藤田医科大学医学部の一般入試の物理の傾向と対策

藤田医科大学物理

先日の「藤田医科大学医学部の一般入試の数学の傾向と対策」において、藤田医科大学の数学は高得点を取ることが難しいとお伝えしましたが、同医学部の理科も手ごわい問題が並んでいます。

 本日はその藤田医科大学医学部の物理について、傾向と合格点に達するための対策法を紹介します。

藤田医科大学医学部の物理の試験形式・配点は?

はじめに藤田医科大学医学部の入試制度について見ていきましょう。

 

 藤田医科大学医学部の入試制度は、一般入試前期および後期、AO入試に当たるふじた未来入試、センター試験利用入試前期および後期に分かれます。募集人数は一般入試前期が約80名、ふじた未来入試が約15名、センター試験利用入試前期が約10名、一般入試とセンター試験利用入試の後期が合計15名となっています。ちなみに一般入試には愛知県地域枠5名が含まれます。

 本記事では最も受験者数の多い、前期一般入試について取り上げることとします。

 

 他の私立医学部受験でも見られるように、本大学は一次試験と二次試験の二段階で合格者が選抜され、二次試験の受験資格は一次試験を突破した受験生のみに与えられます。各試験の詳細な配点は、

【一次試験】数学:200点 理科:100点×2 英語:200点

【二次試験】面接:100点

となっています。

 一次試験の数学と英語はマークシート方式と筆記式で出題され、英語、数学のマーク方式のいずれかの得点が基準点に満たない場合は不合格となるため注意しましょう。また面接では提出書類も合せて評価対象となります。

 

 その中で理科は物理、化学、生物の中から2科目を選択します。制限時間は2科目で120分が与えられるため、1科目当たりおよそ60分割くことができます。

 

 物理に関しては大問4つで構成され、各大問で1つの分野から問題が出題されます。各大問はさらに複数の小問に分かれ、それに従って解き進めていく形です。

 

 数学や英語と異なりマーク式の設問は出題されず、ほとんどが解答のみを記述していく形式です。設問によっては、文中の空欄に当てはまる適切な数値や語句を答えていく穴埋め式の問題も見られます。また近年は、物理現象について説明するような論述問題や、グラフの概形を答える描図問題の出題が増えてきている点は押さえておきましょう。

 

 難易度としては標準的なものから、状況設定が複雑で完答は難しいものまで、ばらつきがあります。大問1つにつき15分しかかけられないことを考慮すると、高得点を目指すにはかなりの力を要する試験内容といえます。全体をざっと見渡して問題を解く順番にも工夫しながら、他の医学部受験生が確実に得点してくるような問題は取りこぼしがないようにしましょう。

藤田医科大学医学部の物理の問題の難易度と合格に必要な得点率は?

続いて、藤田医科大学医学部の過去の合格最低点のデータや他の科目の難易度をもとに、物理では何点を取ればよいか考えてみます。

 

藤田医科大学医学部の合格最低点は、筆記試験の600点満点中、

平成30年度:319点 平成29年度:335点 平成28年度:325点

となっています。すなわち平均的な年度であれば、600点中360点(60%)が合格圏内といえます。

 これを踏まえて各科目の難易度も考慮して、それぞれの目標点を設定すると、

数学:115点 理科:130点 英語:115点

とするのが良いでしょう。

 

 理科は2科目で130点(65%)を超えればよいことになりますが、選択した科目間で得手不得手の差がなければ、65点ずつを目指すのが良いでしょう。医学部受験生の多くは理系科目が得意なので、もっと高い点数を取ってくるのではないかと不安になるかもしれません。しかし、藤田医科大学の理科は決して難易度は低くなく、時間的な余裕もないため高得点を取る受験生はほんの一握りです。周囲に気を取られることなく、どうすれば自身の定めた目標を達成できるかに集中しましょう。

藤田医科大学医学部の物理の出題傾向は?

それでは、藤田医科大学医学部の物理では、どのような問題が出されるのでしょうか?

 

 結論から申し上げると、全ての単元からランダムに出題があります。ランダムとはどういうことかというと、一般的に国立医学部では大問4つで例えば力学、波動、電磁気、熱力学というセットで固定されている大学が多い一方で、藤田医科大学では大問1と大問4で力学が出される頻度が高いものの、残りの大問2、3では波動、電磁気、原子の分野いずれからも出題歴があるのです。加えて平成30年度には大問2、3がいずれも電磁気、そして大問4で波動が出されているように、問題のセットに一貫性がありません。

 

 以下では単元ごとに出題傾向をまとめていきますが、ランダムに様々な分野から問題が出されることを前提として参考にしてください。

 

【力学】

 上述のようにランダムに出題されるものの、大問1、4は力学から問題が出される可能性が高いのも事実です。4題中2題を占めることを考えれば、力学は是非とも強化して得点源として本番に臨みたいところです。

 問題の内容に偏りはありませんが、何より力の矢印を図示することを徹底してください。力の矢印といえば基本中の基本ですが、力のつり合いであれ運動方程式の立式であれ、力の矢印が正確に示せていないと正しい答えにはたどり着けません。複数の物体が相互に力を及ぼしあいながら運動をするといった条件設定が多いので、現象のイメージにとらわれることなく各物体に注目してどのような力が働いているかを丁寧に分析していきましょう。

 

【電磁気】

 電磁気も大問2あるいは大問3のいずれかで、必ず1題は出されている重要単元です。特に頻出のテーマがコンデンサー回路および電磁誘導に関する問題です。

 コンデンサー回路はスイッチを入れた直後と、十分に時間がたった後では状況が大きく変わります。さらにスイッチを切り替えることにより、極板に蓄えられる電荷も時々刻々と変化していきます。コンデンサー回路の問題では、こうした経時的な移り変わりを整理しながら解くクセを付けておきましょう。

 電磁誘導は直線的に運動する導体棒や、回転するコイルといったパターンの出題歴があります。電磁誘導の公式を丸暗記するのではなく、磁場の変化と誘導起電力の関係等の基本的知識も欠かせません。円運動する導体棒の電磁誘導といった他の典型問題も問題集を通して練習をし、きちんと現象の理解を深めておきましょう。

 

【波動】

 電磁気に次いで出題頻度の高い単元です。直近5年間で3回出されています。ところがそのテーマはバラバラで、特定の分野を重点的に勉強するのではなく、どのようなテーマが出されても困らないようにしておくのを求められています。平成28年度のドップラー効果の問題のように難易度の高い問題も見られるので、過去問等で確認をしておいてください。

 

【熱力学・原子】

 これらはここ5年でそれぞれ1度ずつ出題があります。他の単元に比べると出題頻度は低いとはいえ、何も対策しないわけにはいかないので、受験生としては悩ましいところです。熱力学では医学部受験では定番ともいえる熱サイクルに関する問題の解法はマスターしておきましょう。原子については勉強が手薄になっている受験生が多い分野ではありますが、少なくとも問題集に載っているような典型問題については解けるようにしておきましょう。

お勧めの藤田医科大学医学部の物理の対策方法

最後にこれまでの内容から、藤田医科大学医学部の物理の対策に必要な具体的な勉強法をお伝えします。例年、本医学部の試験日は1月末なので、そこから逆算してスケジュールを組んでいくのが良いでしょう。

 

 はじめに11月中旬までは、物理の全範囲の典型問題の解法をマスターすることを目標に勉強を進めてください。入試問題の難易度は高く、典型問題以外も解けるようにならなければなりませんが、ランダムに多様な内容が問われる試験です。この時期にどこまで基礎を固められたかで、思わぬ単元から出題があった場合への対応力に違いが生まれることは意識しましょう。

 

 この時期の勉強におススメの問題集は、『良問の風』(河合塾シリーズ)です。典型問題の網羅的な勉強にはこの1冊が最も効率的です。分からない問題がなくなるまで繰り返し取り組み、問題を見たら解法がすぐに頭に浮かぶようにしておきましょう。

 もし教科書レベルの内容が一通り終わっているのに問題が解けない場合は、物理の知識と問題への適用法が結びついていない可能性があります。そのような際には『物理のエッセンス』(河合塾シリーズ)で先にトレーニングを積むのも解決策の一つです。

 

なおこれらの問題集の特徴は別記事「「良問の風」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方」「「物理のエッセンス」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方」に詳しいのでご参照ください。

加えて、より詳細な問題集の使い方についても、過去記事「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」で紹介しているので、是非参考にしてください。

 

 11月中旬以降は、個別試験に向けた勉強にシフトしていきましょう。具体的に行っていただきたいのが、

・過去問の分析

・過去問を用いた実戦演習

・問題集を用いた苦手分野の克服

の3つです。

 

 過去問分析は残り約2カ月の勉強内容を決定するうえで、欠かせない情報源になります。赤本やインターネット上に情報がたくさんありますが、それらを参考にしつつも必ず時間を取って自分の目でも確かめてください。どのような出題形式か、どの単元からの出題が多いかといった観点から、過去5か年分程度を分析すれば十分でしょう。

 

 過去問分析が終わったら、実際に問題に挑戦してください。このとき必ず時間を計って取り組むことを忘れないようにしましょう。藤田医科大学の物理は難易度や問題数に対して、制限時間は厳しめです。この中で目標点を取るためには、計算のスピードや正確性、問題を解く順番といった実戦的な力も不可欠です。本番のシミュレーションができるのは過去問演習をおいて他にはないため、各年度とも大切なチャンスとして解いていってください。

 

 同時並行でこれまでの勉強で手が回らなかった苦手分野について、問題集を用いて克服していきましょう。とはいえ残りの期間で全範囲を復習するのは非効率的なので、過去問分析で得られた結果をもとに、時間をかけることが得点に直結する単元からこなしていくと良いでしょう。

 また藤田医科大学を受験するのであれば、『良問の風』だけでは物足りない部分もあるため、できる限りもう一段階難易度の高い問題集で力を伸ばしていってください。『良問の風』を使っている人であれば、『名門の森』(河合塾シリーズ)が同じ出版社なので、スムーズに次のステップに移りやすいでしょう。もちろん物理の基礎が早い時期に固まっているのであれば、11月中旬よりも前にこうした問題集を解き始める方がよいことは言うまでもありません。

まとめ

藤田医科大学医学部の物理の傾向と対策法のポイントは、

①理科2科目に対して制限時間は120分

②物理は大問4つで構成され、小問に従って解き進める

③答案は解答のみを記述するものが中心だが、近年は論述問題や描図問題も見られる

④難易度にばらつきがあるので、解ける問題の取りこぼしに注意する

⑤目標点は100点中65点

⑥単元ごとのポイントは、

【力学】大問1と大問4で出される可能性が高い、力の矢印

【電磁気】毎年1題は必出、コンデンサー回路、電磁気

【波動】出題テーマはバラバラ、難易度の高い問題が見られる

【熱力学・原子】ここ5年で1度出されている、典型問題は解けるようにしておく

⑦11月中旬までは、物理の全範囲の典型問題の解法をマスターすることを目標とする

⑧11月中旬以降は、

・過去問の分析

・過去問を用いた実戦演習

・問題集を用いた苦手分野の克服

を行う

の8つです。

 

 藤田医科大学医学部の物理はパターンから外れた思考力を要する問題も多々見られます。しかしながらこうした問題を解くにはひらめきは重要ではなく、日頃勉強して身に付けてきた基礎を応用できるかどうかがカギです。なるべく早く典型問題は安定して解けるようにし、大学の過去問やより高難度の問題集で実戦演習を積めるように計画立てて勉強を進めましょう!!

 

本記事内で登場した過去のオススメ記事

「藤田医科大学医学部の一般入試の数学の傾向と対策」


 

「「良問の風」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方」


 

「「物理のエッセンス」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方」


 

「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」


 

藤田医科大学の過去問題やその他の教科の傾向と対策

 こちらのページで過去問を無料で閲覧できます

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 ご参考にしてください。

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本記事で登場したお勧めの問題集・参考書

『良問の風』(河合塾シリーズ)


 

『物理のエッセンス 力学・波動』(河合塾シリーズ)


 

『物理のエッセンス 熱・電磁気・原子』(河合塾シリーズ)

 

『名門の森』(河合塾シリーズ)


 

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