名古屋市立大学医学部の物理の傾向と対策

2019年06月05日 志望する大学の特徴

名古屋市立大学物理

※2019年4月18日に公開した記事ですが、2019年6月5日に修正しました。

先日、「名古屋市立大学医学部の数学の傾向と対策」の記事において、名古屋市立大学医学部の数学は傾向がはっきりしているものの、一筋縄ではいかない問題が並んでいるとお伝えしました。同様のことは物理でも当てはまります。
 本日は名古屋市立大学医学部の物理について、その傾向と具体的な対策法を紹介します。

名古屋市立大学医学部の物理の試験形式・配点は?

はじめに名古屋市立大学医学部の入試制度について見ていきましょう。

 

 名古屋市立大学医学部の入学試験には、一般入試(70名)、推薦入試(20名)、地域推薦(7名)の3つの精度が存在します(カッコ内は2019年度の募集人数)。本記事では最も受験者数の多い、一般入試について取り上げることにします。

 

 一般入試は国立の医学部受験と同様、センター試験と二次試験の得点の合計で合否が判定されます。詳細に各試験の科目ごとの配点を見てみると、

【センター試験】国語:100点 数学:62.5点×2 英語:100点 社会:50点 理科:62.5点×2

【二次試験】数学:150点 英語:150 理科:100点×2 面接:200点

となっており、センター試験が500点、二次試験が700点の合計1200点満点です。センター試験では数学・理科といった理系科目の得点比率が相対的に高く社会の得点比率が大きく圧縮されており、二次試験でも理科の配点の科目全体に占める割合が高くなっていること、そして面接も得点化されていることは注目ポイントです。

 

 またここ数年、名古屋市立大学医学部では入試制度の変更が続いており、平成30年度からは2段階選抜が実施されるようになりました。この制度下では、第2段階選抜の二次試験の受験資格が得られるのは、第1段階選抜のセンター試験で500点中375点以上を取った受験生のみです。他にも名古屋市立大学ではこれまで初日に数学と英語、2日目に理科と面接試験を行っていましたが、平成31年度からは初日に学科試験すべてを済ませ、2日目に面接試験のみとする国公立の医学部受験ではなじみのある日程となります。

 

 この中で理科は物理・化学・生物のうち2科目を選択して受験します。制限時間は理科2科目に対して150分与えられるので、1科目当たりおよそ75分使えることになります。

 

 物理に関しては大問4つで構成され、いずれも8つ前後の小問に分かれます。平成28年度までは空欄の設けられた文章が与えられ、適切な語句・数値を答えていく穴埋め形式の大問も見られましたが、ここ数年はそうした形式の大問は出されていません。また、年度によっては大問が2つの中問に分かれており、同じ単元から2つのテーマを問われることもあるので注意が必要です。

 

 解答は答えのみを書く記述式が中心ですが、一部には導出過程も求められる設問が出されます。さらに過去には誘導に従って物理現象の考察を行い、その結果を文章でまとめる論述問題や、グラフ等の描図問題の出題歴もあります。

 

 難易度としては基本~標準問題がほとんどを占め、医学部受験生にとっては簡単に解ける試験のようにも思えます。しかし問題となるのが時間との戦いです。制限時間75分としたとき、大問1つあたりおよそ18分かけることができますが、小問の数が8題程度と多く1題2、3分以内に処理していかなければなりません。平成29年度の大問3のように思考力を要する問題も出される可能性があるので、時間配分を間違えないように全体を見通す能力も欠かせません。

名古屋市立大学医学部の物理の問題の難易度と合格に必要な得点率は?

続いて、名古屋市立大学医学部の過去の合格最低点のデータや他の科目の難易度をもとに、物理では何点を取ればよいか考えてみます。

 

名古屋市立大学医学部の合格最低点は、1200点満点中、

平成30年度: 946.30点 平成29年度: 953.28点 平成28年度: 983.33点

平成27年度: 979.83点 平成26年度: 966.10点 平成25年度: 933.28点

となっています。すなわち、990点(82.5%)あれば合格圏といえます。

 

 ここでセンター試験において500点中430点(86%)取ることができたと仮定すると、二次試験では700点中560点(80%)が必要となります。

 

以上のことから、各科目の難易度も考慮したうえでそれぞれ目標点を立てると、

数学:105点 英語:105点 理科:150点 面接:200点

とするのが良いでしょう。面接に関しては合格者の最低点が満点となっているため、200点として計算して構いません。

 

 理科は2科目で200点満点中150点(75%)を超えなければなりませんが、選択した2科目間に得意不得意の大きな差がなければ、いずれも75点ずつ取ることを目指しましょう。他の科目に比べるとやや目標点が上がりますが、名古屋市立大学は理科の配点が高いため理科で高得点を取る自信のある医学部受験生が集まりやすいと予想されます。他のライバルに負けないように、理科は重点的に対策することを勧めます。

 

名古屋市立大学医学部の物理の出題傾向は?

それでは、名古屋市立大学医学部の物理では、どのような問題が出されるのでしょうか?

大きく力学、電磁気、波動、熱力学、原子の分野に分け、それぞれについて頻出テーマをまとめていきます。

 

【力学】

 毎年大問1は力学から問題が出され、頻出テーマとして押さえておかなければならないのが単振動です。名古屋市立大学の物理ではここ5年で4回も単振動に関連する問題が出されており、意識的に出題しているようにも思われます。単振動は物体の変位に比例する復元力がはたらくときに観察される現象であり、ばねによる単振動ではばね定数がその比例定数になります。重要なのがばね以外の浮力による単振動等において、何がばね定数に相当するかを理解することです。周期の計算にもばね定数は不可欠です。復元力となることを示す式を表し、ばねの単振動の式と比較することでばね定数相当部分を判断できるように練習しておきましょう。

 

【電磁気】

 力学と同じく、電磁気は毎年必出の単元です。これには電磁気単体の論点だけではなく、他の単元との融合問題も含まれます。頻出度が高いのがコンデンサーに関する知識です。コンデンサーを含む回路と、コンデンサーの性質そのものを扱う問題のいずれも出題歴があります。またコンデンサー回路ではコイルも同時に組み込まれており、充電の完了したコンデンサーとコイルとをつなぐことで電気振動を発生させるのも定番の設問です。回路におけるコンデンサーおよびコイルに流れる電流の挙動、電気振動の経時的変化はしっかりと理解しておきましょう。加えてここ数年で電磁誘導についての問題の出題頻度が高まっています。電磁誘導に関連する問題の基本的解法は、確実に身に付けておいてください。

 

【波動】

 波動も毎年出される単元ですが、出題テーマに偏りはなく、光の干渉、ドップラー効果、レンズ、屈折の法則といったように、幅広く対策をしておかなければなりません。さらに波動では思考力が試される問題が他の単元よりも多く見られ、これまでに皆既月蝕で月が赤く見える理由を考察するといった、多くの受験生が初めて目にするようなものも出されています。とはいえ思考力とはいわゆるひらめきに依存するものではなく、基礎的理解をいかに応用していくかがカギとなる力です。まずは基礎を固めたうえで、問題集や大学入試の過去問を通して実戦的な思考力を養っていけばよいでしょう。

 

【熱力学】

 熱力学も毎年のように出されていましたが、平成31年度は出題されませんでした。熱力学では例年、気体の状態変化を扱います。気体の状態変化では熱の出入りと仕事および内部エネルギーの関係を、熱力学第一法則を用いて状況整理していきます。問題のパターンはさほど多くありませんが、気体の圧力の分子運動論と絡めた問題の出題歴もあるため、過去問で確認しておきましょう。基本的には気体の状態変化についての大問であれば、一度はどこかで目にしたことのあるような設問がほとんどなので、確実に解法を身に付け得点源としたいところです。

 

【原子】

 ここ5年で見ると、平成31年度には電磁気との融合問題、平成28年度には核反応と核エネルギーに関する大問が単体で出題されています。他の単元と比較すると圧倒的に出題の可能性は低いですが、絶対に出されないとは言えないため、ないがしろにはできません。データの蓄積がない分、重点的に対策すべきテーマを洗い出すことも難しいため、各テーマの典型問題は少なくともすべて解けるようにしておかなければなりません。

お勧めの名古屋市立大学医学部の物理の対策方法

最後にこれまでの内容から、名古屋市立大学医学部の数学の対策に必要な具体的な勉強法をお伝えします。

 

 初めにセンター試験までは、物理の全単元の典型問題の解法を修得することを目標に勉強を進めましょう。原子以外の単元では出題傾向が明確ですが、センター試験における理科の配点の高い名古屋市立大学医学部を受けるにあたっては、センター試験対策も兼ねて物理の総合的な基礎力を上げていくことが先決です。

 

 この時期におススメの問題集は、『良問の風』(河合塾シリーズ)です。各単元の典型問題が余すところなく収載されており、この一冊を完成させるだけで対策としては十分と言っても過言ではありません。問題を見たら解法が頭に思い浮かぶようになるまで、繰り返して取り組みましょう。

 他にも役に立つのが、『物理のエッセンス』(河合塾シリーズ)です。こちらは問題数こそ少ないものの、問題を解くことを意識して詳細に解法を説明しています。問題集と参考書の中間のような内容をイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。教科書レベルの勉強が終わった後に「良問の風」といった問題集の問題が解けない場合は、一度こちらで力の底上げをすることも検討してみてください。

 

 なおこれらの問題集の特徴は別記事「「良問の風」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方」「「物理のエッセンス」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方」に詳しいのでご参照ください。

加えて、より詳細な問題集の使い方についても、過去記事「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」で紹介しているので、是非参考にしてください。

 

 センター試験終了後は、二次試験に向けた勉強に移りましょう。具体的に行っていただきたいのが、

・過去問の分析

・過去問を用いた実戦演習

・問題集を用いた苦手分野の克服

の3つです。

 

 過去問の分析については名古屋市立大学医学部の物理は傾向がつかみやすいので、5年分程度を確認すれば十分です。ただし、残り約1カ月の勉強内容を決めるうえで、大切な判断材料となるので、疎かにしてはいけません。問題の分量や出題テーマにざっと目を通して、どのように勉強を進めれば最も効果的かを考えてみてください。

 

 過去問分析が終わったら実際に解いてみましょう。このとき徹底していただきたいのが、時間を計って取り組むことです。既にお伝えしているように、名古屋市立大学医学部の物理は時間配分を間違えると致命的になります。どれくらいのスピード感をもって解き進めればならないかを肌で感じられるのは、この過去問演習をおいて他にはあり得ません。各年度とも貴重な機会であることを肝に銘じて、本番さながらの環境で挑戦してください。

 

 同時並行でこれまでの勉強で手が回らなかった苦手分野の克服に取り組みましょう。もちろんセンター試験前まで使っていた問題集の内容が完璧であれば他の問題集に手を出すのも構いませんが、そうでなければ再度同じ問題集で苦手分野をつぶしていく方が効率が良いです。過去問分析で傾向を掴んだうえで自身の得意不得意を照らし合わせ、分野ごとに優先順位をつけて対策をしていってください。

まとめ

名古屋市立大学医学部の物理の傾向と対策法のポイントは、

①理科2科目に対して、制限時間150分

②大問4つで構成され、8つ前後の小問に分かれる

③解答は答えのみを書く記述式が中心だが、導出過程を求められる設問や論述問題、描図問題も見られる

④基本~標準的な問題がほとんどだが、設問数が多く思考力を問われるものもあるため、時間配分も重要

⑤目標点は100点中75点

⑥頻出テーマは、

【力学】単振動(ばね定数)

【電磁気】コンデンサー、電磁誘導

【波動】テーマに偏りがない、思考力を問われるものが見られる

【熱力学】気体の状態変化

【原子】各テーマの典型問題は解けるようにしておく

⑦センター試験までは、全単元の典型問題の解法を修得する

⑧センター試験終了後にすべきことは、

・過去問の分析

・過去問を用いた実戦演習

・問題集を用いた苦手分野の克服

の8つです。

 

 名古屋市立大学医学部は理科を重視した配点となっており、理科で点を稼げないと合格が遠のきます。数学や英語に比べると勉強した量と比例して得点も伸びやすい科目なので、もし苦手な場合はそのままにせずきちんと時間を割いて勉強をしてみてください。物理は暗記事項が少ないので、インプットが済んだらどんどん問題集を使ってアウトプットしていきましょう!!

 

 

本記事内で登場した過去のオススメ記事

「名古屋市立大学医学部の数学の傾向と対策」


 

「「良問の風」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方」


 

「「物理のエッセンス」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方」


 

「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」


 

名古屋市立大学の過去問題やその他の教科の傾向と対策

 こちらのページで過去問を無料で閲覧できます

 また、その他の教科の傾向と対策についても見ることができますので、

 ご参考にしてください。

名古屋市立大学の過去問ページ

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本記事で登場したお勧めの問題集・参考書

『良問の風』(河合塾シリーズ)


 

『物理のエッセンス力学・波動』(河合塾シリーズ)


 

『物理のエッセンス熱・電磁気・原子』(河合塾シリーズ)

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