医学部受験で現代社会を選択するメリットと受験できる国公立医学部リスト(2022年度版)
先日の記事「医学部受験生の悩みの種!?共通テストの国語の重要度ランキング」において、医学部受験生がつまずきやすい科目である国語について取り上げました。同じく理系である医学部受験生を悩ませる科目が、共通テストの社会です。
医学部受験において共通テストの社会の位置づけは、「できるだけ時間はかけたくないけれど、覚えればいいので得点はある程度とりたい科目」という方が多いです(もちろん、私もその一人でした)。勉強時間を短くして得点を稼ぎたい「費用対効果」が高い科目を選びたい人には現代社会を選択することをお勧め致します。
お勧めすると申し上げましたが、1点だけ注意点があります。それは、現代社会では受験できない医学部があることです。
本日は現代社会がなぜ費用対効果が高いと言えるのか?その理由をご説明するとともに、
現代社会で受験できない医学部のご紹介も致します。
※本記事は2019年の5月に公開された記事ですが、2022年7月28日に記事を更新し、2022年度版の記事として修正致しました。
国公立医学部受験における共通テストの社会
具体的な現代社会の話に入る前に、、、国公立医学部の入試で、共通テストの社会がどのような扱いになっているのかを見てみましょう。
結論から申し上げると、前期日程を実施する国公立医学部のいずれにおいても、社会は必要です。地理・日本史・世界史・公民の中から1つの科目を選択するようになっています。配点は大学によってまちまちですが、いずれにせよ共通テストの社会が入試全体の配点に占める割合は大きくはありません。
しかし、医学部受験では合格者のセンター試験の平均が9割前後となるような、高得点同士での勝負が求められます(※共通テストになってから医学部のボーダーは下がってきています)。そのため、共通テスト社会の重要度が高くないとしても、大きな失点は致命的となることがあるので注意しなければなりません。
そう考えると、社会をどの科目で受験するかは重要な問題になってきます。社会の選択でも「世界史B」、「日本史B」、「地理B」、「倫理、政治・経済」であればどこの医学部でも受験できます。一方で、「現代社会」「倫理だけ」「政治・経済だけ」の受験であれば、受験できる医学部は限られています。
普通に考えれば、全医学部で受験できるのですから、「世界史B」、「日本史B」、「地理B」、「倫理、政治・経済」のいずれかを選択するのが良さそうに思えます。しかし、特に社会が苦手な方で、医学部ならどこでもいいからどこかに入りたいという考えの方には強く現代社会の選択をお勧めします。
では、なぜ現代社会が良いのか?その理由を具体的に説明していきましょう。
現代社会が点を取りやすい2つの理由
医学部受験では、総合的な得点力が求められます。何かの科目で突出した実力は求められておらず全ての科目が満遍なくできることが求められます。この辺については、過去記事「医学部は東大より難しい!?医学部数学と東大数学の違いから考察してみた」に詳しく書いていますので良ければ合わせてご覧ください。
満遍なく点数を取ることが求められているため、1つでも捨てる科目があってはいけません。ところが、医学部受験生の多くは、2次試験(個別試験)で課される英語・数学・理科に手一杯で国語と社会の勉強まで手が回らない人が多いです。そこで、多くの人は、共通テストが近づくにつれて、共通テストの社会はできるだけ時間をかけずに高得点を取りたいと考えます。短い時間である程度の得点を取ることを考えた時に、お勧めなのが現代社会なのです。現代社会は、社会の中で最も費用対効果が優れているんです。
現代社会の費用対効果が高い要因としては、2つあります。
1つは、内容にある程度聞き覚えのあるものが多いこと。このため、覚える量が少なくてすむことと頭に入りやすくなります。例えば、世界史で登場する人物名や重要文化財であれば、日常生活の中で、目に触れることがありません。そのため、世界史に興味がない人は出てきた用語を一から覚えることになります。一方、現代社会は、「ASEAN」や「TPP」など具体的に意味まで答えることができなくても、見たことがあるという人が多いはずです。これは、新聞やニュースで目にする機会があるからです。既に知っている・見たことがある単語が多いこと。これが現代社会が費用対効果が高い1つ目の理由です。
もう1つの理由は、単位数(学校での授業数)が地歴と比べて少ないからです。具体的に言うと公民は2単位ですが、地歴は4単位です。つまり、現代社会で覚えなければならない量は地歴で覚えなければいけない量の半分以下です。
短期間で現代社会で高得点を取った事例
実際に、私が知っている現代社会で短期間で高得点を取った事例をご紹介しましょう。(※センター試験時代の現代社会の事例なので「センター試験」という表記でご紹介させて頂きます)2週間前から現代社会の勉強を始めて、センター試験本番で72点を取った人がいます。他にも、全く勉強していない状態で試しに受験して76点を取った人もいます。
70点台と聞くとパッとしない印象を受けるかもしれません。しかし、冷静に考えてみてください。地歴を選択している人ならわかって頂けることと思いますが、地歴の場合、全く0の状態から、2週間で70点を取ることはかなり困難です。ましてや全く対策していない状態で地歴で70点を取れる人なんていないでしょう。しかし、現代社会であれば、全然勉強していないのに70点台や、1ヶ月以内の勉強で80点台を取ったという事例がゴロゴロあります。
念のためお断りしておきますが、先程あげた事例は日頃から新聞や本を読む習慣があったことも得点が取れた要因であり、誰でも2週間あれば7割を超えるというわけではありません。余裕を持って勉強を始めることをお勧めいたします。
2つの理由からも、実際の例を見ても、現代社会の費用対効果がいかに高いかは、お分かりいただけるのではないでしょうか?
現代社会を選択できる国公立医学部リスト
ここまで現代社会を選択することのメリットを強調してきましたが、実は1つ問題点があります。それは、冒頭で申し上げたように、現代社会で受験できる大学が限られているということです。
今回、共通テストの社会で現代社会で受験できる大学のリストをまとめました。
【現代社会で受験できる国公立医学部一覧】
北海道・・・札幌医科大学
東北地方・・・弘前大学(青森)
関東地方・・・群馬大学(群馬)・筑波大学(茨城)・横浜市立大学(神奈川)
甲信越地方・・・信州大学(長野)・新潟大学(新潟)
東海地方・・・名古屋市立大学(愛知)・浜松医科大学(静岡)・三重大学(三重)
近畿地方・・・大阪市立大学(大阪)・京都府立医科大学(京都)・奈良県立医科大学(奈良)
中国地方・・・岡山大学(岡山)・島根大学(島根)・山口大学(山口)
四国地方・・・香川大学(香川)・徳島大学(徳島)
九州地方・・・熊本大学(熊本)・佐賀大学(佐賀)・長崎大学(長崎)・宮崎大学(宮崎)
沖縄・・・琉球大学
計23校
ちなみに、琉球大学と三重大学は「倫理のみ」「政治経済のみ」の受験は不可でしたが、その他21校では、「倫理のみ」「政治経済のみ」の受験もできます。
現代社会に決める際のポイント
リストからまず分かることは、前期日程を実施する国公立大学全49校のうち、現代社会を選択科目として認めているのは約半数の23校であることです。
以上を踏まえると、現代社会は費用対効果が高く他の理系科目の勉強に時間を回せるようになるという大きなメリットがあるものの、半分以上の大学への出願ができなくなってしまうので、出願できる大学に制限がかかってしまうというデメリットもあります。
まさに諸刃の剣ともいえる現代社会ですが、受験生それぞれのスタンスによって考え方は変わります。どこでもいいから医学部に入りたいという考えで社会にかける時間が少ないほうが良いという考えであれば、現代社会を選択することを強くお勧め致します。とはいえ、なかなか大きな決断を自分1人の判断でするのも難しいことと思います。もし一人で悩んでも結論が出ない場合は、医学部受験のプロに相談してみるのも良いでしょう。
この記事があなたの社会選択の一助になれば幸いです。
まとめ
共通テストで現代社会を選択できる国公立医学部のリストについてまとめると、
①世界史B、日本史B、地理B、「倫理、政治・経済」は全ての国公立医学部で選択可
②現代社会は費用対効果が高い点で魅力的
③現代社会を選択科目として認めている大学は全49校中約半数の23校
④現代社会を選択するのは諸刃の剣なので、判断に迷ったらプロに相談するのも良い
の4つがポイントとなります。
受験の世界においては多数派に従うことが、必ずしも自分に適しているとは限りません。決断に至るまでは迷うことも多々あることでしょう。ただし、一度進むべき道を決めたのであれば、あとは後ろを振り返らず邁進してください。周りに気を取られることはありません。自分の選んだ道こそが正しい道であることを信じましょう!応援しています!!
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