2022年度岡山大学医学部入学試験の講評と今後の対策法

岡山大学2022年-min

共通テストの難化が話題となるなか、2022年度の国公立医学部受験の全日程が終了しました。本記事では2022年度岡山大学医学部の入学試験の講評と今後の対策法について紹介します。

数学の出題内容および難易度

まず数学についてです。2022年度は大問4つで構成され、それぞれ34個の小問に分かれていました。解答はすべて論述式で、分量・形式ともにほぼ例年通りでした。

 出題内容は、大問1が確率漸化式、大問2が文字定数を含む三次関数、大問3が空間ベクトルを用いた四面体の体積の求積、大問4が関数の微分と不等式の証明をテーマとするものでした。

 ここ数年、複素数平面の出題が続いていましたが、今年度は1題も関連問題はありませんでした。特に複素数平面の対策に力を入れていた現役生にとっては、少し肩透かしを食らったような形になったかもしれません。

 さらに詳しく各大問を分析していきましょう。大問1は状況整理に時間がかかりますが、岡山大学では確率漸化式は頻出であり、きちんと勉強していた受験生にとっては標準的な問題といえます。大問2は文字定数の扱いに慣れていれば、さほど苦労する問題ではありません。ぜひとも完答を狙いたいところです。大問3も誘導がしっかりついているため、こちらも完答できる問題です。ただし計算量が多いため、計算ミスには注意が必要でしょう。最後の大問4はこれまでの3題に比べると、難易度はやや高めです。前問を上手に活用できたかどうかで、差がついたのではないかと予想されます。

 全体としては難問は見受けられず、難易度としては昨年度並みです。出題内容も岡山大学でよく見られるタイプのものが大半なので、過去問演習をしっかり行っていれば、高得点を取ることも難しくはなかったでしょう。

 対策法として引き続き重要となるのが、過去に頻出の単元の標準問題を確実に得点できるよう準備することです。さらに数学を得点源にしたいのであれば、誘導に乗って答えを導くといった実践的な能力の養成も欠かせないでしょう。出題傾向等の情報は岡山大学医学部の数学の傾向と対策に詳しいので、そちらも併せてご覧ください。

物理の出題内容及び難易度

続いて2022年度の物理についてです。例年通り大問は4つで構成され、導出過程を求められるものも見られました。一方で論述やグラフの描画は出題されず、計算問題が中心でした。

 内容は大問1が回転するばねにつながれた物体の単振動、大問2が電磁誘導によるコンデンサーの充電、大問3が断熱シリンダー内の気体の状態変化、大問4が反射型回折格子というセットです。

 力学、電磁気、熱力学、波動から1つずつという形式や、波動に関しては音波と光波が毎年交互に出題される流れは継続となっています。そのため来年度、岡山大学を受験される方は、音波の単元を重点的に勉強しておくことをおススメします。

 論述問題等の考察を要する問題は減少しましたが、全体としての難易度は昨年度並みといえます。問題集に載っているような典型的な問題がほとんどで、設問の数も時間に対して多すぎるといったこともありません。ただし公式を丸暗記するだけでは解くことができず、現象の本質的な理解を問うものが出される点は特徴的です。

 勉強法としては、力学・電磁気・波動・熱力学のそれぞれについて、まんべんなく標準レベルの問題に対応できるようにすることが肝要です。繰り返しになりますが、来年度は特に波動の中でも音波の単元が要対策テーマです。加えて各テーマで公式を覚える際には、どのように導出されるかといった本質を意識すると、より点数を伸ばしていくことができます。なお、今年度は論述問題やグラフの描画は出題されませんでしたが、過去には頻回に出されているため、こちらも併せて演習を通して訓練しておきましょう。さらに細かな対策法については、岡山大学医学部の物理の傾向と対策をぜひ参考にしてください。

化学の出題内容及び難易度

次に化学に移ります。2022年度は2021年度に引き続いて大問4つで構成され、大問1と大問42つの中問によりテーマが分かれていました。

 大問ごとに見ていくと、大問1が気体分子の衝突回数、化学平衡、大問2が地殻や人体に含まれる元素の性質、大問3が解熱鎮痛剤、芳香族化合物の側鎖の構造決定、大問4が油脂、糖、アルコール発酵に関する熱化学方程式となっています。理論化学から1題、無機化学から1題、有機化学から2題と、やや有機化学に比重を置いたセットでした。

 大問1では見慣れない公式が与えられ、一見すると難易度が高く思えますが、問題文の説明に従って計算を進めれば、無理なく答えを導けます。大問2では細かい知識が要求される設問もあり、受験者の間で差がついた可能性があります。大問3は構造決定が比較的優しめで、大問4は高分子化合物から知識を確認する設問が中心の出題でした。

 上記のように有機化学の問題はあっさりとしていたのに対して、理論化学・無機化学では一部、見慣れない問題も見受けられました。そのため結果的に全体としては昨年度並みの難易度といえるでしょう。計算問題も決して少なくないため、手早く解き進める力を身につけるのがカギです。

 化学の対策ではすべての単元において、標準問題の解放や基礎知識を固めた上で、スピードを意識した練習が大切です。入試本番では時間配分等も合否を分ける要素となるため、基礎が固まったら大学入試の過去問等を活用して、本番を想定したトレーニングを積みましょう。化学が得意で高得点を目指したいという方は、直前期に検定教科書で細かい知識を復習するのも効果があります。別記事岡山大学医学部の化学の傾向と対策でも勉強法をまとめているので、ご一読いただければ幸いです。

英語の出題内容及び難易度

最後に2022年度の英語です。英語は大問4つのうち、大問12が長文読解、大問3が和文英訳、大問4が自由英作文という、定番の出題形式でした。長文読解では択一式の設問では指示や選択肢が英語で、論述式の設問では問いが日本語で与えられています。

 具体的な内容は、大問1では海洋の環境破壊に関する社会系の文章、大問2では文字を読むのが遅い人に向けた本の読み方に関する文化系の文章が出されています。大問3は物事の捉え方について述べた、やや砕けた文章の和文英訳、大問4はタイムマシンの使い方と現代との違いについての自由英作文となっています。

 長文読解では論述問題と択一問題の比率に著変はありません。自由英作文の分量も例年と同じです。

 難易度を昨年度と比べてみると、長文は英文の単語数はほぼ変わらないものの、大問2の英文の内容は読みやすいものとなっていました。また英文和訳は昨年度と同等ですが、自由英作文は指示が細かいため、かえって受験生としては書く内容を迷わなくて済んだかもしれません。したがって全体としての難易度は、昨年度よりやや易化したと考えられます。

 岡山大学ではSDGsの取り組みに力を入れているためか、大問のいずれかに環境問題に関するものがよく出されます。英字新聞のコラム欄等、環境問題をテーマにした英文に慣れておくと長文を読む時間を短縮できるでしょう。他にも英文和訳や自由英作文は、練習によって大きく差がつくのもポイントとなります。その他の分野の勉強法についても、岡山大学医学部の英語の傾向と対策の記事でお読みいただくことができます。

まとめ

2022年度岡山大学医学部入学試験の分析結果、科目ごとの今後の勉強のポイントをまとめると、

【数学】出題形式に変更なし、昨年度並み、傾向を捉えて標準問題を解けるようにする

【物理】出題形式に変更なし、昨年度並み、音波を中心に現象の本質的理解を意識する

【化学】出題形式に変更なし、昨年度並み、有機化学を得意にし計算力を鍛える

【英語】出題形式に変更なし、昨年度並み~やや易化、環境問題に関する英文に慣れる

となります。

 2022年度もこれまでの傾向を踏襲した結果となりました。岡山大学の過去問をきちんと分析し、それに向けて対策をしたか否かで大きな差がついたはずです。問題自体は標準的な難易度で対策もしやすい大学なので、もし志望校を悩んでいる方はぜひ岡山大学も選択肢の一つに入れてみてください!!

本記事内で登場した過去のオススメ記事

「岡山大学医学部の数学の傾向と対策」


「岡山大学医学部の物理の傾向と対策」


「岡山大学医学部の化学の傾向と対策」


「岡山大学医学部の英語の傾向と対策」

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