徳島大学医学部の数学の傾向と対策

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以前、「島根大学医学部の数学の傾向と対策」 の記事において、島根大学医学部はセンター試験の配点が非常に高いことをお伝えしましたが、さらにセンター試験が重要視されている大学として徳島大学が挙げられます。

 本日はその徳島大学医学部の数学について、傾向と具体的な対策法を紹介します。

徳島大学医学部の数学の試験形式・配点は?

はじめに徳島大学医学部の入試制度について見ていきましょう。

 

 徳島大学医学部の入試制度には前期一般入試(64名)、AO入試(8名)、推薦入試(42名)の3つが存在します(カッコ内は募集人数)。本記事では最も受験者数の多い、前期一般入試について取り上げることとします。

 

 前期一般入試では、センター試験と二次試験の合計得点で合格者が選抜されます。医学部受験においては、センター試験と二次試験の配点が大学ごとに設定されており、どの医学部を選択するかの大きな要素の一つといえますが、徳島大学医学部はセンター試験の比率が最も高い国立医学部の一つとして有名です。

 

 詳細に各試験の科目ごとの配点を見てみると、

【センター試験】国語:150点 社会:50点 数学:100点×2 理科:150点×2 英語:200点

【二次試験】数学:200点 英語:200点

となっており、センター試験が900点、二次試験が400点の合計1300点満点ということからも、センター試験での得点が最終結果にかなりの影響を及ぼすことがお分かりいただけると思います。ちなみに二次試験では他の国立医学部受験と同じく複数の面接担当者による面接も課されますが、得点化はされず、全ての面接官が不適切と判定した場合は、学科試験の成績に関わらず不合格となる点には注意しましょう。

 

 さらなる特徴として、センター試験では文系科目の点数が圧縮され、理系科目の点数が重視されている点、二次試験では数学と英語のみ受験すればよい点、は押さえておかなければなりません。どの医学部受験生も同じ条件なので、一概に対策が楽とは決して言えませんが、それでも理系科目が得意でセンター試験で高得点を望める場合には、徳島大学医学部は魅力的な選択肢であることは間違いありません。

 

 その中で数学は大問4つで構成され、制限時間は120分です。各大問は3つ前後の小問に分かれており、誘導に従って解き進めていきます。1題あたり30分掛けることができますが、じっくりと思考を要する問題が並んでいるため、時間が有り余るといったことはないでしょう。

 

 解答は全て記述式で、計算過程や論証の内容も採点対象となります。また、国公立の入試では問題用紙と解答用紙が別々になっていることがほとんどですが、徳島大学医学部では問題文の下に解答箇所が設けられている珍しい形式となっています。

 

 難易度に関しては、標準~やや難のものが中心に出題されており、証明問題や計算量の多い積分等の問題も見られます。完答をすることが厳しい大問もたびたび出されているので、どの問題に時間を掛けるべきかといった見極めも大切です。

徳島大学医学部の数学の問題の難易度と合格に必要な得点率は?

続いて、徳島大学医学部の過去の合格最低点のデータや他の科目の難易度をもとに、数学では何点を取ればよいか考えてみます。

 

徳島大学医学部の合格最低点は、1300点満点中、

平成30年度: 1026.0点 平成29年度: 1009.0点 平成28年度: 954.8点

となっています。すなわち、1040点(80%)あれば合格安全圏といえます。

 

 ここでセンター試験において900点中780点(約87%)取ることができたと仮定すると、二次試験では400点中260点(65%)が必要となります。

 

これを踏まえて、各科目の難易度も考慮したうえでそれぞれ目標点を立てると、

数学:130点 英語:130点

とするのが良いでしょう。

 

 数学は年度によっては7割以上の得点率を狙うことも可能ですが、証明問題での減点の蓄積や思わぬ計算ミス等で、手ごたえ通りの点数とならないこともあるため、65%の得点率でも合格できるような戦略をあらかじめ立てておいた方が安全です。130点を最低ラインとして、本番ではできる限りプラスアルファの得点を目指すのが基本的な方針となります。

 

 ここで既にお伝えしているように、徳島大学医学部は国立医学部受験の中でも特にセンター試験の得点に重きが置かれていますが、過去のデータによるとセンター試験の得点率が約83%でも合格している受験生がいることも事実です。そのため二次試験で逆転する自信があれば、センター試験で80%台前半の得点率であったとしても逆転のチャンスにかけることも不可能ではありません。

徳島大学医学部の数学の出題傾向は?

それでは、徳島大学医学部の数学では、どのような問題が出されるのでしょうか?

以下で出題傾向を、【超頻出単元】、【頻出単元】、【要対策単元】の3つに分けてまとめていきます。

 

【超頻出単元】

・微分法・積分法(数学Ⅲ)

 最頻出となるのが数学Ⅲの微分法・積分法に関する問題です。積分で定められる関数を扱うものや、直線と曲線で囲まれた部分の面積を求めるもののいずれの出題歴もあります。積分で定められる関数を扱う場合、積分計算のテクニックはもちろん、不等式の証明や極限の計算が定番の設問となるため、併せて解法を身に付けておきましょう。面積計算においては、指数関数や二次曲線、媒介変数表示された曲線といったように様々なパターンがありますが、問題に応じて計算方法を使い分けなければなりません。小問による誘導は比較的丁寧なので、典型問題が確実に解けるようになったら、大学入試の過去問等で早めに実戦演習に移りましょう。加えて、ベクトル等の他の単元がメインテーマの大問においても、面積の最大・最小といったように、微分法を活用して関数の増減を考察する場面も多々あるので、こちらも手早く処理できるようにしておくことが欠かせません。

 

・場合の数・確率

 平成27年度には場合の数が出されており、平成28年度から平成31年度までは毎年、確率をテーマとする大問が見られます。平成29年度までは袋の中の色のついた球を出し入れするような確率の基本的性質を問うものが多く出題されていましたが、平成30年度、平成31年度にはさいころを用いた独立試行の確率を問うものも出されました。より詳細に内容を確認すると、確率漸化式や条件付確率等も扱われているため、確率の分野においてはどの問題パターンが出されても対応できるように、標準問題集で練習しておきましょう。

 

【頻出単元】

・漸化式

 超頻出単元に次いで頻出度が高いのが、漸化式を中心とする数列の問題です。徳島大学医学部の数学では、漸化式において数列の和をうまく活用することがポイントとなる場合が多いです。漸化式で定められる数列の一般項の求め方は、パターンによって決まっており、かつその場のひらめきでは厳しいものがほとんどなので、漸化式の形と解法を対応させて覚えていきましょう。そのうえでより実践的な問題へ取り組み、数列の和を用いて一般項を導出したりする応用力を養ってください。さらに数列の和を扱う場合には、シグマ計算の処理も欠かせないため、こちらも練習しておかなければなりません。他にも数列で証明問題が出される場合、数学的帰納法も迷わず使えるようにしておきましょう。

 

・ベクトル

 平面ベクトルと空間ベクトルのいずれの出題歴もありますが、圧倒的に平面ベクトルの方が出題頻度は高くなっています。特によく見られるのが、座標平面内の図形の計量において、平面ベクトルを応用するものです。座標平面に点を取り、図形を描画することで、ベクトルを用いることなく答えを導くことも可能ですが、効率を考えるとやはりベクトルで計算を進めることが求められていると考えられます。条件設定が角度により与えられるのも定番なので、三角関数とベクトルとの関連もしっかりと押さえておきましょう。また、空間図形であってもベクトルを活用すれば、座標平面のときと同じように解き進められるので、汎用性の面からも重要といえます。

 

【要対策単元】

・式と証明

 繰り返しになりますが、徳島大学医学部の数学では証明問題が毎年のように出されており、練習しておかないと対応が難しい問題も見られます。積分で定められる関数では、不等式の証明をした後にはさみうちで極限を求めるといったものが、医学部受験ではなじみのある問題ですが、その他の単元でも等式や不等式の証明問題が出題されています。平成28年度の大問3では、整式が整数値式となるための係数の必要十分条件に関する証明といった、非常に高い論証能力を要する設問の出題歴もあります。数式の変形による証明法だけでなく、論証についても解法の引き出しをたくさん作っておきましょう。

お勧めの徳島大学医学部の数学の対策方法

最後にこれまでの内容から、徳島大学医学部の数学の対策に必要な具体的な勉強法をお伝えします。

 

 まずセンター試験までは、数学の全範囲の典型問題について、しっかりと解法を身に付けることを目的に勉強しましょう。出題傾向からすると二次試験においては単元ごとに重要度の差はありますが、センター試験で幅広い内容に対応しなければならないことや、二次試験でもこれまであまり出題されてこなかった分野から急に出題がある場合も想定されることから、どの単元であっても標準問題は必ず解けるようにしておかなければなりません。

 

 上記の目的達成に役に立つ問題集が、『1対1対応の演習』(東京出版)です。単元ごとに典型問題の例題とその解法が掲載されており、練習問題で実際に解法を試すことで力を付けていくことができます。タイトルのとおり、問題のパターンと解法を対応させて修得できるように構成されているので、その点をきちんと意識しながら取り組んでください。

 

なお、「1対1対応の演習」の特徴については、別記事「「1対1対応の演習」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方」をご参照ください。

また、より詳細な問題集の使い方についても、過去記事「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」で紹介しているので、是非参考にしてください。

 

 センター試験終了後は、いよいよ二次試験に向けた勉強に移行しましょう。具体的に行っていただきたい内容は、

・過去問の分析

・過去問を用いた実戦演習

・問題集を用いた苦手分野の克服

の3つです。

 

 まず過去問分析は、残り約1カ月の勉強方針を決める重要な作業なので、ないがしろにせずに時間を割いて行ってください。問題の形式はどのようになっているか、どの単元からの出題が多いか、ざっと見て解法が頭に思い浮かぶか、といった観点から確認しましょう。

 

 過去問分析が済んだら、今度は実際に解いてみましょう。過去問演習で大切なことは、できる限り本番さながらの状況下に身を置くことであり、答案もしっかりと論証や計算過程を書きましょう。さらに時間を計って取り組むことも忘れてはなりません。時間配分の練習ができる機会は過去問演習以外にはないので、1年度1年度を大事にしながら演習を積み重ねてください。

 

 これらと並行して、今までの勉強で解決しきれなかった苦手分野を、問題集を使って克服していきましょう。不安に駆られて全単元の復習をしたくなる気持ちも理解できますが、残りの期間でそれは非効率です。過去問分析の結果から、優先的に対策すべき単元を洗い出し、メリハリをつけて勉強をしていくことをお勧めします。

まとめ

徳島大学医学部の数学の傾向と対策法のポイントは、

①大問4つに対して、制限時間は120分

②各大問は3つ前後の小問に分かれており、誘導に従って解き進めていく

③解答はすべて記述式

④難易度は標準~やや難で、証明問題や計算量の多い問題も見られる

⑤目標は200点中130点(65%)

⑥出題傾向は、

【超頻出単元】微分法・積分法(数学Ⅲ)、場合の数・確率

【頻出単元】漸化式、ベクトル

【要対策単元】式と証明

⑦センター試験までは、数学の全範囲の典型問題の解法を身に付けることを目標とする

⑧センター試験終了後は、

・過去問の分析

・過去問を用いた実戦演習

・問題集を用いた苦手分野の克服

を行う

の8つです。

 

 徳島大学医学部はセンター試験の比重が大きく、二次試験でも数学と英語しか課されませんが、決して侮ることはできません。数学については高い論証能力や正確な計算力が不可欠です。センター試験の結果が良かったとしても二次試験で足をすくわれることのないように、あるいはセンター試験で失敗しても逆転を信じて、最後まで1点でも高い点数が取れるように努力を続けてください!!

 

 

本記事内で登場した過去のオススメ記事

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「「1対1対応の演習」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方」


 

「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」


 

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本記事で登場したお勧めの問題集・参考書

『1対1対応の演習』(東京出版)


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