点できるかが、他の受験生に差をつけるポイントです。

 

 同時並行で、信州大学医学部の数学の過去問にも取り組んでください。本番では制限時間も気にしながらの勝負となるので、事前に時間の感覚を身に付ける最初で最後のチャンスです。また、スピーディに手早く片付けるべき問題から解き始め、誘導が読み取りづらいような時間のかかる問題は後回しにするといった本番での動きも確認しておきましょう。

 

まとめ

信州大学医学部の数学の傾向と対策法のポイントは、

①大問5つに対して制限時間は120分

②小問に分かれている問題もあるが誘導は丁寧ではない

③解答はすべて記述式で証明問題や積分の問題では記述量が多くなる

④基本~標準的な難易度の問題が多いがやや難しい問題が必ず1題は含まれる

⑤目標点は125/150

⑥【超頻出単元】式と証明、数列、面積(数学Ⅲ)

 【頻出単元】加法定理、平面ベクトルの内積

 【要対策単元】確率

⑦センター試験までは、標準的な問題集で苦手分野をなくす

⑧センター試験後は、

・過去問の分析

・実戦問題集を使った苦手分野や出題可能性の高い分野の練習

・過去問にチャレンジ

をする

の8点が重要なポイントです。

 

 信州大学医学部の数学は問題の難易度にばらつきがあり、大問7は医学部医学科と理学部数学科の受験生向けの問題なので、特に難しい傾向があります。

 本番までに、誘導がなくても身に付けた数学力を応用して解決していける能力をしっかりと養いましょう。

高得点帯の勝負となる医学部入試です。じっくりと問題と向き合って考えつくし、1点でも高い点数を目指してください!!

 

 

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