山口大学医学部の物理の傾向と対策

2019年04月02日 志望する大学の特徴

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以前、「山口大学医学部の数学の傾向と対策」の記事において、数学で越えなければならないハードルは決して低くはないとお伝えしました。物理でも問題の質は異なりますが、高い得点を取ることが必要となります。

 本日はその山口大学医学部の物理について、傾向と具体的な対策法を紹介します。

山口大学医学部の物理の試験形式・配点は?

はじめに山口大学医学部の入試制度について見ていきましょう。

 

 山口大学医学部の入試制度には前期一般入試(60名)、後期一般入試(10名)、推薦入試(37名)の3つが存在します(カッコ内は2018年度の募集人数)。本記事では最も受験者数の多い、前期一般入試について取り上げることとします。

 

 前期一般入試では、センター試験と大学ごとに実施される二次試験の2つが課され、その合計得点で合否が決まります。国公立医学部はほとんどが同様の選抜方法を採っていますが、配点についてはばらつきがあります。

 

 詳細に各試験の科目ごとの配点を見てみると、

【センター試験】国語:200点 社会:100点 数学:100点×2 理科:100点×2 英語:200点

【二次試験】数学:200点 理科:100点×2 英語:200点

となっており、センター試験が900点、二次試験が600点の合計1500点満点となります。募集要項によると、二次試験では面接試験も行われますが点数化されず、総合審査の資料とするとのことです。大学によってこの配点が異なるのは上述のとおりですが、山口大学医学部は医学部受験としてはセンター試験の全体に占める比率は大きいといえます。したがって、センター試験で高得点を取り、先行逃げ切りを図るのが基本的な作戦となります。

 

 ちなみにセンター試験では理科2科目を受験しますが、化学は必須となっており、残り1科目を物理・生物のうちから選ぶ形式となっています。また、二次試験では理科は1科目で200点満点だったものが、平成30年度入試からは2科目で200点満点に変更されました。こちらは化学が必須ではなく、物理・化学・生物の3科目から2つを選ぶようになります。

 

 この中で、二次試験の理科は2科目に対して制限時間150分が与えられます。つまり1科目にかけられる時間はおよそ75分です。

 

 物理に関しては大問4つで構成され、小問に分かれているものや、文章中の空欄に当てはまる語句や数値を答えるものがあります。ちなみに平成27年度には大問4が熱力学と原子物理から1つを選ぶ選択問題となっていますが、それ以降は4題とも必答です。

 

 解答形式は答えのみを書く論述式が中心ですが、与えられた語群から正答を選ぶものや、記号問題も見られます。また計算問題では導出過程も求められる設問の出題歴もあります。

 

 難易度については基本~標準的な問題がほとんどですが、一部に分野横断的な融合問題も出されています。例えば、平成27年度のドップラー効果と万有引力の融合問題や、平成30年度の気体の分子運動論を光子気体へ応用する問題が当てはまります。加えて人の可聴領域を答えさせるような細かい知識を問うものも見られます。

 山口大学医学部の物理の対策としては、各分野の基本的な考え方を押さえたうえで応用できる場面を理解し、二次試験直前期に細かな知識を補完していくのが良いでしょう。

山口大学医学部の物理の問題の難易度と合格に必要な得点率は?

続いて、山口大学医学部の過去の合格最低点のデータや他の科目の難易度をもとに、物理では何点を取ればよいか考えてみます。

 

山口大学医学部の合格最低点は、1500点満点中、

平成30年度: 1206.0点 平成29年度: 1235.4点 平成28年度: 1171.2点

となっています。すなわち、1240点(約83%)あれば合格安全圏といえます。

 

 ここでセンター試験において900点中780点(約87%)取ることができたと仮定すると、二次試験では600点中460点(約77%)が必要となります。

 

これを踏まえて、各科目の難易度も考慮したうえでそれぞれ目標点を立てると、

数学:150点 理科:160点 英語:150点

とするのが良いでしょう。

 

 理科は2科目で160点なので、選択した科目間に得意不得意の差がなければ80点(8割)ずつを目指しましょう。物理については数学よりも点数を取りやすい問題が並んでいますが、その分、医学部受験生であれば高得点帯の勝負となると予想されます。ミスが特に致命的な試験内容なので、正確性も欠かせない能力です。

山口大学医学部の物理の出題傾向は?

それでは、山口大学医学部の物理では、どのような問題が出されるのでしょうか?

 物理を大きく力学、電磁気、波動、熱力学、原子の分野に分け、それぞれについて頻出テーマをまとめていきます。

 

【力学】

 力学は毎年大問1で出される分野です。物体の運動を扱うものがほとんどで、剛体のつり合いについての問題は近年見られません。完璧にマスターしておきたいのが力学的エネルギー保存則です。斜面上を転がる小球の運動や単振動する物体のばねの伸びと速度を考察するときに、力学的エネルギー保存則は欠かせません。これと関連して力が物体に仕事をすることで、運動の様子がどのように変化するか理解しておかなければなりません。仕事と力学的エネルギーの間のつながりをきちんと結び付け、是非とも得点源としたい分野です。

 

【電磁気】

 電磁気は力学と同じように例年1題は出されている分野です。電磁誘導や交流回路といったように出題範囲は幅広いため、典型問題の解法は抜けのないように一通り身に付けておきましょう。あえて重要テーマを挙げると自由電子に着目した現象の理解です。具体的には自由電子の移動と電流の大きさの関係およびオームの法則の自由電子論等が有名です。自由電子に着目するものとしてはホール効果がここ数年出されていないので、解き方を確認しておくと良いでしょう。

 

【波動】

 波動も必出の分野で、重要テーマは屈折の法則です。平成29年度と平成30年度には屈折の法則を用いて全反射の起こる条件を考える問題が、2年続けて出されています。さらにヤングの実験等の光の干渉においても、光路中にガラスのような空気とは屈折率の異なる物体を置くと干渉縞がどのように移動するか、といった問題も見られます。屈折・反射の法則だけでなく、屈折率と波の速度および光路長の関係といった基礎的理解を深めておきましょう。

 

【熱力学】

 大問4つ中3つは力学、電磁気、波動が出題され、残り1題が熱力学あるいは原子の分野となります。熱力学では気体の状態変化を扱うものが中心で、熱サイクルの問題は手早く処理できるようにしておきましょう。山口大学医学部ではモル比熱を用いて気体の内部エネルギーを計算させる設問が多いです。気体の状態方程式と熱力学第一法則を使えば計算可能ですが、モル比熱を活用できれば飛躍的にスピードが上がります。定積モル比熱、定圧モル比熱の概念をはじめとして、問題でどのように適用するかを押さえておいてください。

 

【原子】

 国公立の医学部受験では軽視されがちな原子物理ですが、山口大学医学部では熱力学と変わらない頻度で出題されています。これまでに原子の変化の知識を問う問題の頻出度が高いです。原子は放射性崩壊や核融合、核分裂によって変化しますが、これらの反応に関与する粒子を整理して覚えておかなければなりません。放射性崩壊に関連して半減期を計算する問題が出される可能性もあるので、確実に得点できるよう練習しておきましょう。

お勧めの山口大学医学部の物理の対策方法

最後にこれまでの内容から、山口大学医学部の物理の対策に必要な具体的な勉強法をお伝えします。

 

 初めにセンター試験までは、物理の全ての単元の典型問題の解法をマスターすることを目標に勉強してください。お伝えしたように山口大学医学部の物理ではどの単元も出題の可能性があります。難易度としては基本~標準が中心なので、この時期の勉強で力をつけることができれば本番でも十分に対応できるようになります。

 

 網羅的な勉強におススメの問題集は、「良問の風」(河合塾シリーズ)です。大学の過去問が出典ですが、各分野の典型問題が収載されています。あまり多くの問題集に手を出す必要はないので、このレベルの問題集で分からない問題がなくなるまで繰り返し取り組んでください。

 もし教科書レベルの勉強が終わった後に「良問の森」を解いてみて難しいと感じたら、それは身に付けた知識を問題を解くことに当てはめる力が不足している可能性があります。そういった場合は「物理のエッセンス」(河合塾シリーズ)を使うと解決するかもしれません。本書は問題数こそ少ないものの、基礎的な説明とともに問題を解くうえでそれらをどのように適用するかに重きを置いて説明がなされています。

 

 なおこれらの問題集の特徴は別記事「「良問の風」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方」「「物理のエッセンス」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方」に詳しいのでご参照ください。

加えて、より詳細な問題集の使い方についても、過去記事「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」で紹介しているので、是非参考にしてください。

 

 センター試験終了後は二次試験に向けた対策を始めてください。具体的に行っていただきたいのが、

・過去問の分析

・過去問を用いた実戦演習

・問題集を用いた苦手分野の克服

の3つです。

 

 過去問の分析は残り約1カ月の勉強内容を決めるにあたって、判断材料となる大事な作業です。過去5年分程度の問題に目を通し、出題形式や出題テーマ、どのような融合問題が出されているかをざっと確認してください。

 

 過去問分析が終わったら実際に手を動かして解いてみましょう。このとき徹底していただきたいのが、時間を計って取り組むことです。山口大学医学部の理科は他の国公立大学と比較すると比較的時間の余裕はありますが、それでも一定以上の練習ができていないと時間内に解ききれないこともあります。漫然と問題を解くだけでなく、時間配分やスピードも意識した実戦的な演習を積んでください。

 

 同時並行でこれまで使ってきた問題集で、苦手分野の克服に取り組んでください。残りひと月で全範囲の復習をするのは非効率的です。過去問分析から分かった出題傾向と自身の得意不得意とを照らし合わせて、単元ごとに優先順位をつけて復習を進めていきましょう。

 

まとめ

山口大学医学部の物理の傾向と対策法のポイントは、

①理科2科目に対して、制限時間150分が与えられる

②大問4つで構成され、小問に分かれるものと文章中の空欄補充形式のものがある

③解答は全て論述形式で、一部に択一式のものや導出過程を記述するものが見られる

④難易度は基本~標準レベルの問題が中心

⑤目標点は100点中80点

⑥頻出テーマは、

【力学】力学的エネルギーと仕事

【電磁気】自由電子に着目する問題

【波動】屈折・反射の法則

【熱力学】熱サイクルにおけるモル比熱を用いた計算

【原子】放射性崩壊、核分裂・核融合

⑦センター試験までは、全ての単元の典型問題の解法をマスターする

⑧センター試験終了後にすべきことは、

・過去問の分析

・過去問を用いた実戦演習

・問題集を用いた苦手分野の克服

の8つです。

 

 山口大学医学部の物理は医学部受験としては標準的な難易度といえます。しかしながら、目標となる点数は高く一つのミスが命取りになります。まずは基本を確実に押さえてから、計算力の強化も心掛けましょう。あとは過去問や問題集を通して複合問題等の実践的な問題への対応力を強化していけば、自然とゴールが見えてくるはずなので、計画的に一歩ずつ力をつけていってください!!

 

 

本記事内で登場した過去のオススメ記事

「山口大学医学部の数学の傾向と対策」

 

「「良問の風」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方」

 

「「物理のエッセンス」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方」

 

「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」

 

 

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本記事で登場したお勧めの問題集・参考書

「良問の風」(河合塾シリーズ)

 

物理のエッセンス 力学・波動 (河合塾シリーズ)

 

物理のエッセンス 熱・電磁気・原子 (河合塾シリーズ)

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