鳥取大学医学部の数学の傾向と対策(2019年5月23日改訂版)

鳥取大学数学

これまで別記事で、岡山大学、広島大学、島根大学、山口大学の入学試験について紹介してきました。中国地方の国立大学医学部については、あとは鳥取大学を残すのみです。

 本日はその鳥取大学医学部の数学について、傾向と具体的な対策法を紹介します。

 

※2019年5月23日に加筆、修正を行いました。

鳥取大学医学部の数学の試験形式・配点は?

はじめに鳥取大学医学部の入試制度について見ていきましょう。

 

 鳥取大学医学部の入学試験にはこれまで、前期一般入試(65名)、後期一般入試(20名)、推薦入試(20名)の3つの制度が存在していました(カッコ内は2019年度の募集人数)。しかし2020年度入試では後期日程による募集が停止されることが既に明らかにされているので注意してください。本記事では最も受験者数の多い、前期一般入試について取り上げることとします。

 

 前期一般入試はセンター試験と二次試験の合計得点で合否が決まります。詳細に各試験の科目ごとの配点を確認すると、

【センター試験】国語:200点 数学:100点×2 英語:200点 社会:100点 理科:100点×2

【二次試験】数学:200点 英語:200 理科:100点×2 面接:100点

となっており、センター試験が900点、二次試験が700点の計1600点満点です。センター試験の配点は圧縮や傾斜等の調整はなく、素点がそのまま得点となる国立の医学部受験で最もオーソドックスな形です。配点はセンター試験の方が二次試験よりも高いですが、比率を考慮するといずれの試験でもバランスよく点を稼ぐことが求められます。また大学入試センター試験の合計が概ね80%に満たない場合は、合格者となりえないことがあるとされているため、この条件を大きく下回る場合には出願自体を検討した方がよさそうです。

 

 ちなみに2017年度までは二次試験は数学、英語、面接のみでしたが、2018年度から理科も加わっています。初めて知ったという方は、情報をアップデートしておいてください。

 

 このうち数学は大問4つで構成され、制限時間は120分です。2、3問の小問による誘導がつく場合が多いですが、小問に分かれない大問も見られます。さらに1題は必ず医学部専用の問題が出されるため、他学部の問題と比較すると差がつきやすいものも含まれます。

 

 解答は全て論述式で、計算問題だけではなくグラフの概形の描図や等式の証明問題といったように、バランスよく様々な内容の出題があります。場合分けを要するようなしっかりとした論述も求められるため、普段の勉強から手を動かして答案を作成する練習をしておきましょう。

 

 難易度については医学部受験としては標準的なものが中心ですが、手の付け方が分かりづらいものも出される可能性があります。そういった問題に時間を取られてしまうと、解くべき問題に回す時間が無くなってしまうので、まずは全体を見渡して時間のかかりそうな問題は後回しにする、といったような戦略も駆使しなければならない試験内容といえます。

鳥取大学医学部の数学の問題の難易度と合格に必要な得点率は?

続いて、鳥取大学医学部の過去の合格最低点のデータや他の科目の難易度をもとに、数学では何点を取ればよいか考えてみます。

 

鳥取大学医学部の合格最低点は、

平成31年度:1291.7/1600(約81%) 平成30年度:1246.4/1600(約78%) 平成29年度:1125.5/1400(約80%) 平成28年度:1148.4/1400(約82%) 平成27年度:1220.2/1500(約81%)

となっています。平成29年度以前は理科がないため1400点満点、平成27年度は面接の点数が200点であったため1500点満点となっていますが、合格最低点の得点率については毎年80%前後に集中していることが分かります。すなわち1600点中1320点(約83%)であれば合格圏といえます。

 

 ここでセンター試験において900点中780点(約87%)取れたと仮定すると、二次試験では700点中540点(約77%)が必要となります。

 

 以上のことから、各科目の難易度も考慮したうえでそれぞれ、

数学:150点 英語:150点 理科:160点 面接:80点

を目標とするのが平均的な医学部受験生の作戦と言えます。

 

 数学は200点中150点、すなわち7割5分を目指すこととなりますが、標準的な問題を完答できれば達成はさほど難しくはありません。あとは難しい問題に時間を使いすぎることや計算ミス等に気を付けて、確実に点数を積み上げていきましょう。

鳥取大学医学部の数学の出題傾向は?

それでは、鳥取大学医学部の数学では、どのような問題が出されるのでしょうか?

以下に出題傾向を、【超頻出単元】、【頻出単元】、【要対策単元】の3つに分けてまとめていきます。

 

【超頻出単元】

・微分法・積分法(数学Ⅲ)

 例年、大問3、4で数学Ⅲの微分法・積分法をテーマとする問題が出されます。これらのうち片方はグラフの概形および接線や法線を扱ったり、曲線や直線で囲まれた部分の面積を求めたりするような、実際に状況を作図して考えるような図形的意義を問う問題、もう片方は定積分や極限の計算および積分方程式といった微分法・積分法の数式処理の能力を試す問題がセットとなっているのが基本です。図形的意義を考える問題の場合、文字の取り得る値の範囲をもとにグラフの概形を判断するパターンの出題歴が複数回あるので、問題集を用いて練習しておきましょう。数式処理に関しては解法の引き出しをどれほど多く持って本番に臨めるかが勝負を分けるので、鳥取大学医学部を志望するのであれば、意識的に強化しましょう。

 

【頻出単元】

・ベクトル

 空間ベクトル、平面ベクトルいずれかが、2年に1度程度のペースで出題されています。ベクトルの問題を解く上で重要なスキルの一つが作図能力です。基本的に大問に図形は与えられないので、文章による説明をもとに自らの手で作図をしなければなりません。特に空間ベクトルではいつでも立体的な図を描けば良いわけではなく、場合によっては断面の作図をするといったような工夫も必要です。こうした作図能力は実戦演習によってのみ培われるものなので、ベクトルの基本事項の学習が終わったらできる限り多くの問題に触れて作図の感覚を研ぎ澄ませていきましょう。

 

・図形と方程式

 図形と方程式に関する大問がベクトルと同程度の頻度で出題されており、中でも円と直線の関係が重要テーマです。円と直線の関係を扱う設問では、円の方程式や点と直線の距離の公式といったように、知識として覚えておくべき処理が多いのでしっかりとマスターしておきましょう。加えて、軌跡や点の存在範囲も過去に出題されているので、少なくとも基本的な解法は身に付けておいてください。

 

【要対策単元】

・複素数平面

 複素数平面は新たな教育課程が導入されて、平成27年度以降の大学入試において行列の代わりに出題範囲となりました。鳥取大学医学部の数学では新課程が始まってしばらくは複素数平面に関する大問は出されませんでしたが、平成30年度についに出題されました。今後の動向はまだ予測が付きませんが、少なくとも複素数平面の典型問題の解法は一通りマスターしておくべきでしょう。

お勧めの鳥取大学医学部の数学の対策方法

最後にこれまでの内容から、鳥取大学医学部の数学の対策に必要な具体的な勉強法をお伝えします。

 

 まずセンター試験までの時期については、数学の全範囲の典型問題の解法を身に付けることを目標として勉強しましょう。鳥取大学医学部の数学は標準的な難易度の問題が中心に構成されているので、この時期の勉強の具合が二次試験の結果にもそのまま大きく影響を及ぼすこともあることは忘れないでください。特に二次試験では数学Ⅲの微分法・積分法の比重が大きいため、センター試験には出題されませんが早めに実力をつけておくと後々助かるはずです。

 この時期の勉強におススメの問題集が、『1対1対応の演習』(東京出版)です。各単元の典型問題が網羅されているだけでなく、問題と解法をタイトルのとおり1対1で対応させて覚えることをコンセプトとしているため、解法の引き出しを増やすのに最適な一冊です。数学Ⅲの範囲もこの時期からしっかりと取り組んでいきましょう。

細かな「1対1対応の演習」の特徴については、別記事「「1対1対応の演習」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方」をご参照ください。

また、より詳細な問題集の使い方についても、過去記事「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」で紹介しているので、是非参考にしてください。

 

 センター試験終了後は、二次試験対策に移りましょう。具体的に行っていただきたいのが、

・過去問の分析

・過去問を用いた実戦演習

・問題集を用いた苦手分野の克服

の3つです。

 

 過去問分析は出題形式や問題傾向を知ることで本番焦らないようにするだけでなく、この先約1カ月の勉強内容を決める大切な作業です。1カ月は短いようで長い期間でもあり、事前に計画を立てて直前期に突入できるかどうかがその後の効率を大きく左右します。どの単元からの出題が多いか、問題の難易度はどれくらいか、といったことを念頭に5年分程度に目を通しましょう。

 

 過去問分析が終わったら、実際に過去問にチャレンジしましょう。このとき徹底していただきたいのが、時間を計って取り組むことです。入試本番では解くべき問題を確実に解き、難しい問題は後回しにするといった時間配分が重要であるとお伝えしましたが、こうした実戦的な練習ができるのは過去問演習をおいて他にはありません。1題当たり30分掛けられるため比較的時間的余裕はありますが、時間内に目標点に達するかどうかを確かめるためにも本番さながらの環境で演習を繰り返しましょう。

 

 同時並行でこれまでの勉強で解決できなかった苦手分野の克服に尽力しましょう。ここで新しい問題集に手を出す必要はなく、これまで使ってきた問題集で構いません。完成度の低いまま多くの問題集をこなすよりも、1冊の問題集で分からない問題がなくなるまで繰り返し取り組んだ方が効果は高いからです。過去問分析で明らかになった傾向と自分の得手不得手を照らし合わせ、優先順位を付けて一つずつ苦手をなくしていってください。

まとめ

鳥取大学医学部の数学の傾向と対策法のポイントは、

①大問4つで構成され、制限時間は120分

②多くが2、3個の小問に分かれ、1題は必ず差がつきやすい医学部専用の問題が出される

③解答はすべて論述式で、バランスよく様々な内容が出題される

④難易度は医学部受験としては標準的だが、一部に時間のかかるものに要注意

⑤目標は200点中150点(75%)

⑥出題傾向は、

【超頻出単元】微分法・積分法(数学Ⅲ)(図形的意義、数式処理)

【頻出単元】ベクトル(作図能力)、図形と方程式(円と直線の関係)

【要対策単元】複素数平面

⑦センター試験までは、数学の全範囲の典型問題の解法を身に付けるのを目標に勉強する

⑧センター試験終了後は、

・過去問の分析

・過去問を用いた実戦演習

・問題集を用いた苦手分野の克服

を行う

の8つです。

 

 鳥取大学医学部の数学は決して難問ばかりというわけではありませんが、数学Ⅲの計算量の多い問題が半分を占めるため、これらの問題でいかに点数を落とさないかが勝負の分かれ目です。二次試験を意識してできるだけ早い時期から、数学Ⅲについても問題演習に移れるように勉強を計画的に進めていきましょう!!

 

 

本記事内で登場した過去のオススメ記事

「岡山大学医学部の数学の傾向と対策」


 

「広島大学医学部の数学の傾向と対策」


 

「島根大学医学部の数学の傾向と対策」


 

「山口大学医学部の数学の傾向と対策」


 

「「1対1対応の演習」の医シュラン!医学部受験で勝つ問題集の使い方」


 

「実力をつけるための問題集のトリセツ!効果的な11個の使い方」


 

鳥取大学の過去問題やその他の教科の傾向と対策

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 また、その他の教科の傾向と対策についても見ることができますので、

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本記事で登場したお勧めの問題集・参考書

『1対1対応の演習』(東京出版)


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