三重大学医学部の英語の傾向と対策

三重大学医学部英語

先日、「三重大学医学部の化学」の記事で、三重大学医学部の化学の入試問題は大問数が多く幅広い単元の問題を解かなければならないとお伝えしましたが、英語は長文読解3題のみで構成されるシンプルなものとなっています。

 しかしながら、他の医学部受験生にとっても同じ条件なので、対策を怠ればライバルに大きく差を付けられるでしょう。本日はそうならないために、三重大学医学部の英語の傾向と具体的な対策法について紹介いたします。

三重大学医学部の英語の試験形式・配点は?

はじめに三重大学医学部の入試制度について見ていきましょう。

 

 三重大学医学部の入試制度には、前期一般入試(75名)、後期一般入試(10名)、推薦入試(40名)があります(カッコ内は募集人員)。全国的に医学部の後期試験が廃止される流れにある中で、本医学部では引き続き実施している点は要注目です。

 この記事では、受験者数が最も多い前期一般入試について取り扱うこととします。

 

 センター試験と二次試験の各科目の配点は、

【センター】国語:100点 社会:100点 数学:50点×2 理科:100点×2 英語:100点

【二次試験】数学:200点 理科:100点×2 英語:100点 面接:100点

であり、センター試験が600点、二次試験が700点の計1300点満点で計算されます。ちなみに、「面接の評価によっては、総合点の順位にかかわらず不合格とする」と募集要項に明記されているため注意しましょう。

 

上記の配点から分かるように、理科の点数が1300点中400点、すなわち約3分の1を占めるため重要度が高いです。一方で、理系学部としては珍しくセンター試験の数学の配点が低いため、医学部受験を考えておりセンター数学に不安を抱える方は選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか?

 

 英語については、冒頭で述べたとおりシンプルに長文読解の大問3つで構成され、制限時間は80分です。各大問は5つ程度の設問に分かれています。

 

 出題内容としては、空所補充や記号問題もわずかに見られますが、中心となるのは下線部和訳や内容説明といった論述問題です。三重大学医学部で特徴的なのが、長文読解において英語のライティングの重要度が高い点です。和文英訳や語句整序によるライティングが必出なので、しっかりと練習して本番に臨みましょう。

 

 文章の内容は自然科学および文化・人文系を主題とするものが多く、単語レベルや抽象度は医学部受験としては標準的です。ただし難解な単語が使われている場合もあり、訳注がついていることもありますが、自分で単語の意味を予測する力を養っておくことも肝要です。

 

 設問の指示は大問2、3は日本語で与えられますが、大問1に関しては平成29年度と平成30年度は英語でなされていました。再度変更があるかもしれませんが、過去問を参考にして英語で指示されても適切に解答できるようにしておきましょう。

三重大学医学部の英語の問題の難易度と合格に必要な得点率は?

続いて、三重大学医学部の過去の合格最低点のデータや他の科目の難易度をもとに、英語では何点を取ればよいか考えてみます。

 

三重大学医学部の合格最低点は、

平成30年度:1075.40点 平成29年度:1056.70点 平成28年度:1045.90点

平成27年度:1057.60点 平成26年度:1062.30点

となっています。

 これらのことから、1300点中1100点(約85%)取れば合格圏といえます。医学部受験の中でも、特に高得点帯の勝負となっています。

 

 このとき、センター試験で600点中520点(約87%)取れたと仮定すると、二次試験では700点中580点(約83%)得点しなければなりません。

 他の科目の難易度も考慮すると、それぞれ、

数学:170点 理科2科目:170点 英語:160点 面接:80点

とするのがオーソドックスな戦略となるでしょう。

 

 英語で200点中160点(80%)というのは、理系志望の受験生としては高いように思えますが、医学部受験生としては妥当な目標といえます。三重大学医学部の英語は標準レベルの長文読解3つのみであり、出題される問題のバラエティーはさほど多くはないことに加えて、自由英作文のような受験者間で得点がばらつく設問も少ないからです。言い換えれば、努力の成果がそのまま反映されやすい問題セットであるということです。

 

 裏を返せば英語が苦手な方でも、正しい対策をすれば得点を伸ばすチャンスがります。簡単にあきらめず、できる限り英語にも時間を割いて勉強をしてください。

三重大学医学部の英語の出題傾向は?

さて、三重大学医学部の英語では、どのような問題が出されるのでしょうか?

 結論としては、下線部和訳、内容・理由説明、空所補充、英作文はいずれかの大問で必ず1題は出されており、年度によりその他の問題が散見されるといった形になります。

 以下では、各出題内容を掘り下げて説明します。

 

【下線部和訳】

 英語の長文中の一部に下線が引かれ、その部分を日本語に翻訳する問題です。下線部和訳では、構文を把握する文法力および単語力が欠かせません。それだけではなく、問題によっては”this”等の指示代名詞が意味する内容も訳出して解答するように指示がある場合もあるため、文章の前後関係を読み解く読解力も身に付けておきましょう。

 

【内容・理由説明】

 下線部の引かれた表現が指し示す内容や、筆者の考えや理由説明を、日本語で行う問題です。現代文の論述問題とは異なり、自分で言葉を補う必要はあまりなく、どちらかというと答えとなる部分を英文中から探し出し、素直に和訳していくイメージで解き進めてください。読解力に焦点があてられている下線部和訳に近いと考えて良いでしょう。

 

【空所補充】

 長文に空所に設けられており、それぞれに適切な単語や表現を答える問題です。空所補充は、正答を選択する記号問題と文章中からの書き抜き問題の2つのパターンに分かれます。前置詞等を選ぶものでは文法的知識が、文章の流れから当てはまる語句を解答するものでは読解力が問われます。

 

【英作文】

 三重大学医学部の英語では、既にお伝えしているように、長文読解においてライティング能力も求められる点で特徴的です。ライティングは文中に日本語が織り交ぜられ、それを英語に直す問題と、ばらばらにされた英単語を意味の通る順番に並べ替える語句整序の問題に分類されます。語句整序では日本語訳も書かれているため、難易度は下がります。

 また近年新たな形式として、長文からは独立して設問で和文が与えられ、本文中の表現を用いて英訳するパターンも見られます。キーワードとなる単語は、必ず筆者が使っている表現に沿ってライティングするのがポイントです。

 

【その他】

 上記設問は少なくとも1題は、毎年度出されていますが、それ以外の問題も出されることがあります。これまでの出題歴を見ると、内容正誤、タイトル設定、同意表現等がありますが、いずれも医学部入試の問題としては定番のものばかりです。普段の勉強の中で一度は目にすることになる形式なので、長文の読解がきちんとできれば、対応することは難しくはないはずです。

お勧めの三重大学医学部の英語の対策方法

最後に以上を踏まえた、三重大学医学部の英語の具体的な対策法をお伝えします。

 

 三重大学医学部の英語は長文読解しか出されませんが、センター試験までは英語の総合力を上げていくような勉強をしてください。英語の総合力とは具体的には、単語力、文法的知識、読解力、ライティング能力です。

 過去問を見ればお分かりいただけるように、設問に対応するには以上のような総合力が必要です。長文読解の問題だけを練習しても、得点は伸びないことは覚えておいてください。

 

 単語力の養成にはやはり単語帳を暗記するのが一番です。おススメの単語帳は、『速読英単語 必修編』『速読英熟語』(Z会出版)です。単語や熟語は同じ訳をするものでも、ニュアンスによって使い方が異なったりします。そのため単語や熟語を覚える際には、例文を通じて暗記することが大事です。この点、この2冊は文章中で実際にどのように使われるかにもスポットを当てているため、様々な情報を得ることが可能になっています。

 また単語力には、単語の意味を予測する能力も含まれます。相当な単語力がない限り、長文読解で出会う英単語全てを知っているということは、医学部受験においてはありえません。このレベルに達するまで単語を勉強するのは、入試対策という観点からすると非効率的と言わざるを得ません。そこで重要になるのが単語の意味を予測できるかどうかです。

 単語を予測するには、文脈からそれがポジティブな意味かそうではないか、自分の知っている単語に接頭語や接尾辞がついたものではないか、といったことを判別する力が不可欠です。単語帳を取り組むにあたっても隅々まで目を通し、類義語や対義語、派生語を合わせて覚え、そのうえで長文に臨むという繰り返しで予測力も身に付けていきましょう。

 

 長文読解については、『やっておきたい英語長文700』(河合塾シリーズ)を使うのが良いでしょう。難易度や語数が大きく隔たっていなければどのような問題集を使っても構いませんが、しっかりと論述問題も自分で答えを作ってください。模範解答を見て納得するだけでは記述力は上がりません。

 

 三重大学医学部の英語で避けて通れないライティングについては、『竹岡広信の英作文が面白いほど書ける本』(KADOKAWA)で練習しましょう。解答例が複数紹介されており、よくある間違いの指摘もあるため、論理性を保ちながら平易な文章でいかに減点を避けるか、といった本番を意識した勉強をすることができます。

 可能であれば、学校や予備校の先生に自身の解答を添削してもらうとさらに効果が上がります。細かいニュアンスの違いや他に適当な表現がないかといった点については、残念ながら独学では判断できません。

 

より詳細な問題集の使い方については、過去記事「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」を参考にしてください。

 

続いてセンター試験終了後は、二次試験に向けた勉強に移ってください。

具体的に行っていただきたいのが、

・過去問の分析

・過去問を用いた実戦演習

・長文読解への対応力アップ

の3つです。

 

 三重大学医学部の英語の設問自体は、長文読解でよく見られるものばかりなので、分析にはさほど時間はかからないでしょう。どのようなテーマの文章が頻出か、単語レベルはどの程度かといったことを主眼において確認していただければ十分です。

 

 過去問分析が終わったらさっそく実際に解いてみましょう。このときないがしろにしないでいただきたいのが、手を動かして答案を書ききることです。長文をざっと読んで何となく意味は取れても、いざ和訳してみようとすると細かな表現が分からなかったり、ライティングでつづりを間違えていたりと、思いがけない発見があるものです。

 さらに時間も必ず計って問題を解いてください。英文を読むスピードが十分か、論述は手早くかつ過不足なくかけているか、といったことは過去問演習でしか確認することができません。一つ一つの過去問を大切にして演習を積んでください。

 

 同時並行で他の大学の過去問や問題集を活用して、長文読解の問題にひたすら触れ続けてください。このとき注意していただきたいのが、同じ問題を復習することはこの時期には効果が薄いということです。問題の性質上、やはり初見でいかに解けるかが実力をつけるカギとなるからです。もし手元の問題集をすべてやり終えていたら、新たに大学の過去問を掲載したような問題集を購入することを推奨します。

まとめ

三重大学医学部の英語の傾向と対策法のポイントは、

①大問3つに対して制限時間は80分

②すべて長文読解問題で5つ前後の設問に分かれている

③下線部英訳や語句整序といった英語のライティングが必出である点が特徴的

④長文の内容は自然科学や文化・人文系を主題となるものが多い

⑤単語レベルは標準的だが、意味を予測する能力は身に付けておく

⑥目標は200点中160点

⑦出題内容は下線部和訳、内容・理由説明、空所補充、英作文、その他

⑧センター試験までは、英語の総合力を上げる

⑨センター試験終了後は、

・過去問の分析

・過去問を用いた実戦演習

・長文読解への対応力アップ

の9つです。

 

 三重大学医学部の英語の問題構成は非常にシンプルで、何を対策していけばよいかは分かりやすいはずです。あとはあなたが「やる」か「やらない」かにすべてがかかっています。英語が苦手な方でも勉強した分だけ点数が伸びやすい試験内容なので、簡単に諦めることなくできると「自分はできる」と信じてぎりぎりまで努力を続けてください!!

 

 

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本記事で登場したお勧めの問題集・参考書

『速読英単語 必修編』(Z会出版)


 

『速読英熟語』(Z会出版)


 

『やっておきたい英語長文700』(河合塾シリーズ)


 

『竹岡広信の英作文が面白いほど書ける本』(KADOKAWA)


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